○帯広市まちづくり基本条例
平成18年12月1日
条例第30号
目次
前文
第1章 総則(第1条~第3条)
第2章 権利及び責務(第4条~第6条)
第3章 参加・協働(第7条~第11条)
第4章 情報共有(第12条~第14条)
第5章 行政運営(第15条~第22条)
第6章 国・道及び他の自治体との関係(第23条)
第7章 条例の見直し(第24条)
附則
帯広市は、先住民族であるアイヌの人たちが自然と共生して暮らす大地に、高い志をもった民間の開拓団・晩成社をはじめ、さまざまな地域から入植した人々が、苦難を乗りこえ、北海道東部の平原に築いた都市です。
農業を基幹産業とする十勝平野の中央部にあって、産業・経済、教育・文化、行政、交通などが集積する中核都市として発展してきています。
私たちは、風土によって培われてきた、おおらかな気風や進取の精神、歴史や文化に誇りをもち、先人から受け継いだ澄みきった青空、豊かな緑、きれいな水を守り、地域のかけがえのない財産として、未来に引き継いでいかなければなりません。
今日、経済の発展、地方分権の進展などにより、地域社会は大きく変化しています。
これからの社会においては、誰もが住みよい、活力にあふれ、個性と魅力のある、安全安心で快適なまちづくりをめざし、地域の意思と責任に基づく、主体的なまちづくりをすすめていかなければなりません。
そのため、互いに支えあう心を呼び起こし、夢と希望を持ち、市民と市が力を合わせて協働のまちづくりをすすめ、豊かな地域社会の実現をめざすため、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、市民と市がそれぞれの役割と責任を担い、互いに力を合わせてすすめる協働のまちづくりを推進するための基本的事項を定め、豊かな地域社会の実現をはかることを目的とする。
(1) 市民 市内に居住し、通勤し、若しくは通学する個人又は市内において事業を営み、若しくは活動を行う個人若しくは法人その他の団体をいう。
(2) 市 長その他の執行機関をいう。
(条例の位置付け)
第3条 市は、まちづくりの推進にあたり、条例、規則等の制定改廃及びまちづくりに関する計画の策定又は変更にあたっては、この条例の趣旨を最大限尊重しなければならない。
第2章 権利及び責務
(市民の権利及び責務)
第4条 市民は、まちづくりに幅広く参加する権利を有する。
2 市民は、市の保有する情報を知る権利を有する。
3 市民は、自ら情報を共有するように努めるとともに、まちづくりの主体としての意識と責任を持ち、まちづくりを協働で推進するように努めなければならない。
4 市民は、まちづくりに参加又は不参加を理由に不利益を受けない。
(市長の責務)
第5条 市長は、帯広市を代表する者として、公正かつ誠実に市政を執行しなければならない。
2 市長は、市民の意向の把握に努め、市政運営の方針を明らかにするとともに、帯広・十勝の魅力や個性を活かして、まちづくりを推進しなければならない。
3 市長は、市職員を適切に指揮監督するとともに、市政の課題に的確に対応できる人材の育成に努め、効率的かつ効果的に組織運営を行わなければならない。
(市職員の責務)
第6条 市職員は、全体の奉仕者として、公正かつ誠実に職務を遂行しなければならない。
2 市職員は、まちづくりに関する情報収集に努めながら、専門的な知識及び能力を十分発揮して職務を行うとともに、幅広い視野で市民と協働のまちづくりに取り組まなければならない。
3 市職員は、職務の遂行に必要な能力の向上に努めなければならない。
第3章 参加・協働
(参加機会の充実)
第7条 市は、市民がまちづくりに参加する機会の充実に努めなければならない。
(協働の推進)
第8条 市民及び市は、相互理解のもと、それぞれの役割を担いながら、協働のまちづくりをすすめなければならない。
2 市は、協働を推進するための施策を整備するとともに、協働の実効性が高まるように努めなければならない。
3 市は、前項に規定する取組をすすめるにあたっては、市民の自主性及び主体性を尊重しなければならない。
(コミュニティ活動)
第9条 市民は、互いに助け合い安心して心豊かに暮らすことのできる地域社会の実現のため、多様なコミュニティにおいて主体的な取組に努めるものとする。
2 市民及び市は、まちづくりの担い手である地域コミュニティの役割を認識し、守り育てるように努めるものとする。
