○赤磐市議会基本条例

平成24年12月21日

条例第41号

(前文)

平成12年4月に施行されたいわゆる地方分権一括法によって地方議会の権限が強化される一方で担うべき役割や責任はより重くなってきている。そのような中で、議会の公平性・透明性を確保した上で、開かれた議会づくりの推進は主権者である市民の意思を的確に市政に反映させるために必要不可欠である。他方で、今赤磐市にとって取り組むべき最優先課題は何かを見極め、その課題の実行、達成のため議論を尽くし、正しい結論が導かれるよう最大限の努力をすることが議会並びに議員各個に求められている。

地方議会は市民から選挙で選ばれた議員と市長で構成された二元代表制の下、地方自治体の事務執行の監視及び評価並びに立法機能を十分発揮しながら日本国憲法に定める地方自治の本旨の実現を目指すものである。そのためには議会及びその構成員である議員が自由闊達な討議を通して論点、争点を明示し、簡潔でわかりやすい言葉で自分の意思を伝えることが、討論の広場である議会の第一の使命である。また議員は市民の信頼を失わないよう発言には十分配慮し責任と品位を持って議会活動に臨むことが求められる。

議会は与えられた権限を行使し、市民の負託に応えるために、その責務を明らかにし、市民参加の開かれた議会を推進し、将来にわたり市民福祉の向上のために最大限の努力を払うことが必要である。

ここに赤磐市議会はその構成員である議員が活動するに当たっての議会の基本理念、議員の責務及び活動原則等を定め、市民の負託に全力で応えていくことを決意し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、住民自治の実現に向けて、赤磐市議会(以下「議会」という。)及び赤磐市議会議員(以下「議員」という。)が担う役割を果たすために必要な基本的事項を定めることにより、自由闊達な討議を通して議会を活性化し、開かれた議会運営の実現を図るとともに、公平性、透明性を確保した上で、赤磐市民(以下「市民」という。)の負託に応えられるよう、民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(議会の活動原則)

第2条 議会は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 公平性、透明性及び信頼性を確保するとともに、市民に開かれた議会を目指すこと。

(2) 市民の多様な意見を把握し、政策形成に適切に反映できるよう、市民参加の機会の拡充に努めること。

(3) 市民本位の立場から、適切な市政運営が行われているかを監視及び評価するとともに、議会の政策提言を行う機能が十分に発揮できるよう努めること。

(4) 議会運営は、市民の傍聴の意欲が高まるよう、簡潔で分かりやすい視点、方法等で行うこと。

(議員の活動原則)

第3条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 議会が言論の府であること及び合議制機関であることを十分認識し、議員間の自由な討議を重んじること。

(2) 市政の課題全般について、市民の意見を的確に把握するとともに、調査・研究を行い自己の能力を高め、市民の代表としてふさわしい活動をすること。

(3) 議会の構成員として、一部団体及び地域の代表にとらわれず、市民全体の福祉の向上を目指して活動すること。

(4) 議会での申し合わせ事項を遵守し、その内容については適宜見直しを行うこと。

(会派)

第4条 議員は、議会活動を行うために2人以上の議員により会派を結成することができる。

2 会派は、議会が政策立案、政策決定、政策提言等を行おうとするときは、必要に応じて合意形成に努めるものとする。

(市民参加及び情報公開)

第5条 議会は、全議案についての各議員の賛否など議会活動についての情報公開を徹底し、市民への説明責任を果たすものとする。

2 議会は、本会議、常任委員会及び特別委員会を原則公開とし、インターネット配信に努める。

3 議会は、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)の運営にあたり、参考人制度等を活用し、市民や有識者等の意見を議会の討議に反映させるように努める。

4 議会は、市民との意見交換の場を多様に設け、議会及び議員の政策立案能力を強化するとともに、政策提案の拡大を図る。

5 本会議の傍聴者に対しては、質疑及び一般質問項目を配布し、開会中・閉会中にかかわらず、委員会の傍聴者に対しては委員会審議事項を閲覧させることができる。

6 議会は、請願及び陳情を市民からの政策提案として受け止め、委員会審議等に当たっては請願者及び陳情者の説明機会の確保に努めることとする。

(議会報告会)

