○富士吉田市地下水保全条例

平成22年9月27日

条例第26号

(目的)

第1条 この条例は、富士吉田市環境基本条例(平成17年条例第9号)の趣旨に基づき、富士山をはじめ、豊かな森林環境からの恵沢である地下水資源を将来にわたり市民が享受できるよう、地下水採取の適正化を図ることにより地下水資源を保護し、もって良好で快適な環境の保全及び創造に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 地下水 事業用又は生活の用に供するため、井戸により採取する水をいう。

(2) 井戸 人力若しくは動力を用いて地下水を採取するための施設又は自噴井施設であって、公用又は公共用以外のものをいう。

(3) 地下水採取者 市内において地下水を採取し利用している者をいう。

(許可)

第3条 市内において井戸を設置しようとする者又は既設の井戸の構造を変更(井戸の口径若しくは深さを変更する場合又は揚水機の種類若しくは能力を変更する場合をいう。)しようとする者は、規則で定めるところにより、市長に申請してその許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

(1) 地下水の採取量が日量10立方メートル未満の井戸を設置し、又は構造を変更しようとする場合(複数の井戸を有する地下水採取者による設置又は構造の変更であって、所有する全ての井戸の揚水量が日量10立方メートル以上となる場合を除く。)

(2) 国又は地方公共団体が公用若しくは公共用以外の目的で設置し、又は構造を変更するもののうち、市長が認める場合

(許可の基準)

第4条 市長は、前条の許可の申請が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、同条の許可をしてはならない。

(1) 県又は市が定める土地利用計画に反しないこと。

(2) 隣接する既設井戸に支障を及ぼさない程度の採取量であること。

(3) 他の水をもって替えることが困難なこと。

(4) 地下水を申請の用途に供することが、必要かつ適当と認められること。

(5) 排水施設が十分講じられていること。

(6) 量水器が設置されていること。

(7) 自噴井については、制水設備の設置等により不使用時の流出防止対策が講じられていること。

(8) 前各号に掲げるもののほか、前各号に規定する基準に準ずるものと市長が認める事項

(工事の完了検査)

第5条 第3条の許可を受けた者は、当該工事が完了したときは、規則で定めるところにより、完了の日から14日以内に市長にその旨を届け出なければならない。

2 市長は、前項に規定する届出があったときは、検査を行うものとする。

(氏名変更等の届出)

第6条 第3条の許可を受けた者は、氏名、名称、法人にあってはその代表者の氏名若しくは住所の変更又は用途の変更又は地位の承継があったときは、規則で定めるところにより、遅滞なくその旨を市長に届け出なければならない。

(特別地域の指定)

第7条 市長は、地下水を保全する必要があると認める地域として、次の各号のいずれかに掲げる地域を、特別地域として指定することができる。

(1) 一定の範囲内に集中して井戸が設置されるなどして、地下水の減少が懸念される地域

(2) 公共用の水道水源の周囲であって、市民の生活水源の確保が特に必要とされる地域

2 市長は、特別地域を指定するときは、公示しなければならない。これを変更し、又は廃止するときも同様とする。

(協定の締結)

第8条 市長は、第3条の許可にあたり、次の各号のいずれかに該当する場合は、当該申請者と地下水保全のための協定を締結するものとする。

(1) 同一の地下水採取者における地下水採取量の合計が、1日に1,000立方メートルを超える場合

(2) 食品衛生法施行令第35条第14号に規定する清涼飲料水の製造を目的として地下水を使用する場合

(3) 工業用の冷却水又は洗浄水として地下水を使用する場合

(4) 特別地域内に新たに井戸を設置して地下水を採取する場合

(5) その他市長が特に必要と認める場合

(令5条例12・一部改正)

(地下水採取者の責務)

第9条 地下水採取者は、当該井戸に関して地下水の採取の適正化と地下水の水源の保全に努めるとともに、市が行う地下水の保全のための取組みに協力しなければならない。

2 地下水採取者は、富士吉田市地域防災計画に基づき、災害時の飲料水の確保等、市の施策に協力しなければならない。

(特別地域における指導又は勧告)

第10条 市長は、特別地域において地下水の枯渇が著しく、公共用の水道水源、個人の井戸等に影響があると認められるときは、地下水採取者に対し、相当の期間を定め、取水量の制限その他地下水源の保全上必要な指導又は勧告を行うことができる。

(資料の提出及び立入調査)

第11条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、地下水採取者から井戸に関する資料を提出させ、又は職員を土地に立ち入らせて、井戸に関する調査を行わせることができる。

2 前項の調査に従事する職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

3 第8条の規定による協定を締結した者は、月1回、使用状況を市長に報告しなければならない。

(施設の廃止)

第12条 第3条の許可を受けた者は、当該井戸を廃止したときは、規則で定めるところにより、その日から30日以内にその旨を市長に届け出なければならない。

2 前項の規定による届出をした井戸については、第3条の許可の効力を失う。

(許可の取消し等)

第13条 市長は、地下水採取者が偽りその他不正な手段により許可を受けたとき若しくは第4条の規定による基準に違反したとき又は許可の日から6月を経過しても工事に着手しないとき若しくは着工して1年を経過しても完成しないときは、その許可を取り消すことができる。ただし、特別な事情により工事を行うことが困難と認める場合は、この限りでない。

2 市長は、第3条の許可又は第8条の規定による協定の締結なしに井戸を設置し、又は利用状態を変更した地下水採取者については、直ちにその行為を中止させ、原状に復旧させる等必要な措置を命ずることができる。

(違反者等の氏名等の公表)

第14条 市長は、次の各号のいずれかに該当する者があるときは、その者の氏名等を公表することができる。

(1) 第3条の許可を受けなかった者又は虚偽の申請をして許可を受けた者

(2) 正当な理由がなく第11条第1項の規定による資料の提出を拒み、又は同項の規定による調査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

2 市長は、前項の規定による公表をしようとするときは、その者に対し、意見を述べ、及び証拠を提出する機会を与えなければならない。

(環境審議会への諮問)

第15条 市長は、必要に応じ、地下水の採取等に関する事項を調査審議するため、富士吉田市環境審議会に諮問し、意見を聴くものとする。

(表彰)

第16条 市長は、地下水の保全に関し、顕著な功績があった者又は団体を表彰することができる。

2 前項の規定による表彰に係る選定基準その他必要な事項は、市長が別に定める。

(委任)

第17条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は規則で定める。

(過料)

第18条 次の各号のいずれかに該当する者は、5万円以下の過料に処する。

(1) 第3条の許可を受けなかった者又は虚偽の申請をして許可を受けた者

(2) 正当な理由がなく第11条第1項の規定による資料の提出を拒み、又は同項の規定による調査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

(両罰規定)

第19条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同条の過料を科する。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行前に、市長と地下水採取に関する協定が締結されている井戸については、第3条の許可を受けたものとみなす。

3 この条例の施行前に、地下水採取のため、市内において現に井戸(第3条第1号に規定する井戸を除く。)を設置している者(設置工事をしている者を含む。)は、この条例施行後60日以内に市長に届け出なければならない。

(令和5年条例第12号)

この条例は、公布の日から施行する。

富士吉田市地下水保全条例

平成22年9月27日 条例第26号

(令和5年3月24日施行)