○東松山市男女共同参画推進条例
平成18年3月27日
条例第5号
すべての人は、性別にかかわりなく平等な存在であり、互いの人権を十分に尊重しなければならない。我が国においては、男女共同参画社会基本法により男女共同参画社会の実現を21世紀の最重要課題と位置づけ、男女平等の実現に向け、様々な取組が国際社会の動向と連動しつつ進められてきた。
東松山市においても、男女共同参画社会実現に向け「ひがしまつやま共生プラン」を策定し様々な取組を進めてきた。
しかしながら、性別による固定的な役割分担意識に基づく社会の制度及び慣行は根強く存在し、真の男女平等の達成には多くの課題が残されている。このような状況の中で、出産や子育て期における女性の労働力率は、依然として低く、社会の様々な分野での男女間の格差が見られ、ドメスティック・バイオレンス等人権を侵害する社会問題も生じている。
すべての人が自分らしく暮らせる社会を築いていくためには、男女があらゆる分野に対等に参画し、共にその個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会を実現させることが重要である。
ここに、私たちは、男女共同参画社会の実現を目指すことを決意し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、市、市民、事業者及び教育に携わる者の責務を明らかにし、男女共同参画の推進に関する施策について必要な事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会の実現に寄与することを目的とする。
(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって、社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(3) 事業者 市内に事務所若しくは事業所を有する法人又は個人をいう。
(4) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動により相手方の生活環境を害し、又は性的な言動に対する相手方の対応によって不利益を与えることをいう。
(5) ドメスティック・バイオレンス 配偶者等(配偶者、配偶者であった者及び婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)が相手方に対して振るう身体的、精神的及び経済的な暴力をいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画の推進は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が直接的であるか間接的であるかを問わず性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されること、ドメスティック・バイオレンスが根絶されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。
2 男女共同参画の推進に当たっては、性別による固定的な役割分担意識に基づく社会の制度又は慣行をなくすよう努めるとともに、これらの制度又は慣行が、様々な場面で男女の社会における活動の自由な選択に対して影響を及ぼすことのないよう配慮されなければならない。
3 男女共同参画の推進は、市における政策又は民間の団体における方針の立案及び決定に、男女が共同して参画する機会が確保されることを旨として行われなければならない。
4 男女共同参画の推進は、家族を構成する男女が相互の協力と社会の支援の下に、子育て、家族の介護その他の家庭生活における活動及び社会生活における活動に対等に参画することができるようにすることを旨として行われなければならない。
5 男女共同参画の推進は、男女が対等な関係のもとに互いの性を尊重し、生涯にわたり健康な生活を営むことができることを旨として行われなければならない。
6 男女共同参画の推進は、国際社会での動向を十分理解して行われなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、及び実施するものとする。
2 市は、男女共同参画の推進に当たり、市民、事業者、教育に携わる者、国、県及び他の市町村と連携して取り組むものとする。
3 市は、男女共同参画の推進に関する施策を実施するため、必要な体制の整備及び財政上の措置を講ずるように努めるものとする。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野に、積極的に参画するとともに、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するように努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、男女が共同して参画することができる環境づくりに積極的に取り組むとともに、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するように努めなければならない。
(教育に携わる者の責務)
第7条 学校教育その他のあらゆる教育に携わる者は、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成に果たす教育の重要性を考慮し、男女共同参画の推進に配慮した教育を行うように努めなければならない。
(性別による権利侵害の禁止)
第8条 すべての人は、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、性別による差別的取扱いを行ってはならない。
2 すべての人は、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、セクシュアル・ハラスメントを行ってはならない。
3 すべての人は、男女間におけるあらゆる暴力を行ってはならない。
(公衆に表示する情報に関する留意)
第9条 すべての人は、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担及び男女間におけるあらゆる暴力を助長するような表現並びに過度の性的な表現を行わないように努めなければならない。
(市の施策)
第10条 市は、男女共同参画を推進するため、次に掲げる施策を行うものとする。
(1) 男女が共に家庭生活及び職業生活を両立することができるように、その支援を行うように努めること。
(2) 広報活動等の充実により、男女共同参画に関する市民及び事業者の理解を深めるとともに、学校教育をはじめとするあらゆる分野の教育において、男女共同参画を促進するための措置を講ずるように努めること。
(3) 家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野における活動において、男女間に参画する機会の格差が生じている場合、市民及び事業者と協力し、積極的改善措置が講ぜられるように努めること。
(4) 審議会等(地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項に規定する執行機関の附属機関及びこれに類するものをいう。)における委員を委嘱し、又は任命する場合にあっては、積極的改善措置を講ずることにより、男女の均衡を図るように努めること。
(5) ドメスティック・バイオレンス及びセクシュアル・ハラスメントの防止に努めるとともに、これらの被害を受けた者に対し、必要に応じた支援を行うように努めること。
(6) 市民及び事業者が行う男女共同参画の推進に関する活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるように努めること。
(7) 男女が対等な関係のもとに互いの性に関する正しい知識をもって行動できるように、家庭、学校及び地域の連携による学習機会の充実に努めること。
(8) 男女共同参画の推進に関する施策の策定に必要な事項及び男女共同参画の推進を阻害する問題についての調査研究を行うこと。
(基本計画)
第11条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。
2 市長は、基本計画を策定し、又は変更するに当たっては、第14条第1項の東松山市男女共同参画審議会に諮問するものとする。
3 市長は、基本計画を策定し、又は変更したときは、速やかにこれを公表するものとする。
(年次報告)
第12条 市長は、毎年、男女共同参画の推進状況及び男女共同参画の推進に関する施策の実施状況を明らかにする報告書を作成し、これを公表するものとする。
(苦情及び相談への対応)
第13条 市長は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進を阻害する人権の侵害に関し、市民又は事業者から苦情及び相談の申出を受けたときは、関係する機関及び団体と協力し、適切かつ速やかな措置を講ずるように努めるものとする。
(東松山市男女共同参画審議会)
第14条 市長は、男女共同参画を推進するため、東松山市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、次に掲げる事項を所掌する。
(1) 市長の諮問に応じ、男女共同参画の推進に関する基本的かつ総合的な施策及び重要事項を調査審議する。
(2) 男女共同参画の推進に関する施策の実施状況について、必要に応じ、市長に意見を述べることができる。
(3) 前条第2項の規定により意見を求められた場合は、市長に意見を述べることができる。
3 審議会は、委員15人以内で組織し、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 知識及び経験を有する者
(2) 関係団体から選出された者
(3) 公募による市民
4 審議会の男女のいずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4未満にならないように努めるものとする。
5 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(委任)
第15条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(東松山市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
2 東松山市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和38年東松山市条例第5号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
(東松山市総合福祉センター設置及び管理条例の一部を改正する条例の一部改正)
3 東松山市総合福祉センター設置及び管理条例の一部を改正する条例(平成17年東松山市条例第26号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略