○千葉市男女共同参画ハーモニー条例
平成14年9月25日
条例第34号
千葉市民が、21世紀を豊かにいきいきと暮らしていくためには、男女が人権を尊重しあい、互いの個性と能力を十分に発揮し、自立した生活を営むことができる男女共同参画社会を形成することが緊要な課題である。
千葉市は、これまで「ハーモニー」を男女共同参画社会をイメージする言葉として、さまざまな個性が響きあい、認めあいながら形づくる社会を目指し各種の施策を積極的に展開してきたが、なお一層の努力が求められている。
千葉市は、ここに、すべての市民が、男女の別なく個人として尊重され、お互いに対等な立場であらゆる分野に参画する機会が確保され、責任を分かちあう男女共同参画社会の実現を目指し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画社会の形成に関し、基本理念を定め、市、市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、男女共同参画社会の形成に関する施策の基本的事項を定めることにより、男女共同参画社会の形成を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
(1) 男女共同参画社会の形成 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、ともに責任を担うべき社会を形成することをいう。
(2) 積極的格差是正措置 前号に規定する機会について男女間の格差を是正するため必要な範囲において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画社会の形成は、次に掲げる事項を基本理念として推進されなければならない。
(1) 男女の個人としての尊厳が重んじられ、性別による差別的取扱いを受けることなく、個人としての能力を発揮する機会が確保され、及びその他の人権が尊重されること。
(2) 男女が、性別による固定的な役割分担を前提とした社会のさまざまな制度や慣行によってその活動が制限されることなく、自立し、自らの意思において多様な生き方を選択することができ、かつ、選択された生き方を互いに尊重し、協力し合うこと。
(3) 社会のあらゆる分野で男女共同参画が推進されるよう、市、市民及び事業者が、自らの意思と相互の協力により、協働して取り組み、そのための活動が支援されること。
(4) 男女が、性別にかかわらず、職場、家庭、地域、学校その他の社会のあらゆる分野の意思決定の場に、対等な構成員として平等に参画する機会が確保されること。
(5) 家族を構成する女性及び男性が、相互の協力と社会の支援の下に、子育て、家族の介護等の家庭生活における活動とその他の社会生活における活動を円滑に行い、家族の一員としての役割を果たすことができること。
(6) 女性及び男性が、人格を尊重し合い、互いの性への理解を深めることにより、妊娠、出産その他の健康について、自らの意思が尊重され、生涯にわたる心身の健康が維持されること。
(7) 男女共同参画社会の形成が、国際社会における取組と密接な関係を有していることを考慮し、国際的な理解と協力の下に推進されること。
(市の役割)
第4条 市は、男女共同参画社会の形成に関する施策(積極的格差是正措置を含む。)を策定し、実施する役割を担うものとする。
2 市は、男女共同参画社会の形成に関する施策を実施するに当たり、市民、事業者、国及び他の地方公共団体との協働を図る役割を担うものとする。
(市民の役割)
第5条 市民は、男女共同参画社会の形成についての理解を深め、職場、家庭、地域、学校その他の社会のあらゆる分野において男女共同参画社会の形成に努める役割を担うものとする。
2 市民は、市が実施する男女共同参画社会の形成に関する施策に協力する役割を担うものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、その事業活動において、男女共同参画社会の形成に努めるとともに、職場における活動と家庭生活における活動その他の活動とを両立できる職場環境を整備する役割を担うものとする。
2 事業者は、市が実施する男女共同参画社会の形成に関する施策に協力する役割を担うものとする。
(性別による権利侵害の禁止)
第7条 何人も、職場、家庭、地域、学校その他の社会のあらゆる分野において、性別による差別的取扱いを行ってはならない。
2 何人も、職場、家庭、地域、学校その他の社会のあらゆる分野において、他の者に対し性的な言動を行うことにより、当該者の生活の環境を害し、若しくは不快な思いをさせ、又は性的な言動を受けた者の対応により、当該者に不利益を与える行為を行ってはならない。
3 何人も、配偶者等に対し、身体的、精神的又は経済的な苦痛を与えるような暴力的行為等を行ってはならない。
(基本的施策)
第8条 市は、男女共同参画社会の形成を推進するため、次に掲げる基本的施策を行うものとする。
(1) 政策の決定過程における男女共同参画を推進するため、積極的格差是正措置として女性職員の積極的な職域拡大及び管理職等への登用を総合的かつ計画的に推進することとし、そのために必要な研修等の実施に努めること、職員が職場における活動と家庭生活における活動との両立を支援する制度を性別にかかわらず活用できる環境づくりに努めること及び附属機関の委員の委嘱に当たり、女性委員の拡大に努めること。
(2) 学校教育、家庭教育その他のあらゆる分野の教育において、男女共同参画社会の形成を推進するための措置を講じるよう努めること。
