○加須市男女共同参画推進条例

平成23年7月7日

条例第14号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第9条)

第2章 基本的施策(第10条―第18条)

第3章 推進体制及び拠点施設(第19条・第20条)

第4章 加須市男女共同参画審議会(第21条―第24条)

第5章 雑則(第25条)

附則

私たち加須市民は、男女が互いの立場を尊重し、及び理解し、そして市民相互の一体感のある地域社会を確立するため、きずなづくりを基本姿勢として男女共同参画の推進を図っている。

日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、男女平等に向けた様々な取組が、国際社会における各国の取組や世界の女性たちの粘り強い運動と連携しつつ、着実に進められてきた。国においては、男女共同参画社会の実現を21世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置付けた男女共同参画社会基本法が施行されるなど、法制度上の男女平等は大きな進展を見せている。

しかしながら、都市化が進展する中にあっても、古くからの慣行や伝統的なしきたりが大切にされている本市では、市民生活や生活形態の様々な場面において、性別による固定的な役割分担意識も存在している。

また、我が国の経済社会情勢や人々の意識、価値観などの変化とともに、少子化・長寿化、家族形態の多様化、国際化、技術革新の進展など、人々の生活に大きな質的変化が生じている。

こうした状況を踏まえ、男女が互いに人権を尊重しつつ、性別にかかわりなく個性と能力を十分に発揮し、社会通念や慣習にとらわれず、家庭、地域、職場、学校など社会のあらゆる分野において対等に参画し、共に責任を担う男女共同参画社会を実現させることが重要である。

ここに、私たちは、男女共同参画の推進に関する基本理念を明らかにしてその方向を示し、市、市民、事業者及び教育に携わる者が協働して男女共同参画に関する取組を総合的かつ計画的に推進するため、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念並びに市、市民、事業者及び教育に携わる者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、市、市民、事業者及び教育に携わる者が協働して男女共同参画に関する取組を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会の実現を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。

(2) 配偶者等 配偶者及び婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情等にある者をいう。

(3) 暴力 身体又は精神に著しく苦痛を与える暴力その他の行為をいう。

(4) 性的嫌がらせ 相手の望まない性的な言動により、相手に不快感若しくは不利益を与え、又は生活環境を害することをいう。

(5) 事業者 市内において事業を行う個人及び法人その他の団体をいう。

(6) 積極的格差是正措置 第1号に規定する機会に係る男女間の格差を是正するため、必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画の推進は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、社会のあらゆる分野において男女が個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。

2 男女共同参画の推進は、男女が相互の協力と社会の支援の下に、家事、子育て、家族の介護その他の家庭生活における活動及び家庭生活以外の活動に対等に参画することができるようにすることを旨として、行われなければならない。

3 男女共同参画の推進に向けた取組が国際社会における取組と密接な関係を有していることに配慮して、男女共同参画の推進は、行われなければならない。

4 男女共同参画の推進は、配偶者等からの暴力、性的嫌がらせ等によって被害に遭う者を根絶することを旨として、行われなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施するものとする。

2 市は、国及び他の地方公共団体と連携することにより男女共同参画に関する施策の効果的な推進を図るとともに、市民、事業者及び教育に携わる者と協働して男女共同参画を推進するものとする。

3 市は、人事管理及び組織運営において男女間の格差又は不平等が生じないよう取り組むものとする。

4 市は、関係機関と協力し、配偶者等からの暴力を防止する措置を積極的に行うものとする。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、家庭、地域、職場、学校その他の社会のあらゆる分野において、積極的に男女共同参画の推進に努めるとともに、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、積極的に男女共同参画の推進に努めるとともに、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(教育に携わる者の責務)

第7条 学校教育及び家庭、地域、職場等における教育に携わる者は、男女共同参画の推進における教育の重要性を考慮し、基本理念に配慮した教育を行うよう努めなければならない。

(性別による権利侵害の禁止)

第8条 何人も、家庭、地域、職場、学校その他の社会のあらゆる分野において、性別による差別的取扱いを行ってはならない。

2 何人も、家庭、地域、職場、学校その他の社会のあらゆる分野において、性的嫌がらせを行ってはならない。

3 何人も、配偶者等に対するいかなる暴力も行ってはならない。

(公衆に表示する情報に関する留意)

