○高知市公共調達条例

平成24年1月1日

条例第4号

(目的)

第1条 この条例は,公共調達に係る基本理念等を定めることにより,公共調達の競争性,公平性,公正性及び透明性を高め,調達するものの品質,価格及び履行の適正を確保するとともに,労働者の適正な労働条件を確保する等の社会的価値の実現及び向上に配慮し,もって市民の福祉の向上及び地域経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 公共調達 市が工事の請負契約,業務の委託に関する契約,物件の買入れに関する契約その他の契約及び公の施設の管理に関する協定に基づき行う工事,役務,物件等の調達をいう。

(2) 事業者 公共調達に係る受注をし,又はしようとする者をいう。

(3) 下請負者 下請その他いかなる名称によるかを問わず,市以外の者から公共調達の一部について請け負う者をいう。

(4) 市民等 市の区域内(以下「市内」という。)に居住し,勤務し,又は在学する者及び市内に事務所又は事業所を有し,事業を営む個人又は法人その他の団体(事業者及び下請負者(以下「事業者等」という。)を除く。)をいう。

(5) 社会的価値 公共調達の実施に当たり,確保されるべき公正労働基準,環境保全,男女共同参画,人権擁護,障害者雇用,地域コミュニティの活性化等の社会的な価値をいう。

(基本理念)

第3条 公共調達は,次に掲げる事項を基本として行われなければならない。

(1) その過程全般において,事業者間の公正な競争が促進されるものであること。

(2) その過程全般において,公平性及び公正性を貫き,透明性が確保されるものであること。

(3) 公共調達により調達するものの品質,価格及び履行の適正が確保されるものであること。

(4) 社会的価値の実現及び向上並びに地域経済の健全な発展に配慮されるものであること。

(市の責務)

第4条 市は,前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり,適正かつ公正な公共調達の実施に係る必要な施策を総合的に推進するものとする。

2 市は,公共調達の実施において,常に適正な執行管理に努めるとともに,競争性,公平性,公正性及び透明性を高め,調達するものの品質,価格及び履行の適正を確保しなければならない。

3 市は,公共調達の実施において,当該成果品及びサービスの質の向上,社会的価値の実現及び向上,市民の福祉の向上,地域経済の健全な発展等に努めなければならない。

(事業者等の責務)

第5条 事業者等は,公共調達の過程全般において,常に社会的な責任を自覚し,当該成果品及びサービスの質の向上,社会的価値の実現及び向上,市民の福祉の向上,地域経済の健全な発展等に努めなければならない。

2 事業者等は,自らが雇用し専ら公共調達に従事する者に対し,その職務,業務,責任の度合い,経験年数等を考慮し,適正な賃金を支払わなければならない。

3 事業者等は,その下請負者に対し,適正な請負代金を支払わなければならない。

(市民等の責務)

第6条 市民等は,基本理念にのっとり,適正かつ公正な公共調達の実施に係る必要な施策に協力するよう努めなければならない。

(労働報酬下限額)

第7条 市長は,毎年,公共調達のうち次の各号に掲げる契約の種類ごとに当該各号に定める者(以下「対象労働者」という。)に対して支払われるべき1時間当たりの労働報酬(賃金又は請負代金のうち規則及び地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第10条に規定する企業管理規程(以下「規則等」という。)で定めるものをいう。以下同じ。)の下限の額(以下「労働報酬下限額」という。)を定めるものとする。

(1) 予定価格150,000,000円以上の工事の請負契約(以下「特定工事請負契約」という。) 次に掲げる者であって市が工事費の積算に用いる公共工事設計労務単価に掲げる職種に係る作業に従事するもの

 労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条に規定する労働者(規則等で定める者を除く。以下この項において「労働者」という。)であって特定工事請負契約に係る作業に従事するもの

 自らが提供する労務の対償を得るために請負契約により特定工事請負契約に係る作業に従事する者

(2) 予定価格5,000,000円以上の業務の委託に関する契約のうち規則等で定めるもの又は地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項の規定により市の指定を受けたもの(以下「指定管理者」という。)と締結する公の施設の管理に関する協定(以下「特定業務委託契約」という。) 労働者(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)第2条第2号に規定する派遣労働者を含む。)であって特定業務委託契約に係る作業に従事するもの

