○泉佐野市歴史的建築物の保存及び活用に関する条例
令和3年9月30日
泉佐野市条例第17号
(目的)
第1条 この条例は、歴史的な価値を有する建築物の保存及び活用が景観の保全及び文化の向上に資することに鑑み、当該建築物についての現状変更の規制及び保存のための措置に関し必要な事項を定めることにより、当該建築物を良好な状態で将来の世代に継承することを目的とする。
(1) 対象建築物 次のいずれかに該当する建築物をいう。
ア 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第57条第1項の規定により登録された有形文化財
イ 景観法(平成16年法律第110号)第19条第1項の規定により指定された景観重要建造物
ウ 大阪府文化財保護条例(昭和44年大阪府条例第5号)第7条第1項の規定により指定された府指定有形文化財
エ 泉佐野市文化財保護条例(平成2年泉佐野市条例第6号)第4条第1項の規定により指定された有形文化財
オ その他市長が前条の目的に適合するものとして認めるもの
(2) 移築 建築物を他の敷地に移して新築することをいう。
(3) 増築等 建築物の増築、改築、移転、移築若しくは用途の変更又は修繕若しくは模様替をいう。
(4) 保存建築物 対象建築物のうち、第4条第1項の規定による登録を受けたものをいう。
(5) 保存対象敷地 保存建築物が存する敷地(当該保存建築物を移築する場合にあっては、移築後の敷地)をいう。
2 前項に規定するもののほか、この条例において使用する用語は、建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という。)及び建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)において使用する用語の例による。
(保存建築物の登録の申請)
第3条 対象建築物の所有者は、当該対象建築物について、その保存及び活用を図るため、法第3条第1項第3号の規定による指定(以下「保存建築物の指定」という。)を必要とするときは、あらかじめ市長の登録(以下「保存建築物の登録」という。)を受けなければならない。
2 保存建築物の登録を受けようとする対象建築物の所有者は、次に掲げる事項を定めた当該対象建築物の保存及び活用に係る計画(以下「保存活用計画」という。)を添付して、市長に申請しなければならない。
(1) 当該対象建築物の名称及び概要
(3) 当該対象建築物の保存を図りながら、これを活用するために必要な増築等に係る工事の内容
(4) 当該対象建築物の安全性に関する事項
(5) 当該対象建築物の維持管理に関する事項
(6) その他市長が当該対象建築物の良好な保存及び活用並びに当該対象建築物が存する敷地(当該対象建築物を移築する場合にあっては、移築後の敷地。次項において同じ。)の周辺の環境の保全を図るために必要と認める事項
3 前項の規定による申請をしようとする対象建築物の所有者は、その者以外に当該対象建築物及び当該対象建築物が存する敷地について所有権又は借地権を有する者があるときは、あらかじめ、当該申請の内容について、これらの者の同意を得なければならない。
(保存建築物の登録等)
第4条 市長は、前条第2項の規定による申請があった場合において、当該対象建築物の保存及び活用を図るため、保存建築物の指定を受ける必要があり、かつ、当該対象建築物に係る保存活用計画について交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるときは、当該対象建築物について保存建築物の登録をするものとする。
2 市長は、保存建築物の登録をしようとするときは、あらかじめ泉佐野市文化財保存活用計画策定協議会の意見を聴かなければならない。
3 市長は、保存建築物の登録をしたときは、当該保存建築物の所有者に通知しなければならない。
4 市長は、保存建築物の登録をしたときは、遅滞なくその旨を告示するとともに、保存対象敷地及び当該保存対象敷地内に存する建築物の位置その他規則で定める事項を表示した図書を一般の縦覧に供さなければならない。
5 保存建築物の登録は、前項の規定による告示によりその効力を生ずる。
(登録の変更)
第5条 保存建築物の所有者は、当該保存建築物に係る保存活用計画の変更(規則で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、市長に対し、登録事項の変更(以下「変更登録」という。)を申請しなければならない。
3 市長は、第1項の規定による申請を受けた場合において、当該保存建築物の保存及び活用を図るため、保存建築物の指定を受ける必要があり、かつ、当該対象建築物に係る保存活用計画について交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるときは、当該保存建築物の変更登録をするものとする。
(登録の抹消)
第6条 市長は、保存建築物について、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該保存建築物の登録を抹消しなければならない。
(1) 法第3条第1項第1号又は第2号に規定する建築物に該当するに至ったとき。
(2) 滅失、毀損その他の事由によりその登録の理由が消滅したとき。
2 市長は、保存建築物について、公益上の理由その他の特別な理由があると認めるときは、その登録を抹消することができる。
3 保存建築物の所有者は、保存建築物の指定がされない場合は、その登録を抹消するよう市長に申請するものとする。
4 市長は、前項の規定による申請があったときは、当該保存建築物が適切な維持管理が行われ、その保全が図られると認めるときは、その登録を抹消するものとする。
(増築等の許可等)
第7条 保存対象敷地(保存建築物(保存建築物の指定を受けているものに限る。以下同じ。)の存する敷地に限る。)内において増築等をしようとする者又は保存建築物に関しその形状を変更し、若しくはその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、あらかじめ市長の許可を受けなければならない。ただし、通常の管理行為、軽易な行為その他の規則で定める行為及び非常災害のため必要な応急措置として行う行為については、この限りでない。
3 市長は、第1項の許可の申請があった場合において、当該保存建築物の保存のために必要があると認めるときは、許可に必要な条件を付することができる。
4 第1項の許可は、法第6条第1項若しくは第6条の2第1項(これらの規定を法第87条第1項において準用する場合を含む。)の規定による確認の申請を要するものであるときは、当該申請をしようとする日までに受けなければならない。
