○高知市中高層建築物指導要綱
平成5年4月1日
告示第26号
(目的)
第1条 この要綱は,高知市における中高層建築物の建築に係る計画の事前公開並びに紛争の解決のためのあっせん及び調停に関し必要な事項を定め,もって紛争の予防等を図り,良好な近隣関係を保持し,地域における健全な生活環境の維持及び向上に資することを目的とする。
(1) 中高層建築物 都市計画法(昭和43年法律第100号)第7条第3項に規定する市街化調整区域及び第8条第1項第1号に規定する用途地域に建築される次に掲げる建築物及び高知市集合住宅建築指導要綱(平成5年告示第28号)の適用を受ける建築物をいう。
ア 市街化調整区域における高さが12メートルを超える建築物又は地階を除く階数が4以上の建築物
イ 第一種中高層住居専用地域,第二種中高層住居専用地域,第一種住居地域,第二種住居地域,準住居地域,近隣商業地域,準工業地域及び工業地域における高さが12メートルを超える建築物又は地階を除く階数が4以上の建築物
ウ 商業地域における高さが21メートルを超える建築物又は地階を除く階数が7以上の建築物
(2) 建築主 中高層建築物に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者をいう。
(3) 近隣住民 次に掲げる者をいう。
ア 中高層建築物の敷地の境界線から起算して,水平距離が10メートル以内の範囲又は当該建築物の壁面から根切り深さに相当する水平距離の範囲にある建築物又は土地に関して権利を有する者及び当該範囲内に居住する者
イ 中高層建築物により冬至日の真太陽時による午前8時から午後4時までの間において平均地盤面に日影を生ずる範囲内で,かつ,当該建築物の外壁又はこれに代わる柱の面からその高さの1.5倍以内の範囲にある建築物又は土地に関して権利を有する者及び当該範囲内に居住する者
ウ 建築敷地周辺の状況により生活環境に著しく影響を受けるおそれのある建築物又は土地に関して権利を有する者及び当該範囲内に居住する者
(4) 紛争 中高層建築物の建設に伴って生じることが予想される日照の阻害,工事中の安全対策に関する近隣住民と建築主(以下「当事者」という。)との間の紛争をいう。
(市長の責務)
第3条 市長は,紛争を未然に防止するよう努めるとともに,紛争が生じたときは,適正に調整するよう努めなければならない。
(当事者の責務)
第4条 建築主は,紛争を未然に防止するため,中高層建築物の建築を計画するに当たっては,周辺の生活環境に及ぼす影響に十分配慮するとともに,良好な近隣関係を損なわないよう努めなければならない。
2 建築主は,中高層建築物による電波障害が発生すると予想されるときは,あらかじめ必要な調査を行い,電波障害が生じた場合は,必要な措置を講ずるものとする。
3 建築主は,中高層建築物に関する工事を実施する場合は,当該工事により発生する騒音及び振動の低減並びにじんあいの飛散防止その他必要な措置を講ずるものとする。
4 当事者は,紛争が生じたときは,相互の立場を尊重し,互譲の精神をもって,自主的に解決するよう努めなければならない。
(計画上の配慮事項)
第4条の2 前条第1項の規定による配慮事項は,次に掲げる事項とする。
(1) 近隣住民の住居の日照に及ぼす影響を軽減させること。
(2) 近隣住民の住居の居室を観望することが困難となるようにすること。
(3) 当該建築敷地に隣接する道路の交通の安全を確保すること。
(4) 違法な路上駐車のないよう,居住者,利用者,客等の自動車及び自転車の駐車場を確保すること。
(5) 当該建築敷地の境界線から当該建築物の壁面を極力後退させるとともに,当該敷地内における高木及び生け垣の設置等緑化の推進を図ることにより,近隣住民の住居からの視覚的圧迫感を和らげること。
(6) 当該中高層建築物の位置,形態,意匠,色彩等を周囲の景観と調和するものとすること。
(7) 前各号に掲げるもののほか,周辺の生活環境に影響を与えると予想される事項に対する適切な措置を講ずること。
(標識の設置等)
第5条 建築主は,中高層建築物を建築しようとするときは,近隣住民に建築に係る計画の周知を図るため,当該建築敷地内の見やすい場所に細則に定める標識を設置しなければならない。
2 前項に規定する標識の設置期間は,細則に定める建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という。)の手続を行う少なくとも20日前から法第89条第1項に規定する工事現場における確認の表示を行うまでの期間とする。
