○秩父市産業廃棄物処理施設の設置等に係る紛争の予防及び調整に関する条例

平成18年3月24日

条例第20号

(目的)

第1条 この条例は、産業廃棄物処理施設の設置等に伴う環境保全上の市民の不安を解消するため、産業廃棄物処理施設の設置等に関し事業計画書等の縦覧の手続等を定めることにより、市民及び事業者の相互理解並びに紛争の予防及び調整を図り、もって良好な環境の保全に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に掲げるところによる。

(1) 産業廃棄物処理施設 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「法」という。)第15条第1項に規定する産業廃棄物処理施設のうち、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号。以下「令」という。)第7条第1項第14号に規定する産業廃棄物の最終処分場

(2) 産業廃棄物処理施設の設置等 産業廃棄物処理施設を新たに設置し、又はその構造若しくは規模の変更(法第15条の2の5第1項ただし書に規定する軽微な変更を除く。)をすること。

(3) 関係住民 第8条に規定する指定地域内に住所を有する者及び指定地域内で農業、林業、漁業等に従事する者

(4) 特定事業者 産業廃棄物処理施設の設置等を行おうとする者

(5) 紛争 産業廃棄物処理施設の設置等に伴って生ずる環境への影響に関する関係住民と特定事業者との争い

(市の責務)

第3条 市は、環境の保全上の支障を防止するための必要な施策を実施し、紛争を予防するよう努めるとともに、紛争が生じたときは、迅速かつ適正に調整を図らなければならない。

(関係住民の責務)

第4条 関係住民は、産業廃棄物処理施設の設置等による紛争について、市長及び特定事業者との意見交換の手続等が円滑かつ適切に行われるよう努めなければならない。

(特定事業者の責務)

第5条 特定事業者は、産業廃棄物処理施設の設置等による環境の保全上の支障について必要な調査を行い、その支障を防止するための適正な配慮をするとともに、関係住民との良好な関係を損なわないように努めなければならない。

2 特定事業者は、紛争が起きないように最善の努力をしなければならない。

3 特定事業者は、法令、埼玉県条例、市条例等を遵守するだけでなく、可能な限り良好な環境を確保するため、最善の努力をしなければならない。

4 特定事業者は、市が行う行政指導の趣旨及び内容を十分に理解し、その行政指導に対し誠実に対応するよう努めなければならない。

(予定計画書の作成等)

第6条 特定事業者は、産業廃棄物処理施設の設置等をしようとするときはあらかじめ、産業廃棄物処理施設設置等事業予定計画書(以下「予定計画書」という。)を作成し、市長に提出しなければならない。

(予定計画書の公告及び縦覧)

第7条 市長は、予定計画書の提出があったときは、予定計画書の提出があった旨及び縦覧の場所その他規則で定める事項を公告し、並びに予定計画書及び附属書類等の写しを公告の日から1か月間、縦覧に供しなければならない。

(指定地域の決定等)

第8条 市長は、予定計画書の提出があったときは、秩父市産業廃棄物処理施設の設置等紛争処理審査委員会の意見を聴いたうえ、当該提出の日から30日以内に規則で定める基準により指定地域を定め、速やかに当該指定地域を特定事業者に通知するものとする。

2 市長は、前項の規定による通知をしたときは、指定地域を記載した書類を公告の日から1か月間、縦覧に供しなければならない。

(説明会の開催等)

第9条 特定事業者は、前条に規定する期間内に、指定地域内において、説明会を開催しなければならない。この場合において、特定事業者は、関係住民に説明会の日時、場所その他規則で定める事項をあらかじめ周知しなければならない。

2 特定事業者は、前項の説明会を開催するときは、説明会の開催日の15日前までに、その日時、場所、関係住民への周知方法その他規則で定める事項を、市長に届け出なければならない。

3 市長は、前項の規定による届出があったときは、速やかにその旨及びその内容を公告しなければならない。

4 特定事業者は、第1項の説明会が終了したときは、その日から10日以内に、説明会において関係住民から提示された意見の要旨、それに対する見解その他規則で定める事項を記載した書面(以下「説明会概要書」という。)を市長に提出しなければならない。

