○緑地の保全、育成及び市民利用に関する条例
平成3年4月1日
条例第2号
目次
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 緑地の保存区域等(第4条―第13条)
第3章 助成等(第14条―第17条)
第4章 雑則(第18条)
第5章 罰則(第19条―第22条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、緑地が環境保全、防災、レクリエーション、景観形成等に重要な役割を果たしていること及び六甲山を中心とする緑地が先人たちの英知と努力によって育てられ、受け継がれてきたことにかんがみ、良好な緑地の適切な保全及び積極的な育成並びに快適な緑地の市民利用のための整備に努めることにより、調和ある都市環境の創造を図り、もって安らぎと潤いのある緑豊かなまちづくりに資することを目的とする。
(1) 緑地 都市計画法(昭和43年法律第100号)第7条第1項の規定による市街化調整区域内の樹林地、草地、水辺地、岩石地又はその状況がこれらに類する土地をいう。
(2) 土地所有者等 土地の所有者又は管理者をいう。
(3) 事業者 緑地に影響を及ぼす行為をする者をいう。
(4) 緑地に影響を及ぼす行為 緑地における宅地の造成、土石の採取若しくは堆積その他の土地の形質の変更又は木竹の伐採をいう。
(5) 緑地の市民利用 緑地において市民がハイキング、自然観察等により緑とふれあい、親しむことをいう。
(市等の責務)
第3条 市は、市民が常に良好な環境を享受できるよう緑地の保全及び育成並びに緑地の市民利用(以下「緑地の保全等」という。)を図るために必要な施策を総合的かつ計画的に実施しなければならない。
2 市民は、緑地の保全等を図るための自主的活動の推進に努めるとともに、市が実施する緑地の保全等に関する施策に協力しなければならない。
3 土地所有者等は、緑地の保全等に自ら努めるとともに、市が実施する緑地の保全等に関する施策に協力しなければならない。
4 事業者は、良好な自然環境が保全されるよう必要な措置を講ずるとともに、市が実施する緑地の保全等に関する施策に協力しなければならない。
第2章 緑地の保存区域等
(緑地の保存区域等の指定等)
第4条 市長は、緑地の保全等を図るために必要な区域を緑地の保存区域、緑地の保全区域又は緑地の育成区域(以下「緑地の保存区域等」という。)として指定することができる。
2 緑地の保存区域は、次に掲げる緑地の区域で、現状のまま残すことが望ましく、緑地の保全等にとって重要度が極めて高いものについて指定する。
(1) 自然環境面及び景観面の機能が非常に優れているもの
(2) 自然環境面及び景観面の機能が優れており、かつ、防災面における保全の必要性が高いもの
3 緑地の保全区域は、緑地の保存区域に次ぐ自然環境面及び景観面の機能を有し、かつ、防災面における保全の必要性がある緑地の区域で、緑地の保全等にとって重要度が高いものについて指定する。
4 緑地の育成区域は、緑地の保全区域に次ぐ自然環境面及び景観面の機能を有し、かつ、レクリエーション面の機能が高い緑地の区域について指定する。
5 市長は、緑地の保存区域等を指定しようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところによりその旨を公告し、その案を当該公告の日から2週間公衆の縦覧に供しなければならない。
7 市長は、前項の規定により縦覧に供せられた案について異議がある旨の意見書の提出があった場合において、当該緑地の保存区域等の指定に関し広く意見を聞く必要があると認めるときは、公聴会を開催することができる。
8 市長は、緑地の保存区域等を指定するときは、その旨及びその区域を告示しなければならない。
9 緑地の保存区域等の指定は、前項の規定による告示によってその効力を生ずる。
(標識の設置)
第5条 市長は、緑地の保存区域等を指定したときは、当該区域内に、緑地の保存区域等である旨を表示した標識を設置するものとする。
2 緑地の保存区域等の区域内の土地所有者等は、正当な理由がない限り、前項の標識の設置を拒み、又は妨げてはならない。
3 何人も、第1項の規定により設けられた標識を市長の承諾を得ないで移転し、若しくは除却し、又は汚損し、若しくは損壊してはならない。
(緑地の保存区域等の管理)
第6条 緑地の保存区域等の区域内の土地所有者等は、樹木等の枯死又は損傷を防止する等善良な管理に努めなければならない。
(緑地の保存区域内における行為の制限)
第7条 緑地の保存区域内においては、何人も、緑地に影響を及ぼす行為をしてはならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
(1) 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
