○市原市議会議員政治倫理条例

令和5年9月15日

条例第22号

市原市議会は、市原市議会基本条例において市民の声の循環を基本原則とし、透明性が高く、市民に信頼される議会を目指すことを宣言し、市民福祉の向上及び市政の発展に資することを誓いました。

しかし、複数のハラスメント事案や政務活動費の不適切な処理が指摘されるなど、基本条例の趣旨を逸脱し、市民の信頼を損なう事例が発生しました。この事態の重大さを真摯に受け止め襟を正し、信頼回復に努めなければなりません。

市原市議会及び市議会議員は、高い政治倫理の確立と品位の保持を更に進め、高い識見を身につけ、誇りと使命感を持って市民の負託に応えることを決意し、ここに市原市議会議員政治倫理条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、市原市議会基本条例(平成24年市原市条例第23号)第4条の規定に基づき、市原市議会議員(以下「議員」という。)の政治倫理に関する基本となる事項を定めることにより、公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(議員の責務)

第2条 議員は、市民全体の代表者として、自らの役割を深く自覚し、市民の信頼に値する高い倫理性を保つことに努めなければならない。

2 議員は、政治倫理に反する行為があるとの疑惑を持たれたときは、その疑惑を解明し、責任を明らかにしなければならない。

(政治倫理基準)

第3条 議員は、次に掲げる政治倫理基準(以下「政治倫理基準」という。)を遵守しなければならない。

(1) 市民全体の代表者として品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関して不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。

(2) 市又は市が出資その他財政支出等を行う法人(以下「市等」という。)が行う許可、認可、指定管理者の指定、請負その他の契約又は補助金等の交付決定に不正に関わらないこと。

(3) 市等の職員の採用、昇任、降任、転任その他の人事に関し、公正を害する行為をしないこと。

(4) その地位を利用して他者へのハラスメント行為、誹謗ひぼう中傷その他の人権侵害のおそれのある行為をしないこと。

(5) 発言又は情報発信(ウェブサイト等への掲載を含む。)は、公人としての自覚及び責任をもって行い、他者の名誉を毀損し、又は人格を損なう一切の行為(第三者をしてこれらの行為をさせることを含む。)をしないこと。

(6) その地位を利用して金品の授受をしないこと。

(7) 市等の職員の公正な職務の執行を妨げ、その職務権限を不正に行使させるような働きかけをしないこと。

(8) 政務活動費については、市原市議会政務活動費の交付に関する条例(平成13年市原市条例第1号)に基づき適正に使用し、及び処理すること。

(9) 法令等を遵守し、議会及び委員会の決定事項等を誠実に守ること。

(兼業に関する遵守事項)

第4条 議員は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第92条の2の趣旨を尊重し、議員の兼業について、市に対して行う請負その他の契約に関して不正の疑惑を持たれないように努めなければならない。

(審査の請求)

第5条 地方自治法第18条の規定により本市の選挙権を有する者(以下「有権者」という。)は、議員が政治倫理基準に違反する疑いがあると認められるときは、当該議員が政治倫理基準に違反する疑いがあることを証する資料を添え、次に掲げる連署をもって、議長に対し、審査の請求をすることができる。

(1) 議員以外の有権者にあっては有権者の総数の100分の1以上の者の連署

(2) 議員にあっては議員定数の12分の1以上の者の連署

(審査会の設置等)

第6条 議長は、前条に規定する審査の請求を受けたときは、直ちに議会運営委員会に当該審査の請求の適否を諮り、出席委員の過半数の賛成があったときは、市原市議会議員政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を設置する。

2 審査会の委員(以下「委員」という。)は6人以上とし、議長が公正を期して選任する。

3 審査の対象となる議員(以下「審査対象議員」という。)は委員となることができない。

4 審査会に委員長及び副委員長を置き、委員の互選によりこれを定める。

5 委員の任期は、当該審査が終了し、審査結果を議長に報告した日までとする。

6 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

(審査会の審査)

第7条 審査会は、委員の半数以上が出席しなければ開くことができない。

2 審査会の議事は、出席委員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。

3 審査会は公開とする。ただし、委員長は審査会に諮って非公開にすることができる。

4 審査会は、審査対象議員に審査会への出席を求め、弁明の機会を与えなければならない。

5 審査会は、審査対象議員その他の者に対し、事情聴取、資料の提出要求その他の必要な調査を行うことができる。

6 審査会は、審査を行うため、専門的知識を有する者を参考人として出席させ、意見を聞くことができる。

(議員の協力義務)

第8条 議員は、審査会からの求めに応じ、審査に必要な資料を提出し、又は審査会に出席して、意見を述べなければならない。

(その他審査会に関する事項)

第9条 前3条に定めるもののほか、審査会に関する事項は、市原市議会委員会条例(昭和42年市原市条例第10号)及び市原市議会会議規則(昭和42年市原市議会規則第1号)に規定する委員会の例による。

(審査結果の報告)

第10条 審査会は、当該審査の請求に係る審査を終了したときは、速やかにその結果を議長に報告しなければならない。

2 審査会は、審査対象議員に政治倫理基準に違反する事実があると認められるときは、前項の規定による報告に次の各号のいずれかの措置を講じるべきかの意見を添えなければならない。

(1) 議員辞職の勧告

(2) 議会内での役職等辞任勧告

(3) この条例の規定を遵守させるための警告

(4) その他必要と認める措置

(虚偽報告等に対する措置への意見)

第11条 審査会は、審査対象議員が虚偽の報告をしたとき又は調査に協力しなかったときは、弁明の機会を与えた上で、前条第2項に準じた措置を講じるべきか議長に意見することができる。

(審査の請求の棄却)

第12条 議長は、審査会から審査の請求を棄却すべき旨の報告を受けたときは、当該審査の請求を棄却する。

(審査対象議員に対する措置)

第13条 議長は、第10条第2項又は第11条の規定による審査会からの意見に基づき、議会の名誉と品位を守り、市民の信頼を回復するため、必要な措置を講じなければならない。

(公表)

第14条 議長は、審査の結果を公表しなければならない。

(議長の職務の代行)

第15条 議長が審査会の審査対象議員となったときは副議長が、議長及び副議長がともに審査対象議員となったときは議会運営委員会委員長、議会運営委員会副委員長、年長議員の順で、この条例(次条を除く。)による議長の職務を行うものとする。

(委任)

第16条 この条例の施行に関し必要な事項は、議長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(検討)

2 議会は、この条例の施行後において、社会情勢の変化等により必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、必要な措置を講ずるものとする。

市原市議会議員政治倫理条例

令和5年9月15日 条例第22号

(令和5年9月15日施行)