○神戸市空家空地対策の推進に関する条例
平成28年6月28日
条例第3号
目次
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 市民等からの情報提供及び調査の実施等(第5条―第10条)
第3章 措置の実施等(第11条―第17条)
第4章 適切な管理の促進、技術的援助及び活用の促進(第18条―第20条)
第5章 補則(第21条―第22条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、適切な管理が行われていない空家及び空地が防災、防犯、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることを踏まえ、空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号。以下「法」という。)の施行に必要な事項を定めるとともに、空家及び空地の適切な管理、適切に管理されていない空家及び空地に対する措置、空家及び空地の活用の促進等のために必要な事項を定めることにより、市民の生命、身体及び財産を保護し、生活環境を保全するとともに、健全で快適なまちづくりの総合的な推進を図ることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「空家等」又は「特定空家等」とは、それぞれ法第2条第1項又は第2項に規定する空家等又は特定空家等をいう。
2 この条例において「類似空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるものに準じる状態であるものとして規則で定めるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。
3 この条例において「特定類似空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる類似空家等をいう。
4 この条例において「空地等」とは、次に掲げるものをいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。
(1) 現に建築物の敷地でない宅地(立木その他の当該土地に定着する物を含む。)
(2) 前号に規定する宅地に類する土地であって、規則で定めるもの
5 この条例において「特定空地等」とは、そのまま放置すれば著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空地等をいう。
(所有者等の管理義務)
第3条 空家等、類似空家等又は空地等の所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等、類似空家等又は空地等を適切に管理しなければならない。
(市長、市民及び事業者の責務)
第4条 市長は、空家等、類似空家等及び空地等に関する対策を計画的に実施するとともに、市民、事業者及び所有者等に対して意識の啓発を行うものとする。
2 市長は、特定空家等、特定類似空家等又は特定空地等の所有者等による適切な管理の促進を図るために必要な措置を講じるものとする。
3 市長は、空家等、類似空家等及び空地等に対する必要な施策を適切に講じるため、市民、事業者、専門家、専門的な知識及び経験を有する団体、地域団体等と連携を図るよう努めるものとする。
4 市民は、空家等、類似空家等及び空地等が市民生活に及ぼす影響を理解するとともに、市の施策に協力するよう努めるものとする。
5 事業者は、空家等、類似空家等及び空地等が市民生活に及ぼす影響を理解し、市の施策に協力するとともに、自らの事業活動を通じて、必要な対策を講じるよう努めるものとする。
第2章 市民等からの情報提供及び調査の実施等
(立入調査等)
第5条 市長は、類似空家等又は空地等の所在及び当該類似空家等又は空地等の所有者等を把握するための調査その他類似空家等又は空地等に関し、この条例の施行のために必要な調査を行うことができる。
3 市長は、前項の規定により当該職員又はその委任した者を類似空家等又は空地等と認められる場所に立ち入らせようとするときは、その5日前までに、当該類似空家等又は空地等の所有者等にその旨を通知しなければならない。ただし、当該所有者等に対し通知することが困難であるときは、この限りでない。
4 第2項の規定により類似空家等又は空地等を立入調査する者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
5 第2項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(類似空家等又は空地等の所有者等に関する情報の利用等)
第6条 市長は、市が行う事務又は事業において保有する情報であって、類似空家等又は空地等の所有者等に関する情報について、法及びこの条例の施行に必要な限度において、その保有に当たって特定された利用の目的以外の目的のために、内部で利用し、又は提供を求めることができる。
(データベースの整備等)
第7条 市長は、特定空家等、特定類似空家等及び特定空地等に関するデータベースの整備その他これらに関する正確な情報を把握するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(土地所有者等に対する協力要請)
第8条 市長は、土地所有者、地域住民、自治会その他の者に対し、空家等、類似空家等又は空地等の所有者等の情報の提供その他市長が特に必要があると認める事項について協力を求めることができる。
2 前項の土地所有者、地域住民、自治会その他の者は、市長に対して必要な情報を提供し、及びその他の協力を行うよう努めるものとする。
(関係機関等との連携)
第9条 市長は、この条例の施行のために必要があると認めるときは、警察その他の関係機関に対して、空家等、類似空家等又は空地等の所有者等の情報の提供等その他市長が特に必要があると認める事項について協力を求めることができる。
2 市長は、法第10条第3項の規定に基づく提供又は前項の規定に基づく協力を得るために、次に掲げる情報を提供することができる。
(1) 法第9条の規定による調査により得られた情報
(2) 法第14条第1項の規定による助言若しくは指導の内容又は同条第2項の規定による勧告の内容
(財産管理人の選任の申立て)
第10条 市長は、法又はこの条例の施行のために必要と認めるときは、相続財産管理人又は不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てるものとする。
第3章 措置の実施等