(3) 雇用の分野における男女共同参画を推進するため、事業者に対し、必要な情報の提供その他の支援を行うよう努めるとともに、男女共同参画の状況について報告を求め、適切な措置を講じるよう協力を求めること。
(4) 自営の商工業又は農林水産業に従事する男女が、対等な構成員として経営等に参画する機会を確保するため、研修、情報の提供その他の活動に必要な支援を行うよう努めること。
(5) 女性及び男性が、性別による固定的な役割分担にとらわれることなく、子育て、家族の介護等の家庭生活における活動とその他の社会生活における活動を、相互の協力と社会の支援の下に円滑に行うことができるように、必要な支援を行うよう努めること。
(6) 男女共同参画社会の形成を推進する活動を行う民間の団体との連携を図り、当該活動に必要な情報の提供その他の支援を行うよう努めること。
(7) 女性及び男性が、対等な関係の下に互いの性についての理解を深め、生涯にわたる心身の健康が維持され、妊娠、出産その他の健康について自らの意思が尊重されるよう、性に関する教育、相談その他の必要な措置又は支援を行うよう努めること。
(平成22条例27・一部改正)
(基本計画)
第9条 市長は、男女共同参画社会の形成に関する施策並びに市民及び事業者の取組を総合的かつ計画的に推進するための基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。
2 市長は、基本計画を策定するに当たっては、あらかじめ、千葉市男女共同参画審議会の意見を聴くとともに、市民及び事業者の意見を反映させるよう努めるものとする。
3 市長は、基本計画を策定したときは、これを公表するものとする。
4 前2項の規定は、基本計画を変更する場合について準用する。
(施策の策定等に当たっての配慮)
第10条 市は、男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、実施するに当たっては、男女共同参画社会の形成に配慮するものとする。
(年次報告)
第11条 市長は、毎年度、男女共同参画の推進状況及び施策の実施状況について報告書を作成し、公表するものとする。
(調査研究)
第12条 市は、男女共同参画社会の形成に関する施策を効果的に推進するため、男女共同参画に関する調査研究及び情報の収集を行うものとする。
(広報活動等)
第13条 市は、男女共同参画社会の形成についての市民及び事業者の理解を深めるために積極的な広報活動に努めるものとする。
2 市は、刊行物等を作成するに当たっては、第3条に規定する基本理念の趣旨を踏まえ作成するものとする。
(男女共同参画週間)
第14条 市は、市民及び事業者の男女共同参画社会の形成に対する関心を高め、理解を深めるとともに、男女共同参画社会の形成に向けた取組が積極的に行われるよう、男女共同参画週間を設ける。
2 男女共同参画週間は、毎年12月のうち市長が別に定める日から1週間とする。
3 市長は、男女共同参画週間において、男女共同参画社会の形成に著しく貢献し、又は積極的な取組を行ったと認められる事業者を表彰することができる。
(拠点施設)
第15条 市は、男女共同参画社会の形成に関する施策を推進し、並びに市民及び事業者の男女共同参画社会の形成に関する取組を支援するため、拠点施設を設けるものとする。
(苦情及び相談の申出等)
第16条 市長は、市が実施する男女共同参画社会の形成に関する施策又は男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められる施策についての苦情及び相談を処理し、並びに男女共同参画社会の形成を阻害する要因によって人権が侵害された場合における被害者の救済を図るため、必要な委員(以下この条において「委員」という。)を置く。
2 市民及び事業者は、委員に対し前項に規定する苦情若しくは相談又は救済を申し出ることができる。
3 委員は、前項の規定による苦情又は相談の申出があった場合は、必要に応じて調査等を行うとともに、必要があると認めるときは、市長に意見を述べるものとする。
4 委員は、第2項の規定による救済の申出があった場合は、必要に応じて関係者に対し調査等を行うとともに、必要があると認めるときは、当該関係者に対し助言、是正の要望等を行うものとする。
5 委員は、第1項に規定する苦情及び相談の処理状況について千葉市男女共同参画審議会に報告するものとする。
6 前各項に定めるもののほか、委員に対する申出に関し必要な事項は、規則で定める。
(審議会)
第17条 市長の諮問に応じ、基本計画その他の男女共同参画社会の形成に関する重要事項を調査審議するため、市長の附属機関として、千葉市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、男女共同参画社会の形成に関する施策の実施状況について調査審議し、市長に意見を述べることができる。
3 審議会は、学識経験者、市民の代表者等のうちから、市長が男女の委員の数が概ね同数となるよう委嘱した委員15人以内で組織する。
4 委員の任期は2年とし、2期を超えて連続して再任されることはできない。
5 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
1 この条例は、平成15年4月1日から施行する。
附則(平成22年3月23日条例第27号)
この条例は、平成22年4月1日から施行する。