○西入間広域消防組合中高層建築物等に関する指導要綱

昭和62年10月2日

告示第9号

第1章 総則

(目的)

第1条 この要綱は、西入間広域消防組合における中高層建築物等に関し必要な事項を定め、居住者及び勤務し又は出入りする者の安全の確保並びに当該建築物により必要となる消防用施設等の整備促進を図ることを目的とする。

(適用範囲)

第2条 この要綱は、次の各号の一に該当する中高層建築物等を建築する場合に適用する。ただし、原則として一般住宅(個人の住居の用に供されるもので寄宿舎、下宿又は共同住宅以外のものをいう。)は、除くものとする。

(1) 地階を除く階数が4以上のもの

(2) 高さが15メートル以上のもの

(3) 延べ面積が800平方メートル以上のもの

(4) その他消防長が必要と認めるもの

2 前項に該当しない場合において、その後増築等により前項に該当するに至った場合は、前項の適用範囲とする。

(事前協議)

第3条 前条の建築物を建築しようとする者(以下「建築主」という。)は、建築物の確認申請前にあらかじめ次に掲げる消防用施設等について事前に消防長と協議しなければならない。

(1) 避難施設等

 バルコニー

 屋外階段

 避難誘導設備

 避難出口

(2) 警報設備等

 自動火災報知設備

 非常放送設備

(3) 消防自動車の進入道路等

 はしご自動車の進入道路等

 はしご自動車の活動用空地

 消防ポンプ自動車等の進入道路等

(4) 消防活動上必要な施設

 連結送水管

 水圧開放装置

 無線通信補助設備

 ヘリポート等

 非常用エレベーター

(5) 防炎

 防炎寝具等

(6) その他

 消防長が必要と認めるもの

2 前項により消防用施設等の設置及び整備をする場合の費用は、建築主が負担を負わなければならない。

第2章 消防用施設等

第1節 避難施設等

(バルコニー)

第4条 消防法施行令(昭和36年政令第37号。以下「施行令」という。)別表第1(6)項ロ等に掲げる防火対象物には、2階以上の階に避難上有効なバルコニーを次により設置するものとする。ただし、スプリンクラー設備が設置されている場合は、この限りでない。

(1) バルコニーの位置は、直通階段の位置とおおむね対称の位置とし、かつ、当該階の各部分と容易に連絡されていること。

(2) バルコニーは、道路等又は幅員1メートル以上の敷地内通路に面し、かつ、安全な場所に避難できる手段が講じられていること。

(3) 屋内からバルコニーに通じる出入口の幅及びバルコニーの幅、床の段差、傾斜、溝等は、歩行器、車椅子、担架等を使用しても容易に避難できること。

(4) バルコニーは、十分外気に開放されていること。

(5) バルコニーの手すりの高さは、おおむね1.1メートルとし、手すりを伝わって容易に避難できる構造とすること。

(屋外階段)

第5条 階数が3以上の建築物には、原則として屋外階段を次により1以上設置するものとする。

(1) 各階において階段周長の2分の1以上が外気に開放されていること。

(2) 手すりは、転倒防止のためおおむね0.9メートルとすること。ただし、踊り場は、1.1メートル以上とする。

(避難誘導設備)

第6条 目、耳が不自由な者を収容する建築物には、閃光型警報装置、点滅型誘導灯、誘導音装置付誘導灯等を設置するものとする。

(避難出口)

第7条 建築物には、避難出口を次により設置するものとする。

(1) 避難出口の扉は、外開きとし開放した場合において廊下、階段等の有効幅員を狭めない構造とすること。

(2) 屋内から避難階段に通じる避難出口の上部には、おおむね30センチメートル以上の防煙上有効な固定の垂れ壁等を設置すること。

(3) 避難出口を施錠する場合は、サムターン、プッシュボタン、非常錠等により内側から簡単に開放できること。

(4) 前号以外の場合は、火災の際煙感知器等の作動により自動的に解錠できる装置の設置又は防災センター等において煙感知器等の作動により遠隔操作で解錠できること。

第2節 警報設備等

(自動火災報知設備)

