○浜松市中高層建築物の建築に係る紛争の予防及び調整に関する条例

平成14年12月17日

浜松市条例第102号

目次

第1章 総則(第1条―第5条)

第2章 計画の事前公開(第6条―第9条)

第3章 あっせん(第10条―第11条)

第4章 調停(第12条―第20条)

第5章 雑則(第21条―第24条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、中高層建築物の建築に係る計画の事前公開、紛争についてのあっせん及び調停その他必要な事項を定めることにより、紛争の予防及び調整を図り、もって良好な近隣関係を保持するとともに、地域における健全な居住環境の維持及び向上に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例における用語の意義は、建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という。)及び建築基準法施行令(昭和25年政令第338号。以下「政令」という。)の例による。

2 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 中高層建築物 次の表の左欄の各項に掲げる地域又は区域内にある同表右欄の当該各項に掲げる建築物をいう。

地域又は区域

中高層建築物

第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域、第1種住居地域、第2種住居地域、準住居地域、近隣商業地域(都市計画において、容積率が10分の20と定められたものに限る。)、準工業地域(都市計画において、容積率が10分の20と定められたものに限る。)又は都市計画区域内で用途地域の指定のない区域

高さが10メートルを超える建築物

近隣商業地域(前項に掲げるものを除く。)、商業地域、準工業地域(前項に掲げるものを除く。)又は工業地域

高さが15メートルを超える建築物

(2) 建築主 中高層建築物に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者をいう。

(3) 隣接住民 中高層建築物の敷地の境界線から水平距離10メートル以内の範囲で、かつ、中高層建築物の外壁又はこれに代わる柱の中心線から当該建築物の高さに相当する水平距離の範囲内にある土地又は建築物に関して所有権又は賃借権を有する者及び当該範囲内に居住する者

(4) 周辺住民 次のいずれかに該当する者(隣接住民を除く。)をいう。

 中高層建築物の外壁又はこれに代わる柱の中心線から当該建築物の高さの2倍に相当する水平距離の範囲内にある土地又は建築物に関して所有権又は賃借権を有する者及び当該範囲内に居住する者

 中高層建築物によるテレビジョン放送の電波の著しい受信障害を受けるおそれのある建築物に関して所有権を有する者及び当該建築物に居住する者

(5) 近隣関係住民 隣接住民及び周辺住民をいう。

(6) 紛争 中高層建築物の建築に伴って生じる日照の阻害、テレビジョン放送の電波の受信障害及び工事中の騒音、振動等による周囲の居住環境に及ぼす影響に関する近隣関係住民と建築主及び工事施工者との間の紛争をいう。

(平17条例163・一部改正)

(市の責務)

第3条 市は、紛争を未然に防止するとともに、紛争が生じたときは、迅速かつ適正な指導に努めるものとする。

(建築主等の責務)

第4条 建築主、設計者、工事監理者及び工事施工者(以下「建築主等」という。)は、紛争を未然に防止するため、中高層建築物の建築を計画するに当たっては、周囲の居住環境に及ぼす影響に十分配慮するとともに、良好な近隣関係を損なわないよう努めなければならない。

(自主的解決)

第5条 建築主及び工事施工者並びに近隣関係住民は、紛争が生じたときは、相互の立場を尊重し、互いに譲り合い、自主的に解決するよう努めなければならない。

第2章 計画の事前公開

(標識の設置)

第6条 建築主は、中高層建築物を建築しようとする場合は、近隣関係住民に建築に係る計画の周知を図るため、規則で定めるところにより、当該建築物の計画の概要を表示した標識を設置しなければならない。

(建築計画の説明)

第7条 建築主等は、中高層建築物を建築しようとする場合は、次条の規定による届出をする前に、規則で定める建築計画の内容について、隣接住民に説明しなければならない。

2 建築主等は、周辺住民からの申出があったときは、速やかに規則で定める建築計画の内容について、当該申出人に対して説明しなければならない。

(標識設置の届出)

第8条 建築主は、第6条の規定により標識を設置した場合は、次の各号に掲げる日のうち最も早い日の20日前までに、規則で定めるところにより、市長に届け出なければならない。

