○芦屋市患者等搬送事業の指導及び認定に関する要綱
令和6年4月1日
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 指導基準(第3条―第12条)
第3章 乗務員適任証の交付及び講習(第13条―第19条)
第4章 認定基準(第20条―第35条)
第5章 雑則(第36条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この要綱は、芦屋市内の民間による患者等搬送事業者に対し必要な指導を行うとともに、一定の基準に適合する患者等搬送事業者の認定を行うことにより、患者等搬送事業を利用する患者等の生命及び身体の安全を図ることを目的とする。
(用語の定義)
第2条 この要綱における用語の意義は、次に定めるところによる。
(1) 「患者等」とは、要援護者又は傷病者等をいう。
(2) 「患者等搬送事業」とは、患者等の医療機関への入退院、通院及び転院並びに社会福祉施設等への送迎に際し、ストレッチャー又は車椅子等を固定できる自動車(以下「患者等搬送用自動車」という。)を用いて搬送を実施する事業をいう。
(3) 「患者等搬送事業者」とは、患者等搬送事業を行う事業所の経営者又は管理責任者をいう。
(4) 「認定事業者」とは、第22条の規定により消防長が認定した患者等搬送事業者をいう。
(5) 「乗務員」とは、患者等搬送用自動車に同乗し、搬送業務に従事する者をいう。
第2章 指導基準
(患者等搬送事業実施の基本原則)
第3条 患者等搬送事業者は、患者等からの通報の適正処理及び患者等の搬送技能の向上に努めなければならない。
2 患者等搬送事業者は、緊急性のない者を搬送対象とするものとする。
3 患者等搬送事業者は、事業の社会的責任を十分自覚し、関連法規を遵守しなければならない。
(消防機関との連携)
第4条 患者等搬送事業者は、次のいずれかに該当する場合は、119番通報等により、患者等の居る場所、状態、既往症、掛かり付けの医療機関等を消防機関に通報し、救急自動車を要請するものとする。
(1) 患者等からの要請時点において、緊急に医療機関へ搬送が必要である場合
(2) 要請者の依頼場所に到着時点において、緊急に医療機関に搬送する必要がある場合
(3) 患者等の搬送途上において、緊急に医療機関に搬送する必要がある場合
2 前項により救急自動車が到着したときは、救急隊に協力するものとする。
(運行体制)
第5条 患者等搬送事業者は、患者等搬送用自動車1台につき2名以上の乗務員をもって業務を行わせるものとする。ただし、次のいずれかに該当する場合は、乗務員を1名とすることができる。
(1) 乗務員以外に医師、看護師等が同乗する場合
(2) 退院の場合
(3) 医師の指示によって、日を予め特定した入院、転院又は通院の場合
(4) 社会福祉施設、保養施設等への送迎の場合
2 車椅子のみを固定できる患者等搬送自動車(以下「患者等搬送用自動車(車椅子専用)」という。)による患者等搬送事業を行う患者等搬送事業者は、患者等搬送用自動車(車椅子専用)1台につき1名以上の乗務員(車椅子専用)をもって業務を行わせるものとする。
(患者等搬送用自動車の要件)
第6条 患者等搬送用自動車は、サイレン又は赤色警告灯を装備するなど、救急自動車と紛らわしい外観を呈していないものとする。
2 患者等搬送用自動車は、次に掲げる構造及び設備を有するものとする。
(1) 十分な緩衝装置を有すること。
(2) 換気及び冷暖房の装置を有すること。
(3) 乗務員が業務を実施するために必要なスペースを有すること。
(4) ストレッチャー又は車椅子等を使用したまま確実に固定できる構造であること。
(5) 携帯が可能な通信機器等、連絡に必要な設備を有すること。
3 患者等搬送用自動車(車椅子専用)は、次に掲げる構造及び設備を有するものとする。
(1) 十分な緩衝装置を有すること。
(2) 換気及び冷暖房の装置を有すること。
(3) 患者等搬送用自動車(車椅子専用)の乗務員(以下「乗務員(車椅子専用)」という。)が業務を実施するために必要なスペースを有すること。
(4) 車椅子を使用したまま確実に固定できる構造であること。
(5) 車椅子の乗降を容易にするための装置を備えていること。
(6) 携帯が可能な通信機器等、連絡に必要な設備を有すること。
(積載資器材)
第7条 患者等搬送用自動車には、別記第1に掲げる資器材を積載するものとする。
(消毒)
第8条 患者等搬送用自動車及び積載資器材の消毒は、次により行うものとする。
(1) 定期消毒 毎月1回以上
(2) 使用後消毒 毎使用後
(3) 医師から消毒について特別な指示があった場合は、指示に基づいた消毒を行うこと。
2 定期消毒を実施したときは、その旨を消毒実施記録表(様式第1号)に記録し、患者等搬送用自動車内の見えやすい場所に表示しておくものとする。
(衛生及び安全管理)
第9条 患者等搬送用自動車及び積載資器材については、点検整備を確実に行い、清潔保持に努めなければならない。