5 第1項の許可に係る工事は、当該許可を受けた後でなければ、これを施工してはならない。
(完了の届出)
第8条 前条第1項の許可を受けた者は、当該許可に係る工事を完了したときは、その旨を市長に届け出なければならない。
(所有者の管理義務等)
第9条 保存建築物の所有者は、保存活用計画に従って、当該保存建築物の保存及び活用を図らなければならない。
2 保存建築物の所有者に変更があったときは、新たに所有者となった者は、速やかにその旨を市長に届け出なければならない。
3 保存建築物の所有者は、当該保存建築物の管理に関する責任者(以下「保存管理責任者」という。)を選任することができる。
4 保存建築物の所有者は、前項の規定により保存管理責任者を選任したときは、速やかにその旨を市長に届け出なければならない。保存管理責任者を解任し、又は変更したときも、同様とする。
5 第1項の規定は、保存管理責任者について準用する。
6 保存建築物の所有者又は保存管理責任者は、その氏名又は住所(法人にあっては、その名称、代表者の氏名又は主たる事務所の所在地)を変更したときは、速やかにその旨を市長に届け出なければならない。
(維持管理の報告等)
第10条 保存建築物の所有者又は保存管理責任者は、当該保存建築物に係る保存活用計画の維持管理に関する事項に従い、定期的に当該保存建築物の状況の調査(当該保存建築物の構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)を行い、その結果を市長に報告しなければならない。
2 市長は、保存建築物の保存のために必要があると認めるときは、当該保存建築物の所有者又は保存管理責任者に対し、当該保存建築物の現状又は第7条第1項の許可に係る工事の計画若しくは施工の状況について、報告又は資料の提出を求めることができる。
(管理に関する助言、勧告及び命令)
第11条 市長は、保存建築物の所有者又は保存管理責任者に対し、当該保存建築物を保存するために必要な助言をすることができる。
2 市長は、保存建築物の構造若しくは建築設備又は保存対象敷地の管理が適当でないため当該保存建築物の損傷、腐食その他の劣化が進み、そのまま放置すれば保安上危険となり、又は著しく衛生上有害となるおそれがあると認める場合においては、当該保存建築物若しくは当該保存対象敷地の所有者又は当該保存建築物の保存管理責任者に対し、相当の猶予期限を付けて、それらの管理の方法の改善その他管理に関し必要な措置をとることを勧告することができる。
3 市長は、前項の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。
(監督処分)
第12条 市長は、この条例の規定又は第7条第1項の許可に付した条件(以下「許可条件」という。)に違反した保存建築物又は保存対象敷地内の保存建築物以外の建築物(以下この条及び第16条第1項において「保存建築物等」という。)の建築主、当該保存建築物等に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。次項において同じ。)若しくは現場管理者又は当該保存建築物等若しくは保存対象敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、工事の施工の停止を命じ、又は相当の猶予期限を付けて、当該保存建築物等の外観の変更、除却、移転、移築、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他当該違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。
2 市長は、この条例の規定又は許可条件に違反することが明らかな増築等の工事中の保存建築物等については、緊急の必要があって泉佐野市行政手続条例(平成11年泉佐野市条例第2号)第13条第1項に規定する意見陳述のための手続を執ることができない場合に限り、当該手続によらないで、当該保存建築物等の建築主又は当該工事の請負人若しくは現場管理者に対し、当該工事の施工の停止を命ずることができる。この場合において、これらの者が当該工事の現場にいないときは、当該工事に従事する者に対し、当該工事に係る作業の停止を命ずることができる。
(権利義務の承継)
第13条 所有者の変更により新たに保存建築物の所有者となった者は、当該保存建築物に関しこの条例の規定により市長が行った助言、勧告又は命令その他の処分による当該所有者でなくなった者の権利及び義務を承継する。
2 第7条第1項の許可に係る保存建築物の工事のうち、建築士法第2条第7項に規定する構造設計図書による同法第20条の2第1項の建築物の工事は、構造設計一級建築士(同法第10条の2の2第4項に規定する構造設計一級建築士をいう。以下この項において同じ。)の構造設計(同法第2条第7項に規定する構造設計をいう。以下この項において同じ。)又は当該保存建築物が構造関係規定(同法第20条の2第2項に規定する構造関係規定をいう。)に適合することを構造設計一級建築士が確認した構造設計によらなければ、することができない。
(消防長の意見の聴取)
第15条 市長は、保存建築物の登録、変更登録又は第7条第1項の許可をしようとする場合においては、泉州南消防組合消防長に意見を聴くことができる。
(立入調査等)
第16条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、その職員に、保存対象敷地若しくは保存建築物等に立ち入り、その状況を調査させ、必要な検査をさせ、又は関係者に質問させることができる。ただし、住居に立ち入るときは、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。
2 前項の規定により立入調査、立入検査又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入調査、立入検査又は質問の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(委任)
第17条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、令和3年10月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際現に解体され、その建築材料の全部又は一部が保管されている建築物で、当該建築材料の全部又は一部を用いてその原型を再現しようとするものについては、解体されていないものとみなして、この条例の規定を適用する。
(泉佐野市附属機関条例の一部改正)
3 泉佐野市附属機関条例(平成12年泉佐野市条例第34号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう略〕