○国東市男女共同参画推進条例
平成18年3月31日
条例第29号
個人の尊重と法の下の平等は、日本国憲法にうたわれている。
しかしながら、現実には、女性に対する暴力やセクシュアル・ハラスメントなどの人権侵害、性別による固定的な役割分担意識やこれに基づく社会制度又は慣行が依然として存在しており、真の男女平等の達成には多くの課題が残されている。
こうした状況の中で、少子高齢化の進展や経済活動の成熟化など社会経済情勢の急速な変化に対応し、活力ある豊かな社会を築くためにも、社会のあらゆる分野で男女が対等にその個性と能力を十分に発揮することができる環境づくりが必要である。
ここに、私たち市民は、性別にかかわりなく、男女がお互いの人権を尊重し、喜びと責任を分かち合う男女共同参画社会の実現に向けた取組を力強く推進することを決意し、この条例を制定する。
目次
第1章 総則(第1条―第8条)
第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策(第9条―第18条)
第3章 国東市男女共同参画審議会(第19条―第22条)
第4章 雑則(第23条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し基本理念を定め、並びに市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、市が実施する施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、もって男女の平等を基礎とした男女共同参画社会を実現することを目的とする。
(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(3) セクシュアル・ハラスメント 他の者を不快にさせる性的な言動(以下この号において「性的な言動」という。)により個人の生活環境を害すること又は性的な言動に対する個人の対応に起因して当該個人に不利益を与えることをいう。
(4) ドメスティック・バイオレンス 配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者及び配偶者であった者を含む。)間における暴力的行為(身体的又は精神的に苦痛を与える行為をいう。以下同じ。)
(5) 事業者 営利を目的とした事業を行う法人及び個人並びに公益法人その他社会のあらゆる分野において経済活動又は社会活動を行う法人をいう。
(平24条例3・一部改正)
(基本理念)
第3条 男女共同参画の推進は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。
2 男女共同参画の推進に当たっては、社会における制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の選択に対して中立でない影響を及ぼすことにより、男女共同参画の推進を阻害する要因となるおそれがあることにかんがみ、社会における制度又は慣行が男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響をできる限り中立なものとするように配慮されなければならない。
3 男女共同参画の推進は、男女が、社会の対等な構成員として、市における政策又は民間の団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されることを旨として、行われなければならない。
4 男女共同参画の推進は、家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、当該活動以外の活動を行うことができるようにすることを旨として、行われなければならない。
5 男女共同参画の推進は、男女が相互の身体の特徴について理解し合うことにより、性と生殖に関する健康と権利を互いに認め合えるようにすることを旨として、行われなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
2 市は、男女共同参画の推進に当たり、市民、事業者、県及び国と連携して取り組むものとする。
3 市は、第1項に規定する施策を総合的に策定し、及び実施するために必要な体制を整備するとともに、財政上の措置を講ずるよう努めなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に努めなければならない。
2 市民は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、男女共同参画の推進に自ら積極的に取り組み、男女が職場における活動に対等に参画する機会の確保に努めるとともに、男女が職業生活における活動と家庭生活における活動その他の活動とを両立して行うことができる職場環境を整備するよう努めなければならない。
2 事業者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(性別による権利侵害の禁止)
第7条 何人も、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、性別による差別的取扱い、セクシュアル・ハラスメント又はドメスティック・バイオレンスその他の男女間における暴力的行為を行ってはならない。
(平24条例3・一部改正)
(公衆に情報を表示する場合の配慮)
第8条 何人も、公衆に情報を表示する場合は、性別による固定的な役割分担、セクシュアル・ハラスメント又はドメスティック・バイオレンスその他の男女間における暴力的行為を助長し、又は是認する表現を行わないよう努めなければならない。
(平24条例3・一部改正)
第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策
(男女共同参画計画)
第9条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「計画」という。)を策定するものとする。
2 市長は、計画を策定するに当たっては、市民の意見を聴くとともに、国東市男女共同参画審議会に諮問しなければならない。
3 市長は、計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
4 前2項の規定は、計画の変更について準用する。
(施策の策定等に当たっての配慮)
第10条 市は、男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、男女共同参画の推進に配慮しなければならない。
(市民及び事業者の理解を深めるための措置)
第11条 市は、広報活動を通じて、基本理念に関する市民及び事業者の理解を深めるよう適切な措置を講じなければならない。
(教育及び学習の充実)
第12条 市は、学校教育、社会教育その他の教育の分野において、男女共同参画の推進に関する教育及び学習の充実に努めるものとする。
(家庭生活における活動と他の活動の両立)
第13条 市は、家族を構成する男女が共に家庭生活における活動とその他の活動とを両立して行うことができるように、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(政策等の立案及び決定への共同参画)
第14条 市は、法令等により設置された委員並びに委員会、審議会及びこれらに準ずるものの構成員の選任に当たっては、積極的改善措置を講ずることにより、できる限り男女の均衡を図るよう努めるものとする。
2 市は、民間の団体における方針の立案及び決定に男女が共同して参画する機会が確保されるように、情報の提供その他の必要な支援を行うよう努めるものとする。
(相談の対応等)
第15条 市は、性別に基づく人権の侵害等に関する市民の相談に対応するものとし、その対応については、関係機関等と連携を図る等必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(調査研究)
第16条 市は、男女共同参画の推進に関する施策の策定に必要な調査研究を行うよう努めるものとする。
(民間の団体に対する支援)
第17条 市は、民間の団体が行う男女共同参画の推進に関する活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(年次報告等)
第18条 市長は、毎年、男女共同参画の推進状況及び男女共同参画の推進に関する施策の実施状況についての報告書を作成し、これを公表するものとする。
第3章 国東市男女共同参画審議会
(国東市男女共同参画審議会)
第19条 次に掲げる事務を行うため、国東市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(1) 第9条に規定する計画の策定及び変更について調査審議すること。
(2) 男女共同参画の推進に関する重要な事項について、市長の諮問に応じて答申し、及び市長に建議すること。
(組織及び委員等)
第20条 審議会は、市長が任命する委員12人以内をもって組織する。
2 男女のいずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4未満であってはならない。
3 委員の任期は、2年とし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。
4 審議会に会長及び副会長各1人を置き、委員が互選する。
5 会長は、審議会を代表し、会務を総理する。
6 副会長は会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。
(会議)
第21条 審議会の会議(以下「会議」という。)は、会長が招集し、その議長となる。ただし、最初の会議は、市長が招集する。
2 会議は、委員の過半数が出席しなければ開くことができない。
3 会議の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
(庶務)
第22条 審議会の庶務は、人権啓発・部落差別解消推進課において処理する。
(平20条例4・平24条例2・平25条例18・令6条例12・一部改正)
第4章 雑則
(委任)
第23条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が定める。
附則
この条例は、平成18年3月31日から施行する。
附則(平成20年3月21日条例第4号)
この条例は、平成20年4月1日から施行する。
附則(平成24年3月23日条例第2号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成24年4月1日から施行する。
附則(平成24年3月23日条例第3号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成25年3月29日条例第18号)
この条例は、平成25年4月1日から施行する。
附則(令和6年3月21日条例第12号)抄
(施行期日)
1 この条例は、令和6年4月1日から施行する。