○赤磐市議会議員政治倫理条例
令和2年10月1日
条例第22号
(前文)
市民の厳粛な信託を受けた議員は公職者としての品位を保持し、高い倫理観と識見を養うよう努めなければならない。
また、市民参加を基礎とした議会づくりは市民のゆるぎない信頼があって初めて実現できるものである。
議員は、議会の権威と秩序を重んじ、公平公正な市政推進を担いつつ、常に説明責任を果たしていくことが必要である。
ここに、議員と市民との信頼関係を築く礎として、議会の総意をもって赤磐市議会議員政治倫理条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、赤磐市議会議員(以下「議員」という。)が、市民全体の奉仕者として人格と倫理の向上に努め、その権限、地位の影響力を不正に行使して、自己又は特定の者の利益を図ることのないよう、規律の基本となる事項を定め、政治倫理の確立を図ることにより市民に信頼される公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
(議員の責務)
第2条 議員は、市民の代表者として、自らの職責を深く自覚するとともに、信頼に値する高い倫理性をもって市民全体の利益を図り、公平・公正な福祉社会の実現に努めるとともに、人権に配慮した言動に心掛けなければならない。
2 議員は、政治倫理基準に違反する事実があるとの疑惑を持たれ、政治的又は道義的な批判を受けたときは、自らの説明責任を果たし、当該疑惑を積極的に解明することとする。
3 議員は、本条例の趣旨を理解し、適切な運用に努めなければならない。
(市長等の責務)
第3条 市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)は、議員が政治倫理基準に違反していると認識した場合は、すみやかに議長に対し報告しなければならない。
(政治倫理基準)
第4条 議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。
(1) 市民の代表者としての矜持を持って行動し、その品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務の遂行に当たっては市民に疑惑の念を与え、道義的批判を受けるおそれのある行為をしないこと。
(2) 常に市民全体の利益追求をその指針として行動し、その地位を利用して職務の公正を疑われるようないかなる金品等も授受しないこと。
(3) 市又は市が資本金その他これに準ずるものを出資し、若しくは市と密接な関係があると認められる法人(以下「市等」という。)が行う、許可、認可、指定等又は請負その他の契約に関し、特定の者への有利又は不利な取り計らいをしないこと。
(4) 市の職員等(臨時的任用職員及び非常勤職員を含む。以下「職員等」という。)の公正な職務の執行を妨げ、その権限又は地位による影響力を不正に行使するよう働きかけないこと。
(5) 市の職員等の採用に関して推薦又は紹介をしないこと。
(6) 市職員等の昇格、昇任又は人事異動に関し介入しないこと。
(7) その権限又は地位を利用して、嫌がらせ、強制、圧力、差別的言動、その他人権侵害のおそれのある行為をしないこと。
(8) 公正な議員活動を妨げるいかなる要求にも屈しないこと。
(9) 飲食物の供与等で社会通念上疑念を持たれるおそれのある行為をしないこと。
(10) 公費から支弁された物品の使用に当たっては、その目的に従って、常に適正に行うこと。
(11) 市税等の完納又は健全な計画に基づく分納等、その納付を誠実に行うこと。
(議員の要請に対する記録)
第5条 議長は、議員が行う市長等の職員に対する要請及び要請に準ずるものに対して、日時、要請内容、対応等を記録した文書を作成するよう市長等に求めるものとする。
(就業等の報告義務)
第6条 議員は、自ら事業を営んでいる場合又は次の各号のいずれかに該当する法人その他の団体(市が資本金を出資している団体を除く。以下「法人等」という。)の無限責任社員、取締役、執行役、監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人に就いている場合は、速やかに議長に報告するものとし、事業を休止したとき又は職を辞したときも同様とする。
(1) 収益事業を営む法人等
(2) 市の許認可が必要な事業を営む法人等
(3) 市から補助金を受け、又は受けようとする法人等
(審査の請求)
第7条 議員は、議員が倫理基準に違反している疑いがあると認めるときは、議員4名以上の連署をもって、その代表者(以下「議員による審査請求の代表者」という。)から議長に対し、倫理基準に違反する行為の存否について審査の請求(以下「審査請求」という。)をすることができる。
2 議員の選挙権を有する者(公職選挙法(昭和25年法律第100号)第22条の規定による選挙人名簿に登録されている者をいう。)は、政治倫理基準に違反する疑いがあると認められる議員があるときは、議員の選挙権を有する者の総数の100分の1以上の者の連署をもって、その代表者(以下「市民による審査請求の代表者」という。)から議長に対し、審査を請求することができる。この場合において、連署に係る署名は、当該審査を請求した日前1月以内に行われたものでなければならない。
3 前2項の規定による審査の請求をしようとする者は、審査請求書に政治倫理基準に違反する疑いがあることを証する書類等を添えて議長に提出しなければならない。
4 議長は、市民による審査請求の代表者から第2項の規定による審査請求があったときは、直ちに選挙管理委員会に対し、審査請求書に署名した者が選挙人登録名簿に登録された者であることの確認を求めるものとする。この場合において、選挙管理委員会は、署名の効力を確認し、その結果を議長に報告するものとする。
7 第2項の場合において、市内で衆議院議員、参議院議員又は地方公共団体の議会の議員若しくは長の選挙が行われることとなるときは、規則で定める期間は請求のための署名を求めることができない。
