○神戸市歯科口腔保健推進条例
平成28年11月8日
条例第15号
市民が生涯にわたって質の高い生活を送るために、歯と口腔の健康を保持することは大変重要である。また、歯周病と全身疾患との関連が指摘されるなど、歯と口腔の健康は、全身の健康を保持する上で、基礎的かつ重要な役割を果たしている。
国においては、生涯自分の歯でおいしく食べることができるよう8020運動(80歳で20本以上自分の歯を保つための取組)を進めるとともに、歯科口腔保健の推進に関する法律(平成23年法律第95号)を制定し、歯科口腔保健(歯科疾患の予防等による口腔の健康の保持をいう。以下同じ。)を推進している。本市においても、国の動きを受け、こうべ歯と口の健康づくりプランを策定し、歯科口腔保健を推進している。
市民一人ひとりが歯科疾患の予防に取り組むとともに、誰もが生涯にわたって切れ目なく必要な歯科保健医療を受けることができる環境を整備するため、市及び保健、医療、福祉、教育等の関係者が相互に連携を図りながら、歯科口腔保健に関する取組を更に推進していくことを目的として、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、本市の歯科口腔保健に関する施策を総合的に推進するため、市の責務等を明らかにするとともに、施策の基本的な事項を定め、もって市民の生涯にわたる健康の保持増進を図ることを目的とする。
(基本理念)
第2条 歯科口腔保健に関する施策の推進については、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
(1) 歯科疾患の予防、早期発見及び早期治療に関し、市民の自発的な取組を促進させるものであること。
(2) 乳幼児期から高齢期までのそれぞれの時期における口腔機能の状態に応じて、切れ目なく、適切かつ効果的に実施されるものであること。
(3) 保健、医療、福祉、教育その他の分野における施策との有機的な連携が図られるものであること。
(市の責務)
第3条 市は、前条の基本理念にのっとり、市民の生涯にわたる歯科口腔保健に関する施策を定め、計画的に実施し、及び検証する責務を有する。
(歯科医療等関係者及び保健医療等関係者の責務)
第4条 歯科医療等関係者(歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士その他の歯科医療又は歯科保健指導に係る業務に従事する者をいう。以下同じ。)は、市が歯科口腔保健に関する施策を実施するにあたり、市との緊密な連携を図り、歯科口腔保健の推進に努めなければならない。
2 保健医療等関係者(保健、医療、福祉及び教育等に係る業務に従事する者であって、歯科口腔保健に関する業務を行うもの(歯科医療等関係者を除く。)をいう。以下同じ。)は、市及び歯科医療等関係者と連携して、歯科口腔保健の推進に協力するよう努めるものとする。
(市民の責務)
第5条 市民は、歯科口腔保健に関する理解を深め、日常生活において自ら歯科疾患の予防に向けた取組を行うとともに、定期的に歯科検診(健康診査及び健康診断を含む。以下同じ。)を受け、及び必要に応じて歯科保健指導を受けることにより、歯科口腔保健に努めるものとする。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、その雇用する労働者の歯科口腔保健の推進を図るため、当該労働者が定期的に歯科検診を受け、及び必要に応じて歯科保健指導を受けることができるよう、職場環境の整備その他の必要な配慮をするよう努めるものとする。
(基本的な事項等)
第7条 市は、歯科口腔保健を推進するため、歯科医療等関係者及び保健医療等関係者との協議のもと、次に掲げる事項を基本とする施策を実施するものとする。
(1) 歯科口腔保健に関する情報収集及び普及啓発に関すること。
(2) 歯科検診及び歯科保健指導の実施及び勧奨その他の歯科疾患の予防対策に関すること。
(3) かかりつけ歯科医の活用の推進に関すること。
(4) 障害者、介護が必要な高齢者その他の歯科口腔保健に特別の配慮を要する者の歯科保健医療体制の確保及び定期的な歯科検診の実施に関すること。
(5) 災害時における歯科保健医療の提供に関すること。
(6) 歯科医療等関係者及び保健医療等関係者の資質の向上に関すること。
(7) 歯科口腔保健に資する先進的な調査研究に対する支援に関すること。
(8) 前各号に掲げるもののほか、歯科口腔保健を推進するために必要な事項に関すること。
2 市は、前項の施策を効果的に実施するため、歯科口腔保健を担当する歯科専門人材の確保及び資質の向上に努めなければならない。
(計画の策定)
第8条 市長は、前条第1項の施策を総合的かつ計画的に実施するための計画を策定しなければならない。
2 市長は、前項の計画を策定し、又は変更したときは、速やかにこれを公表しなければならない。
(関係者との協議)
第9条 市長は、前条第1項の計画を策定し、若しくはその進捗管理を行い、又は歯科口腔保健の推進に関する重要事項を定めるに当たり専門的な意見を聴くため、歯科医療等関係者、保健医療等関係者その他の関係者との協議の場を設けるものとする。
(財政上の措置)
第10条 市は、歯科口腔保健に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。
(議会への報告)
第11条 市長は、毎年度、本市の歯科口腔保健に関する施策の実施状況を議会に報告するものとする。
附則
この条例は、平成28年11月8日から施行する。