○古河市生活環境の保全及び創造に関する基本条例
平成17年9月12日
条例第180号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 環境の保全及び創造に関する基本方針(第7条―第10条)
第3章 環境の保全及び創造のための基本的な施策(第11条―第26条)
第4章 自然環境の保全及び創造
第1節 大気環境の保全(第27条)
第2節 水環境の保全(第28条)
第3節 緑の保全及び緑化の推進(第29条―第31条)
第5章 雑則(第32条)
附則
私たちのまち古河市は、関東平野のほぼ中央に位置し、また、隣接する渡良瀬遊水地には、我が国初の公害といわれる足尾鉱毒事件の被災地となった旧谷中村の史跡が保存され、全国でも最大規模のヨシ原がつくりだす美しい自然景観とともに、希少価値の高い豊かな自然環境が残されている。
先人たちは、これらの自然の恵みを受けながら、生活を営み、様々な産業や文化を育みながら住みよいまちを築き上げる努力を続けてきた。
しかし、今日の社会経済活動は、利便性の向上と物質的な豊かさをもたらした一方で、資源やエネルギーを大量に消費することなどにより、環境汚染や自然破壊など環境問題を地球規模へと拡大させ、将来の世代に重大な影響を及ぼすことが懸念されるまでに至っている。
このように、私たちは、自然生態系の微妙な均衡の中で、良好な環境の恵みを受ける一方、私たちの日常生活や事業活動による環境への影響は、この自然生態系の復元力を超えるまでに拡大してきた。
もとより、私たちのだれもが健康で文化的な生活を営むことができる良好な環境を享受する権利を有するとともに、このかけがえのない恵み豊かな環境を保全し、将来の世代に引き継いでいく責務も担っている。
私たちは、自らが環境に負荷を与えている立場にあること、そして地球環境保全が人類共通の最重要課題であることを深く認識し、自らの生活様式や社会経済活動を見直すとともに、人と自然との共生や環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続可能な循環型社会の構築を目指し、市民、事業者、行政などが連携し、協働し、良好な環境を保全しつつ快適で住みよい環境を創造していくことを決意し、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、環境の保全及び創造についての基本理念並びにそのための基本的な施策並びに自然環境及び市民生活を取り巻く生活環境の保全に関して必要な事項等を定めるとともに、市、市民及び事業者の責務を明らかにすることにより、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。以下同じ。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全及び創造は、市民が健康で文化的な生活を営む上で必要となる良好な環境を確保するとともに、これを将来の世代に継承していくことを目的として行われなければならない。
2 環境の保全及び創造は、人と自然とが共生できるような多様な自然環境が体系的に保全されるように行われなければならない。
3 環境の保全及び創造は、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続可能な循環型社会が構築されることを目的として、市、市民及び事業者(市内において事業活動を行う者をいう。以下同じ。)の公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行われなければならない。
4 地球環境保全は、市、市民及び事業者が自らの課題であることを認識して、それぞれの日常生活及び事業活動において積極的に推進されなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める環境の保全及び創造についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、基本的かつ総合的な施策を策定し、実施する責務を有する。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、市民は、環境の保全及び創造に関し自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に積極的に協力する責務を有する。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止し、自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。
2 事業者は、基本理念にのっとり、事業活動を行うに当たっては、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。以下同じ。)となった場合には、自らの責任において適正に処理しなければならない。
3 前2項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するよう努めるとともに、その事業活動において、資源の再使用、再生利用及び効率的な熱回収等による循環的な利用(以下「資源の循環的な利用」という。)並びに環境への負荷の低減に資する原材料、役務等の利用に努めなければならない。
4 前3項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に関し自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に積極的に協力する責務を有する。
第2章 環境の保全及び創造に関する基本方針
(施策の基本方針)
第7条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を策定し、実施するに当たっては、全ての施策相互の連携を図りつつ、総合的かつ計画的に行われなければならない。
(環境基本計画)
第8条 市長は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本となる計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 環境の保全及び創造に関する総合的かつ長期的な目標及び施策の大綱
(2) 前号に定めるもののほか、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、市民の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるものとする。
4 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ古河市環境審議会(以下「環境審議会」という。)の意見を聴かなければならない。
