○箱根町景観条例
平成21年3月16日
条例第1号
目次
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 箱根らしい景観の保全及び形成
第1節 景観計画の策定(第8条―第11条)
第2節 良好な景観の形成のための行為の制限(第12条―第17条)
第3節 景観重要建造物等の指定及び管理(第18条―第23条)
第4節 景観重点地区の指定(第24条)
第5節 眺望点の指定及び保全(第25条・第26条)
第3章 表彰、助成等(第27条・第28条)
第4章 雑則(第29条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)の規定に基づき必要な事項を定めるとともに、本町の豊かで美しい自然景観、歴史性及び地域性豊かな魅力ある景観をいつまでも守り、育て、未来に継承することで、町民が愛着と誇りを持って住み続けることができ、観光客が再び訪れたいと思うことができるような景観によるまちづくりに寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 本町の高原と山岳地帯の優れた眺望景観は、富士火山帯に属する箱根火山によって複雑に形成され、その中に河川、湖沼、草原などを配した一大自然美と古くから主要街道の一つである東海道の重要な宿場町として培われた歴史資産及び温泉保養地の魅力ある文化が息づいており、これらの良好な景観は、国際観光のまちとして、今後も町民、事業者、観光客及び町が協働し、地域の特性に応じた適切な制限のもとに守りながら育み形成していかなければならない。
(1) 町民 町内に住所を有する者のほか、町内に別荘を有する者並びに町内で働く者及び学ぶ者をいう。
(2) 事業者 町内で事業を営むもの及び活動するものをいう。
(町民の責務)
第4条 町民は、基本理念に基づき、自らが良好な景観の形成の実現に取り組むとともに、町が行う施策に積極的に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、基本理念に基づき、良好な景観の形成の担い手であることを認識し、その実現のために、必要な措置を講ずるとともに、町が行う施策に積極的に協力しなければならない。
(観光客の責務)
第6条 本町を訪れる観光客は、基本理念に基づき、良好な景観の形成に関する理解を深めるとともに、町が行う施策に積極的に協力しなければならない。
(町の責務)
第7条 町は、基本理念に基づき、良好な景観の形成を図るため、基本的かつ総合的な施策を立案し、これを計画的に実施しなければならない。
2 町は、前項の施策の立案策定にあたっては、町民及び事業者から意見を聴取するとともに、必要な情報の提供に努めなければならない。
3 町は、良好な景観の形成に向けた町民の主体的な活動への支援に努めなければならない。
第2章 箱根らしい景観の保全及び形成
第1節 景観計画の策定
(景観計画の策定)
第8条 町長は、法第8条第1項の規定に基づき、景観の形成を総合的かつ計画的に推進するために、良好な景観の形成に関する計画(以下「景観計画」という。)を定めるものとする。
(景観計画提案団体)
第9条 法第11条第2項に規定する条例で定める景観計画の策定又は変更を提案できる団体は、自治会及び良好な景観の形成に関する活動を行う団体で町長の認定を受けた団体(以下「景観計画提案団体」という。)とする。
2 町長は、前項の認定をしようとするときは、あらかじめ、町都市計画審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。
3 前2項に定めるもののほか、景観計画提案団体の認定等に関し必要な事項は、規則で定める。
(先導的役割)
第10条 町は、公共建築物、道路、公園その他の公共施設の整備等を行うときは、良好な景観の形成において先導的な役割を果たすよう努めるものとする。
(啓発)
第11条 町は、町民、事業者及び観光客の景観に対する意識を高めるため、情報の提供、景観学習の場の提供等必要な措置を講ずるものとする。
第2節 良好な景観の形成のための行為の制限
(景観計画区域内における行為の届出等の適用除外)
第12条 法第16条第7項第11号の規定に基づき条例で定める届出を要しない行為は、別表に掲げる届出対象区域のうち届出対象行為と規模等の基準に該当しない行為とする。
(届出内容の公表)
第13条 町長は、法第16条第1項第1号及び第2号並びに第2項に規定する届出の内容について、当該届出をした者の同意を得て、規則で定めるところにより公表することができる。
(特定届出対象行為)
第14条 法第17条第1項の規定に基づき条例で定める特定届出対象行為は、法第16条第1項第1号及び第2号に規定する行為のうち、届出を要する行為のすべてとする。
(勧告等の手続)