(2) 緑地の保存区域が指定され、又はその区域が拡張された際、当該区域内において、現に予定されている行為で市長が特にやむを得ないと認めるもの又は既に着手していた行為
(3) 都市緑地法(昭和48年法律第72号)第14条第1項の許可を受け、同条第4項の通知をし、又は同条第8項の協議をした行為
(4) 自然公園法(昭和32年法律第161号)第20条第3項又は第21条第3項の許可を受けた行為
2 緑地の保存区域内において、緑地に影響を及ぼす行為で前項第1号に掲げるものをした者は、その行為をした日から起算して14日以内に、市長にその旨を届け出なければならない。
3 緑地の保存区域が指定され、又はその区域が拡張された際当該区域内において既に緑地に影響を及ぼす行為に着手していた者は、その指定され、又は区域が拡張された日から起算して30日以内に、市長にその旨を届け出なければならない。
5 規則で定める規模未満の行為については、前3項の規定は、適用しない。
6 次に掲げる行為については、前各項の規定は、適用しない。
(1) 都市緑地法第12条第1項の規定による特別緑地保全地区における同法第14条第9項各号に掲げる行為
(2) 自然公園法第20条第1項の規定による特別地域における同条第9項各号に掲げる行為又は同法第21条第1項の規定による特別保護地区における同条第8項各号に掲げる行為
(緑地の保全区域内又は緑地の育成区域内における行為の制限)
第8条 緑地の保全区域内又は緑地の育成区域内において、緑地に影響を及ぼす行為をしようとする者は、市長の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
(1) 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
(2) 緑地の保全区域又は緑地の育成区域が指定され、又はその区域が拡張された際、当該区域内において、現に予定されている行為で市長が特にやむを得ないと認めるもの又は既に着手していた行為
(3) 国の機関又は地方公共団体が行う行為
(4) 公益性が特に高いと認められる事業の実施に係る行為のうち当該緑地の保全等を図る上で重大な支障がないと認められるもので、規則で定める行為
3 市長は、第1項の許可の申請があった場合において、当該緑地の保全等のため必要があると認めるときは、許可に条件を付することができる。
4 緑地の保全区域内又は緑地の育成区域内において、緑地に影響を及ぼす行為で第1項第1号に掲げるものをした者は、その行為をした日から起算して14日以内に、市長にその旨を届け出なければならない。
5 緑地の保全区域又は緑地の育成区域が指定され、又はその区域が拡張された際当該区域内において既に緑地に影響を及ぼす行為に着手していた者は、その指定され、又は区域が拡張された日から起算して30日以内に、市長にその旨を届け出なければならない。
7 市長は、前項の届出を受けた場合において、特に必要があると認めるときは、当該行為をしようとする者と協議することができる。
8 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるものについては、前各項の規定は、適用しない。
2 前項の規定による買入れをする場合における土地の価額は、時価によるものとする。
(報告及び立入調査)
第13条 市長は、緑地の保存区域等における緑地の保全等のため必要があると認めるときは、その必要な限度において、第8条第1項の規定による許可を受けた者又はその者から当該土地若しくは物件についての権利を承継した者に対して、当該行為の実施状況その他必要な事項について報告を求めることができる。
3 前項に規定する職員は、その身分を示す証明書を携帯し、土地所有者等その他の関係人の請求があった場合においては、これを提示しなければならない。
第3章 助成等
(緑地の育成等の推進)
第14条 緑地の育成及び緑地の市民利用を総合的に推進するため、市、市民、土地所有者等及び事業者は、それぞれ第3条の責務を認識し、それぞれの役割に応じ、規則で定めるところにより、植林、緑地の市民利用のための施設整備等を積極的に行うよう努めなければならない。
(助成)
第15条 市長は、緑地の育成又は緑地の市民利用を図るための事業を実施する者に対し、規則で定めるところにより、当該事業の費用の全額又は一部を助成することができる。
(技術的指導又は助言)
第16条 市長は、必要があると認めるときは、緑地の保全等を図るための事業を実施する者に対し、必要な技術的指導又は助言を行うことができる。
(表彰)
第17条 市長は、緑地の保全等について功労があった者を表彰することができる。
第4章 雑則
(施行細目の委任)
第18条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
第5章 罰則
