○京丹後市認知症とともに生きるまちづくり条例

令和4年3月29日

条例第16号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第8条)

第2章 基本施策(第9条―第11条)

第3章 雑則(第12条)

附則

急速な高齢化社会の進展に伴い、認知症の人の数が増加してきており、今後もその数は増加していくことが予測されています。また、認知症は、65歳未満で発症する若年性認知症もあり、誰もがなり得る身近な病気となっています。

認知症になったとしても、意思や感情は備わっており、「すべてのことを忘れる」、「何もできなくなる」といったものではありません。また、認知症は、早期診断・早期治療によって、その治療効果が期待できるとされています。

市では、これまで認知症に関する正しい理解と知識の普及啓発をはじめ、様々な認知症施策を推進してきました。また、本市は、人口に占める100歳以上の割合が全国平均、京都府平均に比べ極めて高い長寿のまちの特色を強みとして活かして、百歳になっても様々な分野において生涯現役で元気に活躍できる「百才活力社会」の実現に向けた取組を推進しています。

京丹後市まちづくり基本条例で掲げる「誰もが幸福をますます実感できる市民総幸福のまちづくり」を進めていく上で、「誰ひとり置き去りにされないまち」を実現していくことは、とても重要な課題です。その上で、誰が認知症になったとしても、住み慣れた地域でともに支え合いながら、安心して暮らすことのできる地域を実現していくことが重要で欠かせません。このためには、市、市民、事業者、地域組織及び関係機関がそれぞれの責務又は役割を果たしていくことが大切です。

これらを踏まえ、市は、全ての市民が自分らしく地域でともに生きていくことができる環境を整え、現在及び将来にわたって認知症とともに生きる意識を高め、その備えをし、認知症の有無にかかわらず、安心していきいきと暮らせる地域共生社会の実現を目指して、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、認知症とともに生きるまちづくりの基本理念を定め、全ての市民が認知症の有無にかかわらず、安心していきいきと暮らすことができる地域共生社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 認知症 アルツハイマー病その他の神経変性疾患、脳血管疾患その他の疾患により日常生活に支障が生じる程度にまで認知機能が低下した状態をいう。

(2) 認知症の予防 認知症になるのを遅らせること又は認知症になっても進行を緩やかにすることをいう。

(3) 市民 市内に居住する者又は市内に通勤若しくは通学する者をいう。

(4) 事業者 市内で事業を営む個人又は法人をいう。

(5) 地域組織 自治会その他の市内に居住する者により構成された組織をいう。

(6) 関係機関 医療、介護、福祉等において認知症の人の支援に携わる機関をいう。

(7) 認知症サポーター 認知症サポーター養成講座を受講し、認知症に対する正しい知識を持って、地域及び職域で認知症の人及びその家族をできる範囲で手助けする者をいう。

(基本理念)

第3条 認知症とともに生きるまちづくりは、次に掲げる基本理念に基づき推進するものとする。

(1) 認知症の予防を含めた認知症に関する正しい知識及び理解に基づき、認知症の人及びその家族の視点に立った地域づくりを目指すこと。

(2) 認知症の人がその意思により、その有する力を最大限に活かしながら、安心して社会参加できる地域づくりを目指すこと。

(3) 認知症は誰もがなり得る身近な病気であるという認識の下、市、市民、事業者、地域組織及び関係機関はそれぞれの責務又は役割を認識し、相互に連携して、全ての市民が認知症の有無にかかわらず、安心していきいきと暮らし続けることができる地域づくりを目指すこと。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念に基づき、市民、事業者、地域組織及び関係機関との連携及び協力により、認知症に関する施策を総合的に推進するものとする。

2 市は、認知症の人及びその家族の意見を踏まえ、必要な施策を実施するよう努めるものとする。

3 市は、認知症に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(市民の役割)

第5条 市民は、認知症に関する正しい知識を習得し、理解を深めるとともに、認知症の予防及び市民相互の支え合いの活動に積極的に取り組むよう努めるものとする。

2 市民は、市、事業者、地域組織及び関係機関が実施する認知症に関する施策又は取組に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、従業員が認知症に関する正しい知識を習得し、理解を深めるために必要な教育を実施するよう努めるものとする。

2 事業者は、市、市民、地域組織及び関係機関が実施する認知症に関する施策又は取組に協力するよう努めるものとする。

(地域組織の役割)

第7条 地域組織は、組織全体で認知症に関する正しい知識を習得し、理解を深めるとともに、地域の市民相互の支え合いの活動に積極的に取り組むよう努めるものとする。

2 地域組織は、市、市民、事業者及び関係機関が実施する認知症に関する施策又は取組に協力するよう努めるものとする。

(関係機関の役割)

第8条 関係機関は、相互に連携し、認知症の人の容態に応じた適切な医療、介護、福祉等のサービスが提供されるよう努めるものとする。

2 関係機関は、認知症に関する専門知識を有する人材の育成に努めるものとする。

3 関係機関は、市、市民、事業者及び地域組織が実施する認知症に関する施策又は取組に協力するよう努めるものとする。

第2章 基本施策

(正しい知識の普及に関する施策)

第9条 市は、市民、事業者、地域組織及び関係機関に対し、認知症に関する正しい知識を普及するため、認知症サポーターの養成を積極的に推進するとともに、研修会の開催、広報媒体の活用その他の必要な施策を実施するものとする。

(認知症の予防等に関する施策)

第10条 市は、認知症の予防に資する活動を促進するための環境づくりを進めるとともに、認知症の予防に関する情報発信及び啓発活動に努めるものとする。

2 市は、市民、事業者、地域組織及び関係機関が主体的に実施する認知症の予防を目的とした活動に対し、必要な支援を講ずるよう努めるものとする。

3 市は、認知症の早期発見及びその後の適切な支援の実施に向けて、相談及び連携の体制づくりに取り組むものとする。

(認知症の人及びその家族への支援に関する施策)

第11条 市は、認知症の人及びその家族が安心して相談できる体制づくり及び社会参加できる環境づくりに取り組むものとする。

2 市は、認知症の容態に応じた適時・適切な支援に向けて、関係機関等の連携及び協力の体制づくりに取り組むものとする。

3 市は、認知症の人の判断能力に配慮した成年後見制度等の権利擁護の取組を推進するものとする。

第3章 雑則

(委任)

第12条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

京丹後市認知症とともに生きるまちづくり条例

令和4年3月29日 条例第16号

(令和4年3月29日施行)