○大津市男女共同参画推進条例

平成23年12月19日

条例第47号

全ての人々が、一人一人を大切にし、多様な価値観や生き方を認め合い、男女が共に支え合う社会を実現することは、私たちの願いである。

我が国では、日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、男女共同参画社会の実現に向けた様々な取組が国際社会における取組とも連動しつつ着実に進められ、平成11年には男女共同参画社会基本法が施行された。

本市においては、男女共同参画社会基本法に基づき男女共同参画推進計画を策定し、施策を積極的に推進してきた。また、平成10年に市議会において「ひとが輝く男女共同参画都市宣言」が決議され、平成15年には「日本女性会議2003おおつ」が開催されるなど、男女共同参画に関する気運が醸成されてきた。しかしながら、男女共同参画社会の実現にはまだ多くの課題が残されている。

少子高齢化の進展、経済活動の成熟化等に見られるように、社会経済情勢が急速に変化する中で、豊かで活力ある社会を構築していくためには、男女が互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現が、一層求められている。

これらを踏まえ、豊かな歴史と文化を継承しつつ時代に応じ発展を遂げてきた古都大津において、男女共同参画社会を実現することを目指し、ここにこの条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、市、市民等及び事業者の役割を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、男女共同参画社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。

(2) 市民等 本市の区域内に居住し、通勤し、又は通学する者をいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画は、次に掲げる基本理念(以下「基本理念」という。)に基づいて推進されなければならない。

(1) 男女が互いの特性を認め合い、個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的な取扱いを受けないこと、男女が社会のあらゆる分野においてそれぞれの個性及び能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されること。

(2) 社会の制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の選択に対して影響を及ぼすことのないよう配慮されること。

(3) 男女が、社会の対等な構成員として、市の施策又は事業者の方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。

(4) 家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子育て、家族の介護その他の家庭生活における活動と当該活動以外の活動とを両立することができるようにすること。

(5) 男女共同参画の推進に関する国際社会の取組と協調すること。

(市の役割)

第4条 市は、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(以下「推進施策」という。)を総合的に策定し、及び実施するものとする。

2 市は、男女共同参画の推進に当たっては、市民等、事業者、国、滋賀県、関係機関等と協力し、及び連携を図るものとする。

(市民等の役割)

第5条 市民等は、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、男女共同参画を推進するよう努めるとともに、市が実施する推進施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、その事業活動に関し、基本理念にのっとり、男女共同参画を推進するよう努めるとともに、市が実施する推進施策に協力するよう努めるものとする。

(性別による人権侵害の禁止)

第7条 何人も、性別による差別的取扱い、性的な言動により他人を不快にさせる行為、配偶者等に対して身体的又は精神的な苦痛を与える行為その他の性別の違いを背景とした人権侵害を行ってはならない。

(公衆に表示する情報に関する配慮)

第8条 何人も、公衆に表示する情報において、前条に規定する性別の違いを背景とした人権侵害を是認し、又は助長させる表現を用いないよう配慮しなければならない。

(推進計画)

第9条 市長は、推進施策を総合的かつ計画的に実施するため、男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)第14条第3項に規定する市町村男女共同参画計画(以下「推進計画」という。)を定めるものとする。

2 市長は、推進計画を定め、又は変更しようとするときは、市民等及び事業者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、第18条に定める審議会の意見を聴くものとする。

(施策の策定等に当たっての配慮)

第10条 市は、男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、基本理念に配慮しなければならない。

(推進体制の整備)

第11条 市は、推進施策を総合的かつ計画的に実施するため、体制の整備を図るものとする。

(広報啓発)

第12条 市は、男女共同参画の推進に関する市民等及び事業者の理解を深めるよう、広報及び啓発活動を行うものとする。

(活動に対する支援)

第13条 市は、市民等及び事業者の男女共同参画の推進に関する活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

(年次報告)

第14条 市長は、毎年、推進施策の実施状況について報告書を作成し、これを公表しなければならない。

(調査研究等)

第15条 市は、推進施策を総合的かつ計画的に実施するために必要な調査研究及び情報収集に努めるものとする。

(相談への対応)

第16条 市長は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められることに関し、市民等及び事業者から相談があったときは、関係機関と連携し、適切に対応するものとする。

(苦情の申出に対する措置)

第17条 市長は、市が実施する推進施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策に関し、市民等又は事業者から苦情の申出を受けた場合は、適切な措置を講ずるよう努めるものとする。この場合において、市長は、必要があると認めるときは、次条に定める審議会の意見を聴くことができる。

(男女共同参画審議会)

第18条 男女共同参画の推進に関し必要な事項を調査審議するため、大津市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。

(1) 推進計画の策定及び変更に関すること。

(2) 市民等及び事業者から申出のあった苦情に係る措置に関すること。

(3) 前2号に掲げるもののほか、男女共同参画の推進に関し市長が必要と認めること。

3 審議会は、男女共同参画の推進に関する事項に関し、市長に意見を述べることができる。

4 審議会は、委員20人以内をもって組織する。

5 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 学識経験を有する者

(2) 市長が行う委員の公募に応募した市民

(3) 前2号に掲げるもののほか、市長が適当と認める者

6 前項第2号の規定にかかわらず、公募を実施しても応募者がなかったとき又は適任者がなかったときは、公募によらず、市民のうちから委員を委嘱することができる。

7 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

8 委員は、再任されることができる。

9 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(委任)

第19条 この条例の施行について必要な事項は、市長が定める。

この条例は、公布の日から施行する。ただし、第18条の規定は、規則で定める日(平成24年2月20日―平成24年規則第8号)から施行する。

大津市男女共同参画推進条例

平成23年12月19日 条例第47号

(平成24年2月20日施行)