○嘉麻市中小企業振興基本条例

平成29年6月27日

条例第22号

嘉麻市は、福岡県のほぼ中央に位置し、南部の古処・屏・馬見連峰を源とする遠賀川が南から北に流れ、市の北西部及び北部に流域平野を形成し、豊富な水と緑があふれる自然豊かなまちです。明治期以来の近代工業化に伴い、石炭産業とその関連産業が発展して大いに繁栄しました。しかし、昭和30年代の国のエネルギー政策の転換による石炭産業の衰退は、石炭産業を中心として発展してきた本市に大きな打撃を与えました。

その後本市では、炭鉱跡地に開発整備した工業団地を受け皿として工場誘致を展開し、石炭産業に代わる基幹産業の構築を模索してきました。

その中にあって、事業所のほとんどを占める中小企業は、地域経済と雇用の基盤を支えるのみならず、祭りや文化の継承にも重要な機能を果たすなど、地域社会を支える大きな役割を担ってきました。

しかしながら、産業構造の変化やグローバル化による競争激化、少子高齢化による内需の減退、情報通信技術の更なる発展など、中小企業を取り巻く環境は厳しさを増しています。本市においても商店街の空洞化が進むとともに、都市部との経済格差の拡大により産業が収縮し、人口の流出が止まらず、大きな課題となっています。

こうした状況の中、地域経済が成長発展していくためには、中小企業者自らが地域の魅力ある資源である農林産物、工業製品、技術、自然、歴史及び文化を見直し活用していく、また、男女が共に能力を発揮でき、家庭生活と仕事が両立できる職場環境をつくるなどの創意工夫をし、経営の安定・向上を図ることが重要となっています。

私たち市民は、中小企業が経済や雇用の面で人口減少に歯止めをかける役割を担うだけでなく、その活力が、まちづくりの原動力となっており、市民生活や地域社会にとって不可欠な存在であることを改めて理解し、市、中小企業、商工団体、関係団体及び大企業が一体となって、中小企業の発展に協力していく必要があります。ふるさとへの愛着と誇りを胸に、若い人たちが嘉麻にとどまる、嘉麻にあつまる、環境づくりを進めていかなければなりません。

このような認識に立ち、中小企業の振興を市政の重要な柱と位置づけ、地域経済を活性化し、豊かで住みよいまちの実現に寄与するため、ここに条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、中小企業が市の経済において重要な役割を果たしていることに鑑み、中小企業の振興について、基本理念を定め、市の責務及び基本的施策等を明らかにすることにより、中小企業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって地域経済を活性化し、豊かで住みよいまちの実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号。以下「法」という。)第2条第1項各号のいずれかに該当する者であって、市内に事務所又は事業所(以下「事業所等」という。)を有するものをいう。

(2) 小規模企業者 法第2条第5項に規定する小規模企業者であって、市内に事業所等を有するものをいう。

(3) 商工団体 商工会議所法(昭和28年法律第143号)に基づく商工会議所又は商工会法(昭和35年法律第89号)に基づく商工会のうち、市内に事業所等を有するものをいう。

(4) 関係団体 商店街振興組合、農業協同組合、金融機関、教育機関その他中小企業の振興に関連する団体で、市内に事業所等を有するものをいう。

(5) 大企業者 中小企業者以外の事業者であって、市内に事業所等を有するものをいう。

(基本理念)

第3条 中小企業の振興は、次に掲げる基本理念に基づき推進されなければならない。

(1) 中小企業者の自主的な努力及び創意工夫を尊重すること。

(2) 農林産物、自然、人材、技術その他の市が有する資源を総合的に活用すること。

(3) 男女が共に活躍でき、家庭と仕事の両立ができる職場環境を整えること。

(4) 経済活動における国際化の進展その他の経済的及び社会的環境の変化に的確に対応すること。

(5) 市、中小企業者、商工団体、関係団体、大企業者及び市民が連携して取り組むこと。

(6) 小規模企業の振興については、その事業の持続的な発展が図られるよう十分な配慮がなされること。

(市の責務)

第4条 市は、前条に規定する基本理念に基づき、中小企業振興施策を総合的に推進するものとする。

2 市は、中小企業振興施策を実施するに当たっては、国、県その他関係地方公共団体、中小企業者、商工団体、関係団体、大企業者及び市民と協力して、効果的に実施するものとする。