(1) 法第6条第1項又は法第6条の2第1項に規定する確認の申請を行おうとする日

(2) 法第18条第2項又は第4項に規定する計画の通知を行おうとする日

(3) 法、政令又は法に基づく条例の規定に基づく許可又は認定の申請を行おうとする日

(令6条例48・一部改正)

(報告)

第9条 建築主は、第7条の規定により説明をした場合は、規則で定めるところにより、速やかに市長に報告しなければならない。

2 市長は、必要があると認めるときは、建築主に対して、当該建築物の計画に関する報告を求めることができる。

第3章 あっせん

(あっせん)

第10条 市長は、紛争が自主的な解決に至らなかった場合において、その紛争の当事者である近隣関係住民と建築主及び工事施工者(以下「紛争当事者」という。)の双方から紛争の調整の申出があったときは、あっせんを行う。

2 市長は、紛争当事者の一方から紛争の調整の申出があった場合において、相当な理由があると認めるときは、あっせんを行うことができる。

3 市長は、あっせんのため必要があると認めるときは、紛争当事者に対し、意見を聴くため出席を求め、又は必要な資料の提出を求めることができる。

4 市長は、あっせんを行う場合においては、紛争当事者の主張の要点を確かめ、紛争が適正に解決されるよう努めるものとする。

(あっせんの打切り)

第11条 市長は、あっせんに係る紛争についてあっせんによっては紛争の解決の見込みがないと認めるときは、あっせんを打ち切ることができる。

第4章 調停

(調停委員会)

第12条 市長の付託に応じて紛争の調停を行うとともに、市長の諮問に応じて紛争の予防及び調整に関する重要事項について調査審議するため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、浜松市建築紛争調停委員会(以下「調停委員会」という。)を置く。

(組織)

第13条 調停委員会は、委員5人以内で組織する。

2 委員は、次の各号に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 法律に関する学識経験を有する者

(2) 建築に関する学識経験を有する者

(3) 居住環境に関する学識経験を有する者

(任期)

第14条 委員の任期は3年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(平31条例21・一部改正)

(意見の聴取等)

第15条 調停委員会は、調停のため必要があると認めるときは、紛争当事者に対し、意見を聴くため出席を求め、又は必要な資料の提出を求めることができる。

(守秘義務)

第16条 委員は、職務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また同様とする。

(調停の申出)

第17条 市長は、あっせんの打切り後、紛争当事者の双方から調停の申出があった場合において、必要があると認めるときは、調停委員会の調停に付することができる。

2 市長は、あっせんの打切り後、紛争当事者の一方から調停の申出があった場合において、相当の理由があると認めるときは、他の紛争当事者に対して、調停委員会の調停に付することに合意するよう勧告することができる。

(調停案の受諾の勧告)

第18条 調停委員会は、前条第1項の規定により調停に付されたときは、必要に応じて調停案を作成し、紛争当事者に対し、期間を定めてその受諾を勧告することができる。

(調停の打切り)

第19条 調停委員会は、調停に係る紛争について紛争当事者の間に合意が成立する見込みがないと認めるときは、調停を打ち切ることができる。

2 第17条第2項又は前条の規定による勧告が行われた場合において、指定された期間内に紛争当事者の双方から受諾する旨の申出がないときは、当該紛争当事者間の調停は、打ち切られたものとみなす。

(調停手続の非公開)

第20条 調停委員会の行う調停の手続は、公開しない。

第5章 雑則

(工事着手の延期等の要請)

第21条 市長は、あっせん又は調停のため必要があると認めるときは、建築主に対してその理由を付した上相当の期限を定めて工事着手の延期又は工事の停止を要請することができる。

(措置命令)

第22条 市長は、第8条の規定による届出又は第9条第1項若しくは第2項の規定による報告をしない者に対して、期限を定めて当該届出又は報告を行うよう命ずることができる。

(公表)