(助言又は指導及び勧告)
第11条 市長は、特定類似空家等又は特定空地等の所有者等で市長が必要と認める者に対し、当該特定類似空家等又は特定空地等に関し、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置(そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態にない特定類似空家等については、建築物の除却を除く。次項において同じ。)をとるよう助言又は指導をすることができる。
2 市長は、前項の規定による助言又は指導をした場合において、なお当該特定類似空家等又は特定空地等の状態が改善されないと認めるときは、当該助言又は指導を受けた者に対し、相当の猶予期限を付けて、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告することができる。
(勧告に係る意見陳述及び届出)
第12条 市長は、法第14条第2項の勧告を行おうとするときは、あらかじめ、当該勧告に係る者に意見を述べる機会を与えなければならない。
2 法第14条第2項の勧告を受けた者が当該特定空家等の状態を改善したときには、速やかに市長にその旨を届け出なければならない。
(公表)
第13条 市長は、法第14条第2項又は第11条第2項の勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、その旨及び次に掲げる事項をインターネットの利用その他の方法により公表することができる。
(1) 勧告に従わない者の氏名及び住所(法人その他の団体にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)
(2) 勧告に係る特定空家等、特定類似空家等又は特定空地等の所在地
(3) 勧告によりとるべきものとされた必要な措置の内容
(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項
2 市長は、前項の規定による公表を行おうとするときは、あらかじめ当該公表に係る者に意見を述べる機会を与えなければならない。
(命令)
第14条 市長は、第11条第2項の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。
2 市長は、前項の措置を命じようとする場合においては、あらかじめ、その措置を命じようとする者に対し、その命じようとする措置及びその事由並びに意見書の提出先及び提出期限を記載した通知書を交付して、その措置を命じようとする者又はその代理人に意見書及び自己に有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。
3 前項の通知書の交付を受けた者は、その交付を受けた日から5日以内に、市長に対し、意見書の提出に代えて公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。
6 第4項に規定する者は、意見の聴取に際して、証人を出席させ、かつ、自己に有利な証拠を提出することができる。
7 市長は、第1項の規定による命令をした場合においては、法第14条第11項の例によりその旨を公示しなければならない。
(応急的危険回避措置)
第16条 市長は、特定空家等、特定類似空家等又は特定空地等について所有者等を確知することができない場合において、市民の生命、身体又は財産へ危害が及ぶことを防止するために緊急の必要があると認めるときは、当該特定空家等、特定類似空家等又は特定空地等に対して、その危害の防止のために必要最小限の措置をとることができる。この場合において、当該措置をとった後所有者等を確知することができたときは、当該措置に要した費用は、その所有者等の負担とすることができる。
(土地所有者への助言又は指導)
第17条 市長は、土地所有者が他人に当該土地を使用させている場合において、当該土地所有者に対して、土地の適正管理及び危険防止その他周辺の生活環境の保全のために必要な措置をとるよう、又は当該土地に存する特定空家等、特定類似空家等その他の物の所有者等に対し必要な措置をとることを要請するよう、助言又は指導することができる。
第4章 適切な管理の促進、技術的援助及び活用の促進
(適切な管理の促進)
第18条 市長は、所有者等による空家等、類似空家等又は空地等の適切な管理を促進するため、これらの者に対し、情報の提供、助言その他必要な援助を行うことができる。
(技術的援助等)
第19条 市長は、法第14条第1項の助言若しくは指導又は第11条第1項の助言若しくは指導に従って特定空家等、特定類似空家等又は特定空地等の所有者等が必要な措置その他の措置をとろうとする場合において、必要な技術的援助を行い、又はこれに要する経費の一部を助成することができる。
2 市長は、特定空家等又は特定類似空家等の所有者等(土地所有者を除く。)がとるべき必要な措置をとらない場合又はこれらの所有者等を確知できない場合において、これらの土地所有者が自ら必要な措置をとろうとするときは、当該土地所有者に対して、必要な技術的援助を行い、又はこれに要する経費の一部を助成することができる。
(活用の促進)
第20条 市長は、空家等及び類似空家等並びに空家等又は類似空家等を除却した跡地及び空地等(土地を販売し、又は賃貸する事業を行う者が、販売し、又は賃貸するために所有し、占有し、又は管理するものを除く。)について、所有者等、市民、事業者、自治会その他の地域団体、専門家、専門的な知識及び経験を有する団体等と連携し、これらに関する情報の提供その他これらの活用のために必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
第5章 補則
(施行細目の委任)
第21条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
(過料)
第22条 次の各号のいずれかに該当する者については、5万円以下の過料に処する。
(1) 法第14条第11項の規定により設置した標識を毀損した者
(2) 第5条第2項の規定による立入調査を拒み、妨げ、又は忌避した者
(3) 第14条第1項の規定による市長の命令に違反した者
附 則 抄
(経過措置)
4 この条例による改正前の神戸市廃棄物の適正処理、再利用及び環境美化に関する条例第48条第1項の規定によりなされた勧告及び同条第2項の規定によりなされた命令で、この条例の施行の際現に効力を有するものは、それぞれこの条例第11条第2項の規定によりなされた勧告及び第14条の規定によりなされた命令とみなす。