○菊池市景観条例
平成29年3月21日
条例第2号
目次
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 景観審議会(第6条・第7条)
第3章 景観計画(第8条)
第4章 行為の規制等(第9条―第12条)
第5章 公共事業等における景観形成(第13条―第15条)
第6章 景観重要建造物等(第16条・第17条)
第7章 特定事業者との景観形成協定(第18条)
第8章 市民の景観形成活動(第19条・第20条)
第9章 表彰、助成等(第21条―第23条)
第10章 雑則(第24条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、本市における良好な景観の形成に関する市、事業者及び市民の責務を明らかにするとともに、景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)の規定に基づく景観計画の策定及び行為の規制等に関し必要な事項並びに景観形成のための活動の促進に関する事項を定めることにより、豊かな自然と歴史及び人の生業により育まれた、菊池市らしい良好な景観を将来へ引き継ぐことを目的とする。
(1) 建築物等 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物(塀を除く。以下「建築物」という。)及び建築物以外の工作物で規則で定めるもの(以下「工作物」という。)をいう。
(2) 景観計画 法第8条第1項に規定する景観計画をいう。
(3) 景観形成重点地区 次のいずれかに該当する地域のうち、景観形成を重点的に図る必要がある区域として景観計画で定める地区をいう。
ア 山、河川、湖沼等の自然の風景を有する地域
イ 歴史的遺産を有する地域
ウ 田園風景を有する地域
エ 道路及びその周辺の地域
オ 都市施設の集積地域
(4) 特定施設届出地区 市域において、建築物等が集積し、又は集積すると予想される地域のうち、景観形成を図る必要がある幹線道路(道路法(昭和27年法律第180号)第3条に規定する道路並びに都市計画法(昭和43年法律第100号)第4条第6項に規定する都市計画施設である道路及び広場並びに森林・林業基本法(昭和39年法律第161号)第12条第1項に規定する林道をいう。)の沿道の区域であって景観計画で定める区域をいう。
(5) 一般地域 景観計画で定められた区域(以下「景観計画区域」という。)のうち、景観形成重点地区を除く区域をいう。
(6) 特定施設 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第1項第4号及び第5号並びに同条第6項第4号に規定する営業を行うための施設、危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第3条第1号に規定する給油取扱所(専ら自家用に供するものを除く。)、広告塔並びに広告板その他地区の景観を構成する上で重要な要素となる施設並びに設備で規則で定めるものをいう。
(市の責務)
第3条 市は、景観形成を推進するための基本的かつ総合的な施策を策定し、積極的に実施しなければならない。
2 市は、公共施設を整備するに当たり、景観形成について先導的役割を果たすものとする。
3 市は、景観形成に関する啓発、知識の普及及び意識の高揚を図るため、必要な施策を講じなければならない。
4 市は、景観形成に関する施策の実施にあたっては、市民及び事業者の意見、要望等が十分に反映されるよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第4条 事業者は、土地の利用等の事業活動が景観形成に影響を与えるものであることを認識し、事業活動の実施に当たっては、景観形成に努めるとともに、市が実施する景観形成に関する施策に積極的に協力しなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、自らが景観形成の主体であることを認識し、景観形成に関する理解を深め、良好な景観の形成に努めるとともに、市が実施する景観形成に関する施策に積極的に協力しなければならない。
第2章 景観審議会
(菊池市景観審議会)
第6条 本市における良好な景観の形成に関する重要事項を調査審議するため、菊池市景観審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、次に掲げる事項について調査審議する。
(1) この条例の規定によりその権限に属する事項
(2) その他景観の形成及び屋外広告物に関する重要事項
3 審議会は、委員15人以内で組織する。
4 委員は、景観及び広告物に関し学識経験を有する者その他の規則で定める者のうちから市長が委嘱する。
5 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
6 委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
7 審議会に、専門の事項を調査させるため専門委員を置くことができる。
8 専門委員は、専門の事項に係る調査審議が終了したときは、解職されるものとする。
9 委員及び専門委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(規則への委任)