第6条 議会は、広報活動の一環として、市政全般にわたって、議員及び市民が自由に情報及び意見を交換する議会報告会を年1回以上行うものとする。

2 議会報告会に関することは、別に定める。

(市長等との関係)

第7条 議会審議における議員と赤磐市長(以下「市長」という。)その他の執行機関及びその補助職員(以下「市長等」という。)との関係は、次に掲げるところにより、緊張関係の保持に努めるものとする。

(1) 本会議における議員と市長等との質疑応答は、論点及び争点を明確にするため、原則として一問一答の方式で行うものとする。

(2) 議長から本会議及び委員会に出席を要請された市長等は、議長又は委員長の許可を得て、議員の質問に対して反問することができる。議員についても質問する内容については、的確な回答が出来るよう十分な準備をすることを求める。

(3) 議会は、市長等との立場及び権能の違いを踏まえ、議会活動を行わなければならない。特に議員は執行権の介入と判断される言動は禁止行為であるということに注意しなければならない。

(4) 議会は、市長が提案する重要な政策については、議会審議を通じて政策水準の一層の向上を図るため、市長に対し、必要な情報の提供を求めるとともに、納得するに足る説明がなされることを強く求める。

(議会審議における論点情報の形成)

第8条 議会は、市長が提案する重要な施策について、議会審議における論点情報を形成し、その政策水準を高めることに資するため、市長に対し、次に掲げる事項について明らかにするよう求める。

(1) 政策の発生源について明確に述べられていること。

(2) 政策立案時には提案に至るまでの経緯の詳細な説明がなされていること。

(3) 検討した他の政策案等と比較検討し、その有効性、優位性についての理由が明確であること。

(4) 他の地方公共団体の類似する政策と比較検討すること。

(5) 公聴会等市民参加の実施の有無とその内容の的確な説明がなされていること。

(6) 最新の赤磐市総合計画との整合性が十分とられていること。

(7) 財政の現状を踏まえた財源措置がとられていること。

(8) 費用対効果が十分考慮され、将来にわたる成果及びコスト計算が的確であること。

(地方自治法第96条第2項の議決事件)

第9条 地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第96条第2項の規定に基づく議会の議決事件は、議決責任を市長等と分担する観点から以下の事項に関することとする。

(1) 市民憲章の制定及び改廃に関すること。

(2) 総合計画(地方自治法の一部を改正する法律(平成23年法律第35号)による改正前の法第2条第4項の規定に基づき定めた基本構想を実現するための基本的な計画で、市政全般にわたり総合的かつ体系的に定めるものをいう。)の策定、変更等に関すること。

(3) その他総合的かつ計画的な行政の運営を図るための計画の策定、変更等に関することで、議長が必要と認めるもの。

2 議会は、市長等が各行政分野における基本的な計画の策定・変更等をするために計画の概要を公表し広く市民等から意見等を募集するときは、あらかじめ市長等にその理由及び概要の説明を求めるものとする。

(議員間の討議による合意形成)

第10条 議会は議員による討論の場であることを認識し、議長は市長等に対する会議等への出席要請を必要最小限度にとどめ、議員相互間の討議を中心に運営することとする。

2 議会は本会議、委員会において、議員提出議案、市長提出議案、市民提案等に関して審議し結論を出す場合、議員相互間の自由な討議により議論を尽くして合意形成に努めるとともに、市民に対しても説明責任を果たさなければならない。

3 議員は前2項による議員相互間の自由な討議を拡大するため、政策、条例等の議案の提出を積極的に行うよう努めるものとする。

(政策討論会)

第11条 議会は、市政に関する重要な政策及び課題に対して、共通認識及び合意形成を図り、もって政策立案、政策提案及び政策提言を推進するため、政策討論会を開催するものとする。

2 政策討論会に関することは、別に定める。

(委員会)

第12条 議会は、委員会の運営に当たって、資料等を公開し、市民に分かりやすい議論を行う。

2 委員長は、自由討議による合意形成に努め、委員長報告を作成し、報告に当たっては、論点・争点等を明確にして、責任をもって質疑に対する答弁を行う。

3 委員会は、付託された議案等の審査に当たり、参考人制度等を活用して、市民の専門的又は政策的識見等をその討議に反映させるよう努めるものとする。

(議員研修の充実強化)

