○神栖市市長等の政治倫理に関する条例

令和3年3月22日

神栖市条例第18号

(目的)

第1条 この条例は,市政が市民の厳粛な信託によるものであることを深く認識し,その担い手である市長,副市長及び教育長(以下「市長等」という。)が自ら厳しい倫理意識及び高潔な品位に基づき行動することにより市政に対する市民の信託に応え,あわせて市民も市政に対する正しい認識と自覚のもとに,清潔で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(市長等及び市民の責務)

第2条 市長等は,市民の信頼に値する倫理性を自覚し,自ら進んでその高潔性を明らかにしなければならない。

2 市民は,主権者として市政に参加し,公共の利益を実現する自覚を持ち,市長等に対し,その権限又は地位の影響力を不正に行使させるような働きかけをしてはならない。

(政治倫理基準)

第3条 市長等は,市政に関わる責務を深く自覚し,次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。

(1) 市民全体の代表者として品位及び名誉を損なうような一切の行為を慎み,その職務に関して不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。

(2) 市民全体の奉仕者として常に人格及び倫理の向上に努め,その地位を利用していかなる金品その他の財産上の利益を授受しないこと。

(3) 政治活動に関して,企業,団体等から道義的批判を受けるおそれのある寄附を受けないこと。後援団体(政党及び政治団体を除く。)についても同様とする。

(4) 職務上知り得た情報は,不当な目的のために使用しないこと。

(5) 市営施設等に入居し,又は入所することに関して推薦又は紹介をしないこと。

(6) (市が設立した公社等及び市が資本金,準備金その他これらに準ずるものを出資している法人を含む。)が行う請負契約(下請負を含む。),業務委託及び一般物品納入契約並びに指定管理者の指定に関して,特定の業者を推薦,紹介等の有利な取り計らいをしないこと。

(7) その地位を利用して,市職員(臨時職員及び嘱託職員を含む。以下同じ。)の公正な職務の遂行を妨げ,その職務を不正に行使するよう働きかけないこと。

(8) 市職員の採用,昇格又は異動に関し,推薦又は紹介をしないこと。

(9) 市が行う許可,認可その他の処分(不利益処分を含む。)に関し,特定の者のために有利又は不利な取り計らいをしないこと。

2 前項第6号から第9号までの規定は,市が関係する地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第284条第1項に規定する組合についても適用する。

3 市長等は,政治倫理に反する事実があるとの疑惑を持たれた場合は,疑惑の解明に当たるとともに,その責任を明らかにしなければならない。

(人権侵害のおそれのある行為の禁止)

第4条 市長等は,その地位を利用して嫌がらせをし,強制又は圧力をかける行為をしてはならない。

2 市長等は,人権侵害のおそれのあるすべてのハラスメント行為をしてはならない。

(契約等の辞退)

第5条 市長等の配偶者若しくは2親等内の親族若しくは同居の親族若しくは市長等本人が役員をしている企業又は市長等が実質的に経営に携わる企業は,法第142条及び第166条の規定の趣旨を尊重し,市が行う工事等の請負契約(下請負を含む。),業務委託契約及び一般物品納入契約を辞退し,市民に疑惑の念を生じさせないよう努めなければならない。

2 前項の「実質的に経営に携わる企業」とは,次に掲げるものをいう。

(1) 市長等が資本金その他これらに準ずるものの10分の1以上を出資している企業

(2) 市長等が年額60万円以上の報酬(顧問料等その名目を問わない。)を受領している企業

(3) 市長等が経営方針又は主要な取引に関与している企業

3 第1項に該当する場合においては,市長等は,市民に疑惑の念を生じさせないため,責任をもって辞退届を提出しなければならない。ただし,災害等で急を要するときは,この限りでない。

4 市長は,辞退届を市長等の任期開始の日から30日以内に作成しなければならない。

5 副市長及び教育長は,その職の任期開始の日から30日以内に辞退届を作成し,市長に提出しなければならない。

6 市長は,辞退届の提出状況を広報紙等で速やかに公表しなければならない。

(指定管理者の指定の禁止)

第6条 前条第1項に規定する企業又は市長等(その配偶者及び2親等内の親族を含む。)が役員をしている団体(市が設立した公社等及び市が資本金,準備金その他これらに準ずるものを出資している法人を除く。以下「関係企業等」という。)は,法第244条の2第3項に規定する指定管理者になることができない。ただし,他に適当な指定管理者がない等やむを得ない事情のある場合は,この限りでない。

(関係企業等報告書の提出)

第7条 市長等は,関係企業等がある場合は,その企業等の名称,所在地及び代表者並びに当該企業等における役職又は親族関係等の関連を記載した報告書を,その市長等の任期開始の日から30日以内(任期開始の日後にその事実が発生した場合にあっては,事実が発生した日から30日以内)に作成し,市長に提出しなければならない。

2 前項の規定により提出した関係企業等報告書の内容に変更がある場合は,その変更すべき理由が生じた日から3か月以内に変更に係る報告書を提出しなければならない。

3 市長は,前2項の規定により提出された報告書を,その市長等の任期満了となる日の属する年度の末日まで保管しなければならない。

(市税等の納付状況の報告)

