○芦屋市消防本部火災調査規程
令和5年4月1日
消防訓令甲第1号
芦屋市消防本部火災調査規程(平成19年芦屋市消防訓令甲第1号)の全部を改正する。
目次
第1章 総則
第1節 通則(第1条―第3条)
第2節 火災の基準(第4条―第6条)
第3節 調査の体制(第7条―第10条)
第2章 原因調査
第1節 通則(第11条―第13条)
第2節 火災出場時及び火災現場における調査(第14条―第19条)
第3節 現場保存(第20条―第22条)
第4節 質問(第23条―第27条)
第5節 立証のための調査(第28条・第29条)
第6節 児童に対する取扱い(第30条―第35条)
第3章 原因判定(第36条―第39条)
第4章 損害調査(第40条―第48条)
第5章 照会及び資料の提出(第49条―第52条)
第6章 報告等(第53条―第58条)
第7章 その他(第59条―第65条)
第8章 雑則(第66条・第67条)
附則
第1章 総則
第1節 通則
(趣旨)
第1条 この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災の調査(以下「調査」という。)について必要な事項を定めるものとする。
(調査の目的)
第2条 調査は、火災報告取扱要領(平成6年消防災第100号。以下「取扱要領」という。)に基づき、火災の原因及び損害並びに関係者等(法第2条第4項に定める関係者及びその他火災に関係のある者をいう。以下同じ。)の行動等を明らかにして、火災予防施策及び警防対策に必要な基礎資料等消防行政を推進するためのあらゆる情報の収集を図り、もって市民生活の安全を確保することを目的とする。
(調査の区分)
第3条 調査は、原因調査及び損害調査に区分する。
2 原因調査は、次に掲げる事項について行うものとする。
(1) 出火原因 出火箇所、発火源、経過及び着火物
(2) 火災の性状 煙の流動状況、延焼経路及び延焼拡大の要因
(3) 火災初期の対応 発見状況、通報状況及び消火状況
(4) 避難状況 火災現場における避難者、要救助者の行動及び救出救助
(5) 消防用設備等の使用状況
(6) その他消防行政上必要な事項
3 損害調査は、次に掲げる事項について行うものとする。
(1) 焼き損害 火災によって焼けた物及び熱によって破損した物等の損害
(2) 消火損害 消火活動によって受けた水損、破損、汚損等の損害
(3) 爆発損害 爆発現象により受けた焼き損害及び消火損害以外の損害
(4) その他損害 煙害等による損害
(5) 死傷者 火災に起因して生じた死傷者及び負傷者
第2節 火災の基準
(火災の定義)
第4条 火災とは、人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生した消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの、又は人の意図に反して発生し、若しくは拡大した爆発現象をいう。
(火災の件数)
第5条 1件の火災とは、原則として、1つの出火点から拡大したもので、出火に始まり鎮火するまでをいう。
(火災の種別)
第6条 火災の種別は、次のとおり区分する。
(1) 建物火災 建物又はその収容物が焼損した火災をいう。
(2) 林野火災 森林、原野又は牧野が焼損した火災をいう。
(3) 車両火災 自動車車両、鉄道車両及び被けん引車又はこれらの積載物が焼損した火災をいう。
(4) 船舶火災 船舶又はその積載物が焼損した火災をいう。
(5) 航空機火災 航空機又はその積載物が焼損した火災をいう。
(6) その他の火災 前各号に該当しない火災をいう。
2 前項の火災種別が複合した場合は、焼き損害額の大なるものの種別とする。ただし、その態様により焼き損害額の大なるものの種別によることが社会通念上適当でないと認められるときは、この限りでない。
3 前項の焼き損害額が同額又は算出されない場合は、出火点の位置によりその火災種別とする。
第3節 調査の体制
(調査の責任)
第7条 消防署長(以下「署長」という。)は、芦屋市域内の調査の責任を有するものとする。
