○さいたま市誰もが安心して長生きできるまちづくり条例

平成24年3月21日

条例第11号

先人のたゆまぬ努力により長寿を享受できる社会が実現している一方で、急速に進む社会の高齢化は、市民一人一人の将来への不安とともに、地域社会にも大きな不安をもたらしている。例えば、核家族化やコミュニティ意識の希薄化に伴い、高齢期を迎えている人等の孤立が社会問題となり、また、同時に進行している少子化は、まちの活力の向上と持続的な発展を担う人材の確保に困難を生じさせることが予測されるなど、地域社会を取り巻く環境は、超高齢社会の到来を目前に控え、非常に厳しい状況になりつつある。

一方で、平成23年3月に発生した東日本大震災は、私たちの心に深い傷を残したが、その後の救助活動や復興活動に象徴されるように、人は困った人を助けたいという純粋な気持ちを持ったとき、大きな力を発揮することができるということも、私たちは改めて認識した。来る超高齢社会においても全ての市民が安心して長寿を享受できるようにするためには、この認識に基づいて、市民が互いに支え合い、自立した生活を営む意欲を持ち続けることにより、誰もが人とのつながりを持ちながら生涯にわたって生き生きと活動することができる地域社会を築き上げていく必要がある。

ここに、本市が超高齢社会にも対応できる活力あるまちであり続けるため、地域社会を構成する市民、自治会等、市民活動団体、事業者及び市が、等しく理念を共有し、それぞれの役割を認識し、及び実践することを通じて、市民一人一人が生涯にわたって尊厳を保ち、安心して長生きすることができる地域社会の実現を目指し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、市民一人一人が生涯にわたって尊厳を保ち、安心して長生きすることができる地域社会を実現するためのまちづくり(以下「安心長生きのまちづくり」という。)の基本理念を定め、並びに市民等の役割及び市の責務を明らかにするとともに、安心長生きのまちづくりに関する施策の基本となる事項を定めることにより、安心長生きのまちづくりに関する施策を総合的に推進し、もって活力ある地域社会の持続的な発展に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 市民 市内に居住し、又は通勤し、若しくは通学する者をいう。

(2) 自治会等 自治会その他の市内の一定の区域における公益の増進を目的として自主的に組織された団体でその区域に住所を有する者が主な構成員となっているものをいう。

(3) 市民活動団体 さいたま市市民活動及び協働の推進条例(平成19年さいたま市条例第19号)第2条第3号に規定する市民活動団体(自治会等を除く。)をいう。

(4) 事業者 市内において事業活動を行う者(市民活動団体を除く。)をいう。

(5) 支え合い 市民、自治会等、市民活動団体及び事業者(以下「市民等」という。)が行う相互扶助のための全ての行為をいう。

(6) 居場所 市民が相互に交流する場所であって、それぞれにふさわしい役割を担うことにより他の者から必要とされることの喜びを感じることができる場所又はそれぞれが抱える問題について互いに理解し、共感すること等により安心してとどまることができる場所をいう。

(基本理念)

第3条 安心長生きのまちづくりは、市民等及び市がそれぞれの役割又は責務を果たすとともに、相互に連携しながら、次に掲げる地域社会を実現することを基本理念として行われなければならない。

(1) 市民一人一人が居場所を見つけることができる地域社会

(2) 市民一人一人が支え合いの重要性を実感することができる地域社会

(3) 市民一人一人が高齢期を迎えても安心して生活を営むことができる地域社会

(市民の役割)

第4条 市民は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、生涯にわたって自らの健康を保持し、地域社会において自立した生活を営むことができることとなるよう努めるものとする。

2 市民は、基本理念にのっとり、地域社会への関心を深め、積極的にその地域社会との関わりを維持するとともに、相互に個人として尊重し、及び支え合いを実践するよう努めるものとする。

(自治会等及び市民活動団体の役割)

第5条 自治会等及び市民活動団体は、基本理念にのっとり、積極的に支え合いを実践するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、地域社会に貢献する活動を積極的に実践するよう努めるものとする。

(市の責務)

第7条 市は、この条例の目的を達成するため、基本理念にのっとり、安心長生きのまちづくりに関する施策を総合的かつ計画的に実施しなければならない。

2 市は、基本理念にのっとり、安心長生きのまちづくりについて市民等に周知し、及び啓発しなければならない。

3 市は、基本理念にのっとり、市民等が安心長生きのまちづくりに関する活動を円滑に行うことができる環境を整備しなければならない。

4 市は、基本理念にのっとり、市の職員が自ら地域社会の一員として積極的に地域社会のための活動に参加することができるよう配慮しなければならない。

(計画の策定等)

