○宗像市男女共同参画推進条例
平成16年3月31日
条例第15号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第8条)
第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策(第9条―第16条)
第3章 苦情の申出及び相談(第17条・第18条)
第4章 雑則(第19条)
附則
宗像市は、福岡市、北九州市の両大都市と筑豊地域との交流地点に位置し、青い海と豊かな緑に囲まれた快適な住環境を誇っている。大学や研究施設を有し、旺盛な市民の文化活動を育む学術・文化都市であるとともに、多くの国宝や重要文化財を有するなど魅力的な歴史的資源にも恵まれている。
このように豊かな自然に恵まれ、古い歴史を持つ宗像市は、農業や漁業を主たる基幹産業として発展してきた。近年は、学術文化とともに大都市からの人口の流入を背景に、住宅都市としての特徴が顕著となっている。
国では、「個人の尊重と法の下の平等」をうたう日本国憲法の下、女子差別撤廃条約を中心とする国際的な流れの中で、男女共同参画社会基本法が制定され、男女共同参画社会の実現に向けてのさまざまな取組が行われてきた。宗像市においても、男女が生き生きと共生するまちづくりを目指し、「宗像市男女共同参画プラン」を策定するなど積極的に施策を推進してきた。
しかしながら、制度や慣習、あるいは市民の生活の中に、男女の役割を性別によって固定的にとらえる考え方が残っており、真の男女平等の実現には未だに至っていない現状がある。さらに、少子高齢化の進展など社会・経済情勢の急速な変化への対応も求められている。
こうした現状を踏まえ、すべての市民が性別に関わりなく、社会のあらゆる分野に参画できるよう、市、市民及び事業者が力を合わせて取り組む必要がある。
ここに、男女がともに対等なパートナーとして協力し合い、心豊かで自分らしく元気に安心して生活できる社会を実現し、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進するため、宗像市男女共同参画推進条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画社会の実現に向けて、その基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務並びに教育の役割を明らかにし、男女共同参画の推進に関する施策について必要な事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
(2) 積極的格差是正措置 前号の機会に係る男女間の格差を是正するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(3) 事業者 営利、非営利等の別にかかわらず、市内において事業活動を行うすべての個人、法人及び団体をいう。
(4) セクシュアル・ハラスメント 相手の意に反した性的な言動により、相手方の尊厳を傷つけ、不利益を与え、又はその生活環境を害することをいう。
(5) ドメスティック・バイオレンス 配偶者や恋人など親密な関係にある者に対する身体的、精神的、性的及び経済的な暴力をいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画は、次に掲げる理念を基本とし、推進されなければならない。
(1) 男女の個人としての尊厳が重んじられ、直接的又は間接的であるかを問わず、性別による差別的取扱いを受けることなく、男女がその個性と能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されること。
(2) 男女間における暴力が根絶されること。
(3) 社会における制度又は慣行が、男女の役割を性別によって固定的にとらえる考え方が根強く残っていることを反映して、男女共同参画の推進を阻害する要因となるおそれがあることを考慮し、男女の社会における活動の自由な選択を妨げることのないよう配慮されること。
(4) 男女が、社会の対等な構成員として、市における施策又は事業者における方針の立案及び決定に、共に参画する機会が確保されること。
(5) 家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、当該活動以外の活動を行うことができるよう配慮されること。
(6) 男女共同参画の推進が、国際社会における取組と密接な関係を有していることを考慮し、男女共同参画の推進が国際協調の下に行われること。
(7) 教育の果たす重要性を考慮して、生涯にわたり、家庭教育、学校教育、社会教育その他の教育の場において、男女共同参画の推進に努めるよう配慮されること。
(8) 男女の対等な関係の下、互いの性が理解され、妊娠、出産等性と生殖に関して自らの意思が尊重され、生涯を通して健康で安全な生活を営む権利が確保されること。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的格差是正措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
2 市は、男女共同参画の推進に当たっては、市民、事業者、国及び他の地方公共団体と相互に連携を図るとともに協力するよう努めなければならない。
3 市は、男女共同参画を推進するため必要な財政上の措置を講ずるよう努めなければならない。
4 市は、その人事管理及び組織運営において、率先して男女共同参画を実現するよう努めなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、職域、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、男女共同参画の推進に努め、市が実施する男女共同参画に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、男女が対等に参画する機会を確保するよう努めるとともに、職業生活と家庭生活を両立して行うことができる体制を整備するよう努めなければならない。