2 消防長は、署長に対し、調査遂行上必要な指示を与えるものとする。
3 警防課長は、調査業務に関する事象の把握に努めるとともに、署長に対し、調査遂行上必要な助言を行うものとする。
(調査業務体制)
第8条 消防長は、消防行政上特に必要と認める火災については調査本部を設置し、その組織、任務分担等はその都度消防長が定めるものとする。
2 署長及び警防課長は、調査に必要な人員及び調査用資機材等を整備し、調査体制を確立しておかなければならない。
3 署長は、調査体制に万全を期すとともに、調査員に対して調査に関する知識及び技術を教養し、調査技術の向上に努めなければならない。
4 署長は、調査を円滑に推進するため、統括調査指揮者として消防署副署長及び分署長を充てる。
5 調査員は、原則、火災が発生した管轄区域の署所で編成するものとする。
6 統括調査指揮者は、火災の規模に応じて調査指揮者を指名するものとする。
7 調査指揮者は、具体的な調査計画をたて、任務分担を明確に指示するものとする。
(指名調査員)
第9条 署長は、調査員とは別に指名火災調査員(以下「指名調査員」という。)を配置する。
2 指名調査員は、消防大学校及び県消防学校において、調査に関する専門的な知識を得た者等の中から署長が指名する。
3 指名調査員は、調査及び書類作成にかかる助言を行い、調査指揮者を支援するものとする。
4 指名調査員は、調査業務を適正かつ円滑に推進するため、職員に対して積極的に研修及び指導並びに助言を行わなければならない。
5 調査指揮者は、火災の規模及び特異火災において必要と認める場合は、指名調査員の現場立会いを求めることができる。
(調査員の心得)
第10条 調査員は、火災現象、関係法令等調査に必要な知識の修得、探求心の保持及び調査技術の向上に努めるとともに、次の事項を遵守しなければならない。
(1) 調査員相互の連絡を図り、調査業務の進行が円滑になるよう努めること。
(2) 調査に際しては、関係者等の民事的紛争に関与しないように努めるとともに、個人の自由・権利を不当に侵害し、調査上知り得た秘密をみだりに他に漏らさないこと。
(3) 調査の経過その他参考となるべき事項を記録しておくこと。
(4) 関係のある場所へ立ち入るときは、原則として関係者の立会いを得ること。
(5) 警察機関その他の関係機関とは密接な連絡をとり相互に協力して調査を進めること。
第2章 原因調査
第1節 通則
(調査の原則)
第11条 原因調査は、物的証拠を主体とし、先入観にとらわれることなく、科学的な方法による確認と合理的な判断により、事実の究明に努めなければならない。
(調査の開始)
第12条 原因調査は、火災の覚知と同時に着手し、火災の防御活動(以下「防御活動」という。)と並行して行わなければならない。
(調査の方法)
第13条 原因調査は、火災状況の見分、関係者等に対する質問及び資料の提出命令若しくは報告の聴取、鑑定又は再燃実験その他の方法により行う。
第2節 火災出場時及び火災現場における調査
(火災現場の見分)
第14条 火災に出場した職員(以下「消防隊員等」という。)は、防御活動中における火煙の位置、規模、色、臭い、燃焼音、延焼経路等の火災状況の見分に努めなければならない。
2 火災状況の見分は、必要に応じてその状況を火災出場時における見分調査書に記載するものとする。
3 火災状況の見分は、その内容を明確にするため、図面及び写真により記録し、前項の見分調査書に添付するよう努めなければならない。
(聞き込み調査)
第15条 消防隊員等は、火災の早期発見者及びその他関係のある者に対して、迅速かつ的確に聞き込み調査を行い、火災原因の判定に必要な情報の収集に努めなければならない。
2 消防隊員等は、前項の聞き込み調査により知り得た事項について、内容を記録し、必要に応じて聞き込み書を作成するものとする。
(死者が生じている場合の取り扱い)
第16条 消防隊員等は、火災現場において死者を発見したときは、直ちに現場最高指揮者に報告しなければならない。
