○福井市環境基本条例

平成11年3月24日

条例第3号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第8条)

第2章 環境の保全に関する施策

第1節 環境の保全に関する基本的施策(第9条―第14条)

第2節 環境の保全に関する総合的推進のための施策(第15条―第18条)

第3節 環境の保全に関する効果的推進のための施策(第19条―第24条)

第3章 地球環境保全の推進(第25条)

第4章 環境保全の推進体制(第26条・第27条)

第5章 環境審議会(第28条―第37条)

附則

わたしたち福井市民は、九頭竜川、足羽川の流れがつくり出した福井平野、自然美を誇る越前海岸、緑豊かな山並みなど生活に潤いと安らぎをもたらす自然の恵みを享受する中、戦災、震災など大きな災害を乗り越え、不死鳥福井の歴史と文化を育んできた。

しかし、経済社会の発展とともに、より一層の豊かさや利便性を求め、資源やエネルギーの大量消費や不用物の大量廃棄が繰り返されてきた結果、わたしたちの抱える環境問題は、身近な生活に密着した問題から、地球の温暖化、オゾン層の破壊などの地球的な規模の問題にまで拡大し、現在及び将来の人類を含むあらゆる生物の生存基盤を脅かす深刻な環境への影響が懸念されるに至っている。

もとより、わたしたちは、健康で安全かつ快適な生活を営むことのできる恵み豊かな環境を享受する権利を有するとともに、こうした恵み豊かな環境を維持し、発展させ、将来の世代に継承していく責務を有している。

今、このような認識のもとに、市民、事業者及び行政が一体となり、これらすべての者の工夫と協働により、福井のよりよい環境を保全し、創造するとともに、潤いと安らぎのある魅力的なまちづくりを推進していくため、ここにこの条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全と創造(以下「環境の保全」という。)について、基本理念を定め、並びに市、事業者及び市民並びに通勤者、通学者、観光客等(以下「滞在者等」という。)の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。以下同じ。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全は、市民が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受し、その環境が将来にわたって維持されるように適切に行われなければならない。

2 環境の保全は、循環を基調とする環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会が構築されることを旨として、すべての者の公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行われなければならない。

3 環境の保全は、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持され、並びに生態系等の多様性及び樹林地、農地、河川、海等における多様な自然環境の保全に配慮されつつ、人と自然とが共生できるような調和のとれた環境が実現されることを旨として、行われなければならない。

4 地球環境保全は、すべての者がこれを自らの課題として認識し、それぞれの事業活動及び身近な日常生活その他の活動において、積極的な活動により推進されなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、環境の保全を図るため、市の区域の自然的社会的条件に応じた総合的かつ計画的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2 市は、その社会経済活動に際して、環境の保全に資する取組を自ら率先して実施する責務を有する。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずるばい煙、汚水、廃棄物等の処理その他の公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を自らの責任と負担において講ずる責務を有する。

2 事業者は、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合にその適正な処理が図られることとなるように必要な措置を講ずる責務を有する。

3 前2項に定めるもののほか、事業者は、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。

4 前3項に定めるもののほか、事業者は、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。

(市民の責務)

第6条 市民は、環境の保全上の支障を防止するため、廃棄物の減量、資源及びエネルギーの適正な利用その他のその日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか、市民は、その地域における環境の保全のための活動に積極的に参加する等環境の保全に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。

(滞在者等の責務)

第7条 滞在者等は、環境の保全上の支障を防止するため、市の区域における活動に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。

(適用除外)

第8条 この条例の規定は、原子力基本法(昭和30年法律第186号)その他の関係法律の規定により講ずることとされている放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染の防止のための措置については、適用しない。

第2章 環境の保全に関する施策

第1節 環境の保全に関する基本的施策

(規制等の措置)

第9条 市は、公害を防止するため、公害の原因となる行為に関し、必要な規制の措置を講じなければならない。

2 市は、樹林地、農地、河川、海等における多様な自然環境の保全を図るため、その自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、必要な規制の措置を講ずるように努めなければならない。

