○日野市ユニバーサルデザイン推進条例
平成20年12月24日
条例第46号
目次
前文
第1章 総則(第1条一第6条)
第2章 ユニバーサルデザインのまちづくりに関する基本的施策(第7条―第14条)
第3章 都市施設の整備(第15条―第18条)
第4章 特定都市施設の整備(第19条―第28条)
第5章 移動空間のユニバーサルデザイン(第29条)
第6章 雑則(第30条・第31条)
付則
私たちのまち日野には、緑と湧水が豊かな多摩丘陵と台地と二段の崖線、そして北側には多摩川、中央部には浅川が流れ、縦横に用水が走り、田畑が広がり、今もなお農業が営まれている風景を見ることができる。
また、日本を代表する企業の工場、日野の歴史を物語る高幡不動や日野宿等の文化遺産、そして私たちが暮らす水と緑豊かな住環境と商店街が調和し、地域ごとに様々な表情をもたらしている。
首都東京の成長とともに人口は増え続けてきたが、現在は人口増の地域、人口減の地域の両側面を持ちながら、全体として人口は微増しており住宅都市として成熟期を迎えようとしている。
このような特徴を持つ日野市は、「住みやすく、住みつづけられる良好な環境づくり」、「すべての市民がわけへだてなく、お互いの人権を尊重しつつ、地域の中でお互い助け合い、対等な立場で心のかよう環境づくり」、「政策形成への参画や市民意見が行政運営に反映される仕組みづくり」という3つの目標の実現に向け、市民と行政が一体となって参画、連携、協働によるまちづくりを推進している。
バリアフリー環境整備の取組でも「公園探検隊」、「道路点検隊」、「ユニバーサルデザイン福祉のまちづくり推進モデル事業(ハードとソフトを組み合わせたユニバーサルデザインの整備)」、「交通バリアフリー基本構想の策定」など、市民との協働により様々な活動を展開している。
しかしながら、高齢化が一層進展していく中で、障害者も含めたあらゆる人が社会に参加できる仕組みを構築していくためには、今後さらに、能力、年齢、性別、人種等にかかわらず、多様な人々が可能な限り最大限に使いやすいような生活環境を形成していく必要がある。
日野市では、市民誰もが自らの意思で自由に行動し、余暇文化活動を含めたあらゆる活動に参加し、充実した生活を送ることができる環境づくりを進める。そのためには、多様な人々の意見をできるだけ多く取り入れ、相互交流し、継続的、横断的に取り組んでいくことが必要である。
このような継続的な取組により、市民誰もが人生を楽しみながら希望を持って生きられる日野をつくりあげることを目指し、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、市、市民及び事業者の参画、連携、協働のもとに、ユニバーサルデザインのまちづくりを推進するために必要なことを定めることにより、市民誰もが自らの意思で自由に行動し、あらゆる活動に参加し、人生を楽しみながら希望を持って生きられる社会を築くことを目的とする。
(1) 市民 市内に住所を有する者、市内で事業を営む者、市内に土地又は建築物等施設を所有する者及び市内に通勤又は通学する者をいう。
(2) 事業者 都市施設を所有し、若しくは管理する者、又は新設し、若しくは改修しようとする者及び公共交通事業者をいう。
(3) ユニバーサルデザイン 能力、年齢、性別、人種等にかかわらず、多様な人々が可能な限り最大限に使いやすいように、生活環境を構築する考え方をいう。
(4) 誰も 前号のユニバーサルデザインの定義にある「能力、年齢、性別、人種等にかかわらず、多様な人々」をいう。
(5) 高齢者、障害者等 高齢者で日常生活又は社会生活に心身の機能上の制限を受けるもの、障害者基本法(昭和45年法律第84号)第2条に規定する障害者その他これらの者に準ずる日常生活又は社会生活に制限を受ける者をいう。
(6) 都市施設 病院、図書館、飲食店、ホテル、劇場、物品販売業を営む店舗、共同住宅、車両等(鉄道の車両、自動車その他の旅客の運送の用に供する機器で日野市規則(以下「規則」という。)で定めるものをいう。以下同じ。)の停車場を構成する施設、道路、公園その他の多数の者が利用する部分を有する施設で規則で定めるものをいう。
(7) 整備基準 都市施設を高齢者、障害者等を含めたすべての人が円滑に利用できるようにするための措置に関し、都市施設を所有し、又は管理する者の判断の基準となるべき事項として規則で定めるものをいう。
(平成21条例30・一部改正)
(市及び市長の責務)
第3条 市は、この条例の目的を達成するため、市民及び事業者の参画、協働により、ユニバーサルデザインのまちづくりを継続的に発展、推進するための施策を講ずるものとする。
2 市は、都市計画、交通計画をはじめ、あらゆる市のまちづくりに関する計画、事業等を、ユニバーサルデザインの観点から検討するものとする。
