○釧路市景観条例

平成21年10月2日

釧路市条例第41号

目次

第1章 総則(第1条―第11条)

第2章 景観計画(第12条―第14条)

第3章 行為の届出等

第1節 事前協議(第15条)

第2節 景観法に基づく行為の届出等(第16条―第23条)

第4章 景観重要建造物等(第24条―第30条)

第5章 表彰、助成等(第31条・第32条)

第6章 釧路市景観審議会(第33条)

第7章 雑則(第34条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、釧路らしい景観の保全、整備及び形成に関する基本理念を定め、並びに市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)の規定に基づく景観計画の策定、行為の届出、景観重要建造物等の指定等に関し必要な事項を定めることにより、良好な景観づくりに関する施策の総合的かつ計画的な推進を図り、もって現在及び将来にわたる市民の潤いのある豊かな生活環境の創造と個性的で魅力あるまちづくりに寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 景観計画 法第8条第1項に規定する景観計画をいう。

(2) 景観づくり 景観を保全し、整備し、及び形成することをいう。

(3) 景観計画区域 法第8条第2項第1号に規定する景観計画区域をいう。

(4) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。

(5) 工作物 土地又は建築物に定着し、又は継続して設置される物のうち、建築物以外の物で規則で定めるものをいう。

(6) 建築等 法第16条第1項第1号に規定する建築等をいう。

(7) 建設等 法第16条第1項第2号に規定する建設等をいう。

(8) 景観重要建造物 法第19条第1項に規定する景観重要建造物をいう。

(9) 景観重要樹木 法第28条第1項に規定する景観重要樹木をいう。

(基本理念)

第3条 市は、次に掲げる基本理念に基づき、釧路らしい景観づくりを推進する。

(1) 地域の自然、歴史、文化等と市民の生活、経済活動等との調和に配慮した個性豊かな景観づくり

(2) 美しい自然を生かした景観づくり

(3) 緑の保全及び創出による景観づくり

(4) 市民、事業者及び市の協働による景観づくり

(5) 次代の市民に引き継いでいく景観づくり

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、景観づくりに関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施するものとする。

2 市は、景観づくりに関する施策の策定及び実施に当たっては、市民及び事業者の意見等が反映されるよう努めるものとする。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、自らが景観づくりの主体であることを認識し、主体的な景観づくりに係る活動に努めるとともに、市が実施する景観づくりに協力しなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に際し、景観づくりに自ら努めるとともに、市が実施する景観づくりに協力しなければならない。

(来訪者の協力等)

第7条 市、市民及び事業者は、来訪者に対し自らが取り組む景観づくりについて、理解と協力を求めることができる。

(財産権等の尊重及び他の公益との調整)

第8条 この条例の運用に当たっては、関係者の財産権その他の権利を尊重するとともに、公共事業その他の公益との調整に留意しなければならない。

(先導的役割)

第9条 市は、公共建築物、道路、公園その他の公共施設の整備等を行う場合においては、景観づくりに先導的な役割を果たすよう努めるものとする。

(知識の普及等)

第10条 市は、市民及び事業者の景観づくりに関する知識の普及及び意識の向上を図るため、必要な措置を講ずるものとする。

(国等に対する協力の要請)

第11条 市長は、景観づくりに関して必要があると認めるときは、国又は他の地方公共団体に対し、景観づくりの推進について協力を要請するものとする。

第2章 景観計画

(景観計画の策定等)

第12条 市は、基本理念を達成し、釧路らしい景観づくりを行うための基本的かつ総合的な施策を計画的に進めるため、景観計画を定めるものとする。

2 市は、景観計画において、景観計画区域内で特に良好な景観づくりを進める必要がある区域を景観計画重点区域(以下「重点区域」という。)又は景観形成推進区域(以下「推進区域」という。)として指定することができる。この場合において、重点区域及び推進区域として指定することができる区域は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める区域とする。

(1) 重点区域 次のいずれかに該当する区域

 地域を活性化する拠点として良好な景観を形成する必要がある区域

 観光の振興や交流の促進を図るうえで良好な景観を形成する必要がある区域

(2) 推進区域 良好な自然や田園景観を有し、周囲の景観とともに良好な景観を将来にわたり保全していくことが必要な区域

3 市は、重点区域及び推進区域を指定しようとするときは、法第8条第2項第2号に規定する行為の制限に関する事項及び同条第3項に規定する良好な景観の形成に関する方針を当該指定しようとする区域ごとに定めるものとする。

4 市長は、景観計画を定めようとするときは、法第9条の規定によるほか、あらかじめ、第33条第1項に規定する釧路市景観審議会(以下第4章までにおいて「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。景観計画を変更しようとするときも、また同様とする。

(計画提案をすることができる団体)

