○小樽市手話言語条例
平成30年3月23日
条例第4号
言語は、お互いの感情を分かり合い、知識を蓄え、文化を創造する上で不可欠なものであり、人類の発展に大きく寄与してきた。
手話は、音声を使わず、手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現する言語であり、ろう者は、物事を考え、コミュニケーションを図り、お互いの気持ちを理解し合うために必要なものとして大切に育んできた。
しかし、これまで長い歴史の中で、手話が言語として認められてこなかったことや、手話を使用することのできる環境が整えられてこなかったことなどから、ろう者及び手話を必要とする人は、必要な情報を得ることもコミュニケーションを図ることもできず、多くの不便や不安を感じながら生活してきた。
こうした中、障害者の権利に関する条約や障害者基本法において、手話が言語として認められ、ろう者及び手話を必要とする人が、あらゆる場面で自由に手話を使える地域社会となるよう取り組むことが求められている。
小樽市に住み、働き、学び、集う全ての人が、手話を言語として理解し、誰もが安心して安全に暮らすことのできる地域づくりの実現を目指し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話の理解及び普及に関する基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、市が推進する施策の基本的な方針を定めることにより、誰もが安心して安全に暮らすことのできる地域づくりの実現を目指すことを目的とする。
(手話の意義)
第2条 手話は独自の言語体系を有する文化的所産であり、ろう者が大切に受け継いできたものであることを理解しなければならない。
(基本理念)
第3条 手話の理解及び普及は、手話が言語であるとの認識に基づき、ろう者及び手話を必要とする人は手話による円滑なコミュニケーションを図る権利を有していること、その権利は尊重されることを基本として行われなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、市民及び事業者の手話に対する理解を広げるとともに、手話を使いやすい環境にするための施策を推進するものとする。
(市民の役割)
第5条 市民は、手話に対する理解を深め、市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、手話に対する理解を深め、市が推進する施策に協力するよう努めるとともに、ろう者が利用しやすいサービスを提供し、ろう者が働きやすい環境を整備するよう努めるものとする。
(施策の推進)
第7条 市は、次に掲げる施策を総合的かつ計画的に推進するための方針を策定するものとする。
(1) 手話に対する理解及び普及に関する施策
(2) 手話による情報取得及び手話の使いやすい環境づくりに関する施策
(3) 手話による円滑なコミュニケーションの拡充に関する施策
(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める施策
2 市は、施策の推進に当たっては、ろう者、手話を必要とする人、手話通訳者その他関係者の意見を聴き、その意見を尊重するものとする。
(財政上の措置)
第8条 市は、手話に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(委任)
第9条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、平成30年4月1日から施行する。