2 前項の報告を受けた現場最高指揮者は、警察官等に通報するとともに、必要な措置を講じなければならない。
(鎮火後の実況見分)
第17条 調査員は、火災現場その他関係のある場所に立ち入り、見分し、証拠資料の発見収集に努めなければならない。
2 調査指揮者は、前項の現場調査にあたって、あらかじめ開始日時等を関係者等に通知し、現場見分は、努めて関係者等の立会いのもとに行わなければならない。
4 前項の実況(鑑識)見分調査書及び火災原因判定書には、必要に応じて図面又は写真を添付するものとする。この場合において、写真は実況(鑑識)見分調査書若しくは火災原因判定書又は写真台帳に貼付するものとする。
(現場発掘)
第18条 現場発掘は、実況見分及び火災状況の見分並びに関係者等の申述を総合的に判断して出火範囲を限定し、実施するものとする。
2 現場発掘は、出火範囲として限定した区域を周囲から出火箇所付近と推測される核心部に向かって順次実施するものとする。
3 現場発掘は、原状を復元する観点に立って行うものとする。
(調査終了時の処置)
第19条 調査指揮者は、火災現場における調査を終了したときは、関係者等に終了した旨を通知するものとする。
2 前項の通知は、焼損状況及び関係者等の申述に基づき、客観的に判明した状況を説明するものとし、次の事項について留意し通知する。
(1) 再出火防止に関すること。
(2) 通行人等に対する危害防止に関すること。
第3節 現場保存
(防御活動中の現場保存)
第20条 防御活動に従事する消防隊員等は、出火場所付近の迅速な消火を心がけ、出火前の状態が推測できるよう原状の保存に努めなければならない。
2 防御活動のため、やむを得ず出火場所付近の物件を移動又は破壊しようとするときは、原状が分かるよう必要な措置をとらなければならない。
(鎮火後の現場保存)
第21条 署長は、防御活動が終了したときは、所要の措置を講じた上で現場を保存しなければならない。ただし、調査上必要がないと認めたとき又は警察官その他の関係機関によって現場が保存されているときは、この限りでない。
2 現場保存区域は、関係者であってもみだりに出入りさせてはならない。
(原状の変更)
第22条 調査員は、現場見分を行う前にやむを得ず現場の原状を変更するときは、写真、図面、記録その他の方法により原状を明らかにするよう措置しなければならない。
第4節 質問
(質問)
第23条 調査員は、必要に応じて、次に掲げる者に対して調査上必要な事項について質問し、火災状況と事実の把握に努めなければならない。
(1) 出火行為者
(2) 火元関係者等
(3) 発見・通報・初期消火者
(4) 被救助者・負傷者
(5) 前各号に掲げる者のほかその他関係のあるもの
2 前項の質問により知り得た事実のうち、火災原因の判定に必要と認められる内容については、質問調査書にその内容を記録しなければならない。ただし、消火協力者等の出火に直接関係のない者については、聞き込み書でこれに代えることができるものとする。
3 調査員は、前項の記録した内容を申述者に読み聞かせ、又は閲覧させ、記載事項の内容に誤りがないことを確認させるものとする。
4 調査員は、前項における内容の確認を行った際は、その旨を質問調査書に記載するものとする。この場合において、申述者より内容の否定、削除及び追加等があった場合は、その内容を質問調査書に記載するものとする。
(任意申述の確保)
第24条 調査員は、質問を行うときは強制手段を避け、場所、時間等を考慮して被質問者から任意の申述を得るように努め、その申述を誘導してはならない。
(伝聞の排除)
第25条 調査員は、伝聞による申述を排除し、事実の申述を得るように努めなければならない。
(通訳人の介助)
第26条 調査員は、通訳人の介助を得て質問したときは、通訳人を介してその内容を読み聞かせ又は閲覧させるものとする。
(被疑者への質問及び押収物件の調査)
第27条 署長は、警察署に留置されている放火若しくは失火の被疑者に質問し、又は押収された証拠物件を調査するときは、質問・証拠物件調査要請書により請求するものとする。
第5節 立証のための調査
(立証のための調査)