2 乗務員の服装は、患者等搬送業務にふさわしいものとし、清潔の保持に努めなければならない。
(事業案内)
第10条 パンフレット等の事業案内には、消防機関の行う救急業務と紛らわしい表現は避けるものとする。
(応急手当)
第11条 患者等搬送事業者は、患者等搬送業務を行うときは、症状の悪化防止に万全の配慮を行うとともに、搬送途上において症状が悪化し緊急やむを得ない場合は、必要な応急手当を実施するものとする。
(知識及び技術の維持管理)
第12条 患者等搬送事業者は、乗務員の患者等の安全搬送に関する知識及び技術の向上に努めなければならない。
第3章 乗務員適任証の交付及び講習
(乗務員の要件)
第13条 患者等搬送用自動車の乗務員は、満18歳以上の者で、次のいずれかに該当する者をもって充てるものとする。
(1) 別記第2の1に掲げる乗務員講習を修了した者
2 患者等搬送用自動車(車椅子専用)の乗務員(車椅子専用)は、満18歳以上の者で、次のいずれかに該当する者をもって充てるものとする。
(1) 前項各号に掲げる者
(2) 別記第2の2に掲げる乗務員講習(車椅子専用)を修了した者
3 適任証及び適任証(車椅子専用)(以下「適任証等」という。)の有効期間は、2年間とする。ただし、第16条で定める定期講習を受けた者については、さらに2年間有効とし、それ以降も同様とする。
(適任証等の携行)
第15条 乗務員は、患者等搬送業務に従事するときは、適任証等を携帯しなければならない。
(定期講習)
第16条 患者等搬送事業者は、乗務員の応急手当技能を適切に管理するため、適任証等の交付を受けた乗務員に、2年に1回以上、別記第4に掲げる定期講習を受講させるものとする。
2 第13条第1項第2号に規定する別記第3の適用を受けようとする者は、特例申請書(様式第6号)により消防長に申請するものとする。
(適任証等の再交付)
第18条 乗務員は、適任証等を亡失し、又は滅失したときは、適任証等再交付申請書(様式第7号)により消防長に届け出て適任証等の再交付を受けることができる。
2 消防長は、前項に規定する乗務員講習及び定期講習を実施する場合は、事前に実施案内を行うものとする。
第4章 認定基準
(認定対象となる患者等搬送事業者)
第20条 認定対象となる患者等搬送事業者は、道路運送法(昭和26年法律第183号)に定める次の者とする。
(1) 一般乗用旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(2) 一般貸切旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(3) 特定旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(4) 自家用有償旅客運送の登録を受けた者
(認定マークの交付)
第23条 消防長は、患者等搬送用自動車による患者等搬送事業の認定事業者に対し、患者等搬送事業者認定マーク(別図1)及び患者等搬送用自動車認定マーク(別図2)を交付するとともに、認定マーク等受領書(様式第13号)を受け取るものとする。
2 消防長は、患者等搬送用自動車(車椅子専用)による患者等搬送事業の認定事業者に対し、患者等搬送事業者(車椅子専用)認定マーク(別図3)及び患者等搬送用自動車(車椅子専用)認定マーク(別図4)を交付するとともに、認定マーク等受領書(様式第13号)を受け取るものとする。
3 消防長は、患者等搬送事業認定事業者台帳(様式第14号)を作成するものとする。
(認定の有効期間)
第24条 認定の有効期間は、認定を受けた日の翌日から起算して5年とする。
(認定の更新)
第25条 認定事業者は、認定の有効期間の満了後も引き続き認定を受けようとするときは、認定の期間が満了する日の1月前から満了する日までの間に消防長に更新を申請するものとする。
2 更新時の手続きは、認定時の手続きを準用するものとする。
(事業の休止等)
第26条 認定事業者は、患者等搬送事業の全部若しくは一部を休止し、又は廃止しようとするときは、患者等搬送事業休廃止届(様式第15号)により消防長に届け出るものとする。
(認定の失効)
第28条 次のいずれかに該当するときは、認定はその効力を失うものとする。
(1) 道路運送法に定めるところにより、国土交通大臣の許可等が取り消され又は失効したとき。
(2) 患者等搬送事業を廃止したとき。
(3) 認定の有効期間が満了したとき。
(認定事業者の責務)
第29条 認定事業者は、指導基準を誠実に履行しなければならない。
2 認定事業者は、事業に関し、消防長から求めがあったときは、消防長に報告するものとする。
3 認定事業者は、次のいずれかに該当するときは、特異事案報告書(様式第17号)により、速やかに消防長に報告するものとする。
(1) 患者等を搬送中に容態変化があり、応急手当を実施した場合
