○加須市議会基本条例

平成30年7月3日

条例第34号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 議会運営及び議員活動の原則(第4条―第6条)

第3章 市民との連携・協働の推進(第7条―第13条)

第4章 議員の政策立案機能の強化(第14条―第22条)

第5章 議会と市長等との関係(第23条―第28条)

第6章 議員定数及び報酬(第29条・第30条)

第7章 補則(第31条―第33条)

附則

加須市は、都心からおおむね50キロメートル圏内で関東平野の中心に位置し、流域面積日本一の利根川が市内を流れ、渡良瀬遊水地や浮野の里など豊かな自然が広がり、平坦で肥沃な土壌に育まれた埼玉一の米どころで県内有数のコシヒカリの産地である。

私たちは、先人たちが営々と築き上げてきた豊かな歴史・文化、多様な地域資源の特性を生かして、魅力ある住みよいまちづくりを進め、次の世代につなげていかなければならない。

近年、地方分権、地方創生の時代になり、真の住民自治を定着させ、新しい地域を自ら創り育てるまちづくりが重要課題となっている。

日本国憲法に規定された国民主権、地方自治の本旨に基づき、市民が市長及び議員を直接選挙で選ぶという二元代表制のもと、加須市議会は、市民の信託を受けて活動する市民の代表機関・議事機関として、市長その他の執行機関との健全な緊張関係を保持しながら監視機能を十分に発揮し、その職責を果たすべき役割がかつてなく増大している。

加須市議会は、さらに開かれた議会を目指し、情報公開を率先して行い、説明責任を果たすとともに、市民との連携・協働を推進し、市域の課題の的確な把握とそこに暮らす市民の多様な意見の反映に努め、議員間の自由な議論を展開しながら、市民福祉の増進のために政策立案及び政策提言を積極的に行うことが求められている。

加須市議会は、地方自治の本旨の実現を目指し、市民の意思にそった自治の推進に向け、不断の議会改革を重ねながら、全力で市民の信託に応えていくことを決意し、ここに加須市議会の運営及び加須市議会議員の活動原則等の基本的事項を定め、地方自治法を踏まえた議会の最高規範として、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、加須市議会(以下「議会」という。)の基本理念、議会の運営及び議員の活動原則、役割等の基本的事項を定めることにより、二元代表制の一翼として、議会が市長との健全な緊張関係を保持しながら立法機能及び監視機能を十分に発揮して、地方自治の本旨に基づく市民の信託に的確に応え、市民福祉の向上、住民自治の充実及び公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 市長等 市長その他の執行機関及びその職員をいう。

(2) 市民 市内に在住し、在勤し、又は在学する個人及び市内に事務所又は事業所を有する法人その他の団体をいう。

(3) 議会力 市長等に対する監視機能を十分に果たすとともに、政策立案及び政策提言を議員間で共有し、議会全体の政策資源として、市民のためのより良い政策とする力及びその政策実現に向けた総合的な活動をいう。

(4) 議員力 地域の課題を把握し、その解決を目指して調査し、及び政策を構想する能力並びにその活動をいう。

(5) 委員会 地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第109条第2項に規定する常任委員会、同条第3項に規定する議会運営委員会及び同条第4項に規定する特別委員会をいう。

(基本理念)

第3条 議会は、市民を代表する合議制の意思決定機関として、市民の意見を市政に反映させ、公平かつ適正な議論を尽くし、市政の伸展を目指すものとする。

2 議会は、議会改革を推進し、議会力及び議員力を高め、その機能を発揮し、地域の特性を生かした新しい地域づくりの伸展を図り、住民自治及び地域民主主義の向上を目指すものとする。

第2章 議会運営及び議員活動の原則

(定例会)

第4条 法第102条第2項の規定による加須市議会の定例会の回数は、年4回とする。

(議会運営の原則)

第5条 議会は、市民を代表し、本市の団体意思を決定する議事機関であることを常に自覚し、公正性、透明性及び信頼性を確保し、適正な市政運営が行われるよう市民本位の立場から、市の政策決定及び市長等の事務の執行に関して監視機能を発揮し、市民の信託に応えなければならない。

2 議会は、言論の府であることを十分に認識し、議員相互間の討議を中心とした議会運営に努めるものとする。

3 議会は、市民に開かれた議会を目指し、積極的に情報公開を行い、市民に対する説明責任を十分に果たすよう努めなければならない。

4 議会は、市民参加の機会を拡充し、市民の多様な意見を的確に把握するとともに、政策立案及び政策提言機能の発揮に努めるものとする。

5 委員会は、それぞれの設置目的に応じた機能が十分に発揮できるよう、委員会活動の活性化に努めるものとする。

(議員活動の原則)

第6条 議員は、品位と高い倫理性を保持し、誠実かつ公正に職務を遂行するものとする。

2 議員は、市政全般の課題について市民の多様な意見を的確に把握するとともに、自己の資質を高める不断の研さんによって、市民福祉の向上のため、市民全体の代表者としての自覚のもとに活動しなければならない。

3 議員は、議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識し、議員間での自由討議により、議論を尽くすよう努めるものとする。

