○福井市長の政治倫理に関する条例

平成17年7月8日

条例第21号

(目的)

第1条 この条例は、市政が市民の信託に基づくものであることにかんがみ、市長の政治倫理基準等を定めるとともに、資産等の公開、市民の調査請求等の制度を設けることにより、市長自らの政治倫理の確立を期し、もって公正で開かれた市政の確保と発展に寄与することを目的とする。

(市長及び市民の責務)

第2条 市長は、市政の代表者として、市政に携わる権能を市民から信託されているものであり、その権能を市民福祉のために公正に行使する責務を負うことを深く自覚し、その使命の達成に努めなければならない。

2 市民は、主権者として自らが市政を担い、公共の利益を実現する責務を負うことについて自覚し、自己の利益又は第三者の利益若しくは不利益を図る目的をもって、市長に対して、その権限又は地位による影響力を不正に行使させるような働きかけを行ってはならない。

(政治倫理基準)

第3条 市長は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。

(1) その権限又は地位のもたらす影響力を私的な目的のために行使しないこと。

(2) その地位のもたらす影響力を利用して不当に金品を授受しないこと。

(3) 特定の者の利益又は不利益を図る等の職務執行上の不当な取り計らいをしないこと。

(4) 政治活動に関し、道義的に批判を受けるおそれのある寄附を受領しないものとし、その後援団体にあっても同様に取り扱わせるよう措置すること。

(5) 前各号に掲げるもののほか、市政への不信を招くことのないよう、その品位と名誉を損なうような一切の行為を慎むとともに、職務に関し、不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。

2 市長は、前項の政治倫理基準(以下「政治倫理基準」という。)に違反する事実があるとの疑惑を持たれたときは、自ら誠実な態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにしなければならない。

(資産等報告書の作成)

第4条 市長は、その任期開始の日(再選挙により市長となった者にあってはその選挙の期日とし、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第259条の2の規定の適用がある者にあっては当該者の退職の申立てがあったことにより告示された選挙の期日とし、更正決定又は繰上補充により当選人と定められた市長にあってはその当選の効力発生の日とする。次項において同じ。)において有する次の各号に掲げる資産等について、当該資産等の区分に応じ当該各号に掲げる事項を記載した資産等報告書を、同日から起算して100日を経過する日までに、作成しなければならない。

(1) 土地(信託している土地(自己が帰属権利者であるものに限る。)を含む。) 所在、面積及び固定資産税の課税標準額並びに相続(被相続人からの遺贈を含む。第3号までにおいて同じ。)により取得した場合は、その旨

(2) 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権 当該権利の目的となっている土地の所在及び面積並びに相続により取得した場合は、その旨

(3) 建物 所在、床面積及び固定資産税の課税標準額並びに相続により取得した場合は、その旨

(4) 預金(当座預金及び普通預金を除く。)及び貯金(普通貯金を除く。) 預金及び貯金の額

(5) 有価証券(金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第1項及び第2項に規定する有価証券に限る。) 種類及び種類ごとの額面金額の総額(株券(株券が発行されていない場合にあっては、株券が発行されていたとすれば当該株券に表示されるべき権利を含む。)にあっては、株式の銘柄及び株数)

(6) 自動車、船舶、航空機及び美術工芸品(取得価額が1,000,000円を超えるものに限る。) 種類及び数量

(7) ゴルフ場の利用に関する権利(譲渡することができるものに限る。) ゴルフ場の名称

(8) 貸付金(生計を一にする親族に対するものを除く。) 貸付金の額

(9) 借入金(生計を一にする親族からのものを除く。) 借入金の額

2 市長は、その任期開始の日後毎年新たに有することとなった前項各号に掲げる資産等であって12月31日において有するものについて、当該資産等の区分に応じ同項各号に掲げる事項を記載した資産等補充報告書を、その翌年の4月1日から同月30日までの間に、作成しなければならない。

(所得等報告書の作成)

第5条 市長(前年1年間を通じて市長であった者(任期満了により市長でない期間がある者で当該任期満了による選挙により再び市長となったものにあっては、当該市長でない期間を除き、前年1年間を通じて市長であった者)に限る。)は、次に掲げる金額及び課税価格を記載した所得等報告書を、毎年4月1日から同月30日までの間(当該期間内に任期満了により市長でない期間がある者で当該任期満了による選挙により再び市長となったものにあっては、同月1日から再び市長となった日から起算して30日を経過する日までの間)に、作成しなければならない。

(1) 前年分の所得について同年分の所得税が課される場合における当該所得に係る次に掲げる金額(当該金額が1,000,000円を超える場合にあっては、当該金額及びその基因となった事実)

 総所得金額(所得税法(昭和40年法律第33号)第22条第2項に規定する総所得金額をいう。)及び山林所得金額(同条第3項に規定する山林所得金額をいう。)に係る各種所得の金額(同法第2条第1項第22号に規定する各種所得の金額をいう。)

