○千葉市環境基本条例
平成6年12月21日
条例第43号
千葉市環境保全基本条例(昭和46年千葉市条例第18号)の全部を改正する。
目次
前文
第1章 総則(第1条―第8条)
第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策
第1節 施策の基本方針(第9条)
第2節 環境基本計画(第10条)
第3節 環境の保全及び創造を推進するための施策(第11条―第25条)
第3章 地球環境保全の推進(第26条)
第4章 環境審議会(第27条―第32条)
附則
私たちの千葉市は、緑と水辺に恵まれた豊かな自然環境のもと、縄文の昔から培われた歴史と文化などの貴重な財産を活かしながら、都市としての形成、発展の過程を歩み、今やわが国有数の大都市として成長してきた。
しかしながら、大都市化に伴う人口の増加、産業の集中は、資源、エネルギーの大量消費をもたらすこととなり、環境への負荷が増大するとともに、身近な自然も減少してきた。私たちは、こうした状況の中で、懸命に環境の保全や新たな良好な環境を育むことに取り組み、快適な都市づくりに努力をしてきた。
今日、生命の源であり、人類の生存の基盤である環境は、地球的規模で大きな影響が及ぼされるに至っており、良好な環境の回復は、世界のすべての人々により希求されるところとなっている。
人類は地球があやなす自然の恵みのもとで、その生命を育む存在であるという認識に立ち、千葉市において、率先して良好な環境を保ち、創り出すことにより、人に、地球に優しい都市を実現することが、私たちの願いである。
もとより、良好な環境は、私たちにとってかけがえのないものであり、これを保全し、積極的に創造しつつ、将来の世代へ継承していくことは、私たちの使命である。
千葉市は、種々の条件に恵まれており、さらに成長発展していく都市である。私たちは、より一層英知を傾け、人と自然が共生し、かつ、環境への負荷の少ない持続的に発展する都市の構築に努め、もって人に、地球に優しい千葉市を実現していくため、ここに、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、環境の保全及び創造に関し、基本理念を定め、並びに市、事業者及び市民の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、これに基づく施策を総合的かつ計画的に推進し、もって市民の健康で文化的な生活を確保する上で必要な環境を保全及び創造し、現在及び将来の市民の福祉の増進を図ることを目的とする。
(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地下水位の著しい低下、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全及び創造は、市民が健康で安全かつ快適な生活を営む上で必要となる良好な環境及び人と自然が共生する環境を確保し、これを将来の世代へ継承していくことを目的として行われなければならない。
2 環境の保全及び創造は、環境資源の有限性を認識し、その適正な管理及び利用を図り、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会を構築することを目的として、すべての者が公平な役割分担のもとに自主的かつ積極的に行われなければならない。
3 地球環境保全は、人類共通の課題であるとともに市民の健康で文化的な生活を将来にわたって確保する上で極めて重要であることにかんがみ、すべての者が、これを自らの問題としてとらえ、積極的に貢献するようにしなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
2 市は、基本理念にのっとり、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境の保全を図る見地から、その影響の低減に努めるものとする。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、基本理念にのっとり、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、環境への負荷の低減に努めるとともに、公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するため、その責任において必要な措置を講ずる責務を有する。
2 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するよう努めなければならない。
3 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
(市民の責務)
第6条 市民は、基本理念にのっとり、日常生活において、環境への負荷の低減並びに公害の防止及び自然環境の適正な保全に努めなければならない。
2 市民は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
(環境の月)
第7条 市民及び事業者の間に広く環境の保全及び創造についての関心と理解を深めるとともに、積極的に環境の保全及び創造に関する活動を行う意欲を高めるため、環境の月を設ける。
2 環境の月は、6月とする。
3 市は、環境の月の趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めなければならない。
(環境白書)
第8条 市長は、市民に環境の状況、環境の保全及び創造に関する施策の実施状況等を明らかにするため、千葉市環境白書を定期的に作成し、これを公表するものとする。
第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策
第1節 施策の基本方針