第13条 法第11条第2項の条例で定める団体は、良好な景観づくりを推進する活動を行うことを目的とする団体で、規則で定める要件のいずれにも該当するものとする。

(計画提案があったときの審議会への付議)

第14条 市長は、法第11条第1項又は第2項の規定による提案があったときは、審議会に当該提案に係る景観計画の素案を提出して、その意見を聴かなければならない。

第3章 行為の届出等

第1節 事前協議

第15条 景観計画区域内において、法第16条第1項又は第2項の規定による届出が必要な行為を行おうとする者は、当該届出を行う前に当該行為の設計、施行方法等について、市長に協議することができる。

2 市長は、前項の規定による協議の申出があったときは、その協議に応じ、速やかに必要な助言をするものとする。

第2節 景観法に基づく行為の届出等

(景観計画区域における行為の届出に係る添付図書)

第16条 景観法施行規則(平成16年国土交通省令第100号)第1条第2項第4号の条例で定める図書は、平面図その他の規則で定めるものとする。

(景観計画区域内における行為の届出)

第17条 法第16条第1項第4号の条例で定める行為は、別表第1の区域の欄に掲げる区域について、同表の行為の内容の欄に定める行為とする。

(景観計画区域内における行為の届出等の適用除外)

第18条 重点区域及び推進区域以外の景観計画区域における法第16条第7項第11号の条例で定める行為は、次に掲げる行為とする。

(1) 建築物の建築等で、高さ(増築又は改築にあっては、増築又は改築後の高さ)が13メートル以下で、かつ、延べ面積(増築又は改築にあっては、増築又は改築後の延べ面積)が1,500平方メートル以下のもの

(2) 前号に規定する規模を超える建等物の増築又は改築で、当該増築又は改築に係る部分の床面積が10平方メートル以下のもの

(3) 第1号に規定する規模を超える建築物の外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更(以下「外観の変更等」という。)で、一壁面の変更面積がその面の2分の1以下のもの

(4) 木柱、鉄柱、鉄筋コンクリート柱その他これらに類する工作物の建設等で、高さが15メートル(建築物と一体となって設置される工作物にあっては、地盤面から当該工作物の上端までの高さが15メートル)以下のもの

(5) 前号の工作物以外の工作物の建設等で、高さが8メートル(建築物と一体となって設置される工作物にあっては、当該工作物の高さが8メートル又は地盤面から当該工作物の上端までの高さが13メートル)以下のもの

(6) 前2号に規定する規模をそれぞれ超える工作物の外観の変更等で、その変更面積が全体の2分の1以下のもの

(7) 法第16条第1項第3号に掲げる行為で、当該行為に係る土地の面積が10,000平方メートル以下のもの

(8) 他の法令又は条例の規定に基づき、許可、認可、届出等を要する行為で規則で定めるもの

2 重点区域及び推進区域内における法第16条第7項第11号の条例で定める行為は、別表第2の区域の欄に掲げる区域について、同表の行為の内容の欄に定める行為とする。

(勧告の手続)

第19条 市長は、法第16条第3項の規定による勧告をしようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。

(法に基づく届出をした者に対する通知)

第20条 市長は、法第16条第1項又は第2項の規定による届出があった場合において、当該届出に係る行為について、良好な景観づくりに支障を及ぼすおそれがないと認めるときは、その旨を当該届出をした者に通知するものとする。

(特定届出対象行為)

第21条 法第17条第1項に規定する特定届出対象行為は、法第16条第1項第1号及び第2号の届出を要する行為とする。

(変更命令の手続)

第22条 市長は、法第17条第1項又は第5項の規定による命令をしようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。

(廃屋等の管理の要請)

第23条 市は、重点区域及び推進区域に所在する廃屋、空き地その他老朽化した既存施設等(以下「廃屋等」という。)が、良好な景観づくりを図るうえで支障があると認めるときは、その廃屋等の所有者又は管理者に対し必要な措置を講ずるよう要請することができる。

2 市長は、前項の規定による要請をしようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴くものとする。

第4章 景観重要建造物等

(景観重要建造物の指定の手続)

第24条 市長は、法第19条第1項の規定により景観重要建造物を指定しようとするときは、同条第2項の規定によるほか、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。

2 市長は、景観重要建造物を指定したときは、その旨を告示しなければならない。

(景観重要建造物の管理の方法の基準)

第25条 法第25条第2項の規定により定める管理の方法の基準は、次に掲げるものとする。

(1) 景観重要建造物の修繕は、原則として当該修繕前の外観を変更することのないようにすること。

(2) 消火器の設置その他の景観重要建造物の防災上の措置を講ずること。

(3) 景観重要建造物の滅失を防ぐため、その敷地、構造及び建築設備の状況を定期的に点検すること。

(4) 前3号に掲げるもののほか、景観重要建造物の良好な景観の保全のため必要な措置として規則で定めるものを講ずること。

(景観重要樹木の指定の手続)