第28条 調査員は、現場調査において焼損物件等の見分が困難な場合は、場所及び日時を明確にして、詳細な見分、鑑識又は実験(以下「立証のための調査」という。)を行うものとする。
2 署長が立証のために必要と認める場合は、指名調査員に対して鑑識又は実験を行わせるものとする。
(鑑定等の依頼)
第29条 署長は、調査のため資料の鑑定が必要なときは、消防研究センターへの技術支援又は公的機関及び学識経験者等に対して鑑定を依頼するものとする。
第6節 児童に対する取扱い
(準拠)
第30条 児童に関する調査は、この節の規定によるものとする。
2 前項の児童とは、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第4条に規定する満18歳に満たない者をいう。
(関係機関との連携)
第31条 調査員は、児童に関する調査を行うに当たっては、警察署、児童相談所、学校その他関係機関との連絡を密にして行わなければならない。
(保護者等の立会い)
第32条 調査員は、児童に質問し、又は現場見分時の立会人とするときは、保護者、教師、保護司等の立会いのもとに行わなければならない。
2 調査員は、児童の特性をよく理解し、言動に注意し、その心情を傷つけないように努めなければならない。
(特例)
第33条 前条の規定にかかわらず、児童の年齢、心情その他諸般の事情を考慮し、支障がないと認めるとき又は立会人をおくことで、真実が得られないと判断されるときは、一般の例によりこれを行うことができる。
(氏名等の公表禁止)
第34条 児童の失火又は放火による火災について、市民、報道機関等に発表する場合は、氏名、年齢、住所等本人を推知できるような情報を漏らしてはならない。
(心神喪失者等への準用)
第35条 この節の規定は、心神喪失者、心身耗弱者及びろうあ者等の関係する調査について準用する。
第3章 原因判定
(火災原因判定)
第36条 火災の原因は、火災出場時における見分調査書、実況(鑑識)見分調査書、質問調査書その他関係資料等を総合的かつ論理的に検討し、客観的事実のみに基づいて判定するものとする。
(火災原因判定書)
第37条 調査員は、前条により火災の原因を判定したときは、火災原因判定書を作成しなければならない。
2 前項の火災原因判定書は、総合的結論と原因判定の経過を順序立てて明確に記載し、それぞれの事実を立証する資料を明示しなければならない。
(出火箇所)
第38条 出火箇所とは、火災の発生した箇所をいい、その分類は、取扱要領別表第7のとおりとする。
(出火原因の分類)
第39条 出火原因は、次のとおり区分する。
(1) 発火源 出火に直接関係し、又はそれ自体から出火したものをいう。
(2) 経過 出火に関係した現象、状態又は行為をいう。
(3) 着火物 発火源によって最初に着火したものをいう。
2 発火源、経過及び着火物の分類は、それぞれ取扱要領別表第3のとおりとする。
第4章 損害調査
(焼損の程度)
第40条 建物の焼損程度は、棟ごとに次のとおり区分する。
(1) 全焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の70パーセント以上のもの又はこれ未満であっても残存部分に補修を加えて再使用できないもの
(2) 半焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント以上のもので全焼に該当しないもの
(3) 部分焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント未満のものでぼやに該当しないもの
(4) ぼや 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の10パーセント未満であり焼損床面積が1平方メートル未満のもの、建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の10パーセント未満であり焼損表面積が1平方メートル未満のもの、又は収容物のみ焼損したもの