 租税特別措置法(昭和32年法律第26号)の規定により、所得税法第22条の規定にかかわらず、他の所得と区分して計算された所得の金額であって規則で定めるもの

(2) 前年中において贈与により取得した財産について同年分の贈与税が課される場合における当該財産に係る贈与税の課税価格(相続税法(昭和25年法律第73号)第21条の2に規定する贈与税の課税価格をいう。)

(関連会社等報告書の作成)

第6条 市長は、毎年4月1日において報酬を得て会社その他の法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む。以下この条において同じ。)の役員、顧問その他の職に就いている場合には、当該会社その他の法人の名称及び住所並びに当該職名を記載した関連会社等報告書を、同月2日から同月30日までの間(当該期間内に任期満了による市長でない期間がある者で当該任期満了による選挙により再び市長となったものにあっては、同月2日から再び市長となった日から起算して30日を経過する日までの間)に、作成しなければならない。

(資産等報告書等の保存及び閲覧)

第7条 前3条の規定により作成された資産等報告書及び資産等補充報告書、所得等報告書並びに関連会社等報告書(以下「資産等報告書等」という。)は、市長において、これらを作成すべき期間の末日の翌日から起算して5年を経過する日まで保存しなければならない。

2 何人も、市長に対し、前項の規定により保存されている資産等報告書等の閲覧を請求することができる。

(福井市長政治倫理審査会の設置)

第8条 市長の政治倫理に関する必要な事項の審査、調査等を行うため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、福井市長政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。

(審査会の所掌事務)

第9条 審査会は、次に掲げる事務を行う。

(1) この条例の規定に基づき市長から求められた調査を行い、その結果を市長に報告すること。

(2) 前号に掲げるもののほか、市長の政治倫理の確立に関する重要な事項について調査審議等をし、市長に意見を述べること。

2 審査会は、前項の事務を行うため、市長その他の関係人に対し、説明又は資料の提供を求め、その他の必要な調査を行うことができる。

(委員)

第10条 審査会は、委員5人以内で組織する。

2 委員は、この条例の規定に基づく調査に関して専門的知識を有する者及び地方行政に関して高い識見を有する者のうちから市長が公正を期して委嘱する。

3 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 委員は、再任されることができる。

5 委員は、その職務を遂行するに当たっては、公正不偏の立場で、調査等をしなければならない。

6 委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

7 市長は、委員が心身の故障のため職務の遂行ができないと認めるとき、又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認めるときは、その委員を解嘱することができる。

(会長)

第11条 審査会に、会長を置き、委員の互選により、これを定める。

2 会長は、会務を総理し、審査会を代表する。

3 会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、会長があらかじめ指名する委員が、その職務を代理する。

(審査会の会議)

第12条 審査会の会議は、会長が招集し、会長がその議長となる。

2 審査会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。

3 審査会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。

4 審査会の会議は、公開とする。ただし、特別な理由がある場合において出席委員の3分の2以上の同意を得たときは、非公開とすることができる。

(市民の調査請求権)

第13条 市民は、次の各号の一に該当する事由があると認めるときは、審査会が調査を行うよう市長に請求することができる。

(1) 資産等報告書等の記載内容に疑義があるとき。

(2) 市長が政治倫理基準又は第21条に規定する請負契約等に関する遵守事項(以下「政治倫理基準等」という。)に違反する行為をした疑いがあるとき。

2 前項の規定による調査の請求は、有権者50人以上の者の連署をもって、その代表者が、前項各号のいずれかに該当することを証するに足りる資料を添付した調査請求書を提出することにより行うものとする。

3 市長は、前2項の規定により調査の請求がなされたときは、調査請求書及び添付資料の写しを審査会に直ちに提出して、その調査を求めなければならない。

4 審査会は、前項の規定により調査を求められたときは、速やかに調査を行い、調査を求められた日の翌日から起算して90日を経過する日までに、調査の結果及び意見を記載した調査報告書を作成し、これを市長に提出するとともに、その内容を第1項及び第2項の規定により調査の請求をした市民の代表者に通知しなければならない。

5 市長は、前項の規定による調査報告書の提出を受けたときは、その要旨を速やかに公表しなければならない。

6 第7条の規定は、調査報告書の保存及び閲覧について準用する。この場合において、同条第1項中「これらを作成すべき期間の末日」とあるのは、「市長が調査報告書の提出を受けた日」と読み替えるものとする。

(市長の協力義務)

第14条 市長は、審査会の要求があるときは、調査に必要な資料を提出し、又は審査会の会議に出席して説明をしなければならない。

(信頼回復のための措置)