第8条 次に掲げる防火対象物の就寝施設として用いる居室は、煙感知器を設置するものとする。

(1) 施行令別表第1(5)項イ及び(6)項ロに掲げる防火対象物

(2) 施行令別表第1(6)項イ(1)から(3)に掲げる防火対象物

(3) 施行令別表第1(6)項ハに掲げる防火対象物(利用者を入居させ、又は宿泊させる施設を有するものに限る。)

(4) 施行令別表第1(16)項イに掲げる防火対象物(前3号に掲げる防火対象物の用途に供される部分が存するものに限る。)

(非常放送設備)

第9条 前条に掲げる防火対象物のうち、収容人員20人以上300人未満のものについては、自動火災報知設備の作動と連動し、人の手を経ず自動的に音声合成による避難誘導等の放送が行える一斉式非常放送設備を設置するものとする。

2 前項による自動放送の内容及び方法については、別に定める基準によるものとする。

第3節 消防自動車の進入道路等

(はしご自動車の進入道路等)

第10条 第2条第1項第1号及び第2号に該当する建築物は、はしご自動車が幹線道路から当該建築物の外周部に進入することができる道路及び通路等(以下「道路等」という。)を整備するものとし、次に適合するものとする。

(1) 道路等の有効幅員は、4メートル以上であること。

(2) 道路等の屈曲又は交差の部分には、幅員に応じた附図等に定めるすみ切りを設けること。

(3) 道路等の周辺部分(高さ4メートル以下の部分)は、はしご自動車の運行障害となる門、塀、電力電話柱及び支線、樹木、看板、柵並びに駐車車両等の障害要因が存在しないこと。

(4) 道路等は、はしご自動車の総重量(20トン)に耐えられる構造であること。

(5) 道路等の縦断勾配は、9パーセント以下、段差は、0.1メートル以下であること。

(はしご自動車の活動用空地)

第11条 前条のほか、原則として建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第126条の6の規定による非常用の進入口又は非常用の進入口に代わる開口部(共同住宅等は、各住戸等のバルコニー)のすべてにはしご自動車のはしごが架ていすることができる活動用空地を整備するものとし、次に適合するものとする。

(1) 活動用空地は、幅6メートル以上長さ14メートル以上であること。

(2) 活動用空地は、建築物の外壁(バルコニー等が設置されている建築物は、バルコニー等の外側)からはしご自動車のはしごの旋回中心まで建築物の高さに応じて6メートルから10メートルの範囲内に部署できる位置であること。

(3) 活動用空地の周辺は、前条第3号の基準に準ずるほか、はしご自動車のはしごの伸てい及び旋回に支障となる工作物(電力線、電話線等を含む。)等を設置しないこと。

(4) 活動用空地の構造は、前条第4号の基準に準ずるほか、地盤支持力がはしご自動車の車両支持装置の接地圧(8キログラム平方センチメートル)に耐えられる構造であること。

(5) 活動用空地の縦・横断勾配は、5パーセント(3度)以下であること。

(6) 活動用空地には、別に定めるはしご自動車活動用空地である旨の標示をすること。

2 前条及び前項によるはしご自動車の進入道路等及び活動用空地を整備することができない建築物は、次によるものとする。

(1) 建築物(3階以上の階)の全周に、次に適合する屋外階段等に通じる連続バルコニー等を設置すること。

 バルコニーの手すりは、350ミリメートルの範囲内の各部分において等分布荷重600キログラムに耐えられること。

 バルコニーの有効幅員は、600ミリメートル以上とすること。

(2) 屋上又は屋根の部分に、次に適合する丸環を設置すること。

 丸環は、吊り荷重1,500キログラムに耐えられること。

 丸環の設置間隔は、3メートルから6メートル毎とすること。

 丸環の材質は、ステンレス等耐食性に優れたものとすること。

3 非常用の進入口及び非常用の進入口に替わる開口部には、外側から鍵を解錠することのできる装置を取り付けるものとする。

(消防ポンプ自動車等の進入道路等)

第12条 第2条第1項第1号及び第2号に該当しない建築物は、消防ポンプ自動車等が幹線道路から当該建築物の外周部に進入することができる道路等を整備するものとし、次に適合するものとする。