(棟数の算定)
第41条 り災した建物は、棟ごとに算定する。
2 棟とは、一つの独立した建物をいう。ただし、渡り廊下の類で2以上の棟に接続しているものは、その部分を折半して、それぞれの棟と同一の棟とみなす。
(焼損面積の算定)
第42条 焼損面積は、次のとおり区分し、算定する。
(1) 焼損床面積 建物の焼損が立体的に及んだ場合は、焼損したことによって機能が失われた部分の床面積を算出する。
(2) 焼損表面積 建物の焼損が部分的である場合(焼損が立体的に及ばなかった場合)は、内壁、天井、床板等部分的なものの表面積を算出する。
(車両等の個数の算定)
第43条 車両、船舶及び航空機の個数の算定は、り災した車体、船体又は機体ごとに算定する。
(り災世帯の算定)
第44条 住居及び家計をともにする者又は1人で居住し、家計を維持する者ごとに1世帯とする。ただし、共同住宅の共用部分のみり災した場合は、り災世帯を計上しない。
2 住居をともにして家計を別にしている者は別世帯とし、家計をともにしていても住居を別にする者は住居数によりそれぞれ1世帯とする。
3 寄宿舎その他これに類する施設に常時宿泊する者、当該施設に宿泊するすべての者の集まりを1世帯とする。
(世帯のり災程度)
第45条 世帯のり災程度は、次のとおり区分する。
(1) 全損 建物(収容物を含む。以下この条において同じ)の火災損害額がり災前の建物の評価額の70パーセント以上のものをいう。
(2) 半損 建物の火災損害額がり災前の建物の評価額の20パーセント以上で全損に該当しないものをいう。
(3) 小損 建物の火災損害額がり災前の建物の評価額の20パーセント未満のものをいう。
2 り災人員の算定は、り災世帯のすべての人員とする。ただし、共同住宅の共用部分のみり災した場合は、り災人員は計上しない。
3 前条第3項の世帯がり災したときは、被害を受けた「へや」に居住する人員又は実際に火災損害を受けた人員のみをり災人員とする。
(火災損害調査)
第46条 調査員は、現場調査終了後、り災程度を把握するとともに、り災物件及び火災損害届を総合的に検討し、損害の把握に努めなければならない。
2 損害額の算定基準は、取扱要領に基づき算出しなければならない。
3 前項により損害額を決定したときは、損害調査書を作成しなければならない。
4 損害額の査定は、原則として損害査定書を用いるものとする。
(火災損害届)
第47条 署長は、り災した消防対象物の関係者から次に掲げるところにより火災損害届の提出を求めるものとする。
(1) 火災損害届(不動産・動産用)
(2) 火災損害届(動産用)
(3) 火災損害届(車両・船舶・航空機・林野・その他)
2 署長は、前項の火災損害届を審査して受理するものとし、調査員によるり災程度の把握と内容が著しく異なる場合は、届出者に質問して記載内容を明らかにしておかなければならない。
3 火災損害届には、必要に応じ、り災物件明細書を添付させるものとする。
(死者及び負傷者の調査)
第48条 調査員は、火災に起因して死者(病死者を除く。)又は負傷者が発生したときは、その状況を調査し、死傷者調査書を作成しなければならない。
2 消防吏員及び消防団員の死者又は負傷者は、火災を覚知したときから現場を引き揚げるときまでの間に死亡した者又は負傷した者を、それぞれ死者又は負傷者とする。
3 火災により負傷した後、48時間以内に死亡した者は、火災による死者とする。
4 火災による負傷者のうち、48時間を超えて30日以内に死亡した者については、30日死者とする。
5 負傷者の傷病の程度は、次のとおり区分する。
(1) 重症 傷病の程度が、3週間以上の入院加療を必要とする者をいう。
(2) 中等症 傷病の程度が、重症又は軽症以外の者をいう。
(3) 軽症 傷病の程度が、入院加療を必要としない者をいう。
第5章 照会及び資料の提出
(官公署への照会)
第49条 署長は、法第32条第2項に基づき、官公署に対し照会を求めるときは、火災調査事項照会書により行うものとする。
(資料の提出)