第15条 町長は、法第16条第3項の規定に基づき勧告又は法第17条第1項若しくは第5項の規定に基づく命令(以下「勧告等」という。)をしようとする場合において、必要があると認めるときは、審議会の意見を聴くことができる。
(勧告等に従わなかった旨の公表)
第16条 町長は、勧告等を受けた者が、これに従わなかったときは、規則で定める事項を公表することができる。
2 町長は、前項の規定による公表をしようとするときは、当該公表に係る者に意見陳述の機会を与えたうえで、必要があると認めるときは、審議会の意見を聴くことができる。
(空地等の利用又は管理に係る要請)
第17条 町長は、空地、建築物又は工作物が、その区域の景観を著しく阻害していると認めるときは、その所有者、占用者又は管理者に対し、良好な景観の形成に配慮した利用又は管理を図るように要請することができる。
第3節 景観重要建造物等の指定及び管理
(景観重要建造物の指定)
第18条 町長は、法第19条第1項の規定に基づき景観重要建造物の指定をしようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。
2 町長は、景観重要建造物の指定をしたときは、その旨を告示しなければならない。
3 前2項の規定は、法第27条第2項の規定に基づく景観重要建造物の指定の解除について準用する。
(景観重要建造物の管理方法の基準)
第19条 法第25条第2項の規定に基づき定める管理方法の基準は、次に掲げるものとする。
(1) 景観重要建造物の修繕は、原則として当該修繕前の外観を変更することがないようにすること。
(2) 消火器の設置その他の景観重要建造物の防災上の措置を講ずること。
(3) 景観重要建造物の滅失を防ぐため、その敷地、構造及び建築設備の状況を定期的に点検すること。
(4) 前3号に掲げるもののほか、景観重要建造物の良好な景観の保全のために町長が必要と認める措置を講ずること。
(景観重要建造物の原状回復命令等の手続)
第20条 町長は、法第23条第1項の規定に基づき原状回復又はこれに代わるべき必要な措置を命じようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。
(景観重要樹木の指定)
第21条 町長は、法第28条第1項の規定に基づく景観重要樹木の指定をしようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。
2 町長は、景観重要樹木の指定をしたときは、その旨を告示しなければならない。
3 前2項の規定は、法第35条第2項の規定に基づく景観重要樹木の指定の解除について準用する。
(景観重要樹木の管理方法の基準)
第22条 法第33条第2項の規定に基づき定める管理方法の基準は、次に掲げるものとする。
(1) 景観重要樹木の良好な景観を保全するため、剪定その他必要な管理を行うこと。
(2) 景観重要樹木の滅失又は枯死を防ぐため、病虫害の駆除その他必要な措置を講ずること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、景観重要樹木の良好な景観の保全のために町長が必要と認める措置を講ずること。
(景観重要樹木の原状回復命令等の手続)
第23条 町長は、法第32条第1項の規定に基づき原状回復又はこれに代わるべき必要な措置を命じようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。
第4節 景観重点地区の指定
(景観重点地区の指定)
第24条 町長は、次に掲げる地区で、重点的に景観の形成を図るべき地区を景観重点地区として指定することができる。
(1) 歴史的特徴のある景観を有している地区
(2) 四季の感じられる豊かな自然景観を有している地区
(3) 観光施設、商業施設、住宅等が地域の特徴的な景観を有している地区
(4) 幹線道路、河川等に沿って特徴のある景観を有している地区
(5) 前4号に掲げるもののほか、町長が必要と認める地区
2 町長は、景観重点地区を指定するときは、あらかじめ、当該地区の町民及び事業者の意見を聴いたうえで、審議会の意見を聴かなければならない。
3 町長は、景観重点地区を指定したときは、その旨を告示しなければならない。
4 前2項の規定は、景観重点地区の指定の解除について準用する。
第5節 眺望点の指定及び保全
(眺望点の指定)
第25条 町長は、良好な景観を眺望でき、規則で定める要件を満たす場所を眺望点として指定することができる。
2 町長は、前項に規定する眺望点を指定しようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。
3 町長は、眺望点を指定したときは、その旨を告示しなければならない。
4 前2項の規定は、眺望点の指定の解除について準用する。
(眺望景観の保全及び育成への取組み)