3 前2項に定めるもののほか、市は、新たな環境への負荷、自然の遷移等による環境の保全上の支障を防止するために必要な規制の措置を講ずるように努めなければならない。

4 市は、環境の保全を図るために必要な指導その他の措置を講ずるように努めるものとする。

(環境の保全上の支障の防止に資する施設の整備の推進)

第10条 市は、下水道、廃棄物の公共的な処理施設その他の環境の保全上の支障の防止に資する公共的施設の整備を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(快適な環境の確保)

第11条 市は、都市の緑化、水辺の整備、良好な景観の確保、歴史的文化的遺産の保全等を体系的に図ることにより、潤いと安らぎのある快適な環境の確保に努めるものとする。

(資源の循環利用等の促進等)

第12条 市は、環境への負荷の低減を図るため、市民及び事業者による資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、環境への負荷の低減を図るため、市の施設の建設及び維持管理その他の事業の実施に当たっては、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量を推進するものとする。

(環境の保全に関する教育、学習等)

第13条 市は、市民、事業者及び滞在者等が環境の保全についての理解を深めるとともに、これらの者による環境の保全に関する自発的な活動が促進されるように、広報啓発活動の充実並びに環境の保全に関する教育及び学習の振興その他の必要な措置を講ずるものとする。

(情報の収集、調査研究の実施及び監視等の体制の整備)

第14条 市は、環境の保全に関する施策を適正に実施するため、環境の保全に関する情報の収集に努めるとともに、調査研究の実施及び監視、測定等の体制の整備に努めるものとする。

第2節 環境の保全に関する総合的推進のための施策

(環境基本計画の策定)

第15条 市長は、環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、福井市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全に関する総合的かつ長期的な目標及び施策の大綱

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ福井市環境審議会の意見を聴かなければならない。

4 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、市民及び事業者の意見が反映できるように、必要な措置を講じなければならない。

5 市長は、環境基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

6 前3項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(市の施策の策定等に当たっての配慮等)

第16条 市は、自らの施策の策定及び実施に当たっては、環境の保全に十分に配慮するとともに、環境基本計画との整合を図るように努めるものとする。

(環境の状況等の公表)

第17条 市長は、この章に定めるところによる環境の保全に関する施策の適正な進行管理を図るため、毎年、環境の状況、環境基本計画に基づき実施された施策の状況等について公表しなければならない。

(環境影響評価の推進)

第18条 市は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業を行う事業者が、その事業の実施に当たりあらかじめその事業に係る環境への影響の評価について自ら適正に調査、予測又は評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるように努めなければならない。

第3節 環境の保全に関する効果的推進のための施策

(環境の保全上の支障を防止するための助成)

第19条 市は、事業者又は市民が、自らの行為に係る環境への負荷の低減のための施設の整備その他の環境の保全上の支障を防止するための適切な措置をとることとなるよう、特に必要があるときは、適正な助成の措置を講ずるように努めるものとする。

(民間団体等の自発的な活動を促進するための措置)

第20条 市は、市民、事業者又はこれらの者で組織する民間の団体(以下「民間団体」という。)が自発的に行う緑化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全に関する活動が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

(情報の提供)

第21条 市は、第13条の環境の保全に関する教育及び学習の振興並びに前条の市民、事業者又は民間団体が自発的に行う環境の保全に関する活動の促進に資するため、個人及び法人の権利利益の保護に配慮しつつ環境の状況その他の環境の保全に関する必要な情報を適切に提供するように努めるものとする。

(自主的な環境管理の促進等)

第22条 市は、事業者によるその事業活動に伴う環境への負荷の低減についての取組を実効あるものとするため、事業者の自主的な環境管理(環境の保全に関する方針の策定、目標の設定、計画の作成及び実施、体制の整備並びにこれらの監査の実施等をいう。以下同じ。)の促進に関し必要な措置を講ずるように努めるものとする。

2 前項に定めるもののほか、市は、同項の自主的な環境管理の実施に自ら努めるものとする。

(事業者、市民及び滞在者等の参加及び協力の促進)

第23条 市は、環境の保全に関する施策を効果的に推進するため、事業者、市民及び滞在者等の参加及び協力の促進に努めるものとする。

(国及び他の地方公共団体との協力)

