○釧路市男女平等参画推進条例

平成22年12月15日

釧路市条例第45号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第9条)

第2章 男女平等参画を推進するための基本的施策(第10条―第20条)

第3章 釧路市男女平等参画審議会(第21条)

第4章 補則(第22条)

附則

すべての人が個人として尊重され、性別にかかわりなく個性と能力を十分に発揮し、自分らしく生きることができる地域社会の実現は、私たち市民の共通の願いである。

我が国においては、個人の尊重と法の下の平等を定める日本国憲法の下で、男女平等の実現に向けた様々な取組が、国際社会の取組と連動しながら、法制度を整備することにより進められてきた。

私たちのまち、釧路市においても、男女平等参画に関する基本計画である「くしろ男女平等参画プラン」を策定し、男女平等参画社会の実現に向けた様々な施策を実行してきた。

しかしながら、女性に対する暴力、セクシュアル・ハラスメントなどの人権侵害や職場、家庭、地域などにおける性別による固定的な役割分担意識とそれに基づく慣習や慣行が依然として存在しており、男女平等の実現には、なお一層の努力が必要な状況である。

少子高齢化の進展や家族形態の多様化など、私たちを取り巻く社会環境が急速に変化している中で、社会のあらゆる分野において男女の人権が尊重され、平等な関係で互いに協力し合い、それぞれが責任を果たし、その成果を分かち合うことができる男女平等参画社会を実現しなければならない。

このような認識の下、男女平等参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進することにより、男女平等参画社会を実現するため、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、本市における男女平等参画の推進に関し、基本理念を定め、並びに市、市民、事業者等及び教育に携わる者の責務を明らかにするとともに、市の施策の基本となる事項を定めることにより、男女平等参画に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって男女平等参画社会の実現を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女平等参画 男女が、その人権を尊重され、社会の対等な構成員として社会的又は文化的に形成された性別にとらわれず、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が平等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。

(2) 積極的改善措置 社会のあらゆる分野における活動に参画する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、社会的に不利な状況にある男女のいずれか一方に対し、格差の改善の機会を積極的に提供することをいう。

(3) ドメスティック・バイオレンス 夫婦若しくは恋愛関係その他の親密な関係にあり、又はあった男女間における身体的、経済的又は精神的な苦痛を与える暴力行為及び暴力的行為(以下「暴力行為等」という。)をいう。

(4) セクシュアル・ハラスメント 他の者に対し、その意に反する性的な言動により不快感を与え、その言動を受けた者の生活環境を害すること及び性的な言動を受けた者の対応によりその者に不利益を与えることをいう。

(5) 事業者等 市内において、公的機関若しくは民間又は営利若しくは非営利を問わず事業を行う者並びに市内における自治会等の地域の自治組織及び市民活動団体をいう。

(6) 教育に携わる者 市内において、学校教育、社会教育、家庭教育及び地域教育にかかわるすべての者をいう。

(基本理念)

第3条 男女平等参画は、次に掲げる基本理念にのっとり推進されなければならない。

(1) 男女の個人としての尊厳を重んじ、男女の性別による差別をなくし、男女が個人として能力を発揮する機会を確保すること。

(2) 性別による固定的な役割分担にとらわれず、男女が様々な活動を選択できるよう、社会における制度及び慣行のあり方を、男女の活動の選択に対してできる限り中立なものとするように配慮すること。

(3) 男女が、社会の対等なパートナーとして、様々な方針の立案及び決定に参画する機会を確保すること。

(4) 男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子育て、介護等の家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、自らの意思によって仕事、学習、地域活動等ができるようにすること。

(5) 男女が、互いの性について理解を深め、妊娠又は出産に関する事項に関し双方の意思が尊重され、生涯にわたり共に健康な生活を営むことができるようにすること。

(6) 男女平等参画の推進は、国際社会の取組と密接な関係を有していることを考慮し、国際的な連携の下に行っていくこと。

(7) 男女が、自らの性を大切にしながら互いの人格を尊重しあうことができるよう、あらゆる形態の暴力を根絶すること。

(8) 働く男女が、性別による不利益な取扱いを受けることなく、安心して働き、生活できるようにすること。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女平等参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的かつ計画的に実施するとともに、その他の施策についても男女平等参画の視点に立って実施する責務を有する。

2 市は、男女平等参画の推進に当たり、市民、事業者等、教育に携わる者、国及び他の地方公共団体との連携及び協力を図る責務を有する。

(市民の責務)

第5条 市民は、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、男女平等参画を推進するよう努めなければならない。

2 市民は、市が実施する男女平等参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者等の責務)

第6条 事業者等は、基本理念にのっとり、その事業活動において、男女平等参画を積極的に推進するとともに、当該事業活動と家庭生活を含むその他の活動を両立して行うことができる事業環境を整備するよう努めなければならない。

