○越前市自治基本条例
平成17年10月1日
条例第1号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 市民自治の基本理念(第4条)
第3章 市民と市民自治(第5条・第6条)
第4章 市民自治活動(第7条―第10条)
第5章 市議会(第11条)
第6章 市政運営(第12条―第15条)
第7章 住民投票(第16条・第17条)
第8章 市民自治推進委員会(第18条)
附則
越前市の豊かな自然環境は、わたしたちの生活に安らぎと潤いをもたらし、先人の英知と努力は、地域に産業を興し、輝かしい伝統や文化を培ってきました。
わたしたち市民は、この郷土を、希望を持って学び、働き、そして新しい命を育み、幸せに暮らすことができるまちとして発展させるとともに、日々の暮らしにおいては環境に配慮しつつ、将来にわたり持続可能な社会を目指さなければなりません。
市は、これまで、情報公開、個人情報保護、循環型社会の推進、男女共同参画や地域自治振興をはじめとする諸制度を整えながら、市民とともに考え行動していく協働の芽を育ててきました。
いま、社会の変革と分権型社会への移行とともに、自治体の役割と責任が拡大し、市民にあっても、自己決定・自己責任のもとに自らがまちづくりの担い手となる新しい自治の在り方が求められています。
わたしたち市民は、多様な社会経験と創造的な活動を生かし、ひとりの市民として、また組織の一員としてまちづくりにかかわる中で、市民自治を確立しなければなりません。
こうした認識のもと、一人ひとりの人権が尊重され、人と自然と都市の活力が調和した住みよいまちを市民の自覚と行動により築き上げることを決意し、ここに越前市自治基本条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、市民自治の基本理念を明らかにするとともに、その基本となる事項を定めることにより、自立した自治体にふさわしい自治の実現を図ることを目的とします。
(条例の位置付け)
第2条 この条例を越前市の自治の基本となる条例として位置付け、その原理に基づき他の条例、規則等の制定改廃、解釈及び運用に当たらなければなりません。
(1) 市民 市内に住み、勤め、若しくは通学する者又は市内に事務所を有する法人、市内で活動する組織その他の団体をいいます。
(2) 参画 政策の立案から実施に至るまでの過程に主体的に参加し、意思決定に関わることをいいます。
(3) 協働 共通の目的を持って課題解決を図ろうとするものが、それぞれの特性を尊重し、対等な立場で協力し取り組むことをいいます。
(4) 市民自治活動 市民が住みよいまちづくりを目指し、自主的に行う多様な公益活動をいいます。
(5) 町内会 町、字等の区域を単位とした自治組織をいいます。
(6) 地区組織 おおむね小学校の通学区域を単位とした自治組織をいいます。
第2章 市民自治の基本理念
(市民自治の基本理念)
第4条 わたしたち市民は、市政に関する情報を共有し、自らの判断と責任の下に市政に参画し、協働することを基調とした市民自治を確立することを目指します。
第3章 市民と市民自治
(市民の権利)
第5条 わたしたち市民は、市民自治の主体であり、市政に参画し、その意思を表明する権利を有します。
2 わたしたち市民は、前項の権利の行使に際し、性別、年齢、信条、国籍等によるいかなる差別も受けません。
(市民の責務)
第6条 わたしたち市民は、市民自治の主体であることを自覚し、自らの発言及び行動に責任を持ち、市民自治を確かなものとするよう努めます。
第4章 市民自治活動
(市民自治活動の原則)
第7条 わたしたち市民は、家庭、職場及び地域社会の中で、市民自治を担う一員として公共の利益のために自らできることを考え行動します。
2 わたしたち市民は、市民自治活動において、男女が共に社会の対等な構成員としてその個性及び能力を発揮するものとします。
3 わたしたち市民は、同様の目的を有する個人及び組織との連携及び情報交換に努め、互いの活動を尊重します。
4 市民自治活動を行う団体は、民主的かつ自主的運営を行います。
(社会貢献活動)
第8条 わたしたち市民は、NPO(民間非営利組織)、ボランティア等による市民自治活動を通じ、それぞれの適切な役割のもとで社会貢献に努めます。
(地域の自治)
第9条 わたしたち市民は、各地域において、その歴史、文化等の地域的特性を生かした豊かなまちづくりを目指し、市と協働して組織的に市民自治活動を行い、地域の振興を図ります。
2 わたしたち市民は、町内会又は地区組織における活動を通して、安全で安心な住みよいまちづくりの実現に努めます。
3 町内会その他の地域の振興を図る組織の代表者は、その構成員の意思を尊重し、意見を取りまとめ、市との協働を円滑に図るよう努めます。