第9条 何人も、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担を助長し、若しくは連想させる表現又は過度の性的な表現を行わないよう努めなければならない。

第2章 基本的施策

(基本計画)

第10条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。

2 市長は、基本計画を策定するに当たっては、市民、事業者及び教育に携わる者の意見を聴くとともに、加須市男女共同参画審議会に諮問するものとする。

3 市長は、基本計画を策定したときは、遅滞なくこれを公表しなければならない。

4 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。

(積極的格差是正措置)

第11条 市は、家庭、地域、職場、学校その他の社会のあらゆる分野における活動において、男女間に参画する機会の格差が生じている場合には、市民、事業者及び教育に携わる者と協力し、積極的格差是正措置が講ぜられるよう努めるものとする。

2 市は、審議会等の委員を委嘱し、又は任命する場合には、積極的格差是正措置を講ずることにより、できる限り男女の均衡を図るよう努めるものとする。

(民間活動に対する支援等)

第12条 市は、市民、事業者及び教育に携わる者が行う男女共同参画の推進に関する活動を支援するため、必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、市民活動団体等(市民及び営利を目的としない事業者をいう。)と連携し、及び協働することにより、男女共同参画の推進に関する活動を支援するよう努めるものとする。

(法制上又は財政上の措置等)

第13条 市は、男女共同参画に関する施策を推進するため、必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。

(調査研究)

第14条 市は、男女共同参画の推進に関する施策の策定に必要な事項について、調査研究を行うものとする。

(情報提供及び広報活動)

第15条 市は、男女共同参画の推進に関し、市民、事業者及び教育に携わる者の理解を深めるため、あらゆる機会を通じて情報を提供し、及び広報活動を行うよう積極的に努めるものとする。

(学校教育等の推進)

第16条 市は、学校教育及び家庭、地域、職場等の教育において、男女共同参画を推進するために必要な措置を講ずるものとする。

(相談及び苦情への対応)

第17条 市長は、次の各号のいずれかに該当するときは、国、県、関係機関等と連携し、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(1) 性別による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進を阻害する人権の侵害に関し、市民、事業者又は教育に携わる者から相談の申出を受けたとき。

(2) 男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策に関し、市民、事業者又は教育に携わる者から苦情の申出を受けたとき。

2 市長は、前項各号の申出に対応する場合において、必要と認めるときは、加須市男女共同参画審議会の意見を聴くことができる。

(推進状況等の公表)

第18条 市長は、毎年、男女共同参画の推進状況及び男女共同参画の推進に関する施策の実施状況を明らかにした文書を作成し、及び公表するものとする。

第3章 推進体制及び拠点施設

(推進体制の整備)

第19条 市は、男女共同参画に関する施策を推進するために必要な体制を整備するものとする。

(拠点施設)

第20条 市は、加須市女性センター(加須市市民総合会館条例(平成22年加須市条例第110号)に基づき設置された施設をいう。)を、男女共同参画の推進に関する施策を実施し、及び男女共同参画の推進に関する取組を支援するための拠点施設とするものとする。

第4章 加須市男女共同参画審議会

(設置)

第21条 男女共同参画を円滑に推進するため、加須市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(所掌事務)

第22条 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項について審議する。

(1) 基本計画の策定及び変更に関すること。

(2) 相談の申出及び苦情の申出への対応に関すること。

(3) 前2号に掲げるもののほか、男女共同参画の推進に関する基本的な施策及び重要事項に関すること。

(組織)

第23条 審議会は、委員20人以内で組織する。

2 委員は、知識経験を有する者のうちから市長が委嘱する。

3 男女の委員の数は、同数となるよう努めるものとする。

(平成31条例1・一部改正)

(委員の任期)

第24条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 委員は、再任されることができる。

第5章 雑則

(委任)

第25条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

この条例は、公布の日から施行する。

(平成31年条例第1号)

(施行期日)

1 この条例は、平成31年5月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日前にこの条例による改正前のそれぞれの条例の規定により委嘱され、又は任命された審議会等の委員(市議会の議員の身分を有していた者(第19条の規定による改正前の加須市都市計画審議会条例第2条第2項の規定により委嘱された者を除く。)を除く。)は、この条例による改正後のそれぞれの条例の規定により委嘱され、又は任命された審議会等の委員とみなす。

加須市男女共同参画推進条例

平成23年7月7日 条例第14号

(令和元年5月1日施行)