第26条 町民、事業者、観光客及び町は、良好な眺望景観の重要性を認識し、その保全及び育成に取り組むものとする。
2 町民及び事業者は、前条第1項の規定に基づき指定した眺望点の周辺において建築行為等を行うときは、その価値を尊重し、眺望点から望む景観の保全及び形成に配慮するものとする。
第3章 表彰、助成等
(表彰)
第27条 町長は、良好な景観の形成に貢献したと認められる行為を行ったものを表彰することができる。
2 町長は、前項の規定による表彰をしようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。
(助成等)
第28条 町長は、良好な景観の形成に寄与すると認められる行為を行おうとするものに対し、情報の提供、技術的支援、職員の派遣又はその行為に要する経費の一部を助成することができる。
第4章 雑則
(委任)
第29条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成21年6月1日から施行する。
(経過措置)
2 景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)第16条第7項第11号に規定する条例で定める行為は、第12条に定めるもののほか、この条例の施行の日(以下「施行日」という。)以後に着手する建築物の建築等(法第16条第1項第1号に規定する建築等をいう。)又は工作物の建設等(法第16条第1項第2号に規定する建設等をいう。)であって、箱根町開発事業指導要綱(平成5年6月25日施行、以下「要綱」という。)第3条第1項及び第2項の規定に該当する行為(以下「要綱協議該当行為」という。)にあっては、施行日以前に要綱第5条第1項に規定する開発事業に関する事前相談書の提出のあった行為、要綱協議該当行為以外の行為にあっては、建築基準法(昭和25年法律第201号)第6条第1項に規定する確認の申請書の提出のあった行為とし、法第16条第1項第1号及び第2号に規定する届出を要しない。
(見直し)
3 町は、この条例の施行状況、実施効果、社会情勢の変化等を勘案し、町民及び事業者の意見を広く聴取したうえで、見直しの必要が生じた場合は、条例及び景観に係るまちづくり施策について見直す等、必要な措置を講ずるものとする。
附則(平成24年12月20日条例第20号)
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(経過措置)
2 改正後の別表の規定は、この条例の施行の日以後に着手する建築物(建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。以下同じ。)の建築等(景観法(平成16年法律第110号)第16条第1項第1号に規定する建築等をいう。以下同じ。)又は工作物(建築物を除く。以下同じ。)の建設等(同項第2号に規定する建設等をいう。以下同じ。)について適用し、同日前に着手した建築物の建築等又は工作物の建設等については、なお従前の例による。
別表(第12条関係)
【届出対象区域】
届出対象区域 | 国立公園の区域以外の区域並びに国立公園の区域内の第2種特別地域(D区域に限る。)及び普通地域 |
【届出対象行為と規模等の基準】
区分 | 届出対象行為と規模等の基準 |
建築物 | ① 高さ13m又は延べ面積が1,000m2を超える建築物の新築 |
② 増築等に係る部分の高さが13m又は延べ面積が1,000m2を超えるもの | |
③ 高さ13m又は延べ面積が1,000m2を超える建築物の外観を変更することとなる修繕等であって、当該建築物の修繕等に係る部分の見付面積が総見付面積の2分の1を超えるもの | |
工作物 | 次に掲げる工作物の新築・増築等(新築以外にあっては、当該行為に係る部分を対象とする。)、修繕等(当該修繕等に係る部分の見付面積が総見付面積の2分の1を超えるものを対象とする。) ① 門、塀、柵、垣(生垣を除く。)その他これらに類するもので、高さが3mを超えかつ長さが30mを超えるもの ② 擁壁その他これらに類するもので、高さが3mを超えるもの ③ 鉄筋コンクリート柱、鉄柱、木柱その他これらに類するもので、高さが15mを超えるもの ④ 街路灯、照明灯その他これらに類するもので、高さが5mを超えるもの ⑤ 橋梁、高架鉄道、高架道路その他これらに類するもので、長さ20mを超えるもの ⑥ その他工作物で、高さが15mを超えるもの又は築造面積が1,000m2を超えるもの |
(注)
イ 増築等:建築物・工作物の増築、改築又は移転をいう。
ロ 修繕等:建築物・工作物の外観を変更することとなる修繕若しくは模様替え又は色彩の変更をいう。
ハ 建築物の高さ算定の地盤面:建築物が周囲の地盤と接する最も低い位置における水平面という。
ニ 見付面積:建築物の外壁及び屋根、工作物の外装の一つの面における垂直投影面積をいう。