5 市長は、説明会概要書が提出されたときは、速やかに、その旨及び次条第1項に規定する意見書の提出ができる旨を公告するとともに、説明会概要書の写しを公告の日から1か月間、縦覧に供しなければならない。

6 第1項の説明会は、同項に規定する期間内に開催することができない正当な理由があると市長が認めるときは、同項の規定にかかわらず、同項に規定する期間を経過した後であっても開催することができる。

7 第1項の説明会は、指定地域内において当該説明会を開催する適当な場所がないと市長が認めるときは、同項の規定にかかわらず、指定地域以外の地域において開催することができる。

(意見書の提出)

第10条 予定計画書又は説明会概要書について、環境の保全上の見地からの意見を有する関係住民は、前条第5項の規定による公告の日から起算して45日を経過する日までの間に、意見書を市長に提出することができる。

2 関係住民は、前項の意見書の提出について助言を受けるため、専門家の派遣等を市長に要請することができる。

3 市長は、第1項に規定する期間内に同項の意見書が提出されたときは、意見書の写し又は意見の要旨を記載した書面(以下「意見書等」という。)同項に規定する期間の満了の日から7日以内に特定事業者に送付するとともに、当該意見書等を送付の日から14日間、縦覧に供しなければならない。

(見解書の提出)

第11条 特定事業者は、前条第3項の意見書等の送付を受けたときは、意見書等に対する見解を記載した書面(以下「見解書」という。)を当該送付の日から14日以内に、市長に提出しなければならない。

2 市長は、前項の規定により見解書の提出があったときは、その写しを当該提出の日から14日間、縦覧に供しなければならない。

(指導又は助言)

第12条 市長は、産業廃棄物処理施設の設置等により指定地域における良好な環境の維持に支障を及ぼし、又は及ぼすおそれがあると認めるときは、第10条第1項の規定により提出された意見書及び前条第1項の規定により提出された見解書に十分配慮して、特定事業者に対し、必要な指導又は助言を行うことができる。

(良好な環境の維持及び向上に関する協定の締結)

第13条 市長は、特定事業者に対し、関係住民又は市との間に、次に掲げる事項について協定を締結するよう要請することができる。

(1) 良好な環境の維持及び向上に関する事項

(2) 良好な環境の維持及び向上に関する協定の履行の保証並びに当該協定の不履行の場合の措置に関する事項

(3) 前2号に掲げるもののほか、指定地域の良好な環境の維持及び向上に関して市長が必要と認める事項

2 特定事業者は、前項の規定による要請を受けたときは、誠意をもってこれに応じるよう努めるものとする。

(あっせん)

第14条 関係住民又は特定事業者は、紛争が生じたときは、市長に対し、紛争の調整に係るあっせんを申請することができる。

2 市長は、前項の規定による申請があったときは、この条例に規定する手続を誠実に遵守していない者からの申請であるとき又はその他その性質上市があっせんを行うことが適当でないと認めるときを除き、あっせんを行うものとする。

3 市長は、双方の主張の要点を確かめ、紛争が解決されるよう、あっせんを行うものとする。

4 市長は、第2項の規定によりあっせんを行うときは、秩父市産業廃棄物処理施設の設置等紛争処理審査委員会の意見を聴かなければならない。

(あっせんの打切り)

第15条 市長は、あっせんに係る紛争について、当事者があっせんに応じないとき又は紛争の解決の見込みがないと認めるときは、あっせんを打切ることができる。

2 市長は、前項の規定によりあっせんを打切ったときは、速やかに、その旨を当事者に通知するものとする。

(秩父市産業廃棄物処理施設の設置等紛争処理審査委員会)