2 労働報酬下限額は,次の各号に掲げる契約の種類ごとに当該各号に定める額,市内の労働者の賃金の実態その他の事情を勘案して定めるものとする。

(1) 特定工事請負契約 市が工事費の積算に用いる公共工事設計労務単価において職種ごとの単価として定められた金額及び特定業務委託契約に係る労働報酬下限額

(2) 特定業務委託契約 国民生活基礎調査規則(昭和61年厚生省令第39号)第1条に規定する国民生活基礎調査等に基づく貧困線の額,最低賃金法(昭和34年法律第137号)第9条第1項に規定する地域別最低賃金及び生活保護法(昭和25年法律第144号)第8条第1項に規定する厚生労働大臣の定める基準において本市に適用される額

3 市長は,労働報酬下限額を定めようとするときは,高知市公共調達審議会の意見を聴かなければならない。

4 市長は,労働報酬下限額を定めたときは,これを告示するものとする。

(特定工事請負契約等の内容)

第8条 市長又は公営企業管理者(以下「市長等」という。)が締結する特定工事請負契約又は特定業務委託契約においては,次の事項を定めるものとする。

(1) 受注者(特定工事請負契約又は特定業務委託契約を市長等と締結した事業者をいう。以下同じ。)は,対象労働者の氏名,従事する職種,従事した時間,労働報酬の額及び支払われるべき日その他規則等で定める事項を記載した台帳(以下「台帳」という。)を作成し,当該対象労働者の同意を得て,事業場その他適当な場所に備え置くこと。

(2) 受注者は,台帳の写しを,市長等が指定する期日までに市長等に提出すること。

(3) 受注者は,次に掲げる事項を特定工事請負契約又は特定業務委託契約に係る作業が行われる事業場の見やすい場所に掲示すること又は当該事項を記載した書面を当該作業に従事する対象労働者に交付すること。

 対象労働者の範囲

 労働報酬下限額

 次条の申出をする場合の申出先

 対象労働者が次条の申出をしたことを理由として,当該対象労働者に対して,解雇,請負契約の解除その他不利益な取扱いをしてはならないとされていること。

(4) 受注者は,次条の申出を受けたときは,誠実に対応すること。

(5) 受注者が対象労働者に支払う労働報酬の額は,労働報酬下限額に当該労働に従事した時間数として規則等で定める方法により算定する時間数を乗じて得た額(以下「基準額」という。)を下回らないこと。

(6) 受注者は,対象労働者が次条の申出をしたことを理由として,当該対象労働者に対して,解雇,請負契約の解除その他不利益な取扱いをしてはならないこと。

(7) 受注者は,特定工事請負契約若しくは特定業務委託契約の内容の一部を下請負者に請け負わせるとき,又は特定業務委託契約に係る作業に従事させるため第三者から労働者派遣(労働者派遣法第2条第1号に規定する労働者派遣をいう。)の役務の提供を受ける場合は,当該下請負者又は第三者(以下「受注関係者」という。)に,対象労働者に支払う労働報酬の額が基準額を下回らないこと,台帳を作成し,その写しを受注者に提出することその他の市長等が別に定める事項を遵守することを誓約する書面(以下「誓約書」という。)を市長等に提出させること。

(8) 受注者は,受注関係者から誓約書に基づき台帳の写しの提出があったときは,市長等が指定する期日までに当該写しを市長等に提出すること。

(9) 受注者は,第10条第1項の規定による報告若しくは資料の提出の求め又は立入調査に応ずること。

(10) 第10条第1項又は第2項の規定による報告若しくは資料の提出又は立入調査の結果,受注者が第1号から第8号までに掲げる事項に違反していると市長等が認め,当該違反を是正するために必要な措置を講ずるよう求められたときは,受注者は,速やかに是正の措置を講ずるとともに,当該措置の内容を市長等が指定する日までに市長等に報告すること。

(11) 市長等は,次のいずれかに該当するときは,特定工事請負契約又は特定業務委託契約の解除をすることができること。ただし,指定管理者と締結する公の施設の管理に関する協定にあっては,市は,その指定を取り消し,又は期間を定めて管理の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができること。

 受注者が第10条第1項の規定による報告若しくは資料の提出をせず,若しくは虚偽の報告若しくは虚偽の資料の提出をし,又は同項の規定による立入調査を拒み,妨げ,若しくは忌避したとき。

 受注者が前号の必要な措置を講じず,又は同号の報告をせず,若しくは虚偽の報告をしたとき。

 受注関係者から誓約書が提出されなかったとき。

 受注者が第8号の台帳の写しを提出しなかったとき。

(12) 市は,前号の解除(指定管理者と締結する公の施設の管理に関する協定にあっては,同号ただし書の取消し又は命令)によって受注者に損害が生じた場合においても,その損害を賠償する責任を負わないこと。

(対象労働者の申出)

第9条 対象労働者は,労働報酬が支払われるべき日において,支払われるべき当該労働報酬が支払われていないとき,又は支払われた当該労働報酬の額が基準額を下回るときは,市長等又は受注者若しくは受注関係者にその旨の申出をすることができる。