(1) 道路等の有効幅員は、4メートル以上であること。

(2) 道路等のすみ切りは、3メートル以上であること。ただし、交差角が120度以上の場合は、2メートル以上、60度以下の場合は、4メートル以上であること。

(3) 道路等の周辺部分(高さ3.5メートル以下の部分)は、第10条第3号の基準に準ずること。

(4) 道路等は、消防ポンプ自動車等の総重量(20トン)に耐えられる構造であること。

第4節 消防活動上必要な施設

(連結送水管)

第13条 連結送水管は、地階を除く階数が5以上又は地階の床面積の合計が1,000平方メートル以上の建築物に設置するものとし、施行令第29条の技術上の基準によるほか、次に適合するものとする。

(1) 放水口の設置階は、地上3階以上地下1階以下とすること。

(2) 放水口の設置位置は、階段室内(屋外階段を含む。)又は建築基準法(昭和25年法律第201号)第34条第2項の規定による非常用の昇降機(以下「非常用エレベーター」という。)の乗降ロビーその他これらに類する場所(当該部分から5メートル以内の場所を含む。)で消防隊が有効に消火活動を行うことができる位置とし、階段室内等に放水口を設けた場合の防火戸には、蛍光性の塗色をした消防用ホース通過孔(幅15センチメートル、高さ15センチメートル)を設けること。

(3) 11階以上の階の放水口には、長さ20メートルのホース2本以上及び噴霧切り替えノズル1本を格納箱に格納し接続しておくこと。

(4) 放水口又は格納箱の上部には、赤色の灯火を施行規則第12条の技術上の基準に準じて設けること。

(5) 階段室型の建築物の配管は、階段室毎に設けること。

(6) 配管内には、常に充水しておくこと。

(水圧開放装置)

第14条 水圧開放装置は、次の位置に設置するものとする

(1) 階段室等空地に面した消防隊が進入できる位置とすること。

(2) 屋外階段の各階の出入口とすること。ただし、出入口にガラス等を設け、当該ガラス等を外部から容易に一部を破壊することにより開放することができる場合は、この限りでない。

(無線通信補助設備)

第15条 無線通信補助設備は、地階の床面積の合計が1,000平方メートル以上の建築物に設置するものとし、施行令第29条の3の技術上の基準によるほか、次に適合するものとする。ただし、建築物の外周の2分の1以上がドライエリア等に面する場合は、この限りでない。

(1) 無線の接続端子は、消防長が指定する場所に設置することとし、設置高さは地盤面から0.5メートル以上1.5メートル以下とすること。

(2) 空中線等は、無線機(送信出力2ワット)の周波数(270メガヘルツ帯)を有効に伝送及びふく射できること。ただし、次の部分は、この限りでない。

 耐火構造及び甲種防火戸で区画された100平方メートル以下の倉庫、機械室、電気室、その他これらに類する部分

 室内の各部分から一の出入口までの歩行距離が20メートル以下の部屋で、各出入口のシャッター及び扉が閉じられた状態における当該部屋の部分

 柱、壁、金属物等のある場所のうち電波が著しく遮閉されるきん少な部分

(3) 一の接続端子に無線機を接続した場合、ほかの接続端子に接続した無線機と通話ができること。

(4) ケーブルは、難燃性のものとし、不燃材料で区画された天井裏に敷設する等これと同等以上の耐熱措置を講じること。

(ヘリポート等)

第16条 高さ31メートルを超える非常用エレベーターの設置を要する高層建築物には、ヘリコプターの飛行場外離着陸場、屋上緊急離着陸場、緊急救助用スペースのいずれかを、緊急時にヘリコプターの離着陸等が必要な救命救急センター(第3次医療機関)及び高度医療施設等には、ヘリポート、飛行場外離着陸場、緊急離着陸場のいずれかを設置するものとする。

2 前項のヘリポート等の設置については、別に定める基準によるものとする。

(非常用エレベーター)

第17条 高さ31メートルを超える建築物に非常用のエレベーターを設置する場合は、次によるものとする。

(1) 建築物の部分によって地盤面が異なる場合は、低い地盤面を基準として非常用エレベーターを設置すること。

(2) 高さ31メートルを超える部分の階数が4以下で、当該部分を100平方メートル以下に防火区画(建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第129条の13の2第2号に規定に定めるもの)されたものにあっても、施行令別表第1(5)項イ、(6)項イ及び(6)項ロ等に掲げる防火対象物並びに自力避難が困難な者を夜間に多数収容する施設等には、非常用エレベーターを設置すること。

