○近江八幡市コンプライアンス条例

平成22年7月31日

条例第233号

目次

第1章 総則(第1条―第8条)

第2章 公益通報(第9条・第10条)

第3章 コンプライアンス委員会(第11条―第14条)

第4章 措置・警告等(第15条・第16条)

第5章 補則(第17条)

付則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、市政が市民の厳粛な信託によるものであることを認識し、本市職員が職務を遂行するに当たっての法令遵守体制に関して必要な事項を定めるとともに、公正な職務の遂行を確保するために必要な措置を講じることにより、公務に対する市民の信頼を確保し、市民と共に公正かつ民主的な市政の運営に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 職員 地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「法」という。)第3条第2項に規定する一般職の職員(次号イに規定する者を除く。)並びに同条第3項に規定する特別職の職員のうち、市長、副市長、教育長及び公営企業管理者をいう。

(2) 職員等 次に掲げる者をいう。

 職員

 法第22条の2第1項に規定する会計年度任用職員

 市から事務又は事業を受託した者(以下「受託者」という。)及びその役員並びに当該受託業務に従事している者

 指定管理者(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する者をいう。)及びその役員並びにその管理する公の施設の管理の業務に従事している者

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)に基づき市の業務に従事している者

 からまでに掲げる者であった者

(3) 事業者等 受託者及びその役員並びに指定管理者及びその役員をいう。

(4) 特別職の職員 法第3条第3項に規定する特別職の職員のうち、市長、副市長、教育長及び公営企業管理者を除いた者をいう。

(5) 任命権者 法第6条第1項に規定する任命権者(同条第2項の規定により権限の一部を委任された者を含む。)をいう。

(6) 管理監督者 管理監督の立場にある者をいう。

(7) 公益通報 不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他不正の目的でなく、職員等の違法行為等公益を確保するために通報する事実が生じ、又は正に生じようとしている旨を通報することをいう。

(8) 公益通報者 公益通報する者をいう。

(9) 不当要求行為等 公正な職務の遂行を損なうおそれのある行為又は暴力行為等社会常識を逸脱した手段により要求の実現を図る行為をいう。

(令2条例2・一部改正)

(基本的心構え)

第3条 職員は、全体の奉仕者であることを深く自覚し、市民から信頼される職員となるよう不断に公務員としての資質の向上に努めるとともに、常に公共の利益の増進を目指して公正な職務の遂行に当たらなければならない。

2 職員は、職務の遂行に当たっては、市政が市民の信託によるものであることを認識し、法令遵守の姿勢のもと、市民に対して業務についての十分な説明を行い、理解を得るよう努めなければならない。

3 職員は、提供することにより、公正な職務の遂行を損なうおそれのある情報又は公正な市政の運営に不当な影響を及ぼすおそれのある情報を除き、積極的に情報を提供しなければならない。

(職員の責務)

第4条 職員は、職務の遂行に当たっては、常に業務内容の説明ができるよう整理しておかなければならない。

2 職員は、違法又は第7条第2項に規定する公正な職務の遂行を損なうおそれのある行為(不作為を含む。以下同じ。)を求める要求があったときは、これを拒否しなければならない。

3 職員(この項において市長を除く。)は、前項の行為を求める要求又は第7条第2項に規定する暴力行為等社会常識を逸脱した手段により要求の実現を図る行為があったときは、直ちに規則で定める上司及び所属長(以下「上司等」という。)に報告し、又は要求の行為を行う者が上司等の場合は、その要求を撤回させるために、公益通報その他の方法により適切な対応をしなければならない。

(管理監督者の責務)

第5条 管理監督者は、その職務の重要性を自覚し、部下職員の公正な職務の遂行の確保に努め、その行動について適切に指導監督しなければならない。

2 管理監督者は、部下職員から前条第3項の規定による報告を受けた場合は、適法かつ公正な職務を確保するために必要な措置を講じるとともに、当該報告内容が公正な職務の遂行を損なうおそれがあると認められるときは、規則で定める近江八幡市不当要求行為等対策委員会(以下「対策委員会」という。)に通知しなければならない。

(任命権者の責務)

第6条 任命権者は、行政施策の説明、公正な職務の遂行の確保及び正当な公益通報者の保護並びに法令遵守体制の確立に資するよう、職員研修を実施し、事業者等への指導啓発を行い、職員の遵守すべき事項を定めるとともに、庁内体制の整備等必要な措置を講じるものとする。

(市民等の責務)

第7条 市民は、自らが地方公共団体を構成する一員であることを深く自覚し、常に市政の運営に関心を払うことによって、公正かつ適正な手続による行政運営の確保に積極的な役割を果たすよう努めるものとする。

2 何人も、職員及び特別職の職員に対して、公正な職務の遂行を損なうおそれのある行為を求め、暴力行為等社会常識を逸脱した手段により要求の実現を図る行為をしてはならない。

(事業者等の責務)

第8条 事業者等は、市の受託業務又は指定管理業務を実施するに当たっては、公平、公正性が求められていることを自覚し、市民の疑惑や不信を招くことがないよう十分に配慮し、当該業務に従事している者に対し、公正な職務の遂行の確保に努めるよう指導監督するとともに、公益通報に対し適切な対応をしなければならない。

