○宗像市子ども基本条例

平成24年3月30日

条例第13号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 子どもの権利(第4条―第8条)

第3章 保護者、市民等、子ども関係施設及び市の役割(第9条―第12条)

第4章 子どもにやさしいまちづくり(第13条―第17条)

第5章 啓発(第18条―第20条)

第6章 子どもの権利の侵害に対する救済と回復(第21条―第26条)

第7章 施策の検証(第27条)

第8章 雑則(第28条)

附則

子どもは、夢と希望に満ちた、かけがえのない存在です。また、どの子も自分らしく健やかに成長し、伸びる可能性を持っています。

その可能性の芽を摘み取らずに成長させることが、今、大人に問われています。

子どもは、一人ひとりが権利の主体です。あらゆる差別や暴力から守られ、豊かな愛情のもとで、生き、育ち、参加する権利があります。

大人は、子どもの最善の利益を保障しなければなりません。そのためには、子どもの気持ちをしっかりと受け止め、一緒に考えたり、体験させたり、教え導いていくことが大切です。

宗像市は、昔から交通や文化の要衝の地であり、人と人とのふれあいを大切にしてきたまちです。今もその精神がいきづいています。

子どもは、そのふれあいの中で、自分と同じように相手のことを大切にする心や、社会の一員としての役割やルールを学ぶことができます。

子どもが自らの可能性を伸ばし、自分の将来に夢を持てるまちは、すべての人にやさしく、希望に満ちたまちになります。

宗像市は、「子どもの権利」「大人の責務」「子どもにやさしいまち」を3つの柱とし、子どもの健やかな成長が保障されるまちづくりを、子どもも大人も共に手を取り合って進めていくことを宣言し、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、児童の権利に関する条約の理念にのっとり、子どもの権利を守るために、保護者、市民等、子ども関係施設及び市の責務並びに役割を明らかにするとともに、子どもにやさしいまちづくりの推進に関する施策の基本となる事項並びに子どもの権利侵害の救済及び回復に関する事項を定めることにより、将来にわたって子どもの権利及び健やかな成長が保障されることを目的とする。

(令4条例5・一部改正)

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 子ども 市内に住所を有する18歳未満の者をいう。

(2) 保護者 親又は親に代わり子どもを養育する立場にある者をいう。

(3) 市民等 次に掲げるものをいう。ただし、第1号に規定する子ども及び市外に住所を有する18歳未満の者を除く。

 市内に住所を有する者

 市内の事務所又は事業所に勤務する者

 市内の学校に在学する者

 市内に事務所又は事業所を有する個人及び法人その他の団体

(4) 子ども関係施設 次に掲げる施設をいう。

 児童福祉法(昭和22年法律第164号)に規定する児童福祉施設

 学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する学校

 社会教育法(昭和24年法律第207号)に規定する各種施設

 その他子どもが関係する施設

(5) 虐待 児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号。次号において「法」という。)第2条の児童虐待をいう。

(6) 通告 法第6条第1項による本市福祉事務所又は福岡県宗像児童相談所への通告をいう。

(令4条例5・一部改正)

(責務)

第3条 保護者は、子どもの成長及び発達についての第一義的責任を持つことを認識し、その養育する子どもの権利を保障しなければならない。

2 市民等は、子どもに関わる場又は機会において、子どもの権利を保障しなければならない。

3 子ども関係施設の設置者、管理者及び職員(以下「施設関係者」という。)は、子ども関係施設において、子どもの権利を保障しなければならない。

4 市は、あらゆる施策を通じて子どもの権利を保障しなければならない。

5 保護者、市民等、施設関係者及び市は、前各項の責務を果たすに当たっては、お互いの立場を尊重し、協力して取り組まなければならない。

第2章 子どもの権利

(安心して生きる権利)

第4条 子どもは、安心して生きる権利を有しており、その権利を保障するため、主として次に掲げることが保障されなければならない。

(1) 命が守られ、尊重されること。

(2) 愛情及び理解をもって育まれること。

(3) 温かい家庭の中で、家族と共に生活すること。

(4) 平和で安全な環境の下で生活すること。

(5) あらゆる差別及び暴力を受けず、放置されないこと。

(6) 健全な発達を阻害する環境から守られること。

(自分らしく生きる権利)

第5条 子どもは、自分らしく生きる権利を有しており、その権利を保障するため、主として次に掲げることが保障されなければならない。

(1) 個性が尊重され、その個性を伸ばすこと。

(2) 自分で考え、判断し、行動すること。

(3) プライバシーが守られること。

(4) 子どもであることにより、不当な取扱いを受けないこと。

(豊かに育つ権利)

第6条 子どもは、様々な経験を通して豊かに育つ権利を有しており、その権利を保障するため、主として次に掲げることが保障されなければならない。

(1) 学ぶこと。

(2) 遊ぶこと。

(3) 生活のリズムが守られること。

(4) 良い事、悪い事及び社会のルールについてきちんと教えてもらうこと。

(意見を表明する権利)

