○府中市議会政治倫理条例

令和5年3月24日

条例第14号

府中市議会は、平成31年3月に府中市議会基本条例(平成31年3月府中市条例第6号)を制定し、市民の負託に応え、もって市民福祉の増進及び市政の発展に寄与することを誓った。

しかし、令和2年6月に府中市議会議員2人が公契約関係競売入札妨害等により逮捕・起訴され、有罪判決を受ける不祥事が発生し、府中市議会及び府中市議会議員に対する信頼を著しく失墜させた。

府中市議会は、この事態の重大さを真摯に受け止め、二度と不祥事を繰り返さないよう、公契約関係競売入札妨害事件に係る再発防止対策特別委員会を設置して、再発防止と信頼回復に向け全議員が一丸となり全力で取り組んできた。

府中市議会及び府中市議会議員は、二元代表制の一翼を担う全市民の代表として高い政治倫理の確立と品位の保持を更に進め、深い見識の下、誇りを持って市政を担っていくため、ここに、市民との信頼関係を築く基盤として府中市議会政治倫理条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、府中市議会(以下「議会」という。)及び府中市議会議員(以下「議員」という。)が厳粛な信託を受けた全市民の代表であることを自覚し、府中市議会基本条例第4条に規定する高い倫理的義務に関する事項を規定し、これを将来にわたり遵守することで、公正で開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(議員及び議会の責務)

第2条 議員は、市民に選ばれた代表として高い倫理的義務が課せられていることを深く自覚し、第4条に規定する政治倫理基準を遵守するとともに、品位の保持と資質の向上に努め、誠実かつ公平・公正にその使命の達成に努めなければならない。

 議員は、政治倫理基準に反する事実があると疑われた場合は、自ら進んでその疑惑を解明し、市民に対して説明責任を果たさなければならない。

 議会は、議員に学習の機会を提供するとともに、議員が会派内及びその他の議員間で相互に政治倫理基準を共有し、これを遵守できるよう努めなければならない。

(市民の責務)

第3条 市民は、主権者としての責任を自覚するとともに、この条例の趣旨を理解し、その目的の実現に向けて協力するよう努めるものとする。

 市民は、議員に対し、その地位又は権限による影響力を不正に行使させるような働きかけを行ってはならない。

(政治倫理基準)

第4条 議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。

(1) その地位を利用して不正に金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は供応接待を受けないこと。

(2) 市が行う請負契約、委託契約、物品購入契約その他の契約又は地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者の指定に関し、特定の者への取り計らいをしないこと。

(3) 職員に職権の不正行使を強要して、その職務遂行を妨げないこと。

(4) その地位を利用して各種ハラスメントその他の人権侵害のおそれのある行為をし、又は法人、団体等への嫌がらせ、不当な強制、圧力をかけるなどの行為をしないこと。

(5) 職員の採用、昇格又は異動に関し、その影響力を行使しないこと。

(6) 政治活動に関し、政治資金規正法(昭和23年法律第194号)に規定する政治献金以外の寄附の授受をしないこと。

(7) 公職選挙法(昭和25年法律第100号)の規定に違反する寄附行為、要求等の行為をしないこと。

(8) 納税の義務を履行すること。

(9) 反社会的勢力を利用し、若しくは反社会的勢力に利用され、又は反社会的勢力の活動に関与しないこと。

(請負等の辞退)

第5条 議員が役員を務める営利を目的とする企業又は団体は、府中市に対し請負をすること、又は指定管理者となることを辞退するよう努めなければならない。

(審査請求)

第6条 議員が第4条に規定する政治倫理基準に違反する行為をした疑いがあると認められるとき、又は刑事事件により有罪の判決を受けたときは、これを証する書面を添えて、市民にあっては有権者(地方自治法第74条第5項に規定する選挙権を有する者をいう。)の総数の500分の1以上の者の連署をもって、議員にあっては定数の3分の1以上の者の連署をもって、議長に審査の請求(以下「審査請求」という。)をすることができる。

 前項の規定による審査請求は、審査の対象となる政治倫理基準違反行為と疑われる行為の日又は刑事事件により有罪の判決を受けた日(以下「当該日」という。)が属する議員としての任期中に行わなければならない。ただし、当該任期を経過した後であっても、当該議員が再選されている場合は、当該日から3年以内に限り、審査請求をすることができる。