5 市長は、環境基本計画を定めたときは、速やかに公表しなければならない。
6 前3項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
(環境基本計画との整合)
第9条 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策の策定及び実施に当たっては、環境基本計画との整合を図ること等により環境への負荷が低減されるように行わなければならない。
(総合調整のための体制の整備)
第10条 市は、環境の保全及び創造に関する施策について総合的に調整し、その推進に必要な組織、運用の方法等を整備するものとする。
第3章 環境の保全及び創造のための基本的な施策
(資源の循環的な利用等の促進)
第11条 市は、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用並びに廃棄物の減量及び適正処理に関し必要な措置を講ずるものとする。
(地球環境の保全)
第12条 市は、温暖化の防止、オゾン層の保護その他の地球環境保全に資する施策を積極的に推進するものとする。
(財政的措置)
第13条 市は、市民及び事業者が自ら行う環境への負荷の低減のための施設の整備その他の環境の保全及び創造に関する取り組みについて必要な助成その他の措置を講ずるよう努めるものとする。
(環境の保全に関する施設の整備の促進)
第14条 市は、環境への負荷の低減のための施設及び公園、緑地その他の快適な生活の確保のための施設の整備を講ずるものとする。
(環境の保全及び創造に関する教育等の推進)
第15条 市は、市民及び事業者が環境問題について、理解及び認識をより深めることができるよう環境の保全及び創造に関する教育及び学習の推進並びに広報の充実を図るとともに、地域、学校、職場、家庭等の場を通じて、これらに関する活動を行う意欲を増進させるため、必要な措置を講ずるものとする。
(市民団体等の自発的な活動の促進)
第16条 市は、市民、事業者又はこれらの者が組織する団体(以下「市民団体等」という。)が自発的に行う環境の保全及び創造に関する活動の促進を図るため、必要な措置を講ずるものとする。
(情報の提供)
第17条 市は、前2条に定める事項を推進するため、環境の状況並びに環境の保全及び創造に関する活動の事例等に関し必要な情報を適切に提供するよう努めるものとする。
(調査の実施)
第18条 市は、環境の状況を把握し、環境の変化の予測に関する調査その他の環境の保全及び創造に関する施策の策定に必要な調査を実施するものとする。
(監視等の体制の整備)
第19条 市は、環境の状況を把握し、環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するために必要な監視、測定等の体制の整備に努めるものとする。
(紛争の処理)
第20条 市は、環境の保全及び創造に関する紛争等の迅速かつ適正な調停及び解決を図るため、必要な措置を講ずるものとする。
(環境影響評価の推進)
第21条 市は、環境影響評価法(平成9年法律第81号)及びその他の法律並びに茨城県環境影響評価条例(平成11年茨城県条例第7号)に定めるもののほか、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が、事業の実施に当たり、あらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測又は評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
(事業者の環境管理等の促進)
第22条 市は、事業者が事業活動に伴う環境への負荷の低減について効果的に取り組めるように、事業者が自ら行う環境管理(環境の保全等に関する方針の策定、目標の設定、計画の作成、体制の整備等をいう。)及びこれに関する監査等が促進されるような措置を講ずるものとする。
(市民団体等の意見の反映)
第23条 市は、環境の保全及び創造に関する施策に市民団体等の意見を反映させるため、必要な措置を講ずるものとする。
(市民団体等との協力)
第24条 市は、市民団体等と協力して、環境の保全及び創造に関する施策を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
(国及び他の地方公共団体との協力)
第25条 市は、広域的な取組みが必要とされる環境の保全及び創造に関する施策について、国及び他の地方公共団体と協力して、その推進に努めるとともに、必要なときは、その目的を達成するため国及び他の地方公共団体に積極的に働きかけるものとする。
(報告書)
第26条 市長は、毎年、環境の状況並びに環境の保全及び創造について講じた施策に関する報告書を作成し、速やかに公表するものとする。
第4章 自然環境の保全及び創造
第1節 大気環境の保全
(大気汚染の防止)
第27条 市長は、有害大気汚染物質等(大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)第2条第1項に規定するばい煙及び同条第16項に規定する有害大気汚染物質をいう。)の排出抑制のため、国、他の地方公共団体及び関係機関と連携を図りながら施策を推進し、市民及び事業者に対し必要な啓発及び指導に努めなければならない。
第2節 水環境の保全
(水環境の保全)
第28条 市は、水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)第2条第1項に規定する公共用水域(以下「公共用水域」という。)の良質な水域の保全について、必要な施策を推進し、市民及び事業者に対し必要な啓発及び指導に努めなければならない。
第3節 緑の保全及び緑化の推進
(緑化施策の推進)
第29条 市は、都市緑地法(昭和48年法律第72号)第4条第1項の規定による緑地の保全及び緑化の推進に関する基本計画に基づき、その施策を積極的に推進しなければならない。
(市民による緑の保全等)
第30条 市民は、生け垣等の緑及び周辺地域の緑の保全並びに緑化の推進に努めるとともに、前条の規定による市が実施する施策に協力しなければならない。
(事業者による緑の保全等)
第31条 事業者は、事業活動により緑を損なうことのないよう必要な措置を講ずるとともに、事業用地の緑の保全及び緑化の推進に努め、第29条の規定による市が実施する施策に協力しなければならない。
第5章 雑則
(委任)
第32条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、平成17年9月12日から施行する。
附則(平成30年条例第19号)
この条例は、平成30年4月1日から施行する。
附則(令和3年条例第21号)
この条例は、令和3年4月1日から施行する。