第7条 子どもは、自ら社会に参加し、意見を表明する権利を有しており、その権利を保障するため、主として次に掲げることが保障されなければならない。

(1) 自分の気持ち又は考えを表現するために必要なコミュニケーションの力を伸ばす機会が得られること。

(2) 自分の気持ち又は考えを表明し、尊重されること。

(3) 意思決定に参加すること。

(4) 社会参加に関して、適切な支援が受けられること。

(子どもの役割)

第8条 子どもは、自分の権利が尊重されるのと同様に、他の者の権利を尊重するよう努めなければならない。

2 子どもは、他の者の権利を侵害する行為をしないよう努めなければならない。

3 子どもは、家庭又は社会の一員としての役割を果たすよう努めなければならない。

第3章 保護者、市民等、子ども関係施設及び市の役割

(保護者の役割)

第9条 保護者は、子どもの最善の利益を第一に考え、かつ、愛情をもって子どもの成長及び発達に応じた養育をしなければならない。

2 保護者は、子どもの年齢に応じた心身の発達に関する知識及び養育について習得するよう努めなければならない。

3 保護者は、子どもが基本的な生活習慣及び社会性を身に付けるよう努めなければならない。

4 保護者は、虐待、体罰その他の子どもの権利を侵害することをしてはならない。

5 保護者は、子どもの発達に有害なものから子どもを保護しなければならない。

6 保護者は、子どもの個性に応じ、教育を受けさせるとともに、文化、芸術又はスポーツに接する機会を作るよう努めなければならない。

(令4条例5・一部改正)

(市民等の役割)

第10条 市民等は、子どもは「社会の宝」であると認識し、子どもを温かく見守り、子どもが安心して過ごすことができるよう努めなければならない。

2 市民等は、地域において、子どもが意見を表明し、又は参加する機会を設けるよう努めなければならない。

3 市民等は、子どもが社会のルールに反する行為をしたときは、注意し、若しくは指導し、又は関係機関等に通報し、若しくは連絡しなければならない。

4 市民等は、虐待を受けたと思われる子どもを発見したときは、速やかに通告しなければならない。

(令4条例5・一部改正)

(子ども関係施設の役割)

第11条 子ども関係施設は、子どもの最善の利益を第一に考え、かつ、愛情をもって指導又は援助を行い、子どもを育成しなければならない。

2 子ども関係施設は、子どもの年齢又は個性に応じて、自主的な活動を支援しなければならない。

3 施設関係者は、子どもの育ち及び気持ちについて理解し、把握できる力を身に付けなくてはならない。

4 子ども関係施設は、虐待、体罰、いじめその他の子どもの権利を侵害する行為の防止に努めるとともに、子ども及び保護者が相談しやすい環境を整備しなければならない。

5 子ども関係施設は、虐待の早期発見に努めるとともに、虐待を受けたと思われる子どもを発見したときは、速やかに通告しなければならない。

(令4条例5・一部改正)

(市の役割)

第12条 市は、子どもの権利を保障するため、国、他の地方公共団体及び関係機関と連携するとともに、必要な施策を実施しなければならない。

2 市は、保護者、市民等及び子ども関係施設がそれぞれの責務と役割を果たすことができるよう、必要な支援をしなければならない。

3 市は、子ども自ら又は保護者等を通じて、市政等に関する意見を求めるよう努めなければならない。

4 市は、虐待、体罰、いじめその他の子どもの権利を侵害する行為の防止及び早期発見に努めなければならない。

5 市は、前項の取組において被害を受けた子どもを発見したときは、その保護及び救済に努めるとともに、関係機関と協力し、必要な支援をしなければならない。

6 前各項に定めるもののほか、市は、さまざまな方法を通して、子どもの権利の普及及び啓発に努めなければならない。

(令4条例5・一部改正)

第4章 子どもにやさしいまちづくり

(施策の推進)

第13条 市は、子どもの権利を保障し、子どもにやさしいまちづくりの施策を推進するため、行動計画を策定しなければならない。

2 市は、行動計画を策定し、又は見直すときは、第27条の宗像市次世代育成支援対策審議会の意見を聴かなければならない。

3 市は、行動計画を策定し、又は見直したときは、速やかにその内容を公表しなければならない。

(令4条例5・一部改正)

(子どもの居場所づくり)

第14条 市、市民等及び施設関係者は、地域において、子ども同士が遊び等の体験を通じ、豊かに成長できるよう、安全で安心な居場所づくりに努めなければならない。

2 市は、自主的に居場所づくりをしている市民等との連携を図り、その支援に努めなければならない。

(子どもの意見表明の機会の提供)

第15条 市は、子どもが意見表明を行うことができる機会を設けるよう努めなければならない。

(子育て支援)

第16条 市、市民等及び施設関係者は、保護者が安心して子育てをすることができるよう支援しなければならない。

2 市、市民等及び施設関係者は、保護者の子育て及び仕事の両立を支援するとともに、子どもが健やかに成長できる環境づくりに努めなければならない。

(健全な発達を阻害する環境からの保護)

