○神戸市民の安全の推進に関する条例

平成10年1月5日

条例第49号

目次

前文

第1章 総則(第1条・第2条)

第2章 市,事業者及び市民の役割

第1節 市の役割(第3条―第7条)

第2節 事業者の役割(第8条・第9条)

第3節 市民の役割(第10条・第11条)

第3章 安全で安心なコミュニティづくり(第12条―第16条)

第4章 要援護者への配慮(第17条)

第5章 啓発活動,人材の育成等(第18条―第20条)

第6章 区を中心に据えた安全なまちづくり(第21条―第23条)

第7章 市民防災の日の設定等(第24条・第25条)

第8章 神戸市安全なまちづくりに関する懇話会(第26条)

第9章 補則(第27条・第28条)

附則

平成7年1月17日に発生した大地震は,かけがえのない多くの生命を一瞬のうちに奪い,私たちの愛するまち神戸に未有の大被害をもたらした。震災によって私たちは,自然のもつ力の大きさを改めて思い知らされた。

一方,あの極限の状況のなかで,私たちは,隣人へのやさしさや思いやりを忘れなかった。私たちは,このことを誇りに思う。あの日あの時の体験は,助け合いの精神の輝きが,いかなる危機にも対処できる勇気と英知になりうることを教えてくれた。

災害はいつまた私たちのまちを襲うかも知れない。災害のみならず,繰り返される犯罪や事故もまた,私たちの生活の安全と安心を脅かしている。私たちのまちを,くらしを,いのちを,私たち自身の手で守るために,今こそすべての者が目標を共有し,それぞれの役割を自覚し,力を合わせて安全なまちを築いていかなければならない。そして,後の世代にその成果と協働の精神を伝えていくこと,これこそが,国の内外から温かい支援と励ましを受けてきた私たち神戸市民に与えられた使命である。

ここに,この神戸を,自然と共生し,誰もが心から愛着をもてるまち,豊かな市民生活をはぐくむまち,そして誰もが安心して暮らすことができる安全なまちとして創造していくための決意を示すため,この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は,災害,犯罪及び事故から市民の安全を確保する上で必要な基本理念を定め,並びに市,事業者及び市民の責務を明らかにするとともに,良好な地域社会の形成その他の市民の安全の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより,安全な都市を築き,もって現在及び将来の市民が安心して暮らすことができる社会を実現することを目的とする。

(基本理念)

第2条 市,事業者及び市民は,その能力を生かし,それぞれの役割を果たしつつ相互に補い合い,協働することにより,すべての人が安心して暮らすことができる安全なまちづくりを推進するように努めなければならない。

2 市,事業者及び市民は,地域の安全及び地域における安心を確保する上で自立の精神に支えられた良好な地域社会の重要性を認識し,豊かな地域活動をはぐくむように努めなければならない。

3 市,事業者及び市民は,災害,犯罪及び事故から得た教訓並びにこれらに基づく経験及び知識を日常生活の中に生かし,非常時に備えるとともに,後の世代にこれらを継承していくように努めなければならない。

第2章 市,事業者及び市民の役割

第1節 市の役割

(市の基本的責務)

第3条 市は,前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり,市民の安全を推進するために必要な施策を策定し,及び体制を整備する責務を有する。

2 市は,前項に規定する施策を策定し,及び体制を整備するに当たっては,事業者及び市民の意見を積極的に反映するように努めなければならない。

(全体計画の作成)

第4条 市は,基本理念にのっとり,市民の安全を推進するために必要な市全体の計画を作成しなければならない。

2 前条第2項の規定は,前項の計画を作成する場合について準用する。

(調査及び研究)

第5条 市は,基本理念にのっとり,市民の安全を推進するために必要な科学的調査及び科学的研究を実施するとともに,その成果等を公表するものとする。

(国等及び事業者との連携)

第6条 市は,基本理念にのっとり,市民の安全を推進するために常に国,県その他の地方公共団体その他公共団体(以下「国等」という。)及び事業者との連携に努めるものとする。この場合において,市は,必要があると認めるときは,国等又は事業者との間に,市民の安全の推進に関する協定を締結することができる。

(市がとるべき非常時の措置)

第7条 市は,災害,犯罪又は事故が発生した場合(以下「非常時」という。)においては,事業者及び市民の協力を得て,国等と一体となって,直ちに,必要な措置を講じなければならない。

第2節 事業者の役割

(事業者の基本的責務)

第8条 事業者は,基本理念にのっとり,その事業活動を行うに当たっては,人命の尊重を最重点としてその有する施設を安全に管理するために必要な措置を講ずる責務を有する。

2 事業者は,その従業員が安全に関する知識及び技術を習得する機会を提供するように努めなければならない。

(事業者がとるべき非常時の措置)

第9条 事業者は,非常時においては,その能力を活用して,積極的に市民の安全に貢献しなければならない。

第3節 市民の役割

(市民の基本的責務)

第10条 市民は,基本理念にのっとり,常に安全に関する知識及び技術を習得し,身辺の安全に係る点検を行い,その他必要な措置を講ずるように努めなければならない。

(市民がとるべき非常時の対応)