(2) 患者等を搬送中に容態変化があり、救急自動車を要請した場合
(3) 患者等搬送業務の遂行に支障を及ぼす重大な事故を発生させた場合
(4) その他特異な事案を扱った場合
(認定事業者の調査)
第30条 消防長は、少なくとも年1回以上認定事業者に対し、指導基準の履行状況等について調査するものとする。
2 消防長は、前項の調査結果から不適切な事項を認めたときは、指導基準に適合するよう指導するものとする。
(認定の取り消し)
第31条 消防長は、次のいずれかに該当するときは、認定を取り消すことができる。
(1) 認定事業者が指導基準を遵守しないとき。
(2) 患者等搬送業務の遂行にあたって、重大な事故を発生させたとき。
(3) その他、認定を継続することが、不適当と判断されるとき。
(認定マーク等の表示)
第32条 患者等搬送用自動車認定マーク及び患者等搬送用自動車(車椅子専用)認定マークを患者等搬送用自動車に表示する場合は、車両後面の見やすい位置とする。
2 任意で「芦屋市消防本部認定」を患者等搬送用自動車に表示する場合の文字の大きさは、縦横50ミリメートル以下とする。
3 患者等搬送用自動車の車体には、国土交通省で定めた患者等輸送車両である旨の表示をすることとする。
(認定マークの返納等)
第33条 認定事業者は、次のいずれかに該当するときは、1週間以内に認定マークを返納しなければならない。
(1) 認定を失効したとき。
(2) 認定を取り消されたとき。
2 認定事業者は、認定マークを返納したときは、同時に前条第2項の規定による「芦屋市消防本部認定」の表示を削除しなければならない。
(認定マークの再交付)
第35条 認定事業者は、認定マークを亡失し、又は滅失したときは、認定マーク等再交付申請書(様式第20号)により消防長に届け出て認定マークの再交付を受けることができる。
第5章 雑則
(補則)
第36条 この要綱の施行に関し必要な事項は、消防長が別に定める。
附則
この要綱は、令和6年4月1日から施行する。
別記第1(第7条関係) 積載資器材
1 患者等搬送用自動車に積載する資器材
項目 | 資器材名 |
呼吸管理用資器材 | バッグバルブマスク、ポケットマスク |
保温・搬送用資器材 | 敷物、保温用毛布、担架、枕 |
創傷等保護用資器材 | 三角巾、ガーゼ、包帯、タオル、絆創膏 |
消毒用資器材(車両・資器材用) | 噴霧消毒器、各種消毒薬 |
その他の資器材 | はさみ、マスク、ピンセット、手袋、膿盆汚物入れ、体温計、※AED |
「※」は任意の積載とする。
2 患者等搬送用自動車(車椅子専用)に積載する資器材
項目 | 資器材名 |
呼吸管理用資器材 | ポケットマスク、※バッグバルブマスク |
保温・搬送用資器材 | 保温用毛布、担架、※枕、※敷物 |
創傷等保護用資器材 | 三角巾、ガーゼ、包帯、タオル、絆創膏 |
消毒用資器材(車両・資器材用) | 噴霧消毒器、各種消毒薬 |
その他の資器材 | はさみ、マスク、手袋、膿盆汚物入れ、体温計、※ピンセット、※AED |
「※」は任意の積載とする。
別記第2(第13条、第17条及び第19条関係) 講習
1 乗務員講習
課目 | 時間数 |
総論 | 1 |
観察要領及び応急措置 | 13 |
体位管理要領 | 2 |
消防機関との連携要領 | 2 |
車両資器材の消毒及び感染防止要領 | 2 |
搬送法 | 2 |
修了考査 | 2 |
合計 | 24 |
※課目の1時間は、45分とする。
2 乗務員講習(車椅子専用)
課目 | 時間数 |
総論 | 1 |
観察要領及び応急処置 | 9 |
体位管理要領 | 1 |
消防機関との連携要領 | 2 |
車両資器材の消毒及び感染防止要領 | 1 |
搬送法 | 1 |
修了考査 | 1 |
合計 | 16 |
※課目の1時間は、45分とする。
3 修了考査
区分 | 課目 | 配点 |
実技 | 観察要領及び応急処置 | 60点 |
筆記 | 消防機関との連携要領 | 20点 |
車両・資器材の消毒及び感染防止要領 | 20点 | |
合計 | 100点 | |
※80点以上を以て合格とする。
別記第3(第13条及び第17条関係) 乗務員講習を修了した者と同等以上の知識及び技能を有する者
分類 | |
1 | 救急救命士の資格を有する者及び消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第51条に定める救急業務に関する講習課程を修了した者 |
2 | 日本赤十字社の行う応急処置に関する講習を受けた者で、資格の有効期間内の者。ただし、乗務員講習に不足する課目については、講習を受講すること。 |
3 | 上記1及び2に掲げる者以上の知識及び技能を有すると消防長が認めた者 |
別記第4(第16条、第17条及び第19条関係) 定期講習
課目 | 時間数 |
観察要領及び応急処置 | 2 |
体位管理要領 | 1 |
合計 | 3 |
※課目の1時間は、45分とする。
様式(省略)