第24条 市は、広域的な取組が必要とされる環境の保全に関する施策については、国及び県その他の地方公共団体と協力してその推進に努めるものとする。

第3章 地球環境保全の推進

第25条 市は、前章に掲げる施策と相まって、地球の温暖化の防止、オゾン層の保護等の地球環境保全に資する施策を積極的に推進するように努めるとともに、市が実施する各種の国際交流を通して、地球環境保全に関する国際協力に努めるものとする。

第4章 環境保全の推進体制

(関係部局相互の連携及び施策の調整を図るための体制の整備)

第26条 市は、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、関係部局相互の連携及び施策の調整を図るための体制を整備するものとする。

(市民、事業者及び民間団体との連携体制の整備)

第27条 市は、環境の保全に関する施策の効率的かつ効果的な推進を図るため、必要に応じ、市、市民、事業者及び民間団体が連携することのできる体制を整備するものとする。

第5章 環境審議会

(設置)

第28条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、福井市環境審議会(以下「審議会」という。)を設置する。

(所掌事務)

第29条 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項について調査審議する。

(1) 環境基本計画に関すること。

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全に関する基本的な事項

2 審議会は、前項に規定する事項に関し、市長に意見を述べることができる。

(組織等)

第30条 審議会は、委員(次条の特別委員を除く。以下同じ。)15人以内で組織する。

2 委員は、次に掲げる者のうちから、市長が委嘱する。

(1) 学識経験を有する者

(2) 各種団体の代表者

(3) 関係行政機関の職員

(4) その他市長が必要と認める者

3 委員の任期は、2年とし、当該委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 委員は、再任されることができる。

(特別委員)

第31条 審議会に、特別の専門的事項を調査審議させるため必要があるときは、若干人の特別委員を置くことができる。

2 特別委員は、前項の特別の専門的事項に関し識見を有する者のうちから、市長が委嘱する。

3 特別委員は、その者の委嘱に係る特別の専門的事項に関する調査審議が終了したときは、解任されるものとする。

(会長及び副会長)

第32条 審議会に、会長及び副会長各1人を置き、委員の互選により定める。

2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。

3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(会議)

第33条 審議会の会議は、会長が招集し、会長が議長となる。

2 審議会は、委員及び議事に関係のある特別委員の過半数の出席がなければ、会議を開くことができない。

3 審議会の議事は、出席した委員及び議事に関係のある特別委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

(部会)

第34条 審議会は、必要があると認めるときは、部会を置くことができる。

2 部会に属すべき委員及び特別委員は、会長が指名する。

3 部会に部会長及び副部会長を置き、部会に属する委員及び特別委員のうちから会長が指名する。

4 部会長は、部会の会務を掌理する。

5 部会長に事故があるとき又は部会長が欠けたときは、副部会長がその職務を代理する。

(委員及び特別委員以外の者の出席)

第35条 審議会及び部会は、必要があると認めるときは、委員及び特別委員以外の者の出席を求め、その意見及び説明を聴くことができる。

(庶務)

第36条 審議会の庶務は、市民生活部環境事務所環境政策課において処理する。

(雑則)

第37条 この章に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める。

 抄

(施行期日)

1 この条例は、平成11年4月1日から施行する。

(福井市環境保全基本条例の廃止)

2 福井市環境保全基本条例(昭和51年福井市条例第10号)は、廃止する。

(福井市公害防止条例の一部改正)

3 福井市公害防止条例(昭和52年福井市条例第22号)の一部を次のように改正する。

(次のよう略)

(福井市あき地等の清潔保持に関する条例の一部改正)

5 福井市あき地等の清潔保持に関する条例(昭和52年福井市条例第13号)の一部を次のように改正する。

(次のよう略)

(平成12年条例第86号)

この条例は、平成12年4月1日から施行する。

(平成13年条例第34号)

この条例は、平成13年7月1日から施行する。

福井市環境基本条例

平成11年3月24日 条例第3号

(平成13年7月1日施行)

体系情報
第9類 生/第3章 環境保全
沿革情報
平成11年3月24日 条例第3号
平成12年3月31日 条例第86号
平成13年6月27日 条例第34号