第11条 市民は,非常時においては,相互に協力して,積極的に活動しなければならない。

第3章 安全で安心なコミュニティづくり

(良好な地域社会の育成)

第12条 事業者及び市民は,地域活動に自主的かつ積極的に取り組むことにより,助け合いの精神に根ざした良好な地域社会をはぐくむように努めなければならない。

(安全で安心なコミュニティづくり)

第13条 事業者及び市民は,強い連帯感の下に地域で一体となって安全及び安心を確保するための活動を行う自主的な組織(以下「安全で安心なコミュニティ」という。)を形成するように努めなければならない。

(安全で安心なコミュニティごとの計画の作成)

第14条 安全で安心なコミュニティは,地域における安全なまちづくりを計画的に進めるため,安全で安心なコミュニティごとの計画を作成することができる。

2 市は,前項に規定する計画を作成しようとする安全で安心なコミュニティに対し,必要な支援を行うとともに,当該計画が適切に実施されるように配慮しなければならない。

(市民団体に対する支援)

第15条 市は,安全なまちづくりのための活動を行う安全で安心なコミュニティその他の市民団体に対し,必要な支援を行うことができる。

(市民団体がとるべき非常時の対応等)

第16条 第11条に定めるもののほか,安全で安心なコミュニティその他の市民団体は,非常時においては,地域の市民及び国等と連携して,組織的かつ自主的な活動を実施するとともに,他の安全で安心なコミュニティその他の市民団体との連携を図らなければならない。

2 第7条に定めるもののほか,市は,非常時においては,安全で安心なコミュニティその他の市民団体が応急的な対応を円滑に実施することができるように必要な支援を行わなければならない。

第4章 要援護者への配慮

(要援護者への配慮)

第17条 市は,高齢者,障害者,児童その他の非常時において特に援護を必要とする者(以下「要援護者」という。)に配慮した施策を策定し,及び体制を整備しなければならない。

2 事業者及び市民は,地域において要援護者が安心して暮らすことができるように配慮しなければならない。

第5章 啓発活動,人材の育成等

(安全に関する主体的学習)

第18条 事業者及び市民は,あらゆる機会を通じて安全なまちづくりについて積極的に学習するように努めなければならない。

(啓発活動及び教育の推進)

第19条 市は,事業者及び市民が自主性をもって安全なまちづくりを進めることができるようにするため,安全に関する知識の普及及び情報の提供その他事業者及び市民に対する啓発活動を推進するとともに,安全に関する教育を充実する等必要な施策を講ずるものとする。

(人材の育成)

第20条 市は,安全なまちづくりを推進するための活動を支える人材を常に育成するように努めなければならない。

第6章 区を中心に据えた安全なまちづくり

(区を中心に据えた安全なまちづくり)

第21条 市は,安全なまちづくりを推進するに当たっては,区を中心に据えて,その特性を生かすように努めなければならない。

(区ごとの計画の作成)

第22条 第4条第1項に規定する計画のほか,市は,区ごとに,安全なまちづくりを推進するために必要な計画を作成しなければならない。

2 第3条第2項の規定は,前項の計画を作成する場合について準用する。

(区安全会議)

第23条 市は,安全なまちづくりを推進する上で必要な情報,意見等を交換するため,区ごとに,会議を開催するものとする。

第7章 市民防災の日の設定等

(市民防災の日)

第24条 事業者及び市民の間に広く阪神・淡路大震災から得た教訓を語り継ぐとともに,積極的に防災訓練その他の安全に関する活動を行う意欲を高めるため,市民防災の日を設ける。

2 市民防災の日は,1月17日とする。

3 市は,市民防災の日の趣旨にふさわしい事業を実施するように努めなければならない。

(継承活動への支援)

第25条 前条第3項に規定する事業の実施のほか,市は,阪神・淡路大震災から得た教訓を継承するための活動を行う者に対し,必要な支援を行うことができる。

第8章 神戸市安全なまちづくりに関する懇話会

(懇話会の設置)

第26条 市長の附属機関として,神戸市安全なまちづくりに関する懇話会(以下「懇話会」という。)を置く。

2 懇話会は,市長の諮問に応じ,安全に関する基本的施策及び市域における安全なまちづくりに関する基本的事項を調査審議するものとする。

3 懇話会は,安全に関する施策及び市域における安全なまちづくりに関する事項に関し,市長に意見を述べることができる。

4 前3項に定めるもののほか,懇話会の組織及び運営に関し必要な事項は,規則で定める。

第9章 補則

(功績者表彰)

第27条 市は,安全なまちづくりのために顕著な功績があると認められる者に対し,表彰を行うことができる。

(市の職員の責務)

第28条 市の職員は,市民の安全を推進するために,安全に関する知識及び技術を習得するように努めるとともに,地域における安全なまちづくりに積極的に参加するように努めなければならない。

附 則

この条例は,平成10年1月17日から施行する。

神戸市民の安全の推進に関する条例

平成10年1月5日 条例第49号

(平成10年1月5日施行)

体系情報
第1類 則/第6章 その他通則
沿革情報
平成10年1月5日 条例第49号