○八王子市公文書の管理に関する条例
令和元年12月17日
条例第21号
(目的)
第1条 この条例は、市の諸活動や歴史的事実の記録である公文書が、市民共有の知的資源として、市民が主体的に利用し得るものであることに鑑み、公文書の管理に関する基本的事項を定めることにより、公文書の適正な管理、歴史的に価値ある公文書の適切な保存及び利用等を図り、もって市政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、市の諸活動を現在及び将来の市民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。
(1) 実施機関 市長、教育委員会、選挙管理委員会、公平委員会、監査委員、農業委員会、固定資産評価審査委員会及び議会をいう。
(2) 公文書 実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画、写真、フィルム及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。
ア 官報、白書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの
イ 歴史的若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料として特別の管理がされているもの
(他の法令等との関係)
第3条 公文書の管理については、法律若しくはこれに基づく命令又は他の条例に特別の定めがある場合を除くほか、この条例の定めるところによる。
(1) 条例、規則及び訓令の制定又は改廃及びその経緯
(2) 複数の行政機関による申合せ及びその経緯
(3) 個人又は法人の権利義務の得喪及びその経緯
(4) 職員の人事に関する事項
(公文書の整理)
第5条 実施機関の職員が公文書を作成し、又は取得したときは、実施機関は当該公文書をその性質、内容等に応じて分類し、件名を付するとともに、当該公文書の効力、重要度、利用度、資料価値等を考慮して保存期間を設定しなければならない。
2 実施機関は、前項に規定する公文書の分類に関する基準を定めなければならない。
3 実施機関は、必要があると認めるときは、第1項の規定により設定した保存期間を延長することができる。
4 実施機関は、公文書について、将来にわたり保存する必要がある公文書を選別するための基準(以下「選別基準」という。)を定めなければならない。
5 市長は、第1項の規定により保存期間を設定する際は、保存期間が満了したときの措置として、選別基準に該当するものにあっては引き続き保存する措置を、それ以外のものにあっては廃棄する措置をとるべきことを定めなければならない。
6 市長以外の実施機関は、第1項の規定により保存期間を設定する際は、保存期間が満了したときの措置として、選別基準に該当するものにあっては市長へ移管する措置を、それ以外のものにあっては廃棄する措置をとるべきことを定めなければならない。
(公文書の保存)
第6条 実施機関は、公文書について、当該公文書の保存期間が満了する日までの間、その内容、時の経過、利用の状況等に応じ、適切な保存及び利用を確保するために必要な場所において、適切な記録媒体により、識別を容易にするための措置を講じた上で保存しなければならない。
(公文書の移管又は廃棄)
第7条 市長は、保存期間が満了した公文書について、第5条第5項の規定による定めに基づき、保存し、又は廃棄しなければならない。
3 市長以外の実施機関は、保存期間の満了した公文書について、第5条第6項の規定による定めに基づき、市長に移管し、又は廃棄しなければならない。
5 市長は、前2項の規定により移管された公文書を保存しなければならない。
(歴史的に価値ある公文書の保存)
第8条 市長は、歴史的に価値ある公文書について、第11条の規定により廃棄されるに至る場合を除き、永久に保存しなければならない。
2 市長は、歴史的に価値ある公文書について、その内容、保存状態、時の経過、利用の状況等に応じ、適切な保存及び利用を確保するために必要な場所において、適切な記録媒体により、識別を容易にするための措置を講じた上で保存しなければならない。
(歴史的に価値ある公文書の利用申出)
第9条 何人も、市長に対して、目録に記載されている歴史的に価値ある公文書の利用の申出(以下「利用申出」という。)をすることができる。
2 前項の規定により利用申出をしようとするものは、次に掲げる事項を記載した申出書(以下「利用申出書」という。)を市長に提出しなければならない。ただし、歴史的に価値ある公文書が公表を目的として作成し、又は取得したものその他明らかに利用させることができるものであって、市長が利用申出書の提出を要しないと認めるときは、市規則で定める方法によることができる。