(3) 施行令別表第1(5)項イ、(5)項ロ、(6)項イ及び(6)項ロ等に掲げる防火対象物に設置する非常用エレベーターは、1基以上救急用担架が収容可能なかごの大きさ(奥行き2メートル以上)とすること。ただし、一般のエレベーターに当該担架を収納可能とした場合は、この限りでない。

(4) 非常用エレベーターは、次により配置すること。

 非常用エレベーターは、防災センターから容易に到達できる位置とすること。

 非常用エレベーターを2基以上設置する場合は、一方に遍在しないこと。

 乗降ロビーに通じる屋外からの出入口は、消防自動車が接近できる通路等に面して設置すること。

 乗降ロビーは、避難通路となる廊下と兼ねないこと。ただし、特別避難階段の附室と共用する場合を除く。

 乗降ロビーは、避難階にも設置すること。ただし、昇降路の出入口に通じる部分から進入が容易な場所であり、他の部分と消火活動上有効に区画されている場合は、この限りでない。

 非常用エレベーターの乗降ロビーと一般用エレベーターの乗降ロビーとは兼用しないこと。

 特別避難階段の附室と兼ねない乗降ロビーの扉は、外開きとすること。

(5) 前条によりヘリコプターの飛行場外離着陸場等を設ける場合は、屋上に1基以上非常用エレベーターが着床すること。

第5節 防炎

(防炎寝具等)

第18条 施行令別表第1(5)項イ、(6)項イ及び(6)項ロ等の防火対象物並びに自力避難が困難な者を夜間に多数収容する施設等は、布団、毛布、シーツ、枕、枕カバー等の寝具類又は寝巻等の寝衣類は防炎製品を使用するものとする。

第3章 雑則

(事前協議の申出)

第19条 第3条により事前協議をする場合は、建築行為事前協議申出書(第1号様式)を消防長に提出しなければならない。

(協議の締結)

第20条 建築主は、協議決定した事項について消防用施設等協議締結書(第2号様式)により消防長と締結するものとする。

(変更の報告)

第21条 建築主は、建築計画に変更を生じた場合は、速やかに消防長に報告しなければならない。

2 消防長は、前項による報告がないと認めた場合は、建築主に対し報告又は資料の提出を求め、若しくは勧告することができる。

(検査)

第22条 消防用施設等が完成した場合には、速やかに消防長の検査を受けなければならない。

2 消防長は、工事の途中又は完成後において随時検査することができる。

(その他)

第23条 この要綱に定めのないもの及びこの要綱の施行について、必要な事項は、消防長が別に定める。

(昭和62年告示第9号)

この告示は、告示の日から施行し、昭和62年9月1日から適用する。

(昭和63年告示第4号)

この告示は、昭和63年4月1日から施行する。

(平成2年告示第11号)

この告示は、平成2年10月1日から施行する。

(平成4年告示第4号)

この告示は、平成4年5月1日から施行する。

(平成9年告示第3号)

1 この告示は、平成9年4月1日から施行する。

2 この告示の施行の際、現に存する中高層建築物等又は現に新築、増築の工事中の中高層建築物等については、改正後の西入間広域消防組合中高層建築物等に関する指導要綱第11条第3項、第13条第2号及び第5号、第18条第2項及び第3項に適合しないものに係る位置及び構造の基準については、なお従前の例による。

(平成12年告示第7号)

この告示は、平成12年10月1日から施行する。

(平成12年告示第8号)

この告示は、平成12年10月1日から施行する。

(平成21年告示第4号)

この告示は、平成21年4月1日から施行する。

(平成25年告示第4号)

この告示は、平成25年2月1日から施行する。

(令和2年告示第11号)

この告示は、令和2年8月1日から施行する。

(令和3年告示第12号)

1 この告示は、令和3年10月15日から施行する。

2 この告示の施行の際、現に改正前の告示による消防施設等協議済のもので、工事着手前のものは、事業者の申し出により、この告示を適用することができる。

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西入間広域消防組合中高層建築物等に関する指導要綱

昭和62年10月2日 告示第9号

(令和3年10月15日施行)