3 建築主は,前2項の規定により標識を設置したときは,速やかにその旨を細則に定めるところにより,市長に届け出なければならない。
(説明会)
第6条 建築主は,前条の規定により標識を設置した日から20日以内に近隣住民から申出があれば,建築に係る計画の内容について当該近隣住民に説明会を行わなければならない。
3 建築主は,前2項の規定により説明会をしたときは,その旨を細則に定めるところにより3日以内に市長に届け出なければならない。
4 建築主は,第1項に規定する申出がない場合であっても,その旨を細則に定めるところにより,市長に届け出なければならない。
(あっせん)
第7条 市長は,当事者の双方から紛争の調整の申出があったときは,あっせんを行う。
2 前項の規定にかかわらず,市長は,当事者の一方から調整の申出があった場合において,必要があると認められるときは,あっせんを行うことができる。
3 市長は,あっせんを行う場合においては,当事者双方の主張の要点を確かめ,紛争が解決されるよう努めなければならない。
(あっせんの打切り)
第8条 市長は,あっせんによっては紛争が解決される見込みがないと認めたときは,あっせんを打ち切ることができる。
(調停)
第9条 市長は,前条の規定によりあっせんを打ち切った場合において,必要があると認めたときは,当事者に対し,調停に移行するよう勧告することができる。
2 市長は,前項の規定により勧告した場合において,当事者の双方がその勧告を受諾したときは,調停を行う。
4 市長は,調停を行うに当たって必要があると認めたときは,調停案を作成し,当事者に対し,期間を定めてその受諾を勧告することができる。
5 市長は,調停を行うに当たっては,高知市建築紛争調整委員の少なくとも3人以上から意見を聴かなければならない。
(調停の打切り)
第10条 市長は,当事者間に合意が成立する見込みがないと認めたときは,調停を打ち切ることができる。
2 前条第4項の規定による勧告が行われた場合において,定められた期間内に当事者から受諾する旨の申出がないときは,当該調停は打ち切られたものとみなす。
(調整委員)
第11条 第9条第5項の規定に基づき,調停を行うに当たって意見を聴くため,高知市建築紛争調整委員(以下「調整委員」という。)を置く。
2 調整委員は,前項に定めるもののほか,市長の諮問に応じ,中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する重要事項について調査し,その結果を市長に答申するものとする。
3 調整委員は,6人以内とし,法律,建築又は環境等の分野に関し知識及び経験を有する者のうちから,市長が委嘱する。
4 調整委員の任期は,2年とし,再任を妨げない。ただし,補欠の委員の任期は,前任者の残任期間とする。
5 市長は,調整委員の意見を聴くため,必要があると認めるときは,会議を招集することができる。この場合において,市長は,当該会議に出席すべき調整委員をあらかじめ指名するものとする。
(出頭)
第12条 市長は,あっせん又は調停のため必要があると認めたときは当事者の出頭を求め,又はその意見を聴くことができる。
(関係図書等の提出)
第13条 市長は,あっせん又は調停のため必要があると認めたときは当事者に対し,関係図書等の提出を求めることができる。
(工事の着手の延期等の要請)
第14条 市長は,あっせん又は調停のため必要があると認めたときは建築主に対し,期間を定めて工事の着手の延期又は工事の停止を求めることができる。
(その他)
第15条 この要綱に定めるもののほか,この要綱の施行に関し必要な事項は,細則で定める。
附則
1 この要綱は,平成5年10月1日から施行する。
附則(平成8年4月1日告示第34号)
この要綱は,平成8年4月1日から施行する。
附則(平成20年4月15日告示第90号)
(施行期日)
1 この要綱は,平成20年6月1日から施行する。
(経過措置)
2 この要綱による改正後の高知市中高層建築物指導要綱(以下「改正後の要綱」という。)の規定は,この要綱の施行の日以後に改正後の要綱第5条第3項の規定により標識の設置を届け出た中高層建築物の建築について適用し,同日前にこの要綱による改正前の高知市中高層建築物指導要綱第5条第3項の規定により標識の設置を届け出た中高層建築物の建築については,なお従前の例による。