第17条 市、市民等及び施設関係者は、健康に有害なもの、性的虐待、過激な暴力等の有害な情報その他の子どもの健全な発達を阻害する環境から子どもを保護し、又はその環境を改善するよう努めなければならない。

第5章 啓発

(啓発)

第18条 市は、子どもの権利の普及及び啓発に努めるものとする。

(学習等への支援)

第19条 市は、家庭教育、学校教育及び社会教育の場において、子どもの権利についての学習及び研修が推進されるよう、必要な教育環境の整備に努めなければならない。

2 市は、施設関係者、医師又は保健師等の子どもの権利に職務上関係のある者に対し、子どもの権利についての理解がより深まるよう、研修の機会を提供するよう努めるものとする。

3 市は、子どもが自主的に行う子どもの権利についての学習等の取組に対し、必要な支援に努めるものとする。

(子どもの権利の日)

第20条 市は、子どもの権利についての関心及び理解を深めるため、宗像市子どもの権利の日(以下「権利の日」という。)を設ける。

2 権利の日は、11月20日とする。

3 市は、権利の日の趣旨にふさわしい事業を行うものとする。

第6章 子どもの権利の侵害に対する救済と回復

(子どもの権利救済委員)

第21条 市は、子どもの権利の侵害に迅速かつ適切に対応し、その救済及び権利の回復を支援するため、宗像市子どもの権利救済委員(以下「救済委員」という。)を置く。

2 救済委員は、3人以内とする。

3 救済委員は、子どもの権利、福祉、教育等に関して知識経験を有する者のうちから、市長が選任する。

4 救済委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 救済委員は、任期の満了以外は、その意に反して職を解かれない。

6 前項の規定にかかわらず、市長は、救済委員が心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認める場合又は救済委員としてふさわしくない行為があると認める場合においては、その職を解くことができる。

(救済委員の職務)

第22条 救済委員は、次に掲げる職務を行う。

(1) 子どもの権利の侵害について、子どもその他関係者から相談を受け、その救済及び権利の回復のために、助言又は支援をすること。

(2) 権利の侵害を受けている子どもについて、本人又はその関係者から救済の申立てを受け、事実の調査又は関係者間の調整をすること。

(3) 子どもが権利の侵害を受けていると認めるときに、自らの判断で調査すること。

(4) 必要と認めるときに、子どもの権利を侵害した者に対して、是正措置を講ずるよう勧告し、又は制度等の改善を要請すること。

(5) 前号の勧告又は要請に対する是正措置又は制度等の改善の状況等の報告を求めること。

2 救済委員は、前項の職務を行うに当たっては、次に掲げる事項を守らなければならない。

(1) 職務上知り得た秘密を漏らさないこと。その職を退いた後も同様とする。

(2) 人権について十分に配慮すること。

(3) 関係機関等と協力すること。

(救済委員に対する支援及び協力)

第23条 市は、救済委員の独立性を尊重し、その活動を積極的に支援しなければならない。

2 保護者、市民等及び子ども関係施設は、救済委員の活動に協力するよう努めなければならない。

(勧告又は要請への対応)

第24条 市は、救済委員から勧告又は要請を受けたときは、速やかに、その対応状況等を報告しなければならない。

2 市以外のものは、救済委員から勧告又は要請を受けたときは、速やかに、その対応状況等を報告するよう努めなければならない。

(勧告又は要請等の内容の公表)

第25条 救済委員は、必要と認めたときは、勧告若しくは要請又はその対応状況等を公表することができる。

(報告等)

第26条 救済委員は、毎年の活動状況等を市長に報告し、市民に公表する。

第7章 施策の検証

(子どもの権利の保障状況の検証)

第27条 市は、この条例による施策、行動計画の実施状況及び子どもの権利の保障状況について毎年度検証を行わなければならない。

2 前項の検証に当たっては、宗像市次世代育成支援対策審議会条例(平成25年条例第8号)に規定する宗像市次世代育成支援対策審議会に対し、諮問するものとする。

3 市長その他の執行機関は、審議会の報告又は提言を尊重し、必要な措置をとるものとする。

(平25条例8・一部改正)

第8章 雑則

(委任)

第28条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成24年4月1日から施行する。ただし、第6章及び第7章の規定は平成25年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現に次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)第8条第1項の規定により策定されている計画は、この条例の相当規定に基づき策定された行動計画とみなす。

3 第22条の規定は、この規定の施行の日(以下「施行日」という。)前3年から施行日の前日までに生じた子どもの権利の侵害に関わる事項についても適用するものとする。

(準備行為)

4 第21条第3項の規定による救済委員の選任に関し必要な行為は、同項の規定の施行の日前においても行うことができる。

(平成25年3月28日条例第8号)

(施行期日)

1 この条例は、平成25年4月1日から施行する。

(令和4年3月30日条例第5号)

この条例は、令和4年4月1日から施行する。

宗像市子ども基本条例

平成24年3月30日 条例第13号

(令和4年4月1日施行)