第9条 市は、基本理念にのっとり、次に掲げる基本方針に基づく各種の施策を施策相互の有機的な連携を図りつつ、総合的かつ計画的に推進するものとする。
(1) 大気、水、土壌等の環境の自然的構成要素を良好な状態に保持することにより、人の健康の保護並びに生活環境の保全及び創造を図ること。
(2) 生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保を図るとともに、森林、農地、水辺地等における多様な自然環境の保全及び創造を行い、人と自然が共生する良好な環境を確保すること。
(3) 市民が健康で安全に暮らせる潤いと安らぎのある都市空間の形成、地域の特性を活かした美しい景観の形成及び歴史的又は文化的環境の形成等を図り、もって健康で安全かつ快適な生活環境を保全及び創造すること。
(4) 廃棄物の減量、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用等が徹底される社会を構築し、並びに環境の保全及び創造に関する技術等の活用により地球環境保全に貢献することのできる社会を構築すること。
(5) 環境の保全及び創造を効率的かつ効果的に推進するため、市、市民及び事業者が協働して取り組むことのできる社会を構築すること。
第2節 環境基本計画
第10条 市長は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、千葉市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 環境の保全及び創造に関する目標
(2) 環境の保全及び創造に関する総合的かつ長期的な施策の大綱
(3) 前2号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、市民の意見が反映されるよう必要な措置を講ずるものとする。
4 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ、千葉市環境審議会の意見を聴かなければならない。
5 市長は、環境基本計画を定めたときは、速やかに、これを公表しなければならない。
6 前3項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
第3節 環境の保全及び創造を推進するための施策
(規制の措置)
第11条 市は、公害を防止するため、公害の原因となる行為に関し、必要な規制の措置を講じなければならない。
2 市は、野生生物の適正な保護に関し、及び自然環境を保全することが必要な区域において自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれのある行為に関し、必要な規制の措置を講ずるものとする。
3 前2項に定めるもののほか、市は、新たな環境への負荷等に対し、環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるよう努めるものとする。
(地域の良好な環境の確保)
第12条 市は、緑及び水辺の適正な保全及び創造、健康で安全かつ快適な生活環境の確保に資する適正な都市空間の形成並びに歴史的遺産又は文化的施設の活用等による心豊かな環境の形成を図ることにより、地域の特性を活かしつつ良好な環境を確保するため、必要な措置を講ずるものとする。
(事業者による環境影響評価に係る措置)
第13条 市は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業について、事業者が事業の実施前に環境への影響について自ら調査、予測及び評価を行い、その事業に係る環境の保全について適正に配慮することを促すため、必要な措置を講ずるものとする。
(誘導的措置)
第14条 市は、事業者及び市民が自らの行為に係る環境への負荷の低減のため必要かつ適切な措置をとることを助長することにより環境の保全上の支障を防止するため必要があるときは、環境への負荷の低減を行う者に対する適切な助成その他の措置を講ずるよう努めるものとする。
(環境の保全及び創造に関する施設の整備等)
第15条 市は、廃棄物及び下水の処理施設等の環境への負荷の低減に資する施設及び公園、緑地等の快適な環境の保全及び創造に資する施設の整備等を推進するものとする。
2 市は、希少野生生物の保護等に資する施設の整備等必要な措置を講ずるものとする。
(資源の循環的な利用等)
第16条 市は、環境への負荷の低減を図るため、資源の再生利用等による廃棄物の減量及び資源の循環的な利用並びにエネルギーの効率的使用等による有効利用について、必要な措置を講ずるものとする。
(市民及び事業者の参加等の推進)
第17条 市は、環境の保全及び創造に関する施策が効果的に実施されるよう市民及び事業者の参加及び協力を促すため、次に掲げる事項について、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(1) 環境の保全及び創造に資する活動に参加できるようその機会を設けること。
(2) 市民及び事業者の意見を市が行う環境の保全及び創造に関する施策に反映させること。
(情報の提供)
第18条 市は、環境の保全及び創造に資するため、個人及び法人の権利利益の保護に配慮しつつ、環境の保全及び創造に関する情報を適切に提供するよう努めるものとする。
(環境教育等の推進)
第19条 市は、市民及び事業者が環境の保全及び創造についての関心と理解を深め、又はこれらの者による自発的な環境の保全及び創造に関する活動の促進に資するため、環境の保全及び創造に関する教育及び学習が推進されるよう必要な措置を講ずるものとする。
(市民等の自発的な活動の促進)
第20条 市は、市民、事業者又はこれらの者で構成する民間の団体(以下「民間団体」という。)が自発的に行う環境の保全及び創造に関する活動が促進されるよう必要な措置を講ずるものとする。
(調査研究の充実等)