3 市長は、市の職員をはじめ、市民及び事業者のユニバーサルデザインのまちづくりに関する理解を深めるため、啓発及び研修に努めるものとする。
(市民の責務)
第4条 市民は、自らがまちづくりの推進主体としての自覚を持ち、ユニバーサルデザインについての理解を深め、相互に協力し、積極的にまちづくりの推進に努めるものとする。
2 市民は、市がこの条例に基づき実施するユニバーサルデザインのまちづくりに関する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、地域社会を支える一員としてユニバーサルデザインについての理解を深め、積極的にまちづくりの推進に努めるものとする。
2 事業者は、利用者及び就労者の視点に立ち、ユニバーサルデザインに配慮して事業を実施するものとする。
3 事業者は、事業にかかわる者のユニバーサルデザインのまちづくりに関する理解を深めるため、啓発及び研修に努めるものとする。
4 事業者は、市がこの条例に基づき実施するユニバーサルデザインのまちづくりに関する施策に協力するよう努めるものとする。
(市、市民及び事業者の協力及び連携)
第6条 市、市民及び事業者は、相互に協力、連携し、一体となってユニバーサルデザインのまちづくりを推進しなければならない。
2 市長は、庁内の横断的な連携並びに市、市民及び事業者間の連携を促進し、総合的かつ計画的にユニバーサルデザインのまちづくりを推進しなければならない。
第2章 ユニバーサルデザインのまちづくりに関する基本的施策(ユニバーサルデザインまちづくり推進協議会)
第7条 市のユニバーサルデザインのまちづくりに関する施策を、総合的かつ計画的に推進する上で必要な事項を調査審議するため、日野市ユニバーサルデザインまちづくり推進協議会(以下「協議会」という。)を置く。
2 協議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項について調査審議し、答申する。
(1) 第8条に規定する推進計画に関すること。
(2) 第10条に規定する評価点検に関すること。
(3) 第11条に規定する白書に関すること。
(4) 第15条に規定する整備基準に関すること。
(5) 多様な人々の交流、研修及び情報提供の仕組みに関すること。
(6) 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)第25条第1項に規定する基本構想に関すること。
(7) 前各号に掲げるもののほか、ユニバーサルデザインのまちづくりにかかわる基本的事項
3 協議会は、市民、事業者及び識見を有する者のうちから市長が任命する委員をもって組織する。
4 協議会の委員の数は、規則で定める。
5 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 協議会は、専門の事項を審議するため必要があると認めるときは、部会を置くことができる。
7 前各項に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(推進計画の策定)
第8条 市長は、ユニバーサルデザインのまちづくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、その基本となる計画(以下「推進計画」という。)を策定しなければならない。
2 推進計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) ユニバーサルデザインのまちづくりに関する目標
(2) ユニバーサルデザインのまちづくりに関する施策の方向
(3) 前2号に掲げるもののほか、ユニバーサルデザインのまちづくりに関する重要事項
3 市長は、推進計画を策定するに当たっては、市民、事業者及び関係団体の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるとともに、あらかじめ前条に規定する協議会の意見を聴かなければならない。
4 市長は、推進計画を策定したときは、速やかに、これを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、推進計画の変更について準用する。
(市民参画の機会の確保)
第9条 市長は、多様な人々が、施設の整備に関する計画の内容、整備済みの施設の使いやすさ等の評価及び改善の検討に参画する機会を設けるよう努めるものとする。
2 市長は、前項の機会を設けた場合は、その機会について、十分な周知活動を行うよう努めるものとする。
3 市長は、ユニバーサルデザインに係る意識を啓発し、多様な人々が互いに理解を深めるため、交流の促進について必要な支援に努めるものとする。
(施策の評価、点検及び市民等の意見の反映)