(1) 氏名又は名称及び住所又は事務所若しくは事業所の所在地並びに法人その他の団体にあっては代表者の氏名
(2) 利用申出に係る歴史的に価値ある公文書の目録に記載された名称
(3) 前2号に定めるもののほか、市規則で定める事項
3 目録に記載されていない歴史的に価値ある公文書又は歴史的に価値ある公文書のうち利用制限情報が記録されている部分を利用しようとするものは、市長に対して、八王子市情報公開条例(平成12年八王子市条例第67号。以下「情報公開条例」という。)第6条の規定により、公文書の公開を請求しなければならない。
(歴史的に価値ある公文書の利用申出の取扱い)
第10条 市長は、利用申出があった場合には、次に掲げる情報が記録されている部分を除き、歴史的に価値ある公文書を利用させることができる。
(1) 情報公開条例第8条第1号に掲げる情報
(2) 情報公開条例第8条第2号に掲げる情報
(3) 情報公開条例第8条第3号、第4号、第6号ア及びエ並びに第7号に掲げる情報
2 前項の規定にかかわらず、市長は、歴史的に価値ある公文書の原本を利用に供することにより当該原本の破損若しくはその汚損を生ずるおそれがある場合又は当該原本が現に使用されている場合は、これを利用させないものとする。
(歴史的に価値ある公文書の廃棄)
第11条 市長は、歴史的に価値ある公文書について将来にわたり保存する必要がなくなったと認める場合には、当該歴史的に価値ある公文書を廃棄することができる。
(歴史的に価値ある公文書の利用の方法)
第12条 歴史的に価値ある公文書の利用は、文書、図画又は写真については閲覧又は写しの交付により、フィルムについては視聴又は写しの交付(マイクロフィルムに限る。)により、電磁的記録についてはその種別、情報化の進展状況等を勘案して市規則で定める方法により行う。
2 前項の閲覧又は視聴の方法による歴史的に価値ある公文書の利用にあっては、市長は、当該歴史的に価値ある公文書の保存に支障を生ずるおそれがあると認めるときその他合理的な理由があるときは、当該歴史的に価値ある公文書の写しによりこれを利用させることができる。
(費用負担)
第13条 歴史的に価値ある公文書の閲覧又は視聴に係る手数料は、無料とする。
2 写しの交付の方法により歴史的に価値ある公文書を利用するものは、当該写しの交付に要する費用を負担しなければならない。
(実施機関による利用の特例)
第14条 市長以外の実施機関が市長に移管した歴史的に価値ある公文書について、当該実施機関がその所掌事務又は業務を遂行するために必要であるとして利用申出をした場合には、第10条第1項各号の規定は、適用しない。
(出資等法人の文書の管理)
第15条 市が出資その他財政支出等を行う法人であって、実施機関が定めるもの(以下「出資等法人」という。)は、この条例の趣旨にのっとり保有する文書の適正な管理に関して必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 実施機関は、出資等法人に対し、前項に定める必要な措置を講ずるよう指導に努めるものとする。
(指定管理者の文書の管理)
第16条 地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項の規定により市が設置する公の施設の管理を行う法人その他の団体(以下「指定管理者」という。)は、この条例の趣旨にのっとり当該公の施設の管理に関する文書の適正な管理に関して必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 実施機関は、指定管理者に対し、前項に定める必要な措置を講ずるよう指導に努めるものとする。
(市長の助言)
第17条 市長は、この条例の目的を達成する範囲内において必要があると認める場合には、公文書の管理について、市長以外の実施機関に対し、報告を求め、又は助言することができる。
(管理等の状況の公表)
第18条 市長は、毎年度、実施機関の公文書の管理の状況を公表しなければならない。
2 市長は、前項の規定による公表に合わせ、歴史的に価値ある公文書の保存及び利用の状況を公表しなければならない。
(委任)
第19条 この条例の施行について必要な事項は、市規則で定める。
附則
(施行期日)
第1条 この条例は、令和2年4月1日から施行する。
(経過措置)
第2条 この条例の施行の際、現に実施機関が定めている保存期間は、この条例の規定による保存期間とみなす。
2 この条例の施行の際、現に実施機関が保有している公文書(保存期間満了前のものを除く。)で、選別基準に該当するものは、歴史的に価値ある公文書とみなす。