3 市は、コミュニティの自主性及び自律性を尊重しながら、その活動の支援に努めなければならない。
(パブリックコメント制度)
第10条 市は、市民生活に重要な計画等の策定にあたり、市民の意見を反映させるため、案の内容等を公表し、市民の意見を聴くとともに、提出された市民の意見に対する市の考え方を公表しなければならない。
(住民投票)
第11条 市長は、市政の重要事項について、住民の意思を確認するため、必要に応じて住民投票を実施することができるものとし、その結果について尊重しなければならない。
2 住民投票を行う場合はその事案ごとに、必要な事項を規定した条例を別に定めるものとする。
3 市長及び市議会議員の選挙権を有する住民は、法令の定めるところにより、住民投票を規定した条例の制定を市長に請求することができる。
第4章 情報共有
(情報提供)
第12条 市は、市民生活及びまちづくりに必要な情報を適切かつわかりやすい形で市民に提供し、市民との情報の共有に努めなければならない。
2 市民は、必要な情報は自ら収集するように努めるものとする。
(情報公開)
第13条 市は、市民の知る権利を尊重し、別に条例で定めるところにより、公文書の開示等について必要な措置を講じるとともに、情報の公開に努めなければならない。
(説明責任)
第14条 市は、市の実施する施策について、市民にわかりやすく説明しなければならない。
2 市は、市民からの意見や質問に対し迅速かつ適切に対応しなければならない。
第5章 行政運営
(総合計画)
第15条 市は、まちづくりを総合的かつ計画的に推進するための計画(以下「総合計画」という。)を策定しなければならない。
2 市は、総合計画の策定にあたっては、市民が参加する機会の充実に努めなければならない。
3 市は、総合計画を効果的かつ着実に推進するため、適切に進行管理を行うとともに、その結果を定期的に市民にわかりやすく公表しなければならない。
4 市は、各分野の計画を定めるときは、総合計画に即するように努めなければならない。
(財政運営)
第16条 市は、中長期を見通し、健全な財政運営に努めなければならない。
2 市は、予算編成にあたっては、総合計画や行政評価の結果を踏まえ、財源の効率的かつ効果的な活用に努めなければならない。
3 市は、財政状況並びに予算及び決算の内容をわかりやすく公表し、財政運営の透明性を確保するように努めなければならない。
(行政評価)
第17条 市は、効率的かつ効果的な行政運営を行うため、施策等について行政評価を実施し、その結果を市民にわかりやすく公表するとともに、施策等への反映に努めなければならない。
2 市は、行政評価をするにあたっては、市民意見を反映するなど客観性及び公正性を高めるように努めなければならない。
(組織及び機構)
第18条 市の組織は、行政ニーズや社会環境の変化に的確に対応するとともに、市民にわかりやすく、利用しやすい、簡素で効率的かつ機能的なものとしなければならない。
(行政手続)
第19条 市は、別に条例で定めるところにより、処分、行政指導及び届出に関する手続きを適切に行い、行政運営における公正の確保と透明性の向上をはかり、市民の権利利益の保護に資するように努めなければならない。
(個人情報保護)
第20条 市は、個人の権利利益を保護するため、別に条例で定めるところにより、個人情報の開示、訂正及び利用の停止等について必要な措置を講じるとともに、市の保有する個人情報を適正に取り扱わなければならない。
(出資団体等)
第21条 市は、出資又はその他の支援等を行う団体等及び指定管理者が行う市と関連する業務等について、その目的が適切に達成されるように必要な指導及び助言ができるものとする。
(危機管理)
第22条 市は、災害その他の緊急時に備え、市民、関係機関及び他の自治体と相互に連携協力し、総合的かつ機動的な体制の確立に努めなければならない。
第6章 国・道及び他の自治体との関係
(国・道及び他の自治体との関係)
第23条 市は、国及び北海道と対等な立場で、それぞれの役割分担を踏まえ、連携協力に努めるものとする。
2 市は、行政サービスの向上や効率的な行財政運営等をはかるため、他の自治体との連携協力に努めるほか、国内外の自治体等との交流及び連携に努めるものとする。
第7章 条例の見直し
2 市は、前項の検討及び見直しにあたっては、市民の意見を聴かなければならない。
附 則
この条例は、平成19年4月1日から施行する。