第10条 市長は、ユニバーサルデザインのまちづくりを推進するために、市の計画、事業等について段階的かつ継続的に評価点検を行い、当該評価点検の結果を、政策に反映させなければならない。
2 市長は、前項の評価点検を行うに当たっては、あらかじめ協議会の意見を聴かなければならない。
3 市長は、ユニバーサルデザインに関する市民の施設整備及び施設改善の要望の収集に努めなければならない。
4 前項の市民要望の収集に当たっては、その方法等について、市民が容易に意見を述べやすいよう配慮しなければならない。
5 市長は、前項で収集した市民要望を反映した改善策を講ずるものとする。
(白書)
第11条 市長は、この条例に規定する建築物等施設の整備状況及び市民参画による継続的な発展の仕組みの運用成果を把握するとともに、市の基本構想、基本計画等の上位計画及び制度等の見直し、整備手法の開発、優良事例の普及、職員及び市民の研修、啓発等に役立てるため、必要事項を備えた白書を定期的に作成しなければならない。
2 市長は、前項の白書を作成するに当たっては、あらかじめ協議会の意見を聴かなければならない。
3 市長は、白書作成に必要な事項の調査のほか、調査結果のとりまとめを行い、上位計画及び整備基準の見直し、情報提供等するための組織を置く。
(情報提供)
第12条 市及び事業者は、都市施設の円滑な利用及び施設までの移動を確保するために、必要な情報及びサービスの提供に努めるものとする。
2 前項に規定する情報の提供に当たっては、都市施設を利用するものが、容易に理解できるよう配慮するとともに、その情報の適切な管理に努めるものとする。
3 市、市民及び事業者は、ユニバーサルデザインのまちづくりを推進するため、相互に情報を提供し合い、情報の共有に努めるものとする。
4 市、市民及び事業者は、白書を作成するために必要な情報の提供に努めなければならない。
5 市長は、市民、事業者等が行う先導的、模範的な取組が、ユニバーサルデザインのまちづくりの推進に資すると認めるときは、その成果の普及に努めなければならない。
(平成21条例30・一部改正)
(表彰)
第13条 市長は、ユニバーサルデザインのまちづくりに関して、著しい功績のあった者に対して、表彰を行うことができる。
(支援)
第14条 市長は、市民又は事業者がユニバーサルデザインのまちづくりに関する活動を自発的に行うこととなるよう誘導するため、必要な支援に努めるものとする。
第3章 都市施設の整備
(平成21条例30・改称)
(整備基準の策定)
第15条 市長は、都市施設の整備について、整備基準を策定しなければならない。
2 整備基準は、次に掲げる事項について、都市施設の種類及び規模に応じて定めるものとする。
(1) 出入口の構造に関する事項
(2) 廊下及び階段の構造並びにエレベーターの設置に関する事項
(3) 車いすで利用できる便所及び駐車場に関する事項
(4) 案内標示及び視覚障害者誘導用ブロックの設置に関する事項
(5) 歩道及び公園の園路の構造に関する事項
(6) 前各号に掲げるもののほか、都市施設を円滑に利用できるようにするために必要な基幹的事項
3 市長は、整備基準を策定したときは、速やかに、これを公表しなければならない。
4 前項の規定は、整備基準の変更について準用する。
(平成21条例30・一部改正)
(整備基準への適合努力義務)
第16条 都市施設を所有し、又は管理する者(以下「施設所有者等」という。)は、当該都市施設を整備基準に適合させるための措置を講ずるよう努めなければならない。
(平成21条例30・一部改正)
(整備基準適合証の交付)
第17条 施設所有者等は、都市施設を整備基準に適合させているときは、規則で定めるところにより、市長に対し、整備基準に適合していることを証する証票(以下「整備基準適合証」という。)の交付を請求することができる。
2 市長は、前項の請求があった場合において、当該都市施設が整備基準に適合していると認めるときは、規則で定めるところにより、当該施設所有者等に対し、整備基準適合証を交付するものとする。
(平成21条例30・一部改正)
(市の施設の先導的整備等)
第18条 市は、自ら設置する都市施設を、整備基準に適合させるのみならず、より使いやすい施設となるよう市民意見を取り入れながら、率先して他の模範となるような整備に努めるものとする。
2 市長は、国、東京都その他規則で定める公共的団体(以下「国等」という。)に対し、これらが設置する都市施設の整備基準への適合に率先して努めるよう要請するものとする。
(平成21条例30・一部改正)
第4章 特定都市施設の整備
(平成21条例30・改称)
(整備基準の遵守)