(立入調査等)

第10条 市長等は,受注者について,対象労働者から前条の申出があったとき,又は特定工事請負契約若しくは特定業務委託契約に定める第8条第1号から第8号までに掲げる事項の履行状況を確認する必要があると認めるときは,当該受注者に対し,必要な報告若しくは資料の提出を求め,又は市の職員に,当該受注者の事業場に立ち入り,必要な調査をさせることができる。

2 市長等は,受注関係者について,対象労働者から前条の申出があったとき,又は誓約書に係る事項の履行状況を確認する必要があると認めるときは,当該受注関係者に対し,必要な報告若しくは資料の提出を求め,又は市の職員に,当該受注関係者の事業場に立ち入り,必要な調査をさせることができる。

3 第1項又は前項の規定により立入調査をする職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係人の請求があったときは,これを提示しなければならない。

4 第1項又は第2項の規定による立入調査の権限は,犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(指定出資法人等の契約)

第11条 市が出資する法人であって市長が指定するもの(以下「指定出資法人」という。)及び民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成11年法律第117号)第8条第1項の規定により選定事業(同法第2条第4項に規定する選定事業をいう。以下同じ。)を実施する者として選定した者(以下「選定事業者」という。)は,この条例の趣旨にのっとり,指定出資法人又は選定事業者が行う契約(選定事業者にあっては,選定事業に係る業務におけるものに限る。)に関して市に準じた措置を講ずるよう努めなければならない。

2 市は,前項に規定する措置を講ずるよう指定出資法人又は選定事業者に対し指導又は助言を行うものとする。

(公共調達審議会の設置)

第12条 第7条第3項に定めるもののほか,この条例の施行に関する重要事項について,市長の諮問に応じ,又は自発的に,調査審議するため,高知市公共調達審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は,委員7人以内をもって組織し,公共調達に係る制度並びに社会的価値の実現及び向上に関し識見を有する者のうちから市長が委嘱する。

3 委員の任期は,2年とする。ただし,補欠委員の任期は,前任者の残任期間とする。

4 委員は,再任されることができる。

5 前各項に定めるもののほか,審議会の組織及び運営について必要な事項は,規則で定める。

(委任)

第13条 この条例の施行について必要な事項は,市長が別に定める。

この条例は,平成24年4月1日から施行する。

(平成26年10月1日条例第83号)

(施行期日)

1 この条例は,平成27年10月1日から施行する。ただし,題名の改正規定,第1条の改正規定,第7条の改正規定,第8条の改正規定及び同条を第12条とする改正規定並びに附則第3項から第5項までの規定は,同年1月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例による改正後の高知市公共調達条例(以下「新条例」という。)第8条から第10条までの規定は,この条例の施行の日(以下「施行日」という。)以後に公告又は通知する新条例第7条第1項第1号に規定する特定工事請負契約及び同項第2号に規定する特定業務委託契約(同号に規定する協定(以下「協定」という。)を除く。)並びに施行日以後に締結する協定について適用する。

(審議会の同一性)

3 この条例による改正前の高知市公共調達基本条例(以下「旧条例」という。)第8条第1項の規定により置かれた高知市公共調達審議会は,新条例第12条第1項の規定により置く審議会として,同一性をもって存続するものとする。

(審議会委員の委嘱等)

4 この条例の施行の際現に旧条例第8条第3項の規定により委嘱された高知市公共調達審議会の委員(以下「旧審議会の委員」という。)である者は,施行日に新条例第12条第2項の規定により,審議会の委員として委嘱されたものとみなす。ただし,その任期は,旧審議会の委員としての残任期間とする。

5 施行日以後初めて委嘱される審議会の委員の任期は,新条例第12条第3項の規定にかかわらず,他の委員の残任期間に相当する期間とする。

(検討)

6 平成27年10月1日から3年以内に,新条例の規定の施行状況について検討を加え,その検討の結果に応じて,所要の見直しを行うものとする。

(平成30年10月1日条例第65号)

(施行期日)

1 この条例は,公布の日から施行する。

(経過措置)

2 この条例による改正後の第7条から第10条までの規定は,この条例の施行の日(以下「施行日」という。)以後に公告又は通知された高知市公共調達条例第7条第1項第1号に規定する特定工事請負契約及び同項第2号に規定する特定業務委託契約(同号に規定する協定(以下「協定」という。)を除く。)並びに施行日以後に締結された協定について適用する。

高知市公共調達条例

平成24年1月1日 条例第4号

(平成30年10月1日施行)