第19条 第9条第2項の規定による命令に違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第20条 次の各号のいずれかに該当する者は、3月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
(2) 第8条第3項の規定により許可に付せられた条件に違反した者
第21条 次の各号のいずれかに該当する者は、20万円以下の罰金に処する。
(1) 第5条第3項の規定に違反した者
(2) 第13条第1項の規定による報告をせず、又は偽りの報告をした者
(3) 第13条第2項の規定による立入調査を拒み、又は妨げた者
附 則
この条例は、規則で定める日から施行する。
(平成3年10月29日規則第48号により平成3年11月1日から施行)
附 則(平成4年4月1日条例第2号)
この条例は、平成4年5月1日から施行する。
附 則(平成8年3月13日条例第48号)抄
(施行期日)
第1条 この条例は、規則で定める日から施行する。
(平成8年6月20日規則第35号により平成8年7月1日から施行)
附 則(平成17年1月11日条例第23号)
この条例は、都市緑地保全法等の一部を改正する法律(平成16年法律第109号)の施行の日(当該日がこの条例の公布の日前であるときは、公布の日)から施行する。ただし、第2条(神戸市市民公園条例第31条第1項第3号の改正規定中「緑化協定」を「緑地協定」に改める部分及び同条例第32条第2項の改正規定中「緑化協定」を「緑地協定」に改める部分に限る。)の規定及び第4条(緑地の保全、育成及び市民利用に関する条例第7条第1項第4号の改正規定及び同条第6項第2号の改正規定に限る。)の規定は、公布の日から施行する。
附 則(平成20年11月11日条例第21号)
この条例は、平成20年12月1日から施行する。
附 則(平成22年7月13日条例第5号)
この条例は、公布の日から施行する。
別表(第8条関係)
区域 | 緑地に影響を及ぼす行為の内容 | 許可の基準 |
緑地の保全区域 | 当該土地の面積が5ヘクタール以上のゴルフ場又は屋外レクリエーション施設の設置 | (1) 樹林地率が100分の75以上であり、かつ、自然地率が100分の45以上であること。 (2) 当該土地における樹林地の配置が適切であること。 |
当該土地の面積が5ヘクタール以上の産業施設等の設置 | (1) 樹林地率が100分の60以上であり、かつ、自然地率が100分の35以上であること。 (2) 当該土地における樹林地の配置が適切であること。 | |
当該土地の面積が5ヘクタール以上のゴルフ場、屋外レクリエーション施設又は産業施設等の設置以外の行為 | (1) 樹林地率が100分の50以上であり、かつ、自然地率が100分の30以上であること。 (2) 当該土地における樹林地の配置が適切であること。 | |
緑地の育成区域 | 当該土地の面積が5ヘクタール以上のゴルフ場又は屋外レクリエーション施設の設置 | (1) 樹林地率が100分の65以上であり、かつ、自然地率が100分の40以上であること。 (2) 当該土地における樹林地の配置が適切であること。 |
当該土地の面積が5ヘクタール以上の産業施設等の設置 | (1) 樹林地率が100分の50以上であり、かつ、自然地率が100分の30以上であること。 (2) 当該土地における樹林地の配置が適切であること。 | |
当該土地の面積が5ヘクタール以上のゴルフ場、屋外レクリエーション施設又は産業施設等の設置以外の行為 | (1) 樹林地率が100分の40以上であり、かつ、自然地率が100分の25以上であること。 (2) 当該土地における樹林地の配置が適切であること。 |
備考
1 この表において「当該土地」とは、緑地に影響を及ぼす行為を行う土地及びそれと一体となった土地をいう。
2 この表において「樹林地率」とは、植栽により造成する樹林地及び緑地に影響を及ぼす行為を行わない土地の合計面積の当該土地の面積に対する割合をいう。
3 この表において「自然地率」とは、緑地に影響を及ぼす行為を行わない土地の面積の当該土地の面積に対する割合をいう。
4 この表において「屋外レクリエーション施設」とは、フイールドアーチェリー場その他の運動・レジャー施設をいう。
5 この表において「産業施設等」とは、次に掲げる施設(都市計画法第29条第3号に規定する建築物を除く。)をいう。
(1) 産業発展のための研究、試験業務等を行う施設又は株式会社等がその従業員を対象に産業活動に必要な研修、訓練等を行う施設
(2) 学校教育法(昭和22年法律第26号)による大学、専修学校若しくは各種学校の校舎等の施設又は学校法人等が教育活動に必要な研修、研究等を行う施設
(3) 市民の文化的な生活向上のための活動に必要な業務を行う施設
(4) 一般社団法人、一般財団法人、医療法人又は社会福祉法人が市民の福祉向上のための活動に必要な業務を行う施設