○那覇市環境基本条例

平成16年3月29日

条例第4号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 環境の保全と創造に関する基本的施策等(第7条―第9条)

第3章 環境の保全と創造の手法(第10条―第18条)

第4章 地球環境の保全と創造(第19条・第20条)

第5章 環境審議会(第21条―第23条)

第6章 雑則(第24条)

付則

私たちの住む那覇市は、さまざまな歴史の節目を経ながら、亜熱帯気候に独自の文化を形成した琉球諸島の中心地として、自然と人とが美しく調和したまちを築いていた。

そのまちは、最大の環境破壊行為である戦争(第2次世界大戦)によってそのほとんどが焼き尽くされてしまったが、市民のたゆまぬ努力により困難を乗り越えて新しいまちづくりを進め、ますます発展してきた。

しかし、それは、狭い土地に都市化を進め、人口が集中するまちを形成することであった。また、市民の生活水準の向上や事業活動の拡大は、資源やエネルギーを大量に消費し、ごみを大量に排出し、急激な開発行為を進めることになった。このため、まちから緑が少なくなり、ごみの処理や川、海等の水質を回復させるために大きな努力が求められている。

さらに、私たち一人一人の生活とそれに伴う活動が環境に影響を与え、地域にとどまらず、地球温暖化、オゾン層の破壊、森林資源の減少、酸性雨等の地球環境問題を引き起こし、生き物が生きるためになくてはならない地球そのものの存続までも脅かすに至っている。

そこで、私たちは、先人から受け継いだ美しく豊かな地球は、将来の市民に引き継いでいくべき預り物であることを認識し、市民、事業者、民間団体及び市が協働して、自然と調和のとれた住みよい那覇のまちの保全と創造に努め、市民の生活及び地球の環境が将来にわたって持続していけるような循環型社会を築くために行動したいと思う。

ここに、これらを実現するために、本市の環境に関する条例や施策の基本となる那覇市環境基本条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全と創造について、基本理念を定め、並びに市、事業者及び市民等(市民の組織する団体及び市に滞在する者等を含む。以下同じ。)の責務を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定めることにより、施策を総合的かつ計画的に進め、もって現在と将来の市民が健康で文化的な生活を営み、自然と調和できるようにすることを目的とする。

(基本理念)

第2条 市民は、安全で健康な生活を営み、良好な環境の中で生きる権利を有する。

2 人間以外の生き物も命あるものとして配慮され、多様な生態系が育まれなければならない。

3 環境の保全と創造に努め、将来の市民へ健全で恵み豊かな地球を引き継ぐことは、すべての者の義務である。

(基本原則)

第3条 環境の保全と創造のための施策は、市民等の参画により、予防的視点に立って、環境を優先する観点で行われなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、基本理念のもとに、基本原則にのっとり、環境の保全と創造に関する施策を定め、これを総合的かつ計画的に実施しなければならない。

2 市は、施策の実施に当たって、各部門がお互いに緊密に連携して調整を行い、環境基本計画との整合性を図らなければならない。

3 市は、自ら先頭に立って環境への負荷を少なくするように努め、環境の保全と創造に役立つ事業を実施して、その結果を公開しなければならない。

4 市は、事業者及び市民等から環境の保全と創造に関して提案、意見、要望、苦情等を受けた場合、速やかに事実関係を調査し、回答するものとする。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、公害の発生を予防して市民の生活環境と自然環境に負荷を与えないように努め、公害が発生した場合は、自らの責任において必要な措置を講じなければならない。

2 事業者は、次に掲げる原則に従って物の製造、加工、販売その他の事業活動を行わなければならない。

(1) 事業者が生産した製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによって発生する環境への負荷を少なくするように努めるとともに、廃棄物となった場合に適正な処理が図られるように必要な措置を講じること。

(2) 環境への負荷を少なくすることに有効な原材料、サービス、再生資源等を利用するように努めること。

3 事業者は、開発行為等の環境に影響を与える事業を実施する場合は、事業者自ら環境への影響に配慮し、市の環境基本計画との整合性を図らなければならない。

4 事業者は、前3項に定めるもののほか、市が実施する環境の保全と創造に関する施策に協力するとともに、市民等が行う環境の保全と創造に関する活動の支援に努めなければならない。

(市民等の責務)

第6条 市民等は、廃棄物が発生しないようにすること、廃棄物の適正な処理、資源及びエネルギーの有効利用並びに環境への負荷を少なくすることに役立つ製品等の利用に努めなければならない。

2 市民等は、野生動植物の生態系に配慮するとともに、自主的に木や草花を植える等、人と自然とが豊かに触れ合う環境づくりに努めなければならない。

3 市民等は、前2項に定めるもののほか、日常生活において、環境に与える影響を認識し、環境の保全と創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全と創造に関する施策に協力しなければならない。

第2章 環境の保全と創造に関する基本的施策等

(基本的施策)

第7条 市は、次の環境の保全と創造に関し基本となる施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。

(1) 公害を防止し、大気、水、土壌等の環境を良好な状態に保持すること。

(2) 有害化学物質による汚染の防止に努め、市民の健康と安全を守ること。

(3) ペット及び移入動植物等の適正な管理に関すること。

(4) 野生生物の生息又は生育に配慮し、生物の多様性を維持するとともに、緑地、川、海等の自然環境の保全と創造に努め、特に漫湖、末吉公園等自然環境が豊かな地域は、その区域を指定して保全すること。