(審査会の設置)

第7条 議長は、前条の審査請求があった場合には、速やかに府中市議会議員政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を設置し、審査を付託する。

(委員の構成等)

第8条 審査会の委員は、議長及び審査の対象となった議員(以下「審査対象議員」という。)を除く全ての議員で構成する。

 審査会に委員長及び副委員長を置き、委員の互選によりこれらを定める。

(委員の任期)

第9条 委員の任期は、第6条の審査請求に係る審査が終了したときまでとする。

(会議の公開)

第10条 審査会の会議は、公開とする。ただし、出席委員の3分の2以上の多数で議決したときは、非公開とすることができる。

(守秘義務)

第11条 審査会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

(審査会の役割)

第12条 審査会は、議長から審査を付託されたときは、審査請求の適否又は政治倫理基準違反行為の存否について審査する。

 審査会は、審査対象議員が政治倫理基準に違反していると認められる場合又は刑事事件により有罪の判決を受けたことが確認された場合は、議長に対して必要な措置を講じるよう勧告することができる。

(調査権限)

第13条 審査会は、必要と認めるときは、審査請求を行った者、審査対象議員その他審査請求に関係する者に対して、意見を聴取し、及び資料を提出することを求めることができる。

 審査会は、必要と認めるときは、学識経験を有する者を参考人として出席させ、意見を聴くことができる。

 前項の規定により審査会に出席した参考人に対しては、府中市実費弁償条例(昭和40年4月府中市条例第9号)に規定する関係人等の例により、その実費を弁償する。

(審査の協力義務)

第14条 審査対象議員は、審査会の要求に応じて、次に掲げる事項を行わなければならない。

(1) 調査に必要な資料を提出すること。

(2) 審査会の会議に出席して説明すること。

(審査結果の報告)

第15条 審査会は、第7条の規定により議長から審査を付託された日から90日以内に審査の結果を議長に報告するものとする。

 議長は、前項の報告を受けたときは、審査請求を行った者及び審査対象議員に対し、その内容を文書で通知するものとする。

(弁明)

第16条 審査対象議員は、審査会において口頭又は文書により弁明することができる。

 審査対象議員は、審査結果について弁明書を議長に提出することができる。

(審査結果等の公表)

第17条 議長は、審査会から審査結果の報告を受けたときは、その内容を公表するものとする。

 議長は、審査対象議員から弁明があったときは、前項の審査結果の公表に当たり、その弁明の全部又は要旨を併せて公表するものとする。

(措置)

第18条 議長は、審査会の審査結果を尊重し、審査対象議員に対して、議会の名誉と品位を守り、市民の信頼を回復するため、議会に諮り必要な措置を講じることができる。

(説明会)

第19条 議員は、刑事事件により有罪の判決を受けた場合であって、引き続きその職にとどまろうとするときは、市民に対し説明会を開催し、説明責任を果たさなければならない。

(議員報酬の支給停止)

第20条 議員が、刑事事件の被疑者又は被告人として逮捕され、勾留され、その他身体を拘束する処分を受けたときは、別に定めるところにより、議員報酬の支給を停止する。

(宣誓)

第21条 議員は、この条例を遵守する旨の宣誓を行うものとし、議員の任期開始後速やかに、議長に対して宣誓書を提出しなければならない。

 議長は、前項の宣誓書を提出しない議員があるときは、その氏名を速やかに公表しなければならない。

(教育)

第22条 議長は、議員に対し政治倫理に関する研修を定期的に行うものとする。

 議員は、前項の研修に出席し、日々の学習と実践により政治倫理の向上に努めなければならない。

(委任)

第23条 この条例の施行について必要な事項は、議長が定める。

(施行期日)

 この条例は、令和5年4月1日から施行する。

(経過措置)

 この条例の施行の際、現に議員である者の第21条第1項の規定の適用については、同項中「議員の任期開始後」とあるのは、「この条例の施行後」とする。

府中市議会政治倫理条例

令和5年3月24日 条例第14号

(令和5年4月1日施行)