第8条 市長等は,毎年6月1日から6月30日までの間に,市・県民税,固定資産税,軽自動車税,国民健康保険税,介護保険料及び後期高齢者医療保険料の前年度の納付状況を記載した納付状況報告書に規則で定める証明書類を添えて,市長に提出しなければならない。

2 前項に規定する納付状況報告書の提出期限後に公職選挙法(昭和25年法律第10号)の規定により行われた選挙において当選した市長(当該選挙前に前項の規定による報告を行っている者を除く。)は,当該選挙の当選証書の交付を受けた日から60日以内に,納付状況報告書に証明書類を添えて,市長に提出しなければならない。

3 第1項に規定する納付状況報告書の提出期限後に新たに選任された副市長又は教育長(前項の選挙前に副市長又は教育長として第1項の規定による報告を行っている者を除く。)は,選任された日から60日以内に,納付状況報告書に証明書類を添えて,市長に提出しなければならない。

4 市長は,前3項の規定により提出された納付状況報告書(証明書類を含む。)を,その市長等の任期満了となる年度の末日まで保管しなければならない。

5 市民は,前項の規定により保管されている納付状況報告書(証明書類を除く。)の閲覧を市長に請求することができる。

(政治倫理審査会)

第9条 政治倫理確立のため必要な調査及び審査を行うため,神栖市政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。

2 審査会は,次に掲げる職務を行う。

(1) 市長の諮問に応じて調査の対象となった市長等に意見陳述の機会を与え,調査及び審査を行い,その結果を報告すること。

(2) 前号に定めるもののほか,政治倫理に関し,諮問に応じて調査及び審議を行い,報告すること。

3 審査会の委員は5人とし,地方自治の本旨に理解があり,かつ,政治倫理等の審査に関し専門的知識を有する者及び法第18条に規定する選挙権を有する市民のうちから委嘱する。

4 審査会の委員の任期は4年とし,再任を妨げない。ただし,委員に欠員が生じた場合における補欠委員の任期は,前任者の残任期間とする。

5 審査会の委員は,任期が満了した場合においても後任の委員が委嘱されるまでの間は,その職務を行うものとする。

6 審査会の委員は,職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

7 前各項に定めるもののほか,会議の運営等に関し必要な事項は,別に定める。

(市民の調査請求)

第10条 市民は,第3条から第6条までの規定に違反する事由がある場合は,これを証する資料を添えて,法第18条に定める選挙権を有する者100人以上の連署とともに,市長に調査を請求することができる。

2 前項の規定により調査の請求があったときは,市長は,調査請求書及び添付資料の写しを速やかに審査会に提出し,調査を求めなければならない。

3 審査会は,前項の規定により調査を求められた場合は,調査を求められた日から90日以内にその調査結果について報告書を作成し,市長に提出するものとする。

4 市長は,前項の規定による報告書の提出があったときは,その報告書の写しを請求者に送付しなければならない。

5 市長は,第3項の報告書を広報紙等で公表しなければならない。

(職務関連犯罪容疑による起訴後の説明会)

第11条 市長等が,刑法(明治40年法律第45号)第197条から第197条の4までの各条及び第198条に定める罪その他の職務に関連する犯罪(以下「職務関連犯罪」という。)の容疑による起訴後,引き続きその職にとどまろうとする場合は,説明会を開催し,その理由を市民に説明しなければならない。

2 副市長又は教育長が職務関連犯罪による容疑で起訴された後,引き続きその職にとどまろうとする場合は,市長に説明会の開催を求めるとともに,その説明会に出席して,その理由を市民に説明しなければならない。

3 市民は,前2項の説明会が開催されない場合は,法第18条に定める選挙権を有する者50人以上の連署をもって,その代表者により,市長等が起訴された日後50日までに,市長に説明会の開催を請求することができる。この場合においては,当該市長等は,その説明会に出席して,その職にとどまろうとする理由を市民に説明しなければならない。

(一審有罪判決後の説明会)

第12条 前条の規定は,市長等が一審有罪判決の宣告を受け,なお引き続きその職にとどまろうとする場合に準用する。この場合において,前条中「起訴後」とあるのは「一審有罪判決後」と読み替えるものとする。ただし,開催請求の期間は,判決のあった日から30日を経過した日以後20日以内とする。

(刑の確定後の措置)

第13条 市長等は,職務関連犯罪により有罪判決の宣告を受け,その判決が確定した場合は,公職選挙法第11条第1項の規定により失職するときを除き,市民全体の代表者としての品位及び名誉を守り,市政に対する市民の信頼を回復するため,必要な措置をとるものとする。

(補則)

第14条 この条例に定めるもののほか,この条例の施行に関し必要な事項は,別に定める。

(施行期日)

1 この条例は,令和3年4月1日から施行する。ただし,第12条及び第13条の規定は,この条例の施行の日以後に起訴された市長等から適用する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現に市長等である者の第5条第4項及び第7条第1項の規定の適用については,これらの規定中「任期開始の日」とあるのは「この条例の施行日」と読み替えるものとする。

(神栖市特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部改正)

3 神栖市特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例(昭和54年神栖町条例第3号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

神栖市市長等の政治倫理に関する条例

令和3年3月22日 条例第18号

(令和3年4月1日施行)