(審査の適否)
第8条 議長は、審査請求があったときは、当該審査請求の適否について議会運営委員会に諮るものとする。
2 審査の請求の対象となった議員(以下「審査対象議員」という。)が議会運営委員会に所属する議員のときは、その審査に加わることができない。
3 議会運営委員会は、第1項の規定による審査を終えたときは、審査相当若しくは審査不開始の決定を議長に報告するものとする。
4 議長は、前項の審査結果を議員による審査請求の代表者又は市民による審査請求の代表者(以下「代表者」という。)に通知するものとする。
(審査会の設置)
第9条 議長は、前条に規定する審査の結果、審査請求を適当と認めたときは、これを審査するため、赤磐市議会議員政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を設置するものとする。
2 審査会の委員は8人以内とし、議長が議員の中から公正を期して選任する。
3 審査会に委員長及び副委員長を置き、委員の互選により定める。
4 委員長は会議を招集し、及び主宰し、副委員長は委員長に事故あるときに委員長の職務を行う。
5 審査会は、委員の半数以上の出席がなければ、会議を開くことができない。
6 審査会は、議長に対する当該事案の審査結果の報告を終了したとき消滅する。ただし、当該事案の審査結果を報告する前に議員の任期が満了するときは、議員の任期満了をもって消滅する。
(審査会の審査)
第10条 審査会は、議長から審査を付託されたときは、倫理基準違反行為の存否について審査する。
2 審査会は、前項の審査を行うため必要があると認めるときは、審査対象議員その他の者から意見若しくは事情を聴取し、又は資料の提出を求めることができる。
3 審査対象議員は、審査会の要求があるときは、審査に必要な資料を提出し、又は会議に出席をして意見を述べなければならない。
4 審査会は、審査対象議員から審査会において弁明したい旨求められたときは、その機会を保障しなければならない。
5 審査を終えたときは、その審査結果を速やかに議長に報告しなければならない。この場合において、審査会は、必要と認める措置について、理由を付した文書をもって議長に勧告することができる。
6 審査会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
7 前項の規定にかかわらず、審査会は、審査対象議員につき、政治倫理基準に違反し、政治的又は道義的に重大な責任があると認める場合で、議員辞職の勧告、役職辞任の勧告、出席自粛の勧告その他の勧告を審査結果に明記しようとするときは、委員の3分の2以上の者が出席し、その3分の2以上の多数によりこれを決定しなければならない。
8 審査会は、審査の結果、審査対象議員の名誉を回復することが必要であると認めるときは、必要な措置を講ずるよう議長に求めるものとする。
9 審査会の会議は、公開する。ただし、出席委員の3分の2以上の多数で議決したときは、これを公開しないことができる。
(審査会の記録等)
第11条 審査会は、審査を終了したときは、審査会の記録を作成するものとする。
2 前項の審査会の記録は、議長に提出する。
(守秘義務)
第12条 審査会の委員及び議会運営委員会の委員は、職務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。委員の職を退いた後も、同様とする。
(審査結果の通知及び公表)
第13条 議長は、審査会から審査結果の報告を受けたときは、その審査結果を議会運営委員会において報告するものとする。
2 議長は、前項の報告を終えたときは、代表者及び審査対象議員に対し、速やかに審査結果を通知し、その概要を公表しなければならない。
3 審査対象議員は、前項の通知があった日から14日以内に限り、弁明書を議長に提出することができる。
(審査結果の措置)
第14条 議長は、審査会から報告を受けた審査結果を尊重し、政治倫理基準に違反したと認められる議員に対して、議会の名誉及び品位を守り、市民の信頼を回復するために、次に掲げる必要な措置を講ずるものとする。
(1) 議場での注意
(2) 議場での陳謝の勧告
(3) 一定期間出席自粛の勧告
(4) 議員が就任している職で議長が別に定める職の辞任勧告
(5) 正副議長、監査委員、議会運営委員会の委員の辞職勧告
(6) 常任委員会及び特別委員会の正副委員長の辞職勧告
(7) 議員の辞職の勧告
(8) 前各号に掲げるもののほか、議長が必要と認める措置
2 議長は、前項の措置を講じたときは、その措置を、代表者及び審査対象議員に対して通知するとともに、速やかに公表しなければならない。
(刑確定後の措置)
第15条 議員が、有罪判決の宣告を受け、その刑が確定したときは、公職選挙法第11条第1項の規定により失職する場合を除き、議会は、その名誉と品位を守り、市民の信頼を回復するため、議員辞職の勧告等必要な措置を講ずるものとする。
(市との請負契約等に関する遵守事項)
第16条 議員の配偶者、2親等以内若しくは同居の親族又は議員が役員をしている法人等若しくは議員が実質的に経営に携わる法人等は、市が行う工事等の請負契約、業務委託契約及び物品納入契約の締結を行わないよう努めるものとする。また、議員の配偶者、2親等以内又は同居の親族が自ら事業を営んでいる場合も、同様である。
(議長職務の代行)
第17条 議長が審査対象議員となったときは副議長が、議長及び副議長がともに審査対象議員となったときは議会運営委員会委員長が、この条例に規定する議長の職務を行う。
(委任)
第18条 この条例の施行に関し必要な事項は規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は令和2年10月1日から施行する。
(適用区分)
2 第6条に規定する就業等報告は、施行日の翌日から起算して20日以内に行うものとする。
3 第7条に規定する審査の請求はこの条例の施行する日(以下施行日という)以後に行われた議員の行為について適用する。