4 議員は、議会活動を最優先し、その職務の遂行に努めなければならない。

第3章 市民との連携・協働の推進

(議会の透明性の確保)

第7条 議会は、本会議及び委員会の会議を、広く市民に公開しなければならない。

2 議会は、その透明性を高めるとともに市民に対する説明責任を果たすため、議会活動に関する情報を積極的に市民に対し提供しなければならない。

3 議会は、議決責任を深く認識するとともに、議会としての団体意思及び機関意思並びに重要な政策の決定を行ったときは、市民に対して十分に説明するよう努めなければならない。

(市民参加及び市民との連携)

第8条 議会は、市民参加の機会を保障するとともに、市民との協働を推進するものとする。

2 議会は、基本的な政策等の策定に当たり、パブリックコメントを行うものとする。

(共生社会の推進)

第9条 議会は、市民に開かれた議会を推進するため、バリアフリーに配慮し、手話の普及活用を目指すとともに、全ての市民が共に生きる共生社会の実現に努めるものとする。

2 議会は、全ての市民が快適に利用できるユニバーサルデザインに配慮し、市民に分かりやすい議会運営を行うよう努めるものとする。

(広聴広報活動の充実)

第10条 議会は、情報イノベーションを踏まえた多様な広聴広報手段を活用することにより、市民の議会に対する意識の把握及び市民への情報提供に努めるものとする。

2 議会は、市政の課題に対する市民の意見を把握し、これを政策の適否を判断する際の基礎とするため、広聴の充実に努めなければならない。

3 議会は、市議会モニター制度を活用し、議会の運営に関する市民からの要望、提言その他の意見を広く聴取し、議会の運営への反映に努めるものとする。

(公聴会制度等の活用)

第11条 議会は、委員会又は本会議において、公聴会制度及び参考人制度を十分に活用し、市民の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるよう努めるものとする。

(請願及び陳情における意見聴取)

第12条 議会は、請願及び陳情を市民による政策提案として位置付けるとともに、その審議においては、これらの提案者の意見を聴く機会を設けることができる。

(市民との意見交換及び議会報告)

第13条 議会は、市民との意見交換の場を多様に設け、市民からの政策提案の機会の拡大を図るものとする。

2 議会は、市民への情報提供及び市民との連携を積極的に推進するため、議会報告会等の開催に努めるものとする。

第4章 議員の政策立案機能の強化

(政策討論等の実施)

第14条 議員は、議会の政策立案及び政策提言機能を発揮するため、積極的に議員相互間の自由討議に努め、議論を尽くさなければならない。

2 議員は、積極的に政策討論を行うことにより、政策形成に努め、政策立案、政策提言及び財政状況を考慮するとともに、法第222条の規定を踏まえ、条例制定の提案に努めるものとする。

(議員研修の充実強化)

第15条 議会は、議員の資質並びに政策立案及び政策提言の能力を高めるため、議員研修を特に重視し、その充実強化に努めなければならない。

(大学との連携、専門的知見の活用)

第16条 議会は、議案の審査、専門的事項に係る調査研究及び政策立案機能の充実を図るため必要があると認めるときは、大学と連携し、及び専門的な知識及び経験を有する者を活用することができる。

(附属機関の設置)

第17条 議会は、議会活動に関する審査、諮問又は調査のため必要があると認めるときは、附属機関を置くことができる。

(会派の役割)

第18条 議員は、議会活動を行うため、政策を中心とした同一の理念を共有する議員で会派を結成することができる。

2 会派は、政策立案、政策決定、政策提言等について積極的に調査研究を行い、合意形成に努めるものとする。

3 会派は、政策の決定及び形成その他の議会活動に関し相互に協議を行い、会派間の意見調整に努め、円滑かつ効果的な議会運営を図らなければならない。

4 委員会の決定事項は、会派事情よりも優先しなければならない。

5 会派から委員会に選出された議員は、委員会の協議内容及び決定事項を速やかに会派内に周知徹底を図るものとする。

(政務活動費)

第19条 会派は、政策立案及び政策提言を行うため、政務活動費を有効に活用し、積極的に調査及び研究を行うものとする。

2 会派は、政務活動費の使途の透明性を確保し、市民に対し説明責任を果たすため、収支報告書及び領収書を公表するものとする。

3 政務活動費の交付については、加須市議会政務活動費の交付に関する条例(平成25年加須市条例第9号)に定めるところによる。

(議会事務局の機能強化)

第20条 議会事務局職員は、市民の信託に応える議員とともに、その職責を全うするものとする。

2 議会は、議会及び議員の政策の形成及び立案を補助する組織である議会事務局の調査及び法務の機能の充実及び強化を図るよう努めなければならない。

3 議会事務局職員は、議会運営を補佐し、議会と市長等との調整及び議員と市民との連絡調整を図るとともに、議会の政策形成機能及び監視機能の支援に努めるものとする。

4 議会事務局職員の職務その他必要な事項は、加須市議会事務局設置条例(平成22年加須市条例第232号)に定めるところによる。

(議会図書室の充実)