第15条 市長は、審査会の調査報告書において資産等報告書等に事実と異なる記載がある旨又は市長の行為が政治倫理基準等に違反している旨の指摘がなされたときは、これを尊重して、市長自ら資産等報告書等の記載の訂正その他の市民の信頼を回復するために必要と認められる措置を講じなければならない。

(虚偽説明等の公表)

第16条 審査会は、市長が審査会に対し、事実と異なる説明をし、調査に協力せず、又は審査会の調査報告書の要旨の公表を怠っていると認めるときは、期限を定めてその是正を市長に求めることができる。

2 審査会は、市長が期限までに正当な理由がなく前項の是正をしないとき、その他必要があると認めるときは、その内容を公表することができる。この場合において、審査会は、市長に対し、あらかじめ弁明の機会を与えなければならない。

(職務関連犯罪容疑による逮捕後の説明会)

第17条 市長は、刑法(明治40年法律第45号)第197条から第197条の4までに規定する罪その他職務に関連する犯罪(以下「職務関連犯罪」という。)の容疑により逮捕された場合において、その職にとどまろうとするときは、その理由を市民に対して説明する会(以下「説明会」という。)を開催し、自ら説明することができる。

(職務関連犯罪容疑による起訴後の説明会)

第18条 市長は、職務関連犯罪により起訴された場合において、その職にとどまろうとするときは、説明会を開催し、自ら説明しなければならない。

2 市民は、前項の説明会が開催されないときは、有権者50人以上の者の連署をもって、市長に説明会の開催を請求することができる。

3 前項の規定による請求は、市長が起訴された日の翌日から起算して50日以内に行わなければならない。

4 市民は、説明会において、市長が行った説明に関し市長に質問することができる。

(職務関連犯罪による有罪判決後の説明会)

第19条 前条の規定は、市長が職務関連犯罪により有罪とする第一審判決の宣告を受けた場合において、その職にとどまろうとするときに準用する。この場合において、同条第3項中「起訴された日の翌日から起算して50日以内」とあるのは、「判決の宣告を受けた日の翌日から起算して30日を経過する日の翌日から起算して20日以内」と読み替えるものとする。

(職務関連犯罪確定後の措置)

第20条 市長が職務関連犯罪により有罪とする判決の宣告を受け、刑が確定したときは、その刑により公職選挙法第11条第1項の規定に該当し、被選挙権を失い、地方自治法第143条第1項の規定により失職する場合を除き、市長は、その名誉と品位を守り、市民の信頼を回復するために必要と認められる措置を講じなければならない。

(市等との請負契約等に関する遵守事項)

第21条 市長、その配偶者若しくは市長の2親等以内の親族が役員をしている法人(市の出資法人(市が設立した土地開発公社並びに市が資本金、基本金その他これらに準ずるものを出資している一般社団法人及び一般財団法人並びに株式会社をいう。以下この条において同じ。)を除く。以下この条において同じ。)又は市長が実質的に経営に携わる法人は、地方自治法第142条の規定の趣旨を尊重し、市若しくは市の出資法人との間の工事、製造その他の請負契約、業務の委託契約及び物品の購入契約又はこれらの契約の下請負若しくは再委託に関する契約を締結してはならない。

(委任)

第22条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成17年8月1日から施行する。

(政治倫理の確立のための福井市長の資産等の公開に関する条例の廃止)

2 政治倫理の確立のための福井市長の資産等の公開に関する条例(平成7年福井市条例第23号。以下「旧条例」という。)は、廃止する。

(旧条例の廃止に伴う経過措置)

3 旧条例第2条から第4条までの規定により作成された資産等報告書及び資産等補充報告書、所得等報告書並びに関連会社等報告書の保存及び閲覧については、旧条例第5条の規定は、この条例の施行後においても、なおその効力を有する。

(平成18年条例第148号)

この条例は、会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第87号)第1条の規定の施行の日から施行する。

(平成19年条例第44号)

(施行期日)

1 この条例は、証券取引法等の一部を改正する法律(平成18年法律第65号)第3条の施行の日(平成19年9月30日)から施行する。ただし、第4条第1項第4号の改正規定は、平成19年10月1日(以下「一部施行日」という。)から施行する。

(経過措置)

2 この条例による改正後の福井市長の政治倫理に関する条例第4条第1項第4号の規定の適用については、一部施行日前に有していた郵便貯金(通常郵便貯金を除く。)及び郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第102号)附則第3条第10号に規定する旧郵便貯金(通常郵便貯金を除く。)は、預金とみなす。

(平成20年条例第37号)

この条例は、平成20年12月1日から施行する。

福井市長の政治倫理に関する条例

平成17年7月8日 条例第21号

(平成20年12月1日施行)

体系情報
第1類 規/第4章 政治倫理
沿革情報
平成17年7月8日 条例第21号
平成18年3月7日 条例第148号
平成19年9月30日 条例第44号
平成20年9月24日 条例第37号