第7条 この条例に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、規則で定める。
第3章 景観計画
(景観計画の策定等)
第8条 市長は、景観形成を総合的かつ計画的に推進するため、景観計画を定めるものとする。
2 景観計画には、本市の景観形成を効果的かつ総合的に推進するため、景観形成重点地区及び一般地域並びに特定施設届出地区その他必要な地区を定めることができる。
3 景観計画においては、一般地域を「自然田園部」と「市街地部」に区分するものとする。
4 景観計画には、次条に掲げる行為に係る景観形成のための行為の制限に関する事項のほか、景観形成に関し必要な事項について定めることができる。
5 市長は、景観計画を策定し、変更し、又は廃止しようとするときは、あらかじめ審議会の意見を聴かなければならない。
第4章 行為の規制等
(届出対象行為等)
第9条 法第16条第1項の規定による届出の対象となる行為(同項第4号の規定により条例で定める行為を含む。以下「届出対象行為」という。)は、次に掲げる行為とする。
(1) 建築物の新築、増築(増築により新たに当該規則で定める規模となる場合の当該増築を含む。)、改築(改築により新たに当該規則で定める規模となる場合の当該改築を含む。)若しくは移転又は外観を変更することとなる修繕、模様替若しくは色彩の変更(以下「建築等」という。)で、景観計画で定める区域ごとに規則に定める規模のもの
(2) 柵又は塀を除く工作物の新設、増築(増築により新たに当該規則で定める規模となる場合の当該増築を含む。)、改築(改築により新たに当該規則で定める規模となる場合の当該改築を含む。)若しくは移転又は外観を変更することとなる修繕、模様替若しくは色彩の変更(以下「建設等」という。)で、景観計画で定める区域ごとに規則に定める規模のもの
(3) 柵又は塀の新設、増築、改築若しくは移転又は外観を変更することとなる修繕、模様替若しくは色彩の変更(以下「設置等」という。)で、景観計画で定める区域ごとに規則に定める規模のもの
(4) 土地の区画形質の変更(土地の開墾及び水面の埋立て又は干拓を含む。以下同じ。)で、景観計画で定める区域ごとに規則に定める規模のもの
(5) 地形の外観の変更を伴う鉱物の掘採又は土石の採取で、景観計画で定める区域ごとに規則に定める規模のもの
(6) 木竹の伐採(森林保護のための間伐等の行為を除く。)で、景観計画で定める区域ごとに規則に定める規模のもの
(7) 屋外における土石、廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。以下同じ。)、再生資源(資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号)第2条第4項に規定する再生資源をいう。以下同じ。)その他の物件の堆積(規則で定める堆積の期間を超えるものに限る。)で、景観計画で定める区域ごとに規則に定める規模のもの
2 次に掲げる行為をしようとする者は、その旨を市長に届け出なければならない。
(1) 景観形成重点地区における次に掲げる行為
ア 建築物等の撤去
イ 屋外における自動販売機の設置及び外観の変更
ウ 広告物(屋外広告物法(昭和24年法律第189号)第2条第1項に規定する屋外広告物及びこれに類するもので屋内から屋外の公衆に向けて表示されるものをいう。)の設置及び外観の変更
(2) 特定施設届出地区(景観形成重点地区を除く。)における特定施設及び同一敷地内でこれに附帯する施設であって、その敷地の全部又は一部が特定施設届出地区に係るものの新築、増築、改築、移転若しくは撤去又は外観を変更することとなる修繕、模様替若しくは色彩の変更
(3) 一般地域市街地部における建築物等の撤去で、規則で定める規模のもの
(4) 一般地域自然田園部における建築物等の撤去で、規則で定める規模のもの
7 法第16条第2項の規定による変更の届出は、当該変更が同条第3項の勧告に従うことにより生じるとき、又は法第17条第1項の規定による命令に従うことにより生じるときは、することを要しない。
(国、地方公共団体等の特例)
第10条 国の機関、地方公共団体又は規則で定める公共的団体(以下「国等」という。)が行う行為については、前条第2項の規定による届出をすることを要しない。
(適用除外)
第11条 法第16条第7項第11号の条例で定める行為は、第9条第1項に規定する行為以外の行為及び次に掲げる行為とする。
(1) 景観形成重点地区における通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるもの
(2) 特定施設届出地区における行為で規則で定めるもの
(3) 一般地域市街地部における届出対象行為に係る通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるもの
(4) 一般地域自然田園部における届出対象行為に係る通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるもの
(特定届出対象行為)
第12条 法第17条第1項の条例で定める行為は、第9条第1項の規定により届出を要する行為のうち、法第16条第1項第1号及び第2号に掲げる行為とする。
第5章 公共事業等における景観形成
(公共事業等景観形成指針)