第23条 市長は、前条の規定による命令をした場合において、その命令を受けた者が正当な理由がなくこれに従わないときは、その旨を公表することができる。

2 市長は、第8条の規定による届出又は第9条第1項若しくは第2項の規定による報告において、虚偽の届出又は報告をした者があるときは、その旨を公表することができる。

3 市長は、前2項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ公表の対象となる者に意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、緊急に公表する必要があると認める場合で、あらかじめ意見を述べる機会を与えることができないときは、この限りでない。

(委任)

第24条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

1 この条例は、平成15年4月1日から施行する。

(平17条例163・旧附則・一部改正)

2 編入前の浜北市、天竜市、舞阪町、雄踏町、細江町、引佐町及び三ケ日町(以下これらを「編入市町」という。)の区域における第8条の規定の適用については、編入市町の編入の日(以下「編入日」という。)から平成17年7月20日までの間に限り、同条中「の20日前までに」とあるのは「前に」とする。

(平17条例163・追加)

3 編入日前に、舞阪町長、雄踏町長又は細江町長の行政指導により第6条の標識に相当する標識を設置している中高層建築物の建築については、第6条第7条第1項及び第8条の規定は適用しない。

(平17条例163・追加)

(平成17年6月1日浜松市条例第163号)

この条例は、平成17年7月1日から施行する。

(平成31年3月15日浜松市条例第21号抄)

1 この条例は、平成31年4月1日から施行する。

2 第1条から第7条まで、第9条から第21条まで、第23条、第25条及び第27条から第36条までの規定による改正後の浜松市区及び区協議会の設置等に関する条例第7条第1項、浜松市防災会議条例第2条第7項、浜松市外国人市民共生審議会条例第3条第3項、浜松市行政区画等審議会条例第3条第3項、浜松市入札監視委員会条例第3条第3項、浜松市スポーツ推進審議会条例第6条第1項、浜松市立図書館協議会条例第2条第3項、浜松市人権施策推進審議会条例第3条第3項、浜松市障害者施策推進協議会条例第2条第3項、浜松市精神保健福祉審議会条例第2条第3項、浜松市保健医療審議会条例第2条第3項、浜松市母子保健推進会議条例第2条第3項、浜松市感染症診査協議会条例第2条第2項、浜松市労働教育協議会条例第5条、浜松市大規模小売店舗立地審議会条例第3条第3項、浜松市都市計画審議会条例第2条第3項、浜松市土地利用審査会条例第2条第2項、浜松市開発審査会条例第2条第2項、浜松市景観審議会条例第3条第3項、浜松市建築審査会条例第2条第2項、浜松市行政不服審査条例第2条第4項、浜松市市民協働推進条例第14条第1項、浜松市議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する条例第4条第4項及び第19条第4項、浜松市歯科口腔保健推進条例第11条第4項、浜松市環境基本条例第24条、浜松市環境影響評価条例第58条第4項、浜松市における地域特性に即した商業集積の実現によるまちづくりの推進に関する条例第15条第3項、浜松市中央卸売市場業務条例第80条第3項及び第80条の2第3項、浜松市地方卸売市場業務条例第40条の2第3項、浜松市中高層建築物の建築に係る紛争の予防及び調整に関する条例第14条、浜松市営住宅条例第47条第3項並びに浜松市社会教育委員条例第3条の規定は、この条例の施行の日以後に選任され、又は任命され、若しくは委嘱される区協議会委員又は委員の任期について適用し、同日前に選任され、又は任命され、若しくは委嘱された区協議会委員又は委員の任期については、なお従前の例による。

(令和6年9月13日浜松市条例第48号抄)

1 この条例は、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和6年法律第53号)附則第1条第3号に掲げる規定の施行の日(令和6年11月1日)又はこの条例の公布の日の翌日のいずれか遅い日から施行する。

3 施行日から起算して20日を経過する日までの間に法第18条第4項に規定する計画の通知を行おうとする場合(当該計画の通知を行おうとする日が第3条の規定による改正後の浜松市中高層建築物の建築に係る紛争の予防及び調整に関する条例第8条第3号に掲げる日以後である場合を除く。)における同条の規定の適用については、同条中「の20日前までに」とあるのは、「までに」とする。

浜松市中高層建築物の建築に係る紛争の予防及び調整に関する条例

平成14年12月17日 条例第102号

(令和6年11月1日施行)