○海老名市自治基本条例
平成19年9月28日
条例第21号
海老名市自治基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 自治の基本理念及び市政運営の基本原則(第4条・第5条)
第3章 市民(第6条・第7条)
第4章 市議会(第8条―第10条)
第5章 行政(第11条―第15条)
第6章 行財政の制度と運用(第16条―第22条)
第7章 連携等(第23条・第24条)
附則
私たちの海老名市は、富士山、大山、丹沢連峰を望み、相模川沿いに広がる西の低地部と東の丘陵部によって構成され、温暖な気候、豊かな大地と、自然に恵まれた環境にあり、古くから人々の生活が営まれてきた歴史のあるまちです。
先人たちの努力により発展を続けてきたこの海老名市の環境・文化・産業を守り、育て、活かすとともに、未来につなげていくことは、私たちの務めです。
時代とともに自治も変化を求めます。変化は課題を生みます。私たちには、常にその課題を解決することが求められています。
海老名市における地域の課題は、互いに助け合い、尊重し合いながら、市民が主体となって解決していかなければなりません。また、私たちは、議会と市長に市政を信託する一方、自らも市政に参加し、協働して、自己決定・自己責任の意思に基づいた安全で安心な生活ができる自治を実現しなければなりません。
ここに私たちは、日本国憲法で保障された地方自治の本旨に基づき、海老名市のことは海老名市の意思で決定する、市民主役の自立した海老名市を築くため、自治の最高規範として、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、海老名市における自治の基本理念を明らかにし、これに基づく市政運営の基本原則を定め、市民、市議会及び行政が協働して市民主体の自治を実現することを目的とします。
(最高規範)
第2条 この条例は、海老名市における自治の最高規範であり、市民、市議会及び行政は他の条例及び規則の運用において、この条例に定める事項を最大限に尊重しなければなりません。
(用語の定義)
第3条 この条例における用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによります。
(1) 市民 市内に住所のある人、市内で働く人、市内で学ぶ人又は事業者(市内で事業活動又は公益的な活動を行う団体をいいます。)をいいます。
(2) 行政 市長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会(それぞれ職員を含みます。)をいいます。
第2章 自治の基本理念及び市政運営の基本原則
(自治の基本理念)
第4条 市民、市議会及び行政は、それぞれの果たす役割を自覚し、男女平等をはじめ、市民の人権、自由及び平和が守られ、市民の一人ひとりが心豊かに生活し、尊重される住み良い海老名市を築くため、公正で開かれた市政と市民主体の自治の実現を目指します。
(市政運営の基本原則)
第5条 市民、市議会及び行政は、前条に規定する海老名市の自治の基本理念を実現するため、市政運営の基本原則を次のように定めます。
(1) 市民、市議会及び行政が相互に情報を提供し、共有すること。
(2) 市民が自発的意思に基づいて参加すること。
(3) 市民、市議会及び行政が、対等かつ協力の関係を築き、課題解決のために、協働すること。
第3章 市民
(1) 市政に関する情報を知ること。
(2) 市政に参加すること。
(3) 公正かつ適正な行政サービスを享受すること。
(4) 次代の社会を担う子どもが、市民として守られ、個人として尊重されること。
(市民の責務)
第7条 市民は、基本理念及び基本原則を実現するために、次に掲げる責務を有します。
(1) お互いに尊重し合い、快適な社会環境の創造に努める社会的責任の自覚を持つこと。
(2) お互いの協力により、安心で安全なまちづくりの推進に寄与すること。
(3) 市政運営に係る経費を公正かつ適正に負担すること。
第4章 市議会
(市議会の責務)
第8条 市議会は、市民の意思を市政に実現させる責務を有します。
(市議会議員の責務)
第9条 市議会議員は、市議会において市民の意思を市政に実現させるため、次に掲げる責務を有します。
(1) 市民の意思の的確な把握に努め、市民の期待に応えること。
(2) 品位を保ち、自己研鑽に努め、常に市民全体の福祉向上を行動の指針とすること。
(市議会情報の公開)
第10条 市議会は、その活動に関する情報を公開し、市民にわかりやすく説明する責務を有します。
第5章 行政
(市長の責務)
第11条 市長は、基本理念及び基本原則を実現するために、市民の信託に基づき、公正かつ誠実に職務を行う責務を有します。
(市職員の責務)
第12条 市職員は、基本理念及び基本原則を実現するために、市民との協働の視点を持ち、自己研鑽に努め、その能力を最大限に発揮する責務を有します。
(行政の責務)
第13条 行政は、基本理念及び基本原則を実現するために、次に掲げる責務を有します。
(1) 市民の福祉の増進を図るため、公正かつ適正な市政運営を行うこと。
(2) その組織を不断に見直すことによって、社会情勢の変化及び多様化する地域課題に、迅速かつ的確に対応する行政運営を行うこと。
(3) 市政に関する市民からの相談、意見、要望等に、誠実かつ迅速に対応すること。
(情報の公開)
第14条 行政は、市政に関する情報を適正に公開又は提供するとともに、市民にわかりやすく説明しなければなりません。
(個人情報の保護)
第15条 行政は、保有する個人情報を適正に取り扱うとともに、個人の権利利益の保護に最大限に配慮しなければなりません。
第6章 行財政の制度と運用
(総合計画)
第16条 行政は、市民と協働して長期的かつ総合的な計画(以下「総合計画」といいます。)を定め、それに基づく行政運営を行わなければなりません。
2 前項の計画を推進するに当たり、行政は、その内容及び進捗状況を市民に公表し、わかりやすく説明しなければなりません。
(財政運営)
第17条 行政は、総合計画に基づき、財源を効率的かつ効果的に活用し、財政の健全性の確保に努めなければなりません。
2 市長は、予算、決算その他財政に関する事項を市民に公表し、わかりやすく説明しなければなりません。
(行政評価)
第18条 行政は、総合計画に基づく事業の成果を測定するための行政評価を実施し、その結果を市民に公表しなければなりません。
2 行政は、前項に規定する行政評価に関する結果を、事業の推進、見直し等市政運営に反映していくよう努めなければなりません。
(行政手続)
第19条 行政は、市政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、市民の権利利益を保護するため、適正な行政手続を確保するよう努めなければなりません。
(市民参加)
第20条 行政は、市民の市政に参加する権利を保障し、多様な市民参加制度を講じなければなりません。
(住民投票)
第21条 市長は、市政の特に重要な事項について広く市民の意向を把握する必要があると認めるときは、住民投票を実施することができます。
2 市議会議員及び市長の選挙権を有する者は、地方自治法(昭和22年法律第67号)に規定する直接請求に準じ、その代表者から市長に対して住民投票の実施を請求することができます。
3 市議会及び行政は、住民投票の結果を尊重しなければなりません。
(安全確保)
第22条 行政は、緊急の事態等から市民の生命、身体及び財産の安全性を確保するための体制の整備に努めなければなりません。
2 市民は、緊急の事態等の発生時に自らの安全確保を図るとともに、互いに協力し、助け合うよう努めなければなりません。
第7章 連携等
(他の自治体との広域連携)
第23条 海老名市は、他の自治体と連携して行政サービス、大規模災害その他共通する行政課題の広域的解決に取り組むよう努めます。
(国及び県との関係)
第24条 海老名市は、国及び県に対して制度、政策等の改善、役割分担及び財源配分の適正化に向けた取り組みを積極的に行うとともに、対等かつ必要な協力関係を築きます。
附則
この条例は、平成19年10月1日から施行します。