第13条 市長は、公共事業、公共施設の建築等で市域の景観形成に著しい影響を及ぼすもの(以下「公共事業等」という。)について景観形成のための指針(以下「公共事業等景観形成指針」という。)を定めるものとする。
(公共事業等景観形成指針の遵守等)
第14条 市は、公共事業等を行うときは、公共事業等景観形成指針を遵守するものとする。
(空地及び空家の管理等に関する要請)
第15条 市長は、景観形成重点地区において、空地又は空家(以下「空地等」という。)がその周辺の景観を著しく阻害していると認めるときは、当該空地等の所有者、占有者又は管理者に対し、景観の形成に配慮した適正な空地等の管理又は利用を図るよう要請することができる。
第6章 景観重要建造物等
(景観重要建造物の指定手続)
第16条 市長は、法第19条第1項の規定により景観重要建造物の指定をしようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。
(景観重要樹木の指定手続)
第17条 前条の規定は、法第28条第1項の規定による景観重要樹木の指定について準用する。
第7章 特定事業者との景観形成協定
第18条 市長は、市域の景観形成を図る上で必要があると認めるときは、その事業に係る一団の土地の面積が規則で定める面積を超えるもの(以下「特定事業」という。)を営み、又は営もうとするもの(国等を除く。)と景観形成に関する協定を締結することができる。
2 前項の協定には、次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 協定の名称及び目的並びに協定の対象となる区域に関する事項
(2) 建築物等の位置及び外観並びに敷地の緑化に関する事項
(3) 駐車場等附帯施設の位置及び外観並びに敷地の緑化に関する事項
(4) 協定の有効期間に関する事項
(5) 協定の廃止又は変更の手続に関する事項
(6) 前各号に掲げるもののほか、協定の対象となる区域の景観形成に関し必要な事項
3 市長は、第1項の協定を締結したときは、その内容を公表するものとする。
第8章 市民の景観形成活動
(景観形成住民団体等)
第19条 法第11条第2項の条例で定める団体は、地域の景観形成に関する活動を目的として活動を行っている団体で規則で定めるものとして市長が認定した団体(以下「景観形成住民団体」という。)とする。
2 前項の規定による認定を受けようとするものは、規則で定めるところにより、市長に申請しなければならない。
3 市長は、景観形成住民団体が認定の要件に該当しなくなったと認めるときは、当該認定を取り消すことができる。
(景観形成住民協定)
第20条 景観計画区域における土地(道路、河川、公園その他公共の用に供する土地を除く。)又は建築物等を所有し、又は管理する者(国等を除く。)は、一定の区域を定め、当該区域の特性に応じた景観形成を図るため、景観形成に関する協定(以下「景観形成住民協定」という。)を締結し、市長にその認定を申請することができる。
2 第18条第2項の規定は、景観形成住民協定について準用する。
3 市長は、第1項の規定による景観形成住民協定の認定の申請があった場合において、審査の上、規則で定める要件を満たし、市域の景観形成に資すると認めるときは、当該景観形成住民協定の認定をすることができる。
4 市長は、前項の規定により景観形成住民協定の認定をしたときは、その内容を公表するものとする。
第9章 表彰、助成等
(表彰)
第21条 市長は、次に掲げるものを表彰することができる。
(1) 優れた景観形成に寄与していると認める建築物等の設計者、施工者、所有者等
(2) 前号に掲げるもののほか、優れた景観形成に貢献していると市長が認める個人又は団体
(景観形成に係る助成等)
第22条 市長は、景観重要建造物若しくは景観重要樹木の維持若しくは保全又は景観形成重点地区内の建築物等の修景のために必要があると認めるときは、その所有者等に対し、規則で定めるところにより、技術的援助を行い、又は維持若しくは保全又は修景に要する経費の一部について予算の範囲内で助成をすることができる。
2 市長は、景観形成に著しく寄与すると認められる景観形成住民団体の活動に対し、規則で定めるところにより、必要な技術的支援を行い、又は当該活動に要する経費の一部について予算の範囲内で助成をすることができる。
(啓発)
第23条 市長は、事業者及び市民に対し、本市の景観施策に係る知識の普及及び啓発に努めなければならない。
第10章 雑則
(委任)
第24条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、法第98条第3項の規定による公示の日から起算して30日を経過した日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の日(以下「施行日」という。)の前日までに、熊本県景観条例(昭和62年熊本県条例第7号)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、この条例の相当規定によりなされたものとみなす。
4 施行日前に熊本県景観条例第16条第4項の規定により熊本県知事の認定を受けた景観形成住民協定は、第20条第3項に規定する市長の認定を受けた景観形成住民協定とみなす。
附則(令和3年条例第55号)
この条例は、公布の日から施行する。