○加須市ともに生きる手話言語条例
平成30年10月9日
条例第38号
言語は、お互いの感情を分かり合い、知識を蓄え、文化を創造する上で不可欠なものであり、人類の発展に大きく寄与してきた。
手話は、音声言語である日本語と異なる言語であり、手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現する言語である。
ろう者は、意思疎通を図り、お互いの気持ちを理解し合い、知識を蓄え、文化を創造するために手話を大切に育んできたが、長い間、手話が言語として認められなかったことから、多くの不便や不安を感じながら生活してきた。
こうした中で、障害者の権利に関する条約や障害者基本法において、手話は言語であることが明記されたが、手話に対する理解は社会において深まっているとは言えない。
そのため、手話を必要とする全ての人が、いつでもどこでも自由に手話を使える地域社会となるように私たち一人一人が取り組む必要がある。
ここに、私たちは、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に対する理解を深めるとともに、手話を広く普及していくことにより、互いに地域で支え合い、手話を使って安心して暮らすことができる加須市を目指し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、手話に対する理解及び手話の普及の促進に関し、基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、手話に関する施策を推進し、もって全ての市民がともに生きる地域社会の実現に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 手話に対する理解及び手話の普及の促進は、手話が言語であるとの認識に基づき、ろう者その他の手話を必要とする者が手話による意思疎通を図る権利を有することを理解し、市民一人一人が相互に人格及び個性を尊重することを基本として行わなければならない。
(市の責務)
第3条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、手話に対する理解及び手話の普及の促進を図り、手話を使用しやすい環境を整備するために必要な施策を推進するものとする。
(市民の役割)
第4条 市民は、基本理念に対する理解を深めるとともに、市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第5条 事業者は、基本理念に対する理解を深め、市が推進する施策に協力するとともに、ろう者その他の手話を必要とする者が利用しやすいサービスを提供し、及び働きやすい環境を整備するよう努めるものとする。
(推進方針)
第6条 市は、次に掲げる施策を推進するための方針(以下「推進方針」という。)を策定するものとする。
(1) 手話に対する理解及び手話の普及の促進に関する施策
(2) 手話による情報の提供及び取得に関する施策
(3) 手話を使用しやすい環境づくりに関する施策
(4) 手話通訳者等の確保及び養成その他の手話による意思疎通の支援に関する施策
(5) 手話を学ぶ機会の確保に関する施策
(6) その他市長が必要と認める施策
2 市は、推進方針の策定に当たっては、障がい者の福祉に関する計画等との整合を図るものとする。
3 市は、推進方針を策定し、又は変更しようとするときは、ろう者その他の手話を必要とする者、手話通訳者、関係団体等の意見を聴くための協議の場を設け、その意見を尊重するものとする。
(財政措置)
第7条 市は、手話に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(委任)
第8条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、平成31年1月1日から施行する。