(市民自治活動の支援)
第10条 市は、市民自治活動が果たす役割及び重要性を認識し、その活動を守り育てるよう努めるものとします。
2 市は、市民自治活動の自主性及び自立性を尊重し、市民との相互理解を深め、信頼関係を築くよう努めるものとします。
3 市は、その行政活動のうち、市民自治活動の特性を生かすことがより効果的であると判断される分野については、積極的に協働の機会を拡充するよう努めるものとします。
4 市は、市民自治活動を促進するため、情報の提供、相談、専門家の派遣その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとします。
第5章 市議会
(市議会)
第11条 市議会は、市民の意思を代表し、議決権、調査権等を持つ合議制の意思決定機関として、民主的な市政の発展に寄与するものとします。
2 市議会は、開かれた議会運営のため、その保有する情報の公開及び市民との情報の共有に努めるものとします。
3 市議会議員は、自らの役割を深く自覚し、政治倫理の確立に努めるものとします。
第6章 市政運営
(市長の責務)
第12条 市長は、この条例を遵守し、市民自治の推進に努めるものとします。
2 市長は、総合的かつ計画的な市政の方針を明示し、その実現に向け職員を適切に指揮監督するとともに、職員の能力の向上を図り、効率的な行政運営に努めるものとします。
3 市長は、常に行政機構を見直し、機能的で簡素な組織づくりに努めるものとします。
(職員の責務)
第13条 職員は、市民との信頼関係づくりに努め、市民自治の本質を理解して、誠実に、公正かつ効率的な職務の遂行に努めるものとします。
(情報の公開及び提供)
第14条 市は、その保有する情報の積極的な公開及び提供を行うことにより、市民との情報の共有に努めるものとします。
2 市は、公正で透明な市政の実現を図るため、適切な時期に市政について分かりやすく市民に説明する責任を果たすものとします。
3 市は、情報の公開及び提供に際し、個人の権利及び利益が侵害されることがないよう個人情報の保護に必要な措置を講ずるものとします。
(行政評価)
第15条 市は、各年度における主要な施策の成果を明らかにするとともに、適切な評価を行い、その結果を事後の施策に反映させるよう努めるものとします。
第7章 住民投票
(住民投票の請求又は発議)
第16条 選挙権を有する市民(市議会議員及び市長の選挙権を有する者をいう。以下同じ。)は、法令の定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から市長に対し、住民投票を求める条例の制定を請求することができます。
2 市議会議員は、法令の定めるところにより、議員定数の12分の1以上の者の賛成を得て、住民投票を求める条例を市議会に提出することにより住民投票を発議することができます。
3 市長は、住民投票を求める条例を市議会に提出することにより住民投票を発議することができます。
(住民投票の実施)
第17条 市長は、前条の規定による条例制定の議決があったときは、速やかに住民投票を実施するものとします。
(1) 市内に住所を有する年齢満18年未満の日本国籍を有する者
(2) 市内に住所を有する外国人(永住者、定住者等)
3 市長は、住民投票を実施する際には、当該住民投票に関し必要な情報を市民に対して提供するものとします。
4 市民、市議会及び市長は、住民投票の結果を尊重するものとします。
(平28条例10・一部改正)
第8章 市民自治推進委員会
(市民自治推進委員会)
第18条 市は、市民自治活動及び市民参画の推進を図るため、市民自治推進委員会(以下「委員会」という。)を設置するものとします。
2 委員会は、市長の諮問に応じ、自治の推進に関する事項について審議し、市長に答申するものとします。
3 委員会は、前項に規定するもののほか、自治の推進に関する重要事項について、市長に提言することができます。
4 市長は、委員会の答申及び提言を尊重するものとします。
5 委員会は、地方自治に識見を有する者及び市民による10人以内の委員をもって構成し、当該委員は、市長が委嘱します。
6 委員の任期は、2年とし、再任を妨げません。
7 委員が欠けたときの補欠委員の任期は、前任者の残任期間とします。
8 委員会に関し必要な事項は、別に規則で定めます。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成17年10月1日から施行する。
附則(平成28年3月18日条例第10号)
この条例は、公職選挙法等の一部を改正する法律(平成27年法律第43号)の施行の日から施行する。