(5) 自然と調和した安らぎのある都市空間を形成するため、屋上の緑化の推進やビオトープ(野生生物の生息空間をいう。)の設置及び公園の整備等、緑のある場所を広げるとともに、緑と水辺のネットワーク化に努めること。

(6) 雨水や地下水等の水資源の有効利用と節水に努めるとともに、水が地下に染み込みやすくなるような緑地の保全と施設整備に努めること。

(7) 地域の特性を生かした良好な景観の形成及び歴史的文化遺産の保全に努めること。

(8) 環境教育や学習に利用できる人と自然がふれあう施設の整備を図ること。

(9) 廃棄物の発生が少なくなるようにすることと適正な処理及び廃棄物処理施設等の環境への負荷を少なくすることに役立つ施設の整備を推進すること。

(10) 資源の循環、流通システム、企業の動向及び支援等を総合的に調査研究するとともに、市民生活との関係を検討して、ゼロエミッションの実現に向けて必要な措置を講じること。

(11) 資源の有効利用に努めるとともに、環境への負荷を少なくすることに役立つ製品等の利用を促進すること。

(12) 地元産業の生産活動を推奨し、地元産品の利用の促進を図ること。

(13) エネルギーの有効利用に努めるとともに、太陽光発電及び風力発電等の自然エネルギーの利用の促進について必要な措置を講じること。

(14) 環境への負荷を少なくする観点から、交通システムの改善及び都市計画を進めること。

(15) これまでの伝統を尊重しながらも、生活様式を見直し、環境への負荷を少なくすることに役立つ社会制度や文化の創造に努めること。

(16) 前各号に掲げるもののほか、環境の保全と創造に関し必要な措置を講じること。

(環境基本計画)

第8条 市長は、環境の保全と創造に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定める。

(1) 環境の保全と創造に関する総合的かつ長期的な施策の大綱

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全と創造に関する施策を推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、事業者及び市民等の意見が反映されるように努めるとともに、那覇市環境審議会の意見を聴かなければならない。

4 市長は、環境基本計画を定めたときは、速やかにこれを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(環境報告書)

第9条 市長は、市の環境の状況及び環境の保全と創造に関する施策の実施状況等を明らかにした報告書を定期的に作成し、これを公表しなければならない。

第3章 環境の保全と創造の手法

(規制等の措置)

第10条 市は、環境の保全に支障を及ぼすおそれのある行為を防止するために、必要な規制の措置を講じなければならない。

(誘導的措置)

第11条 市は、事業者及び市民等が良好な環境を保全し、又は創造するための行為を促進する必要があるときは、適正な補助金の支給その他の措置を講じるものとする。

2 市は、環境への負荷を少なくするために特に必要があるときは、事業者又は市民等に適正な費用等の負担を求める措置を講じることができる。

(財政上の措置)

第12条 市は、環境の保全と創造に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講じるよう努めるものとする。

(事業者及び市民等の活動の促進)

第13条 市は、事業者及び市民等が自発的に行う環境の保全と創造に関する活動を促進するとともに、三者間の良好な協力関係を築くことに努めるものとする。

2 市は、環境の保全と創造に係る活動において著しい功績があった団体及び個人を表彰するものとする。

(環境教育及び学習の推進)

第14条 市は、事業者及び市民等が環境の保全と創造について理解を深め、適切な環境教育が受けられるように、学習の機会の提供、人材の育成、広報活動その他必要な措置を講じなければならない。

(環境推進員)

第15条 市は、環境の保全と創造に関する施策を推進するため、環境推進員を置くことができる。

(情報の収集及び提供)

第16条 市は、環境の保全と創造に関する情報の収集に努めるとともに、市民に情報を提供するものとする。

(検査体制の整備等)

第17条 市は、環境の保全と創造に関する施策を適正に実施するために、状況を把握するための検査や測定を行い、特に必要がある場合は監視する等の体制の整備等を図るとともに、必要な調査及び研究に努めるものとする。

(国、地方公共団体等との連携協力)

第18条 市は、環境の保全と創造に関する施策を推進するに当たり、国、他の地方公共団体その他の関係団体との連携及び協力に努めるものとする。

第4章 地球環境の保全と創造

(地球環境の保全と創造の推進)

第19条 市は、地球温暖化の防止、オゾン層の保護、酸性雨の防止、海洋汚染防止、森林の保護、野生生物の種の保護等の地球環境の保全と創造に関する施策の積極的な推進に努めるものとする。

(国際交流及び国際協力の推進)

第20条 市は、地球環境の保全と創造に関する情報交換及び調査研究等の推進を図るため、国際交流及び国際協力に努めるものとする。

第5章 環境審議会

(設置)

第21条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定により、那覇市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(担任事務)

第22条 審議会は、次に掲げる事項を調査審議する。

(1) 環境基本計画に関すること。

(2) 廃棄物に関すること。

(3) その他環境の保全と創造に関すること。

(委任)

第23条 前2条に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第6章 雑則

第24条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、規則で定める。

1 この条例は、平成16年4月1日から施行する。

2 那覇市公害防止条例(昭和62年那覇市条例第21号)の一部を次のように改正する。

(次のよう略)

(次のよう略)

(平成19年12月28日条例第49号)

1 この条例は、平成20年4月1日から施行する。

2 那覇市ごみのポイ捨て防止による環境美化促進条例(平成7年那覇市条例第31号)の一部を次のように改正する。

(次のよう略)

那覇市環境基本条例

平成16年3月29日 条例第4号

(平成20年4月1日施行)