第21条 議会は、議員の調査研究並びに政策形成及び立案の能力の向上を図るため、議会図書室の充実及び機能の強化に努めるとともに、その有効活用を図るものとする。

2 議会及び議員は、加須市立図書館のレファレンスサービスを活用するものとする。

(政治倫理)

第22条 議員は、市民の厳粛な信託を受けていることを深く自覚し、市民全体の代表者として常に良心と高い倫理性をもって職務に精励するものとする。

2 議員が規範として遵守するべき政治倫理基準その他遵守事項は、加須市議会議員政治倫理条例(平成23年加須市条例第8号)に定めるところによる。

第5章 議会と市長等との関係

(議決事件)

第23条 法第96条第2項の規定により、次に掲げるものを議会の議決すべき事件とする。

(1) 加須市総合振興計画基本構想の策定及び改訂に関すること。

(2) 都市宣言の制定、変更及び廃止に関すること。

(3) 大規模災害からの復興に関する法律(平成25年法律第55号)に規定する災害復興計画の策定、改訂及び廃止に関すること。

(質疑等の論点の明確化)

第24条 議員は、本会議における質疑若しくは質問又は委員会における質疑を行うときは、論点を明確にするため、一問一答方式で行うよう努めるものとする。

2 市長等は、議員から本会議における質疑若しくは質問又は委員会における質疑を受けたときは、その趣旨及び論点を明確にするとともに論議を深めるため、当該議員に対し、議長又は委員長の許可を得て、議論することができる。

(令和元条例16・一部改正)

(議会審議における論点情報の形成)

第25条 議会は、予算及び決算の審議に当たっては、法第211条第2項に規定する予算に関する説明書及び法第233条第5項に規定する主要な施策の成果を説明する書類等を活用しなければならない。

2 議会は、提出される新規の施策又は計画について、議会審議における論点情報を形成し、議決責任を担保するため、市長等に対し、議会提出に係る経緯、理由、市民の意見、財政の影響等について、必要な政策説明資料の提出を求めることができる。

(文書質問)

第26条 委員会は、議会閉会中に市長等に対し、議長を通じて文書により質問を行い、文書による回答を求めることができる。

2 議員は、一般質問の通告に係る市長等による質問要旨の確認後、本会議に出席できない事故があった場合は、市長等に対し、議長を通じて文書による回答を求めることができる。

3 前2項の回答は、全議員に通知し、市民に公表するものとする。

(災害時における議会の対応)

第27条 議会は、大規模災害発生時においては、市長等と連携協力し、議会災害対策会議を設置し、災害情報を共有するとともに、加須市議会業務継続計画に基づき、議会業務を維持継続し、市民の代表機関としての責務を果たさなければならない。

(議会予算の確保)

第28条 議会は、議事機関としての機能を充実させるため、必要な予算の確保に努めるものとする。

第6章 議員定数及び報酬

(議員定数)

第29条 議員の定数は、加須市議会議員定数条例(平成22年加須市条例第5号。以下「議員定数条例」という。)に定めるところによる。

2 議員の定数は、市民の多様な意見の市政への反映、監視機能及び政策形成機能の確保並びに議会改革の推進による議会力の向上を考慮して定める。

3 委員会又は議員は、議員定数条例の改正議案を提出しようとするときは、明確な改正理由を付して提出するものとする。

4 前項の提出に当たっては、市民等の意見を聴取するため、公聴会制度及び参考人制度を十分に活用するものとする。

(議員報酬)

第30条 議員の報酬は、加須市議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例(平成22年加須市条例第38号)に定めるところによる。

第7章 補則

(一般選挙後の条例研修)

第31条 議会は、一般選挙を経た任期の開始ごとに、議長の主宰により速やかに本条例の研修を全議員を対象に実施し、議員活動の認識を共有しなければならない。

(条例評価と見直し手続)

第32条 議会は、議会改革の継続的な取組を進めるため、この条例に基づく活動について、議会運営委員会等により、隔年でその事業評価を行うものとする。

2 議会は、一般選挙を経た任期の開始ごとに、この条例の目的が達成されているかどうかを検証し、その結果及び法令の改正等を踏まえ、必要に応じてこの条例の改正その他適切な措置を講じるものとする。

(令和2条例30・一部改正)

(最高規範性)

第33条 この条例は、議会における最高規範であって、議会は、議会に関する他の条例、規則等を制定し、又は改廃するときは、この条例の趣旨を十分に尊重しなければならない。

2 議会の運営及び議員の活動は、この条例の趣旨を十分に尊重して行わなければならない。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(加須市議会定例会条例の廃止)

2 加須市議会定例会条例(平成22年加須市条例第6号)は、廃止する。

(令和元年条例第16号)

この条例は、令和元年11月29日から施行する。

(令和2年条例第30号)

この条例は、公布の日から施行する。

加須市議会基本条例

平成30年7月3日 条例第34号

(令和2年10月5日施行)

体系情報
第2編 会/第1章
沿革情報
平成30年7月3日 条例第34号
令和元年11月28日 条例第16号
令和2年10月5日 条例第30号