第13条 議会は、政策形成及び政策立案能力の向上を図るため、議員研修の充実強化を図るものとする。

(議会事務局の体制整備)

第14条 議会は、議会の政策立案能力等を向上させ、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の調査及び法務能力の強化並びに組織体制の整備を図る。

(議会図書室の管理運営等)

第15条 議会は、議員の調査研究活動を支援するために設置する議会図書室を適正に管理し、運営すると共に、その図書、資料等の充実に努めるものとする。

(議会広報の充実)

第16条 議会は、議会広報紙及びホームページ、インターネット中継等の充実に努めるものとする。

2 議会は、議会独自の視点から、常に市民に対して市政に係る重要な情報を公表し、その内容及び対応を市民に周知するよう努めるものとする。

3 議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの市民が議会と市政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。

(政務活動費)

第17条 赤磐市議会政務活動費の交付に関する条例(平成18年赤磐市条例第1号)の規定により政務活動費の交付を受けた議員は、政務活動費の適正な執行に努めなければならない。

2 議会は、議長が別に定める基準により、政務活動費の収支報告書を公開する。

3 議員は、常に市民に対して使途の説明責任を負うものとする。

(政治倫理)

第18条 議員は、市民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚し、良心と責任を持って、議員としての品位を保持し、識見を養うよう努めなければならない。

(議員定数)

第19条 議員定数は、行財政改革の視点だけではなく、市政の現状及び課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するものとする。尚、議員定数の改正にあたっては、直接請求の場合を除いて、改正理由を付して議員が提案する。

(議員報酬)

第20条 議員報酬は、行財政改革の視点だけではなく、市政の現状及び課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するものとする。尚、議員報酬の改正にあたっては、直接請求の場合を除いて、改正理由を付して議員が提案する。

(議会及び議員の責務)

第21条 議会及び議員は、この条例の理念及び原則並びにこれらに基づいて制定される議会関係条例等を遵守して議会を運営し、もって市民を代表する合議制の機関として、市民に対する責任を果たさなければならない。

(議会改革の推進)

第22条 議会は、議会の信頼性を高めるため、不断の改革に努めるものとする。

2 議会は、前項の改革に取り組むため、必要に応じて議員で構成する検討組織を設置するものとする。

(調査機関の設置)

第23条 議会は、市政の課題に関する調査のため必要があると認めるときは、議決により、学識経験を有する者等で構成する調査機関を設置することができる。

2 議会は、必要があると認めるときは、前項の調査機関に、議員を構成員として加えることができる。

3 第1項の調査機関に関し必要な事項は、議長が別に定める。

(交流及び連携の推進)

第24条 議会は、政策等の形成及び広域的な課題の解決に資するため、他の自治体の議会と積極的な交流及び連携を図るものとする。

(予算の確保)

第25条 議長は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議会が議事機関としての機能を確保するとともに、より円滑な議会運営を実現し、かつ政務調査機能の充実を図るために必要な予算の確保に努めるものとする。

(最高規範性)

第26条 この条例は、議会運営における最高規範であって、議会は、この条例に違反する議会の条例、規則、規定等を制定してはならない。

2 議会は、この条例を適用する場合においては、日本国憲法、法律その他の法令等に照らし厳格に運用しなければならない。

3 議会は、この条例の理念を共有する為、一般選挙を経た任期開始後、速やかに、この条例の研修を行うものとする。

(見直し手続)

第27条 議会は、制度の改善が必要な場合は、この条例の改正を含めて適切な措置を講ずることができるものとする。

2 議会は、この条例を改正する場合には、本会議において、改正理由を詳しく説明しなければならない。

この条例は、平成25年1月1日から施行する。

(平成25年2月28日条例第21号)

この条例は、地方自治法の一部を改正する法律(平成24年法律第72号)附則第1条ただし書に規定する規定の施行の日から施行する。

赤磐市議会基本条例

平成24年12月21日 条例第41号

(平成25年3月1日施行)