2 事業者は、基本理念にのっとり、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(教育の役割)
第7条 家庭教育、学校教育、社会教育その他あらゆる教育の場において、男女共同参画の推進に果たす教育の役割の重要性を考慮することにより、教育に携わる者は、個々の教育本来の目的を実現する過程において、基本理念に配慮した教育を行うよう努めなければならない。
(性別による権利侵害行為の禁止)
第8条 何人も、職域、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、身体的又は精神的であるかを問わず、セクシュアル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンス等性別による権利侵害行為及び差別的取扱いを行ってはならない。
第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策
(基本計画)
第9条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画の推進の基本となる計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。
2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 総合的かつ長期的に講ずべき男女共同参画の推進に関する施策の大綱
(2) 前号に掲げるもののほか、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 市長は、基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ宗像市男女共同参画推進懇話会(宗像市附属機関設置条例(平成15年宗像市条例第21号)により設置された附属機関をいう。以下同じ。)の意見を聴かなければならない。
4 市長は、基本計画を定めたときは、遅滞なくこれを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。
(基本計画に基づく事業の実施)
第10条 市は、男女共同参画を推進するため、前条に定める基本計画に基づき、啓発事業その他男女共同参画の推進に関する事業の実施に努めなければならない。
(附属機関の委員の男女比)
第11条 市長その他の市の執行機関は、その設置する附属機関(地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定により設置された機関をいう。)の委員を任命し、又は委嘱するときは、男女いずれか一方へ委員の数が偏らないよう努めるものとする。
(情報収集等)
第12条 市は、男女共同参画の推進に関する施策の策定及び実施に関し、情報収集、調査研究その他必要な措置を講ずるものとする。
(市民及び事業者に対する支援)
第13条 市は、市民及び事業者が実施する男女共同参画の推進に関する取組に対し、情報の提供その他必要な支援を行うものとする。
(男女共同参画推進センター)
第14条 市は、宗像市男女共同参画推進センター(宗像市市民活動交流館条例(平成19年宗像市条例第40号)第3条第2号に規定する宗像市男女共同参画推進センターをいう。)を、男女共同参画の推進に関する拠点となる施設とし、男女共同参画の推進に関する施策を実施するものとする。
(平19条例12・平19条例40・一部改正)
(男女共同参画の日)
第15条 市は、市民及び事業者が男女共同参画について広く理解を深め、男女共同参画に関する取組への意欲を高めるため、男女共同参画の日を設けるものとする。
(年次報告)
第16条 市長は、毎年、基本計画の実施状況について、報告書を作成し、これを公表しなければならない。
第3章 苦情の申出及び相談
(苦情の申出)
第17条 市長は、市が実施する施策について、市民又は事業者から男女共同参画に係る苦情の申出があったときは、当該申出を適切に処理するよう努めるものとする。
2 市長は、前項の規定による申出があった場合において、必要と認めるときは、宗像市男女共同参画推進懇話会の意見を聴くものとする。
(相談)
第18条 市長は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進を阻害する要因による人権の侵害について、市民からの相談があったときは、関係機関と連携して、当該相談を適切に処理するよう努めるものとする。
第4章 雑則
(委任)
第19条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成16年4月1日から施行する。
(宗像市附属機関設置条例の一部改正)
2 宗像市附属機関設置条例の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
(宗像市総合保健福祉センター条例の一部改正)
3 宗像市総合保健福祉センター条例の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
附則(平成19年3月30日条例第12号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成19年7月1日から施行する。
附則(平成19年12月21日条例第40号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成20年4月1日から施行する。