3 市は、工事の発注並びに物品及び役務の調達等を行うに当たっては、予算の適正な執行、透明かつ公正な競争及び契約の適正な履行を確保しつつ、中小企業者の受注機会の増大に努めるものとする。

4 市は、中小企業の振興を推進するため、積極的に情報を収集し、その提供に努めるものとする。

5 市は、中小企業振興施策を推進するため、必要な財政上の措置を講じなければならない。

(中小企業者の役割)

第5条 中小企業者は、事業活動を計画的に行うとともに、自ら意欲を持って創意工夫を重ね、経営活動等に努めるものとする。

2 中小企業者は、地域社会を構成する一員として商工団体への加入に努めるとともに、社会的責任を認識し、地域社会との調和を図り、暮らしやすい地域社会の実現に寄与するよう努めるものとする。

3 中小企業者は、人材の育成、雇用の促進及び福利厚生の向上を図り、男女が共に能力を発揮でき、家庭生活と仕事が両立できる職場環境の整備に努めるものとする。

4 中小企業者は、市、商工団体及び関係団体が実施する中小企業振興施策に協力するよう努めるものとする。

(商工団体の役割)

第6条 商工団体は、第3条に規定する基本理念に基づき、中小企業のうち特に小規模企業の経営の向上及び改善に積極的に取り組むとともに、市が実施する中小企業振興施策の推進及び中小企業の健全な発展に協力するよう努めなければならない。

2 商工団体は、中小企業者の自主的な努力及び創意工夫を支援する活動を行うとともに、地域社会に貢献するよう努めなければならない。

3 商工団体は、地域に根ざしたネットワークを構築するとともに、情報や専門的な手法を共有することで互いに連携し、より効果的・効率的な中小企業の経営支援を展開するよう努めなければならない。

(関係団体の役割)

第7条 関係団体は、第3条に規定する基本理念に基づき、中小企業の振興が地域経済の活性化に重要な役割を果たすことを理解し、市が実施する中小企業振興施策の推進及び中小企業の健全な発展に協力するよう努めるものとする。

(大企業者の役割)

第8条 大企業者は、第3条に規定する基本理念に基づき、中小企業の振興が地域経済の活性化に重要な役割を果たすことを理解し、市が実施する中小企業振興施策の推進及び中小企業の健全な発展に協力するよう努めるものとする。

2 大企業者は、商工団体への加入に努めるとともに、地域との共存共栄を図り、地域社会に貢献するよう努めるものとする。

(市民の理解と協力)

第9条 市民は、第3条に規定する基本理念に基づき、中小企業の振興が地域経済の活性化に重要な役割を果たすことを理解し、市が実施する中小企業振興施策の推進及び中小企業の健全な発展に協力するよう努めるものとする。

(施策の基本方針)

第10条 市は、第3条に規定する基本理念に基づき、次に掲げる施策を実施するものとする。

(1) 中小企業の創業の促進を図ること。

(2) 中小企業者の経営基盤の安定強化を図ること。

(3) 中小企業の活用による地域内の経済循環の創出を図ること。

(4) 中小企業者の新たな事業展開の促進を図ること。

(5) 中小企業の人材の確保及び育成並びに職場環境の整備の促進を図ること。

(6) 小規模企業者の事業の持続的な発展を図ること。

2 市は、前項に掲げる施策を効果的に推進するため、商工団体、関係団体、大企業者及び市民と緊密に連携して支援を行うものとする。

(基本計画の策定)

第11条 市は、前条に規定する施策を総合的かつ計画的に推進するため、中小企業の振興に関する基本計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。

2 市は、基本計画を定めようとするときは、あらかじめ中小企業者、商工団体及び関係団体の意見を聴かなければならない。

(中小企業振興審議会の設置)

第12条 中小企業の振興に関する施策の推進に関する事項を調査し、及び審議するため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、嘉麻市中小企業振興審議会(以下「審議会」という。)を設置する。

2 審議会の運営に必要な事項は、規則で定める。

(一部改正〔平成30年条例31号〕)

(実施状況の公表)

第13条 市長は、中小企業の振興のための施策の実施状況を公表するものとする。

(委任)

第14条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し、必要な事項は、市長が定める。

この条例は、公布の日から施行する。

(平成30年6月26日条例第31号)

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

嘉麻市中小企業振興基本条例

平成29年6月27日 条例第22号

(平成30年6月26日施行)