○山口市ふるさと産業振興条例
平成24年3月21日
条例第27号
山口市は、山口県の中央部に位置し、それぞれ地域特性のある旧1市5町からなり、南は瀬戸内海から北は島根県境までの広大な市域を有しており、豊富な緑や清澄な水、農林水産資源に恵まれた自然豊かなところである。
また、歴史的には、室町時代に大内氏が繁栄を極め、幕末には維新胎動の舞台となり、様々な歴史・文化に彩られた史跡と山陽路随一の湯量といわれる湯田温泉を有するなど、本市特有の地域資源に囲まれ、これまで歴史文化観光都市として経済発展を遂げてきた。
このようななか、本市の事業所の大多数を占める中小企業をはじめとするふるさと産業は、これまで経済活動全般にわたり重要な役割を果たすとともに、地域社会の担い手として本市の発展と市民生活の向上を担ってきたところである。しかし、社会経済環境の変化が著しく、本市の経済情勢は厳しくかつ不透明な状況が続いている。
よって、本市の持続的な発展のためには、ふるさとへの愛着と誇りを胸に、市、事業者及び関係団体並びに市民が協力して、地域資源を活用した様々な取組を行うことにより、地域経済の循環を活性化させ、それにより事業者の発展、所得の向上、雇用の創出及び拡大、若者の定住などにより、活力ある地域経済の形成及び市民生活の向上を創り出す必要がある。
ここに、本市の有する地域資源を活用し、本市のふるさと産業を振興するため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、地域資源の活用によるふるさと産業の振興について、基本理念を定め、市、事業者及び関係団体の責務並びに市民の役割を明らかにするとともに、ふるさと産業の振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより、ふるさと産業を育成し、もって活力ある地域の経済社会の形成及び市民生活の向上に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 地域資源の活用によるふるさと産業を振興するための取組は、地域における人、物及び情報の交流により経済の活性化を図るとともに、事業者の自らの創意工夫及び自主的な努力を基本とし、市内産品等の需要拡大や事業者の育成などにより、地域経済の循環が促進されなければならない。
(定義)
第3条 この条例において「ふるさと産業」とは、市内で生産活動を営み、又はサービスの提供を行う産業をいう。
2 この条例において「地域資源」とは、市内に存在する農林水産物、温泉、工業製品、技術、自然、歴史、文化などをいう。
(1) 市内で生産され、採取され、若しくは水揚げされた農林水産物又は市内で製造され、若しくは加工された物品
(2) 前号に掲げるものを原材料として製造され、又は加工された物品
(3) 市内で提供されるサービス
4 この条例において「地域経済の循環」とは、地域内循環(消費活動が地域内で行われることにより、その所得が地域内に十分に還元されることをいう。)が活性化することで地域資源を利用した商品及びサービスの価値が高まり、又は新たな価値が創出されることにより、地域外循環(地域資源を活用して新たな価値を創出することにより、地域外の住民の消費活動を取り込むことをいう。)へつながっていくことで、地域経済の発展に結びつくことをいう。
5 この条例において「事業者」とは、事業を行っている個人又は法人をいう。
6 この条例において「関係団体」とは、事業者の組織する団体又はふるさと産業の振興を目的とする団体をいう。
(基本的施策)
第4条 市は、ふるさと産業を振興するため、次に掲げる施策を講ずるものとする。
(1) 生産者と消費者の交流及び地産地消(市内産品等を消費し、又は利用することをいう。)の促進を図ること。
(2) ふるさと産業を支える幅広い人材及び後継者の育成並びに確保を図ること。
(3) 地域資源を活用する事業者の育成及び経営支援を図ること。
(4) 産学公や農商工等との連携等による市内産品等の商品開発の促進及び販路拡大の支援を図るとともに、伝統技術の伝承及び発展を図ること。
(5) 歴史・文化などの多様な地域資源を活用して観光ブランドの創出を図るとともに、付加価値の高い観光産業の形成を図ること。
(6) 地域の特性を生かした企業立地を促進し、新たな起業やサービスの創出とともに、次代を担う産業の集積を図ること。
(7) 農林水産業と食品産業との連携により、加工食品、外食及び学校給食等への利用を促進すること等により、市内産品等の需要の拡大を図ること。
(8) 市内産品等の需要に応じるための産地の育成及び拡大を図るとともに、資源の維持及び確保を図ること。
(9) 市内で生産された木材の利用及び間伐材その他の未利用の森林資源の利用の促進を図ること。
(10) 建設工事、物品等の発注に当たり、事業者の地域社会への貢献の状況、市の施策への協力の状況等に配慮して市内事業者の受注機会の確保を図るとともに、市内産品等の活用を図ること。
(市の責務)
第5条 市は、国及び県と連携を図り、事業者及び関係団体並びに市民と協力し、前条に掲げるふるさと産業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に講ずるよう努めるものとする。
(事業者及び関係団体の責務)
第6条 事業者及び関係団体は、経営基盤の強化、人材の育成、雇用の安定等に努めるとともに、市が掲げるふるさと産業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(市民の役割)
第7条 市民は、ふるさと産業の振興が、地域経済の発展と市民生活の向上に寄与するものであることを理解し、地域資源が有する魅力とその活用について関心を持つよう努めるものとする。
2 市民は、生産者としてのみならず、地域経済の循環を担う消費者として、市内産品等を利用するよう努めるものとする。
(広報活動)
第8条 市は、ふるさと産業の振興に資するため、地域経済の循環に対する事業者及び関係団体並びに市民の理解と関心を深めるための広報その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(財政上の措置)
第9条 市は、ふるさと産業の振興に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
附則
この条例は、公布の日から施行する。