○福津市男女がともに歩むまちづくり基本条例

平成17年1月24日

条例第90号

目次

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 基本的施策等(第8条―第13条)

第3章 男女共同参画審議会(第14条・第15条)

第4章 雑則(第16条)

附則

個人の尊重と両性の平等は、何にもまして最高の価値があり、個人のみならず社会の豊かさを求めるためにも不可欠な事柄です。我が国の憲法はもとより、「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」も、このことを高らかにうたっています。

しかしながら、現実には性別による固定的な役割分業意識やそれに基づく社会の制度、慣行が未だに根強く残っており、両性の自由な活動や生き方の選択を妨げる要因となっています。

このような状況の下で、少子高齢化が急速に進んでおり、それが社会に及ぼす影響は極めて大きいのです。

こうした現状を踏まえ、男女がともに自由に自らの生き方を選択でき、その選んだ価値を実現できるよう真摯に取り組む豊かな成熟した社会の実現を目指して、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、福津市(以下「市」という。)における男女共同参画社会の形成に関する基本理念を定め、並びに市、市民及び事業者等の責務を明らかにするとともに、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下「参画促進施策」という。)の基本となる事項を定めることにより、性別にかかわりなく、全ての人が尊重され、認め支えあい、自分らしく心豊かに生活できる「男女がともに歩むまちづくり」の推進に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号の定めるところによる。

(1) 男女共同参画社会 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意志によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、ともに責任を担う社会をいう。

(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において男女のいずれか一方に対し、その機会を積極的に提供することをいう。

(3) 市民 住民登録にかかわらず、市に住む人、市で働く人、市で学ぶ人などをいう。

(4) 事業者等 市内において、公的機関、民間を問わず、又は営利、非営利を問わず事業や活動(以下「事業・活動」という。)を行うものをいう。

(5) 審議会等 市の政策や方針について審議する機関で、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4に規定する附属機関及びこれに準ずる機関をいう。

(6) クオータ制 審議会等の委員の数が、男女のいずれかに偏らないように、比率を定めることをいう。

(基本理念)

第3条 市、市民及び事業者等は、男女共同参画社会の形成に関し、次の各号に掲げる事項を基本理念として、「男女がともに歩むまちづくり」を推進する。

(1) 男女共同参画社会の形成は、男女の個人としての尊厳が重んじられること、男女が直接的であると間接的であるとにかかわらず性別による差別的な取扱いを受けないこと、男女ともに個性が尊重され能力を発揮する機会が確保されることなど、男女の人権が尊重されるよう行わなければならない。

(2) 男女共同参画社会の形成にあたっては、社会における制度又は慣行が男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響をできるだけ中立なものとするように配慮しなければならない。

(3) 男女共同参画社会の形成にあたっては、市は、政策や方針の決定過程に、事業者等は、事業・活動の方針決定過程に、男女が社会の対等な構成員としてともに参画する機会を確保するようにしなければならない。

(4) 男女共同参画社会の形成は、男女が、ともに家族的責任を持ち、相互の協力と社会の支援を受けながら、家庭、地域、職場、学校その他のあらゆる場における活動に、対等に参画できるよう行わなければならない。

(5) 男女共同参画社会の形成は、男女の対等な関係の下に互いの性を理解し、健康に配慮するとともに、生涯にわたる性と生殖に関して、自らが決定する権利を十分に尊重し行わなければならない。

(6) 男女共同参画社会の形成にあたっては、家庭、地域、職場、学校その他のあらゆる場から暴力や虐待、他の者を不快にさせる性的な言動を根絶しなければならない。

(7) 男女共同参画社会の形成は、国際社会における取り組みと密接な関係を有していることを考慮して行わなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、基本理念にのっとり、参画促進施策を総合的かつ計画的に実施しなければならない。

2 市は、参画促進施策を実施するため、必要な条例上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。

3 市は、男女共同参画社会の形成の促進について、市民、事業者等の理解が深まるよう、必要な啓発活動や学習機会の充実などに積極的に努めなければならない。

4 市は、審議会等を設置するにあたり、条例等にクオータ制を規定するなど、男女がともに、政策や方針の決定過程に参画できる機会を確保しなければならない。

5 市は、参画促進施策を実施するにあたり、国、他の地方自治体及び関係団体との連携に努めなければならない。

(市民の責務)

第5条 市民は、家庭、地域、職場、学校その他のあらゆる場において、基本理念にのっとり、男女共同参画社会を実現するため、自立する意欲を持って、積極的かつ主体的に取り組むとともに、市が実施する参画促進施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者等の責務)

第6条 事業者等が事業・活動を行うにあたっては、基本理念にのっとり、男女共同参画社会を実現するため、積極的に取り組むとともに、市が実施する参画促進施策に協力するよう努めなければならない。

2 事業者等は、男女が家庭と就業や活動を両立できる環境の整備に努めなければならない。

3 事業者等が市と工事請負などの契約を希望し業者登録をする場合は、男女共同参画の推進状況を届け出なければならない。

(男女がともに歩むまちづくり推進モデル)

第7条 市長は、前2条の規定による責務を顕著に遂行している市民、事業者等に対し、第3章に規定する男女共同参画審議会の意見を聴いて、「男女がともに歩むまちづくり推進モデル」として推奨することができる。

第2章 基本的施策等

(基本計画)

第8条 市は、男女共同参画社会の形成の促進を図るため、基本的な計画(以下「計画」という。)を策定し、総合的かつ計画的にこれを推進するものとする。

(年次報告等)

第9条 市長は、参画促進施策の実施状況を明らかにする年次報告書を作成し、これを公表するものとする。

2 市長は、毎年、前項の報告書に係る男女共同参画社会の形成の状況を考慮して、講じようとする参画促進施策を明らかにした文書を作成し、これを議会に提出するものとする。

(相談窓口の設置)

第10条 市は、男女共同参画社会の形成の促進を阻害する問題の解決を図るため、相談窓口を置くものとする。

2 市は、前項の相談を受けた場合、他の関係機関等と連携し、必要な支援を行うよう努めるものとする。

(調査研究)

第11条 市は、参画促進施策の策定などに必要な調査研究を推進するよう努めるものとする。

(国際的協調のための措置)

第12条 市は、男女共同参画社会の形成に関する国際的な相互連携協調を円滑に図るための必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(事業者等に対する支援)

第13条 市は、事業者等が男女共同参画社会の形成の促進に関して行う活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第3章 男女共同参画審議会

(男女共同参画審議会)

第14条 男女共同参画社会の形成を図るため、福津市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置くものとする。

2 審議会は、この条例に定める事項のほか、計画の推進状況を点検、評価するとともに、市長の諮問に応じ、男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的かつ総合的な施策及び重要事項を調査審議し、市長に答申するものとする。

(組織等)

第15条 審議会は、市長が委嘱する10人以内の委員で組織する。ただし、男女のいずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4未満であってはならない。

2 審議会の委員の任期は2年以内とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

3 審議会の委員は、再任されることができる。

4 前3項に定めるもののほか、審議会に関し必要な事項は、規則で定める。

第4章 雑則

(委任)

第16条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、平成17年1月24日から施行する。

福津市男女がともに歩むまちづくり基本条例

平成17年1月24日 条例第90号

(平成17年1月24日施行)