第50条 署長は、立証のための調査に必要があると認めるときは、関係者及び製造事業者等(以下この条及び次条において「関係者等」という。)に対し、任意で必要な資料の提出又は報告を求めるものとする。
2 署長は、関係者等が前項の規定による求めに応じず、必要な資料の確保が困難であると認める場合は、法第32条第1項又は法第34条第1項に基づき、資料提出命令書による資料の提出又は報告徴収書による報告の徴収を命ずるものとする。
3 前項の規定により資料の提出を命じる場合は、必ず事前に警防課長と協議するものとする。
(所有権の確認)
第51条 署長は、前条第2項の規定により資料の提出を求め、又は徴収を命じた場合は、調査資料提出書によって関係者等に所有権放棄の有無を確認しなければならない。ただし、特に必要がないと認める場合は、この限りでない。
(資料の保管)
第52条 署長は、第50条の規定により資料の提出があった場合は、資料保管書を提出者に交付しなければならない。ただし、提出者が所有権を放棄した場合は、この限りでない。
2 署長は、資料を保管するときは、資料保管台帳に記載し、調査が終了するまで慎重に保管しなければならない。
3 第1項の規定により提出された資料を返還する場合は、資料保管書と引き換えに行うものとする。
第6章 報告等
(火災等即報)
第53条 署長は、火災・災害等即報要領(昭和59年消防災第267号消防庁長官)の即報基準に該当する火災及び特定の事故が発生したときは、火災・災害等即報要領により、消防長に報告するものとする。
2 消防長は、前項の報告を受けたときは、県を通じて消防庁へ即報しなければならない。
(火災調査報告)
第54条 調査指揮者は、調査を完了したときは、署長に調査の結果を速報するとともに、次に掲げる火災調査書類を作成しなければならない。
(1) 火災調査書
(2) 火災原因判定書
(3) 火災出場時における見分調査書
(4) 実況(鑑識)見分調査書
(5) 質問調査書
(6) 火災原因立証のために必要な資料
(7) 図面、写真
(8) 損害調査書
(9) 損害査定書
(10) 火災損害届
(11) 死傷者調査書
2 署長は、前項の火災調査書類により、調査の結果を消防長に報告しなければならない。
3 署長は、前項の火災調査書類の報告内容に変更する必要が生じた場合は、消防長に速やかにその内容を報告しなければならない。ただし、軽微な事項については、この限りではない。
(火災四半期報及び死者の調査表)
第55条 警防課長は、火災報告等オンライン処理システムによって、県が指定する期日までに、火災四半期報及び死者の調査表を県へ報告しなければならない。
(書類の省略及び報告期限)
第56条 署長は、火災の程度により第54条の書類及び資料の一部を省略することができる。
(報告期限の延長)
第57条 前条第2項の報告期限内に報告することができない火災については、統括調査指揮者に遅延理由を報告するとともに、署長に火災調査報告遅延理由報告書を提出するものとする。
2 署長は、前項の報告書の提出があり、遅延理由が正当な内容であると判断される場合は、報告期限を延長することができる。
(震災に伴う火災の調査)
第58条 消防長及び署長は、震災時に発生した火災の調査に対し、組織的な執行体制の確立に努め、次の事項に重点を置いて行うものとする。
(1) 地震発生直後から消火・救助活動がおおむね終息するまでは、情報収集及び火災状況の記録を主眼に行う。
(2) 災害活動終息後は、り災証明の発行のための損害調査を優先して行う。
(3) 前号の損害調査に引き続き、火災による損害状況、出火原因及び延焼拡大状況について詳細に調査を行い、震災に伴う火災の記録を将来の行政施策に反映させる。
第7章 その他
(調査結果の活用)
第59条 消防長及び署長は、調査結果を分析及び検討して、火災の実態を明らかにするとともに、資料を整備し、消防行政に反映できるよう努めなければならない。
(類似火災への対応)
第60条 消防長及び署長は、火災の調査結果から製造物の欠陥及び使用方法等による類似火災の発生が予測される等必要があると認めるときは、当該火災に係る資料の収集に努め、類似火災の防止に係る対応を図るものとする。