第26条 市長は、法第28条第1項の規定により景観重要樹木を指定しようとするときは、同条第2項の規定によるほか、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。

2 市長は、景観重要樹木を指定したときは、その旨を告示しなければならない。

(景観重要樹木の管理の方法の基準)

第27条 法第33条第2項の規定により定める管理の方法の基準は、次に掲げるものとする。

(1) 景観重要樹木の良好な景観を保全するため、せん定その他の必要な管理を行うこと。

(2) 景観重要樹木の滅失又は枯死を防ぐため、病害虫の駆除その他の措置を行うこと。

(3) 前2号に掲げるもののほか、景観重要樹木の良好な景観の保全のため必要な措置として規則で定めるものを講ずること。

(景観重要建造物等の原状回復命令等の手続)

第28条 市長は、法第23条第1項(法第32条第1項において準用する場合を含む。)の規定により原状回復又はこれに代わるべき必要な措置を命じようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。

(管理に関する命令及び勧告の手続)

第29条 市長は、法第26条若しくは法第34条の規定により必要な措置を命じ、又は勧告しようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。

(景観重要建造物等の指定の解除の手続)

第30条 市長は、法第27条第2項の規定により景観重要建造物の指定を解除し、又は法第35条第2項の規定により景観重要樹木の指定を解除しようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。

2 市長は、景観重要建造物又は景観重要樹木の指定を解除したときは、その旨を告示しなければならない。

第5章 表彰、助成等

(表彰)

第31条 市は、釧路らしい景観づくりに寄与していると認められる特に優れた行為を行った個人又は団体に対し、その功績を表彰することができる。

(助成等)

第32条 市は、景観重要建造物及び景観重要樹木の所有者等に対し、その保存等のために技術的援助を行い、又はその保存等に要する経費の一部を助成することができる。

第6章 釧路市景観審議会

第33条 釧路らしい景観づくりに関する重要事項を調査審議するため、釧路市景観審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、委員15人以内をもって組織する。

3 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 学識経験を有する者

(2) 民間諸団体の代表者

(3) その他市長が適当と認める者

4 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 委員は、再任されることができる。

6 特別の事項を調査審議するために必要があるときは、審議会に臨時委員を置くことができる。

7 専門の事項を調査させるために必要があるときは、審議会に調査委員を置くことができる。

8 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第7章 雑則

(委任)

第34条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成22年4月1日から施行する。ただし、第3項の規定は、公布の日から施行する。

(釧路市景観条例の廃止)

2 釧路市景観条例(平成19年釧路市条例第35号)は、廃止する。

(経過措置)

3 景観計画の策定及びこれに関し必要な手続その他の行為は、この条例の施行前においても、第12条の規定の例により行うことができる。この場合において、同条第4項中「第33条第1項に規定する釧路市景観審議会」とあるのは、「釧路市景観条例(平成19年釧路市条例第35号)第20条第1項に規定する釧路市景観審議会」とする。

4 前項の規定により定められた景観計画は、この条例の施行の日において第12条第1項の規定により定められた景観計画とみなす。

5 この条例の施行の際、現に第2項の規定による廃止前の釧路市景観条例(以下「旧条例」という。)第9条第1項の規定により指定されている景観形成推進地区は、第12条第2項第2号の規定により指定された推進区域とみなす。

6 第3章第2節の規定は、平成22年5月2日以後に着手する法第16条第1項第1号から第4号までに掲げる行為に係る行為の届出等について適用する。

7 この条例の施行前に旧条例第11条又は第14条の規定により届出がされた行為については、なお従前の例による。

8 この条例の施行の際、現に旧条例第20条第1項の規定により置かれている釧路市景観審議会(以下「旧審議会」という。)は、第33条第1項の規定により置かれた審議会とみなす。

9 この条例の施行の際、現に旧条例第20条第3項の規定により旧審議会の委員に委嘱されている者は、第33条第3項の規定により審議会の委員に委嘱された者とみなす。この場合において、当該委員の任期は、旧審議会の委員の残任期間とする。

(平成23年12月13日条例第40号)

この条例は、公布の日から施行する。

別表第1(第17条関係)

区域

行為の内容

道道釧路空港線周辺地区(景観計画において推進区域として指定する道道釧路空港線周辺地区をいう。以下同じ。)

(1) 土地の開墾、土砂の採取、鉱物の掘採その他の土地の形質の変更

(2) 樹木の伐採

別表第2(第18条関係)

区域

行為の内容

道道釧路空港線周辺地区

(1) 第18条第1項第8号に掲げるもの

(2) 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるもの

釧路市景観条例

平成21年10月2日 条例第41号

(平成23年12月13日施行)