第19条 都市施設で規則で定める種類及び規模のもの(以下「特定都市施設」という。)の新設又は改修(建築物については、増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替え又は用途変更(用途を変更して特定都市施設にする場合に限る。)をいう。以下同じ。)をしようとする者(以下「特定整備主」という。)は、整備基準のうち特に守るべき基準として規則で定めるものを遵守するための措置を講じなければならない。
(平成21条例30・追加)
(届出)
第20条 特定整備主は、第15条第2項各号に掲げる事項について、規則で定めるところにより、あらかじめ、その計画について市長に届け出なければならない。ただし、法令又は都の条例及び市の他の条例により、整備基準に適合させるための措置として同等以上の措置を講ずることとなるよう定めている事項については、この限りでない。
2 前項に規定する届出をした者は、当該届出の内容の変更(規則で定める軽微な変更を除く。)をするときは、当該変更をする事項について、規則で定めるところにより、当該事項に係る部分の当該変更後の内容の工事に着手する前に市長に届け出なければならない。
(平成21条例30・旧第19条繰下・一部改正)
(平成21条例30・追加)
(工事完了届)
第22条 第20条に規定する届出をした者は、当該届出に係る工事が完了したときは、規則で定めるところにより、速やかに、市長に届け出なければならない。
(平成21条例30・旧第21条繰下・一部改正)
(特定都市施設に対する検査)
第23条 市長は、前条に規定する届出のあった特定都市施設が、整備基準に適合しているかどうかについて、市長の指定する職員に検査をさせるものとする。
2 市長は、前項に規定する検査をした場合において、当該検査に係る特定都市施設が、整備基準に適合していると認めたときは、規則で定めるところにより、検査済証を交付するものとする。
(平成21条例30・旧第22条繰下・一部改正)
(既存特定都市施設の状況の把握等)
第24条 この章の規定の施行の際現に存する特定都市施設(以下「既存特定都市施設」という。)を所有し、又は管理している者(以下「既存特定都市施設所有者等」という。)は、当該既存特定都市施設を整備基準に適合させるための措置の状況の把握に努めなければならない。
(平成21条例30・旧第23条繰下・一部改正)
(平成21条例30・旧第24条繰下・一部改正)
(平成21条例30・旧第25条繰下・一部改正)
(公表)
第27条 市長は、前条の規定による勧告を受けた者が正当な理由なく当該勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。
(平成21条例30・旧第26条繰下)
2 前項の規定による調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、特定整備主等その他の関係人に提示しなければならない。
(平成21条例30・旧第27条繰下・一部改正)
第5章 移動空間のユニバーサルデザイン
(安全、安心でわかりやすい移動空間の連続確保)
第29条 事業者は、都市施設を利用する者の安全で安心な移動を確保することができるよう、他の事業者と連携し、適切かつ一体的な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 事業者は、都市施設を利用する者の移動を支援することができるよう、他の事業者と連携し、誰もがわかりやすい案内表示を設置するよう努めるものとする。
3 市民及び事業者は、都市施設において、物品の放置その他の行為により市民の安全で安心な移動又は利用を妨げることのないよう努めるものとする。
4 都市施設を管理する者は、物品の放置等その他市民の安全で安心な移動又は利用の妨げとなる事由を発見したときは、速やかに、当該妨げとなる事由を排除するために必要な対応を行うよう努めるものとする。
(平成21条例30・旧第28条繰下・一部改正)
第6章 雑則
(国等に関する特例)
第30条 国等については、第4章の規定は適用しない。
2 市長は、国等に対し、特定都市施設の整備基準への適合状況その他必要と認める事項について報告を求めることができる。
(平成21条例30・旧第29条繰下・一部改正)
(平成21条例30・旧第30条繰下)
付則
(施行期日)
1 この条例は、平成21年4月1日から施行する。
(日野市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
3 日野市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和38年条例第13号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
付則(平成21年条例第30号)
この条例は、平成21年10月1日から施行する。