○宗像市世界遺産「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群基本条例

平成30年3月28日

条例第5号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 基本的施策(第8条―第11条)

第3章 雑則(第12条)

附則

日本列島の西部に位置する宗像の地は、古代、東アジアと日本列島との海を介した交流の要衝でした。この交流によって取り入れた東アジアの先進技術や文化は、日本の政治や社会などの発展に大きく貢献しましたが、航海術に長けた宗像の人々にとってもその航海は常に危険を伴う命がけのものでした。

このような歴史的背景から生まれた、航海の安全と交流の成就を願う沖ノ島の沖津宮、大島の中津宮、九州本土の辺津宮での祭祀行為や人々の信仰によって形成された文化的伝統は、古代からその形を変えながらも今日まで引き継がれています。

そして、東アジアとの交流を示す歴史的物証と今日まで続く文化的伝統は、世界に比類のない文化遺産であると評価され、平成29年7月に「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群としてユネスコの世界遺産に登録されました。

私たちは、この世界遺産が有する顕著な普遍的価値を深く理解するとともに、これまで宗像の地域における人々の生業や暮らし、自然環境によって形成されてきた風致や景観が顕著な普遍的価値に大きく寄与しているということも忘れてはなりません。

このような認識のもと、私たちは世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約の精神に基づき、「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群が有する顕著な普遍的価値を損なうことなく、保存し、活用し、次の世代に引き継いでいくことを決意し、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、世界遺産の保存及び活用に関し基本理念を定め、市の責務、所有者の責務及び市民等の役割を明らかにするとともに、市の施策その他必要な事項を定めることにより、世界遺産が有する顕著な普遍的価値を次世代に継承していくことを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 世界遺産 世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約(平成4年条約第7号)第11条第2項の世界遺産一覧表に文化遺産として記載された「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群をいう。

(2) 顕著な普遍的価値 国家間の境界を超越し、人類にとって現代及び将来の世代に共通した重要性を有する傑出した文化的な意義をいう。

(3) 構成資産 世界遺産を構成する資産のうち、市内に所在するものをいう。

(4) 緩衝地帯 世界遺産の保護を目的として設定した区域をいう。

(5) 所有者 構成資産において所有権を有する者をいう。

(6) 市民等 市民、構成資産又は緩衝地帯に来訪する者及び市内又は緩衝地帯において事業を営む者をいう。

(基本理念)

第3条 世界遺産の保存及び活用は、世界遺産が有する顕著な普遍的価値を維持し、又は、向上し、次世代へ継承していくことを旨として行われなければならない。

2 世界遺産の保存及び活用は、市内における生業、暮らし及び自然環境により形成された世界遺産が有する顕著な普遍的価値に寄与する風致及び景観を維持し、又は向上していくことを旨として行われなければならない。

3 世界遺産の保存及び活用は、市、国、関係地方公共団体、所有者、民間団体その他の世界遺産の保存及び活用に関わる者の相互緊密な連携のもとに、行われなければならない。

(共通の責務)

第4条 何人も、世界遺産の保存及び活用並びに緩衝地帯の保全にかかる文化財保護法(昭和25年法律第214号)その他の関係法令等を遵守しなければならない。

(市の責務)

第5条 市は、第3条に規定する基本理念にのっとり、世界遺産の保存及び活用に関する施策を総合的に企画及び実施するものとする。

2 市は、国、関係地方公共団体、所有者、民間団体その他の世界遺産の保存及び活用に関わる者と連携し、世界遺産の保存及び活用に関する取組を推進するために必要な体制を整備するものとする。

(所有者の責務)

第6条 所有者は、所有権を有する構成資産を適切な管理のもとに保存し、かつ、その特性に応じて活用するよう努めるものとする。

2 所有者は、市、国、関係地方公共団体、民間団体その他の世界遺産の保存及び活用に関わる者が実施する世界遺産の保存及び活用に関する取組に協働で取り組むよう努めるものとする。

(市民等の役割)

第7条 市民等は、世界遺産が有する顕著な普遍的価値についての理解を深めるよう努めるものとする。

2 市民等は、各構成資産において定められた遵守すべき事項を遵守し、世界遺産の保存及び活用のために講じられる取組に協力するものとする。

3 市民等は、各構成資産の周辺の環境の保全に影響を及ぼすことがないよう十分に配慮するものとする。

第2章 基本的施策

(顕著な普遍的価値の理解促進)

第8条 市は、世界遺産が有する顕著な普遍的価値についての理解促進のために必要な措置を講ずるとともに、市民等に対しその学習の機会及び情報の提供等を行うものとする。

(構成資産の適切な保存及び活用)

第9条 市は、構成資産の文化財としての適切な保存及び活用を図るために必要な措置を講ずるものとする。

(緩衝地帯の保全)

第10条 市は、緩衝地帯の保全を図るために必要な措置を講ずるものとする。

(調査研究の実施)

第11条 市は、世界遺産並びにその保存及び活用に関し必要な調査研究を実施するものとする。

第3章 雑則

(協力の要請)

第12条 市は、世界遺産の保存及び活用に関する施策を円滑に推進するため、できるだけ多くの者に対し、必要な協力を求めるよう努めるものとする。

附 則

この条例は、公布の日から施行する。

宗像市世界遺産「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群基本条例

平成30年3月28日 条例第5号

(平成30年3月28日施行)