第8条 市長は、安心長生きのまちづくりに関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、安心長生きのまちづくりに関する基本的な計画を策定するものとする。

2 市長は、前項の基本的な計画の進捗状況を評価するときは、その評価に市民、学識経験を有する者等の意見を反映するために必要な措置を講じるものとする。

(他の施策との整合)

第9条 市は、市が行う他の施策の実施に当たっては、安心長生きのまちづくりに関する施策との整合を図るよう努めなければならない。

(市民の健康)

第10条 市は、市民が地域社会において自立した生活を営むことができるよう、自らの健康に関心を持ち、その保持及び増進に取り組むことができる環境を整備するものとする。

(地域社会における安心の確保)

第11条 市は、市民が生涯にわたって地域社会で安心して生活を営むことができるようにするため、次に掲げる施策を実施するものとする。

(1) 医療及び福祉に関する制度の充実を図ること。

(2) 市民等との連携の下に、医療及び福祉に関する制度について、地域社会全体における情報の共有化を推進すること。

(3) 市内に居住する者の住居における移動の安全性を確保するために必要な支援を行うこと。

(4) 民生委員法(昭和23年法律第198号)に定める民生委員その他関係機関との連携の下に、災害の発生時における避難活動に際して援助を必要とする市民の生活の実態を把握するための調査等を実施すること。

(高齢期を迎えた市民の権利擁護)

第12条 市は、市民が高齢期を迎えた市民の権利を尊重し、及び擁護する環境を醸成するとともに、高齢期を迎えた市民の権利を擁護するために必要な措置を講じるものとする。

(高齢期を迎えた市民が模範とされるための措置)

第13条 市は、高齢期を迎えた市民がその有する知識又は経験を地域社会に生かすことで他の者の模範となり、敬愛されることとなるよう、市民等との協力の下、高齢期を迎えた市民がその年齢にかかわらず等しく地域社会において役割を担い、及び活動することができる環境の整備その他の必要な措置を講じるものとする。

(支え合いの地域社会づくり)

第14条 市は、市民が支え合いの重要性を実感することができる地域社会の実現に資するため、次に掲げる施策を実施するものとする。

(1) 加齢により心身の機能が低下している市民その他の日常生活又は社会生活を営む上で支援を必要とする市民を身近な地域において見守る活動(次号において「見守り活動」という。)を促進すること。

(2) 自治会等、市民活動団体及び事業者との連携の下に、見守り活動その他の市民が身近な地域との関わりを維持することに資する活動(以下この条において「見守り活動等」という。)を市民等に周知すること。

(3) 見守り活動等を促進する上で重要な役割を担うことが期待される地域の伝統的な行事、文化的な財産等の維持及び活用を支援すること。

2 市は、見守り活動等について安心長生きのまちづくりの推進に寄与したと認められる市民等の顕彰に努めるものとする。

(社会参加の機会の確保)

第15条 市は、市民が生涯にわたって社会参加をする機会を確保し、もって地域社会との関わりを維持しながら生きがいを持って生活を営むことができるようにするため、次に掲げる施策を実施するものとする。

(1) 市民の生涯学習の機会及び生涯学習の成果を活用することができる機会の充実を図ること。

(2) 市民がその意欲及び能力に応じて市内において就業する機会を確保できるようにするための必要な支援を行うこと。

(3) 自治会等、市民活動団体及び事業者との連携の下に、地域社会において市民がボランティア活動を行うことができる基盤の整備その他の市民の社会参加の意欲を維持するために必要な環境の整備を行うこと。

(4) 自治会等、市民活動団体及び事業者との連携の下に、市民の日常生活及び社会生活における市の区域内での移動の利便性の向上を促進するために必要な措置を講じること。

(5) 自治会等、市民活動団体又は事業者が市民の居場所を確保するために行う活動を支援すること。

(子どもの意識の啓発等)

第16条 市は、次に掲げる教育等を行うことにより、安心長生きのまちづくりに関する子どもの意識の啓発及び高揚を図るものとする。

(1) 地域社会において自立した生活を営むこと並びにその基礎となる健康の維持及び増進の重要性を認識することができるようにするための教育

(2) 地域社会における支え合いの重要性を認識することができるようにするための教育

(3) 高齢期を迎えた市民に対する敬愛の念を深めるための取組

(推進体制の整備)

第17条 市は、安心長生きのまちづくりに関する施策を総合的に推進するために必要な体制を整備するものとする。

(委任)

第18条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

附 則

この条例は、平成24年4月1日から施行する。

さいたま市誰もが安心して長生きできるまちづくり条例

平成24年3月21日 条例第11号

(平成24年4月1日施行)