(り災証明)
第61条 り災証明の交付については、別に定める。
(火災原因等に関する照会)
第62条 署長は、火災原因その他の調査事項について、捜査機関、その他関係機関及び関係者から照会があったときは、その内容、目的、その他必要な理由について審査し、必要事項について回答することができる。この場合において、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)その他関係法令によるほか、別に定めるところにより対応するものとする。
2 署長は、前項により回答するときは、照会等の写しを添えて消防長に報告しなければならない。
(証人、参考人としての出廷等)
第63条 職員は、自己の担当した調査に関して捜査機関から参考人として出頭を要請され、又は裁判所から証人等として呼び出し若しくは召喚を受けた場合は、消防長にその事案概要を報告しなければならない。
2 前項により出頭した結果についても同様とする。
(調査研修)
第64条 消防長、署長及び警防課長は調査に関する専門的な知識と技能を有する調査員を養成するよう努めるものとする。
2 署長は、調査員における調査知識及び調査技術等の能力向上のため、随時、調査に関する研修を実施するものとする。
(書類の保存)
第65条 調査書類の保存年限は、芦屋市文書取扱規程(平成19年芦屋市訓令甲第6号)の例によるものとする。
第8章 雑則
(様式)
第66条 この訓令の施行に関し必要な様式は、消防長が別に定める。
(補則)
第67条 この訓令に定めるもののほか、この訓令の施行に関し必要な事項は、消防長が別に定める。
附則
(施行期日)
1 この訓令は、令和5年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この訓令による改正後の規定は、この訓令の施行の日以後に発生した火災に対する調査から適用し、この訓令の施行の日前に発生した火災に対する調査については、なお従前の例による。
別表(第17条、第56条関係)
報告区分
区分 | A | B | C |
建物火災 | 焼損面積が10m2未満の火災(死者が発生又は中等症以上の負傷者が複数発生した場合を除く。) | A区分又はC区分に該当しない火災 | 次のいずれかに該当する火災 (1) 焼損面積が100m2以上の火災 (2) 複数の死者が発生した火災 (3) 中等症以上の負傷者が3名以上発生した火災 (4) 前3号を除き消防長が該当すると認める火災 |
林野火災 車両火災 船舶火災 航空機火災 その他の火災 | 次のいずれかに該当する火災 (1) 車両1台のみ焼損した火災 (2) その他の火災(焼身自殺を含む。) | A区分又はC区分に該当しない火災 | 次のいずれかに該当する火災 (1) 消防長が該当すると認める火災 (2) 焼損面積が1ha以上の林野火災 |
火災調査書 | ○ | ○ | ○ |
火災原因判定書 | ○ | ○ | ○ |
火災出場時における見分調査書 | ○ | ○ | |
実況(鑑識)見分調査書 | (鑑識実施時は必要) | (鑑識実施時は必要) | △ |
質問調査書 | ○ | ○ | ○ |
写真 | ○ | ○ | ○ |
現場付近図 | ○ | ○ | ○ |
建物配置図 | △ | △ | |
建物平面図 | △ | △ | |
復元図 (物品配置図) | △ | △ | |
死者の状況図 | ○ | ○ | |
損害調査書 (損害査定書) | ○ | ○ | ○ |
火災損害届 | ○ | ○ | ○ |
死傷者調査書 | ○ | ○ | |
報告期限 | 火災の覚知日から起算して30日以内 | 火災の覚知日から起算して60日以内 | 火災の覚知日から起算して90日以内 |
備考
1 上記に定められた書類に関わらず、原因判定上必要な場合は、必要書類を添付しなければならない。
2 損害額が発生しない火災は、損害査定書の添付を省略することができる。
3 △印は建物火災のみに添付する書類とする。