第21条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を適正に推進するため、調査研究及び試験研究の充実を図るとともに、その成果の普及に努めなければならない。
(環境の状況の把握等)
第22条 市は、環境の状況を的確に把握するとともに、そのために必要な測定、監視、巡視等の体制を整備するものとする。
(公害による被害者の救済等)
第23条 市は、公害による被害者の救済に関し、必要な措置を講ずるものとする。
2 市は、環境汚染が市民の健康に及ぼす影響等の調査その他の市民の健康の保護を図るために必要な措置を講ずるものとする。
(施策の推進体制の整備等)
第24条 市は、その機関相互の連携を緊密にするとともに施策の調整を図り、環境の保全及び創造に関する施策を推進するため、体制の整備等必要な措置を講ずるものとする。
2 市は、環境の保全及び創造に関する施策を効率的かつ効果的に推進するため、市民、事業者及び民間団体等と協働して取り組むことができるよう必要な措置を講ずるものとする。
(国及び他の地方公共団体との協力)
第25条 市は、環境の保全及び創造に係る広域的な取組みを必要とする施策については、国及び他の地方公共団体と協力して推進するよう努めるものとする。
第3章 地球環境保全の推進
第26条 市は、地球環境保全に貢献するため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 市は、地球環境保全及び開発途上の地域の環境の保全に関する国際協力を推進するため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
第4章 環境審議会
(設置)
第27条 環境の保全及び創造に関して、基本的事項を調査審議する等のため、千葉市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 市長は、次に掲げる事項を審議会に諮問しなければならない。
(1) 環境基本計画に関すること。
(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する基本的事項
3 審議会は、委員25人以内で組織する。
4 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 学識経験者
(2) 市民の代表者
(3) 関係行政機関の職員
(4) 市議会議員
5 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 審議会に会長及び副会長を置く。
7 会長及び副会長は、委員の互選により定める。
8 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
9 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その職務を代理する。
(平成22条例48・一部改正)
(部会)
第28条 審議会に、前条第2項第2号に掲げる事項を調査審議するため、必要に応じ、部会を置くことができる。
2 部会は、会長が指名する委員で組織する。
3 部会に部会長及び副部会長を置き、部会に属する委員の互選により定める。
4 部会長は、部会の事務を掌理する。
5 前条第9項の規定は、副部会長について準用する。
6 審議会は、その定めるところにより、部会の議決をもって審議会の議決とすることができる。
(平成22条例48・追加)
(専門委員会)
第29条 第27条第2項各号に掲げる事項のうち、特定の事項について専門的に調査研究するため、審議会又は部会に専門委員会を置くことができる。
2 専門委員会は、審議会に置かれる専門委員会にあっては会長が指名する委員、部会に置かれる専門委員会にあっては部会長が指名する当該部会に属する委員で組織する。
3 専門委員会に、第1項に規定する特定の事項を調査研究するため必要があるときは、臨時委員を置くことができる。
4 臨時委員は、当該特定の事項に関し専門的知識を有する者その他市長が適当と認める者のうちから、市長が任命する。
5 臨時委員は、その者の任命に係る当該特定の事項に関する調査研究が終了したときは、解任されるものとする。
(平成22条例48・追加)
(委員及び臨時委員の秘密保持義務)
第30条 委員及び臨時委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(平成22条例48・追加)
(関係者の出席等)
第31条 審議会、部会及び専門委員会は、必要があると認めるときは、関係者の出席を求めて意見若しくは説明を聴き、又は資料の提出を求めることができる。
(平成22条例48・追加)
(委任)
第32条 この章に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定める。
(平成22条例48・追加)
附則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(千葉市地域環境保全基金条例の一部改正)
2 千葉市地域環境保全基金条例(平成2年千葉市条例第15号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
(空地に係る雑草の除去に関する条例の一部改正)
3 空地に係る雑草の除去に関する条例(昭和44年千葉市条例第50号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
(緑化の推進及び樹木等の保全に関する条例の一部改正)
4 緑化の推進及び樹木等の保全に関する条例(昭和46年千葉市条例第18号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
附則(平成22年3月23日条例第48号)
この条例は、平成22年4月1日から施行する。