2 事業者等は、市が実施する男女平等参画の推進に関する施策に積極的に協力するよう努めなければならない。

(教育に携わる者の責務)

第7条 教育に携わる者は、その教育活動において、男女平等参画社会についての理解を促し、伝えていくよう努めなければならない。

(性別による権利侵害の禁止)

第8条 何人も、社会のあらゆる分野において、次に掲げる行為をしてはならない。

(1) 性別を理由とする差別的な取扱い

(2) ドメスティック・バイオレンス

(3) セクシュアル・ハラスメント

(4) その他性別に起因すると認められる暴力行為等

(情報を公表する際の留意)

第9条 何人も、公衆に表示する情報において、差別的取扱い若しくは暴力行為等を助長し、又は連想させる表現その他の男女平等参画の推進を阻害するような表現を行わないよう努めなければならない。

第2章 男女平等参画を推進するための基本的施策

(基本計画の策定及び見直し)

第10条 市長は、男女平等参画を総合的かつ計画的に推進するため、基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定しなければならない。

2 市長は、基本計画を策定するときは、あらかじめ第21条第1項に規定する釧路市男女平等参画審議会(第20条において「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。

3 市長は、基本計画を策定するときは、市民、事業者等及び教育に携わる者(以下「市民等」という。)の意見を反映させることができるよう、適切な措置を講じなければならない。

4 市長は、基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表しなければならない。

5 市長は、策定した基本計画を定期的に見直し、又は必要に応じて変更することができる。この場合においては、前3項の規定を準用する。

(調査及び研究)

第11条 市は、男女平等参画の推進に関する施策の策定及び実施に必要な調査及び研究を行うものとする。

(教育の分野における措置)

第12条 市は、市民等の男女平等参画の推進についての理解を促進するため、学校教育、社会教育、家庭教育、地域教育等のあらゆる教育の分野において必要な措置を講ずるものとする。

(実施状況の公表)

第13条 市長は、毎年、男女平等参画の推進に関する施策の実施状況を取りまとめ、これを公表するものとする。

(広報及び啓発)

第14条 市は、男女平等参画の基本理念に対する理解が深まるよう、社会のあらゆる分野において広報、啓発活動その他適切な措置を講ずるものとする。

(推進体制の整備)

第15条 市は、男女平等参画の推進に関する施策を総合的に調整し、計画的に推進するために必要な体制を整備するものとする。

(財政上の措置)

第16条 市は、男女平等参画の推進に関する施策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(市民等に対する支援)

第17条 市は、男女平等参画の推進に積極的に取り組む市民等の活動に対し、これを支援するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(雇用の分野における措置)

第18条 市は、市における人事管理及び組織運営において、基本理念にのっとり、男女が性別にとらわれることなくそれぞれの能力を発揮することができるよう必要な措置を講ずるとともに、市が出資する団体においても同様の措置が講じられるよう努めるものとする。

2 市は、必要があると認めるときは、事業者等に対し男女平等参画のための調査等について、協力を求めることができる。

(附属機関等の委員の構成)

第19条 市長その他の執行機関は、附属機関等として設置する審議会等の委員を任命し、又は委嘱するときは、男女いずれか一方の委員の数が委員の総数の4割未満とならないよう努めるものとする。

(意見等の申出等)

第20条 市民は、男女平等参画に関する市の施策についての意見若しくは苦情又は男女平等参画の推進を阻害すると認められるものがあるときは、その旨を市長に申し出ることができる。

2 市長は、前項の規定による申出に係る事務を行わせるため、男女平等参画相談員を設置することができる。

3 前項の男女平等参画相談員は、第1項の規定による申出があったときは、関係機関と連携し適切な措置を講ずるものとする。

4 市長は、第1項の規定による申出があったときは、必要に応じて審議会の意見を聴くことができる。

第3章 釧路市男女平等参画審議会

第21条 男女平等参画を推進するため、市長の附属機関として、釧路市男女平等参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、次に掲げる事項を所掌する。

(1) 市長の諮問又は必要に応じて男女平等参画の推進に関する事項について調査審議し、市長に意見を述べること。

(2) 毎年、男女平等参画の推進に関する施策の実施状況について審議し、市長に意見を述べること。

(3) 前条第2項の男女平等参画相談員が対応した事例の中から、市の施策の改善が必要な事項を調査審議し、市長に意見を述べること。

3 審議会は、15名以内の委員をもって組織し、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。この場合において、男女のいずれか一方の委員の数は、委員の総数の4割未満であってはならない。

(1) 学識経験を有する者

(2) 公募に応じた者

(3) その他市長が必要と認めた者

4 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 市長は、特別の理由があるときは、任期中であっても委員を解嘱することができる。

6 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第4章 補則

(委任)

第22条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、平成23年4月1日から施行する。

釧路市男女平等参画推進条例

平成22年12月15日 条例第45号

(平成23年4月1日施行)