第16条 市長は、秩父市産業廃棄物処理施設の設置等紛争処理審査委員会(以下「審査委員会」という。)を置く。

2 審査委員会は、次に掲げる事項を行うものとする。

(1) 第8条又は第14条の規定により市長が意見を求めた事項について調査審議すること。

(2) 前号に掲げるもののほか、この条例の施行に関する必要な事項について調査審議すること。

3 審査委員会は、委員5人をもって組織する。

4 審査委員会の委員は、優れた識見を有する者から市長が委嘱する。

5 審査委員会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

6 審査委員会は、関係住民及び特定事業者から意見を聴かなければならない。この場合において、審査委員会は関係住民及び特定事業者に対し必要な資料の提出を求めることができる。

7 審査委員会の会議は、公開とする。

8 前各項に定めるもののほか、審査委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(着工等の制限)

第17条 特定事業者は、産業廃棄物処理施設について、第11条第1項に規定する見解書を提出した日から60日(第14条第1項の規定による申請がなされたときにあっては、同条第2項のあっせんが終了(第15条第1項に規定する打切りを含む。)した日から30日)を経過した後でなければ、法第15条第1項の許可を受けようとしてはならない。

2 特定事業者は、法第15条第1項の許可を受けた産業廃棄物処理施設で、その許可を受けてから5年が経過してもなお完成がされていない産業廃棄物処理施設については、第6条から前条までの規定により必要な手続きを行い、前項の規定による期間が経過した後でなければ、工事に着手又は工事を継続してはならない。

(予定計画書記載事項の変更)

第18条 特定事業者は、予定計画書又は附属書類等についてその記載事項の内容の変更(法第15条の2の4第1項ただし書に規定する軽微な変更を除く。)をしようとするときは、速やかに市長に届け出なければならない。

2 特定事業者は、前項の届出をしたときは、市長が指示するところに従い、第6条から前条までの規定により必要な手続を行うものとする。

(設置等の計画の廃止)

第19条 特定事業者は、予定計画書の提出後、当該予定計画書に係る産業廃棄物処理施設の設置等をしないこととしたときは、速やかに、市長に届け出なければならない。

2 市長は、前項の規定による届出があったときは、その写しを届出の日から14日間、縦覧に供しなければならない。

(周辺市町村長の意見の聴取)

第20条 市長は、予定計画書の提出があった場合において、予定計画書に係る産業廃棄物処理施設の設置等により周辺の市町村に環境保全上の意見を聴く必要があると認めるときは、その市町村の長に対して予定計画書の写しを送付して、産業廃棄物処理施設の設置等に係る環境保全上の意見を聴くことができる。

(勧告及び公表)

第21条 市長は、特定事業者が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該特定事業者に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。

(1) 第6条の規定による予定計画書の提出をしないとき。

(2) 第9条第1項の規定による説明会の開催を正当な理由がなく行わないとき。

(3) 第9条第2項の規定による届出をしないとき又は虚偽の届出をしたとき。

(4) 第9条第4項の規定による説明会概要書の提出をしないとき又は虚偽の提出をしたとき。

(5) 第11条第1項の規定による見解書の提出をしないとき又は虚偽の提出をしたとき。

(6) 第17条第1項の規定に違反して、許可申請をしたとき。

(7) 第17条第2項の規定に違反して、工事に着手又は工事を継続したとき。

(8) 第18条第1項の規定による届出をしないとき又は虚偽の届出をしたとき。

(9) 第19条第1項の規定による届出をしないとき又は虚偽の届出をしたとき。

2 市長は、前項の規定による勧告を受けた特定事業者が当該勧告に従わないときは、その旨及びその勧告の内容を公表することができる。

3 市長は、前項の規定により公表しようとするときは、当該勧告を受けた特定事業者に意見を述べる機会を与えなければならない。

(報告又は資料の提出)

第22条 市長は、特定事業者に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる。

(委任)

第23条 この条例の施行に関し、必要な事項は規則で定める。

この条例は、公布の日から施行する。

秩父市産業廃棄物処理施設の設置等に係る紛争の予防及び調整に関する条例

平成18年3月24日 条例第20号

(平成18年3月24日施行)