○差別をなくし多様性を認め合うまちまつもと条例

令和5年3月22日

条例第2号

松本市部落差別をはじめとするあらゆる差別撤廃と人権擁護に関する条例(平成11年条例第2号)の全部を改正する。

前文

人権とは「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利について平等である」とした世界人権宣言の精神や、基本的人権の享有と法の下の平等を保障した日本国憲法の理念に示されるように、全ての人が生まれながらに持つ権利である。そして、こうした人権の普遍的価値は、先人たちが長い時間と努力を積み上げることで形作られてきたことを忘れてはならない。

本市においても、部落差別の解消を先駆けとして、あらゆる違いを原因として発生する差別の解消に向けた取組みが続けられている。しかしながら、インターネットの急速な普及、働き方や家族形態等の変化に伴い、差別の問題はその姿を複雑にし、今なお残り続けている。

このような時代にあって、私たちは全ての人がお互いの違いを認め合い、それぞれが自分らしく生きることができる差別のないまちの実現を目指し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、差別をなくし、多様性を認め合うまちづくりに関する基本的な理念を定め、市及び市民の役割を明らかにし、必要な施策を推進する基本事項を定めることにより、人権尊重のまちを実現することを目的とする。

(基本理念)

第2条 一人ひとりが多様な個性を持つ存在であり、年齢、性別、人種、国籍、民族、信条、出自、障がい、性的指向、性自認、感染症等の疾病その他の事由にかかわらず、個人として尊重されることを基本理念とする。

(人権侵害の禁止)

第3条 何人も、前条の事由を理由とした人権侵害となる行為(インターネットを利用した誹謗中傷等の行為を含む。)をしてはならない。

(市の役割)

第4条 市は、基本理念に基づき、必要な施策を推進するとともに、行政の全ての分野において、市民の人権意識の高揚に努めるものとする。

(市民の役割)

第5条 市民は、相互に基本的人権を尊重し、差別の撤廃及び人権の擁護に関する施策に積極的に協力するとともに、自らが多様性を認め合うまちのひとりであることを認識し、優しさに包まれたまちづくりに協力するものとする。

(教育及び啓発活動の充実)

第6条 市及び市民は、人権に関する教育が人権意識の高揚に向けて重要な役割を果たすことを理解し、学校等と協力しながら、人権に関する教育及び啓発活動の充実を図るものとする。

(調査研究等の実施)

第7条 市は、第1条の目的を達成するため、必要に応じ調査研究を行うものとする。

(推進体制の充実)

第8条 市は、差別の撤廃及び人権の擁護に関する施策を効果的に推進するため、国、県及び人権関係団体等との連携を強め、推進体制の充実に努めるものとする。

(審議会)

第9条 市長の諮問に応じ、差別の撤廃及び人権の擁護に関する総合的な施策について調査審議する機関として、松本市差別撤廃人権擁護審議会(以下「審議会」という。)を設置する。

2 審議会の委員は、20人以内で組織し、その任期は2年とする。ただし、委員に欠員が生じたときの補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(委任)

第10条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現にこの条例による改正前の松本市部落差別をはじめとするあらゆる差別撤廃と人権擁護に関する条例(以下「旧条例」という。)第7条第1項の規定により設置されている松本市差別撤廃人権擁護審議会(以下「改正前の審議会」という。)は、この条例による改正後の第9条第1項の規定により設置される審議会とみなす。

3 この条例の施行の際現に旧条例第7条第2項の規定により改正前の審議会の委員に委嘱されている者は、この条例による改正後の第9条第2項の規定により審議会の委員に委嘱されたものとみなす。この場合において、委員の任期は、同項の規定にかかわらず、旧条例第7条第2項の規定による委員としての任期の残任期間と同一の期間とする。

差別をなくし多様性を認め合うまちまつもと条例

令和5年3月22日 条例第2号

(令和5年3月22日施行)