第2章 公益通報

(公益通報)

第9条 職員等は、市の事務若しくは事業、受託者の当該受託業務又は指定管理者が管理する公の施設管理の業務に関し、次の各号に掲げる者に公益通報をすることができる。

(1) 第11条に規定する近江八幡市コンプライアンス委員会(以下「委員会」という。)

(2) 市長が規則で定める者

2 職員等は、公益通報をするときには、可能な限り確実な資料に基づき、実名により誠実に行わなければならない。ただし、匿名による通報の事実が確実であると信じるに足りる相当の根拠を示したときは、この限りでない。

3 第1項第2号に規定する者が公益通報を受けたときは、速やかにその内容について調査を行い、その結果を委員会に報告しなければならない。

(公益通報者の保護)

第10条 任命権者は、公益通報者に対して公益通報をしたことを理由として、いかなる不利益な取扱いもしてはならない。

2 公益通報者は、公益通報をしたことによって不利益な取扱いを受けたと思料するときには、委員会にその是正の申立てをすることができる。

3 市長は、職員(この項において、第2条第2号イ及び同条第4号に規定する者を含む。)以外の者が公益通報をしたことを理由として、事業者等から不利益な取扱いを受けたと認められるときは、その不利益な取扱いについて、事業者等に是正を求めることができる。

4 任命権者は、公益通報者を保護するため、公益通報者が特定されるおそれがある情報を公開してはならない。

第3章 コンプライアンス委員会

(コンプライアンス委員会の設置)

第11条 本市における法令遵守体制の確立を図り、公正な職務の遂行を確保するため、委員会を設置する。

2 委員会は、委員5人以内をもって組織する。

3 委員の任期は2年とし、再任を妨げない。

4 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

5 この条例に定めるもののほか、委員会の組織及び運営について必要な事項は、規則で定める。

(公益通報に係る委員会の任務)

第12条 委員会は、公益通報を受けたときは、速やかにその内容について調査を行うものとする。

2 委員会は、前項に規定する調査又は第9条第3項に規定する報告に基づく審査の結果、当該公益通報の内容が事実であると認めるときは、是正措置等についての意見を付して、又は該当する事実がないと認めるとき若しくは調査を尽くしても違法行為等の事実の存否が明らかにならないときは、その旨を任命権者に報告するものとする。

3 委員会は、審査の結果を公益通報者に通知しなければならない。ただし、匿名による通報の場合は、この限りでない。

4 第10条第2項に規定する是正の申立てについては、前各項の規定を準用する。

(不当要求行為等に係る委員会の任務)

第13条 委員会は、規則で定めるところにより対策委員会から通知があった場合において、当該通知の内容が不当要求行為等に該当すると疑うに足りる相当な理由があると認められるときは、直ちに必要な調査を行うものとする。不当要求行為等を受けたと認める特別職の職員から必要な調査の依頼を受けたときも同様とする。

2 委員会は、前項の規定による調査の結果を、委員会に通知を行った対策委員会又は前項の規定により調査を依頼した特別職の職員に報告しなければならない。

3 委員会は、前項の規定により報告を行うときには、第16条第4項の規定に基づき市長又は公営企業管理者(以下「市長等」という。)が行う措置について、意見を述べることができる。

(その他委員会の任務)

第14条 委員会は、前2条に規定する任務のほか、次に掲げる事項を担任する。

(1) 法令遵守体制の整備に関し、調査及び研究するとともに、必要に応じ任命権者に意見を述べること。

(2) その他この条例の遵守の徹底を図ること。

第4章 措置・警告等

(公益通報に係る措置)

第15条 任命権者は、第12条第2項の規定による委員会の報告を受けたときは、速やかに審査の結果に基づいて必要な事実の確認を行い、必要に応じて告発し、又は告訴するほか、違法行為等を是正し、再発を防止するために必要な措置を講じなければならない。

2 任命権者は、第12条第4項の規定による報告を受けたときは、遅滞なく是正等必要な措置を講じなければならない。

3 市長は、前2項の措置について、その内容を公表するものとする。

(不当要求行為等の行為者への警告等)

第16条 市長は、第13条第2項の規定による報告を受けたときは、当該報告に基づいて、不当要求行為等の行為者に対して文書で警告を行うものとする。

2 前項の警告を行う場合において、必要と認めるときは、市長は市民への公表その他の措置を講じることができる。

3 市長等は、競争入札の参加資格を有する業者に対し第1項に規定する警告を行った場合において、必要と認めるときは、別に定めるところにより当該業者に対し指名停止その他の措置を講じることができる。

4 市長等が前各項の規定により不当要求行為等の行為者へ警告等を行う場合は、第13条第3項に規定する委員会の意見を尊重しなければならない。

第5章 補則

(委任)

第17条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成22年10月1日から施行する。

(近江八幡市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

2 近江八幡市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(平成22年近江八幡市条例第63号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(令和2年条例第2号)

この条例は、令和2年4月1日から施行する。

近江八幡市コンプライアンス条例

平成22年7月31日 条例第233号

(令和2年4月1日施行)